自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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跡部景吾×赤宮麻美(『今日の氷帝学園』設定より)
秋気の気配が肌に感じる季節。9月下旬には澄んだ空気と共に金木犀や草木の香りが鼻を擽るだろう。
外でのティータイムも悪くない時季とも言える。そろそろ庭で味わうのもいいだろう、そう思って俺はすぐに手配するように言付けた。
「━━もう秋になるから庭の外で茶が飲みたいってことは分かったが、それがなんで私も一緒になるわけ?」
庭にテーブルと椅子を用意させ、アフタヌーンティーセットも並んでいた。対面に座る客人は赤宮麻美ただ一人。
奴はどこか不機嫌そうに眉を寄せながら、先程セバスチャンの手で注がれた紅茶を口につける。
「別に一人で過ごすのが寂しいわけじゃないだろ」
「当然だ。一人で静かに過ごすのも必要だが、ずっとじゃねぇ。言葉を交える相手が欲しい時だってあるだろうよ」
「話し相手に選ぶな」
「不服か?」
「他にもいるだろ。しかもその話し相手って私一人だけかよ」
クッキーを摘みつつ、納得がいかない様子の赤宮を見て俺はほくそ笑んだ。
「誰でもいいってわけじゃねぇ。お前だから選んだんだ」
「ふーん……」
「口では何とでも言える、って言いたげな顔だな」
「よく分かったな」
そりゃそんなあからさまな表情をすれば誰だって分かるだろうが。どうせ赤宮の奴は暇潰しに呼び出されたと思ってんだろ。
「時に赤宮。お前は何か楽しい一時を誰かと共有したいと思ったことはないか?」
「いきなり何?」
「あるのか、ないのか?」
「……さぁな。楽しい、なんて思うのはすでに誰かしらいる時だからな」
「なるほど、一理あるな。すでに共有してるっつーわけか」
「話を変えてまで何が言いたいんだよ……」
先程から深かった眉間の皺がさらに深まる。整った顔が台無しというわけでもなく、怒りに顔を歪ませようがそれすらも絵になるほど美しい。
「俺は一人でティータイムを過ごすことも多い。一人だと邪魔されることなく静かに思考を巡らせることが出来るからな。だが、それとは別にふと感じる季節の変わり目の空気や、四季の香りを自分だけじゃなく誰かと分かち合いたいと思うこともある。部員やマネージャー、クラスメイト、はたまたうちで働く者など色々いるが……」
赤宮に目を向ける。俺が何を言いたいのかまだ分かっていないという顔だ。そういう顔もまたいい。
「常に最初に思い浮かぶ相手がお前であり、最後に思い浮かぶ相手もお前だ」
ぴくりと少しだけ反応を見せた。眉間の皺が少しだけ緩んだのをこの俺が見過ごすことはない。
「どんな些細なことだろうと話をしたいと思わせる相手なんて俺には一人しかいねぇよ。だからお前を呼んだ」
「……あんた、私のことが好きなのか?」
「フッ。ビジネス以外で嫌いな奴を自宅に招く奴なんかいねーよ」
「あ、そ」
その言葉を最後に赤宮は言葉を噤んだ。涼しい顔……と見せかけて内心動揺しているのは眼力 をするまでもねぇ。
落ち着かないのか、緊張からなのか、あっという間に紅茶を飲み干すくらい何度もカップを手に取っていたからな。
聞くまではねぇと思うが、せっかく理由を語ったんだから直接返事をくれてもいいんじゃねーの?
「赤宮。ここまで話をさせておいてだんまりか? いい女は男に恥をかかすんじゃねーよ」
「ならそっくりそのまま返してやる。いい男はいい女に恥をかかすな。察しろ」
……黙ったとはいえ口数が減るわけじゃないってことか。素直じゃねぇが、分かりやすい奴だ。
「それなら今日からお前は俺の女だ」
「あんたが私の男だ」
「ほんとに口の減らねぇ奴だな」
「あんたが言うな」
忍足の奴が見てたらロマンスが足らねぇと文句を言うような恋人成立の瞬間だ。拍子抜けするような、しないような。確かに何か物足りなさを感じるような肩透かしを食わせられた気分だ。
そう思うとどこか不満になる。もう少しリアクションがあってもいいんじゃねーのか。
ならばと席を立ち、ティースタンドからクッキーを一枚手に取って一口齧りながら赤宮の元へ向かう。
なんだ? という表情を向ける赤宮に半分欠けたクッキーを口に入れてやる。
「!?」
「めでたくお付き合いを始めるんだから恋人らしいことくらいしねぇとな。なぁ、麻美?」
「……っ」
咀嚼させながら少し頬を赤らめたのは俺の食べかけの焼き菓子を口にしたからか、それとも名前で呼ばれたからか。どちらにせよ、そんな愛らしい姿を見せるのは後にも先にも俺だけであればいい。
まぁ、こいつのことだ。簡単にこの姿を他人に見せることはないから俺だけしか知らないと思うとそれはそれで気分がいい。
秋気の気配が肌に感じる季節。9月下旬には澄んだ空気と共に金木犀や草木の香りが鼻を擽るだろう。
外でのティータイムも悪くない時季とも言える。そろそろ庭で味わうのもいいだろう、そう思って俺はすぐに手配するように言付けた。
「━━もう秋になるから庭の外で茶が飲みたいってことは分かったが、それがなんで私も一緒になるわけ?」
庭にテーブルと椅子を用意させ、アフタヌーンティーセットも並んでいた。対面に座る客人は赤宮麻美ただ一人。
奴はどこか不機嫌そうに眉を寄せながら、先程セバスチャンの手で注がれた紅茶を口につける。
「別に一人で過ごすのが寂しいわけじゃないだろ」
「当然だ。一人で静かに過ごすのも必要だが、ずっとじゃねぇ。言葉を交える相手が欲しい時だってあるだろうよ」
「話し相手に選ぶな」
「不服か?」
「他にもいるだろ。しかもその話し相手って私一人だけかよ」
クッキーを摘みつつ、納得がいかない様子の赤宮を見て俺はほくそ笑んだ。
「誰でもいいってわけじゃねぇ。お前だから選んだんだ」
「ふーん……」
「口では何とでも言える、って言いたげな顔だな」
「よく分かったな」
そりゃそんなあからさまな表情をすれば誰だって分かるだろうが。どうせ赤宮の奴は暇潰しに呼び出されたと思ってんだろ。
「時に赤宮。お前は何か楽しい一時を誰かと共有したいと思ったことはないか?」
「いきなり何?」
「あるのか、ないのか?」
「……さぁな。楽しい、なんて思うのはすでに誰かしらいる時だからな」
「なるほど、一理あるな。すでに共有してるっつーわけか」
「話を変えてまで何が言いたいんだよ……」
先程から深かった眉間の皺がさらに深まる。整った顔が台無しというわけでもなく、怒りに顔を歪ませようがそれすらも絵になるほど美しい。
「俺は一人でティータイムを過ごすことも多い。一人だと邪魔されることなく静かに思考を巡らせることが出来るからな。だが、それとは別にふと感じる季節の変わり目の空気や、四季の香りを自分だけじゃなく誰かと分かち合いたいと思うこともある。部員やマネージャー、クラスメイト、はたまたうちで働く者など色々いるが……」
赤宮に目を向ける。俺が何を言いたいのかまだ分かっていないという顔だ。そういう顔もまたいい。
「常に最初に思い浮かぶ相手がお前であり、最後に思い浮かぶ相手もお前だ」
ぴくりと少しだけ反応を見せた。眉間の皺が少しだけ緩んだのをこの俺が見過ごすことはない。
「どんな些細なことだろうと話をしたいと思わせる相手なんて俺には一人しかいねぇよ。だからお前を呼んだ」
「……あんた、私のことが好きなのか?」
「フッ。ビジネス以外で嫌いな奴を自宅に招く奴なんかいねーよ」
「あ、そ」
その言葉を最後に赤宮は言葉を噤んだ。涼しい顔……と見せかけて内心動揺しているのは
落ち着かないのか、緊張からなのか、あっという間に紅茶を飲み干すくらい何度もカップを手に取っていたからな。
聞くまではねぇと思うが、せっかく理由を語ったんだから直接返事をくれてもいいんじゃねーの?
「赤宮。ここまで話をさせておいてだんまりか? いい女は男に恥をかかすんじゃねーよ」
「ならそっくりそのまま返してやる。いい男はいい女に恥をかかすな。察しろ」
……黙ったとはいえ口数が減るわけじゃないってことか。素直じゃねぇが、分かりやすい奴だ。
「それなら今日からお前は俺の女だ」
「あんたが私の男だ」
「ほんとに口の減らねぇ奴だな」
「あんたが言うな」
忍足の奴が見てたらロマンスが足らねぇと文句を言うような恋人成立の瞬間だ。拍子抜けするような、しないような。確かに何か物足りなさを感じるような肩透かしを食わせられた気分だ。
そう思うとどこか不満になる。もう少しリアクションがあってもいいんじゃねーのか。
ならばと席を立ち、ティースタンドからクッキーを一枚手に取って一口齧りながら赤宮の元へ向かう。
なんだ? という表情を向ける赤宮に半分欠けたクッキーを口に入れてやる。
「!?」
「めでたくお付き合いを始めるんだから恋人らしいことくらいしねぇとな。なぁ、麻美?」
「……っ」
咀嚼させながら少し頬を赤らめたのは俺の食べかけの焼き菓子を口にしたからか、それとも名前で呼ばれたからか。どちらにせよ、そんな愛らしい姿を見せるのは後にも先にも俺だけであればいい。
まぁ、こいつのことだ。簡単にこの姿を他人に見せることはないから俺だけしか知らないと思うとそれはそれで気分がいい。