自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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跡部景吾×西成遥(『今日の立海大附属』設定より)
お盆真っ只中の8月14日。遥は夏休みを満喫し、部屋でゴロゴロしていると急に大声で母親に呼ばれた。せっかくベッドで漫画を見てたのに~とぼやきつつ、部屋を出るとそこには見覚えのある男の姿があった。
「……へ?」
「相変わらず間抜け面だな、テメェは」
小馬鹿にするような笑みを向けたその人物は氷帝学園テニス部の部長、跡部景吾だった。
「ぎ、ぎぃやああああああっ!?」
思わず叫び声を上げて後ずさりをする。すぐに母親が「あんた跡部くんが来てくれたのになんて声上げてるのよ!」と怒号が飛ぶが、跡部は「大丈夫ですよ。慣れてますので」と見たこともないような帝王の微笑みを向けて部屋に踏み込み、ドアを閉めた。
「なっ、なっ、なっ!?」
遥は酷く混乱した。なんで!? という言葉が出てこないほど突然の訪問にツッコミどころ満載なのである。何せ遥と跡部は顔見知り程度。何ならとある一件もあって遥は跡部を苦手というか嫌いというかとにかく憎いという負の感情しかないのだ。
そんな相手がなぜ自分の家にいるのか。もちろん家を教えた覚えもないし、そんな仲でもない。もはや恐怖の領域である。
「いい顔するな、お前は。来てやったかいがあったぜ」
「いや、なんで氷帝のエラソーなのが! ……ハッ! そうか、君は仁王だな!? そうでしょ? あたしを驚かそうとしてるんだ! そんなので騙されないぞ! 観念してその変装を解くのだ!」
最近知った仁王の変装技術。きっと奴が驚かそうとしてるに違いないと睨んだが、相手は眉間に皺を寄せるだけ。
「あーん? 仁王だと? テメェの家を知る仲だってのか?」
後ずさりした遥にさらに詰め寄る跡部。これ以上下がることが出来ない彼女は「ひぇっ」と小さく声が漏れる。
「だ、だだだって、跡部があたしの家を知るはずないもん!」
「この俺に不可能はねぇ。それだけだ」
「余計に怖いじゃん!?」
「ったく、ずっと車内でテメェが家から出てくるのを待ってたが無駄にぐうだらな生活を送りやがって」
「えっ、何普通に話を続けてるのっ? なんで家前で待機してんのっ!?」
怖い怖い怖い。全て金の力なのか。お金持ち怖いっ! そう心の中で叫ぶ遥だったが、跡部はずっと手に持っていたお洒落なブランド物のショップ袋を遥へと突き出す。
「へ?」
「貴様にくれてやる」
「な、何、今度は何? ビックリ箱でも仕掛けてる?」
「まだ仁王だと思ってやがるのかお前は。跡部景吾はこの俺様ただ一人だ、間違えるんじゃねぇ。早く受け取れ」
「うぅ……」
展開が早くてついていけない。訳が分からないまま遥は紙袋を受け取った。カサッと中を見てみるが、何やらお高そうな箱があるだけで中身までは判断出来ない。
「いつも威勢はどこへいきやがった? 今さら俺に失礼な言葉を並べたことに怖気付いたってか?」
「あたしが何に怖気付いてるか理解してほしいのだが!? てか、ほんとに何なのっ!? これ渡すために乗り込んだの!?」
「それ以外に何がある?」
「……へ?」
「まだ理解しねぇのか。仕方ねぇ奴だな。さっさと中を開けてみろ」
段々と本物の跡部だなとヒシヒシ感じてきた遥は「偉そうに……」と唇を尖らせながら彼の前で箱を取り出し、中身を確認する。
そこには宝石のような輝きを放つチョコレートが10個ほど並んでいた。思わず何かの見間違いかと思い目を擦るが幻覚ではないと判断し、跡部とチョコレートを交互に見やる。
「えっ? 何? チョコ? あたしに?」
「言っただろ。くれてやるってな」
「ど、どういう風の吹き回しかは分からないけど、あとでお金を請求したりしない?」
「そんな貧乏くせーこと俺がすると思ってんのか」
「そっか! じゃあ、返してって言っても返さないもんね!」
早速一粒パクッと口に含む。滑らかな口溶けのチョコレート、鼻を擽る高貴なカカオの香り。間違いなく安いチョコレートとは違う味わいに頬が溶けてしまいそうになった。
「うまっ!」
「たりめーだろ。俺様の気持ちなんだからな」
「気持ち?」
「それを食ったってことはテメェは受け入れたってことだ」
にやりと笑う氷の帝王に遥は嫌な予感が身体中に走る。まるでそれは花瓶を割ってしまったような、取り返しのつかないことを仕出かした感覚に似ていた。
「な、にを……」
「俺を、だ」
「はいっ?」
「ところで貴様の初デートはまだ誰にも奪われてねぇな?」
「いや、ちょっと、さっきから話が分からな━━」
「奪われてねぇな?」
「ハイ……」
悔しいことにまだ初デート権は誰にも使われていない。それを聞いて跡部は鼻で笑うつもりなのだろうかと考えた。例えそうだとしても遥は落ち込まない。きっとまだその時ではないのだとそう自分に言い聞かせるから。
そんな遥の予想は少しばかり反して跡部は満足げに笑った。
「よし、それでいい。その初デートは俺様が押さえとくからな」
「はいっ!? 訳分からないのだが!?」
「じゃあな、西成。ハッピーサマーバレンタイン!」
「ちょっと! 説明プリーズ! 色々と置いてかれてるんだけどぉ!?」
遥の叫びも虚しく、跡部はその後何も発することなく帰って行った。
事の重大さが分からない遥だったが何かとんでもないことになったのは理解出来たのでハッピーサマーバレンタインという単語を頼りにその意味を調べるためスマホで検索する。しかしその結果を見てもさらに混乱するだけという結果になった。
それからしばらくして『この日を空けておけ』と日付を指定した謎のメッセージが彼女の元に届くことになるとは今の彼女は知る由もない。
お盆真っ只中の8月14日。遥は夏休みを満喫し、部屋でゴロゴロしていると急に大声で母親に呼ばれた。せっかくベッドで漫画を見てたのに~とぼやきつつ、部屋を出るとそこには見覚えのある男の姿があった。
「……へ?」
「相変わらず間抜け面だな、テメェは」
小馬鹿にするような笑みを向けたその人物は氷帝学園テニス部の部長、跡部景吾だった。
「ぎ、ぎぃやああああああっ!?」
思わず叫び声を上げて後ずさりをする。すぐに母親が「あんた跡部くんが来てくれたのになんて声上げてるのよ!」と怒号が飛ぶが、跡部は「大丈夫ですよ。慣れてますので」と見たこともないような帝王の微笑みを向けて部屋に踏み込み、ドアを閉めた。
「なっ、なっ、なっ!?」
遥は酷く混乱した。なんで!? という言葉が出てこないほど突然の訪問にツッコミどころ満載なのである。何せ遥と跡部は顔見知り程度。何ならとある一件もあって遥は跡部を苦手というか嫌いというかとにかく憎いという負の感情しかないのだ。
そんな相手がなぜ自分の家にいるのか。もちろん家を教えた覚えもないし、そんな仲でもない。もはや恐怖の領域である。
「いい顔するな、お前は。来てやったかいがあったぜ」
「いや、なんで氷帝のエラソーなのが! ……ハッ! そうか、君は仁王だな!? そうでしょ? あたしを驚かそうとしてるんだ! そんなので騙されないぞ! 観念してその変装を解くのだ!」
最近知った仁王の変装技術。きっと奴が驚かそうとしてるに違いないと睨んだが、相手は眉間に皺を寄せるだけ。
「あーん? 仁王だと? テメェの家を知る仲だってのか?」
後ずさりした遥にさらに詰め寄る跡部。これ以上下がることが出来ない彼女は「ひぇっ」と小さく声が漏れる。
「だ、だだだって、跡部があたしの家を知るはずないもん!」
「この俺に不可能はねぇ。それだけだ」
「余計に怖いじゃん!?」
「ったく、ずっと車内でテメェが家から出てくるのを待ってたが無駄にぐうだらな生活を送りやがって」
「えっ、何普通に話を続けてるのっ? なんで家前で待機してんのっ!?」
怖い怖い怖い。全て金の力なのか。お金持ち怖いっ! そう心の中で叫ぶ遥だったが、跡部はずっと手に持っていたお洒落なブランド物のショップ袋を遥へと突き出す。
「へ?」
「貴様にくれてやる」
「な、何、今度は何? ビックリ箱でも仕掛けてる?」
「まだ仁王だと思ってやがるのかお前は。跡部景吾はこの俺様ただ一人だ、間違えるんじゃねぇ。早く受け取れ」
「うぅ……」
展開が早くてついていけない。訳が分からないまま遥は紙袋を受け取った。カサッと中を見てみるが、何やらお高そうな箱があるだけで中身までは判断出来ない。
「いつも威勢はどこへいきやがった? 今さら俺に失礼な言葉を並べたことに怖気付いたってか?」
「あたしが何に怖気付いてるか理解してほしいのだが!? てか、ほんとに何なのっ!? これ渡すために乗り込んだの!?」
「それ以外に何がある?」
「……へ?」
「まだ理解しねぇのか。仕方ねぇ奴だな。さっさと中を開けてみろ」
段々と本物の跡部だなとヒシヒシ感じてきた遥は「偉そうに……」と唇を尖らせながら彼の前で箱を取り出し、中身を確認する。
そこには宝石のような輝きを放つチョコレートが10個ほど並んでいた。思わず何かの見間違いかと思い目を擦るが幻覚ではないと判断し、跡部とチョコレートを交互に見やる。
「えっ? 何? チョコ? あたしに?」
「言っただろ。くれてやるってな」
「ど、どういう風の吹き回しかは分からないけど、あとでお金を請求したりしない?」
「そんな貧乏くせーこと俺がすると思ってんのか」
「そっか! じゃあ、返してって言っても返さないもんね!」
早速一粒パクッと口に含む。滑らかな口溶けのチョコレート、鼻を擽る高貴なカカオの香り。間違いなく安いチョコレートとは違う味わいに頬が溶けてしまいそうになった。
「うまっ!」
「たりめーだろ。俺様の気持ちなんだからな」
「気持ち?」
「それを食ったってことはテメェは受け入れたってことだ」
にやりと笑う氷の帝王に遥は嫌な予感が身体中に走る。まるでそれは花瓶を割ってしまったような、取り返しのつかないことを仕出かした感覚に似ていた。
「な、にを……」
「俺を、だ」
「はいっ?」
「ところで貴様の初デートはまだ誰にも奪われてねぇな?」
「いや、ちょっと、さっきから話が分からな━━」
「奪われてねぇな?」
「ハイ……」
悔しいことにまだ初デート権は誰にも使われていない。それを聞いて跡部は鼻で笑うつもりなのだろうかと考えた。例えそうだとしても遥は落ち込まない。きっとまだその時ではないのだとそう自分に言い聞かせるから。
そんな遥の予想は少しばかり反して跡部は満足げに笑った。
「よし、それでいい。その初デートは俺様が押さえとくからな」
「はいっ!? 訳分からないのだが!?」
「じゃあな、西成。ハッピーサマーバレンタイン!」
「ちょっと! 説明プリーズ! 色々と置いてかれてるんだけどぉ!?」
遥の叫びも虚しく、跡部はその後何も発することなく帰って行った。
事の重大さが分からない遥だったが何かとんでもないことになったのは理解出来たのでハッピーサマーバレンタインという単語を頼りにその意味を調べるためスマホで検索する。しかしその結果を見てもさらに混乱するだけという結果になった。
それからしばらくして『この日を空けておけ』と日付を指定した謎のメッセージが彼女の元に届くことになるとは今の彼女は知る由もない。