自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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宍戸亮×赤宮麻美(『今日の氷帝学園』設定より)
漢、宍戸亮は今まさに想いを寄せる人物に告白をしようと意気込んでいた。8月14日、ハッピーサマーバレンタインというイベントにて向日葵と夏の太陽に勇気を与えてもらった彼は小さな紙袋を片手に想い人こと赤宮麻美の元へ向かう。
夏休み真っ只中なので会うとなると予定を合わせてもらわなければならない。運のいいことに麻美の予定は特になく、会ってくれることになったのだ。
本当ならば学校で渡す方が楽ではあるが、誰に見られるか分かったものではない。
だから逆に休みで良かったのかもしれない。そう思いながら宍戸は待ち合わせ場所へと足を運んだ。
待ち合わせ場所は駅前のファストフード店。昼飯ついでに渡そうという考えだった。
「よぉ……待たせちまったか?」
待ち合わせ時間ぴったりにファストフードの店前に辿り着くと少し緊張した面持ちの宍戸が先に待っていた麻美に声をかける。
「待ったって言ったなら何か詫びてくれるわけ?」
「……謝罪だけじゃ許さねぇってことか」
参ったな……と呟きながら頭を搔く。じゃあこれ、と言って手持ちのチョコレートをあげるわけにはいかないのだ。これはそんな簡単に渡すものじゃなく、もっと強い想いを込めた言葉と共に差し出すものだから。
手に持つ袋へ目を向けながら悩む宍戸に麻美はフッと笑いながら彼の肩を叩いた。
「いてっ」
「冗談だ。真に受けるな」
「……お前が言うと冗談には聞こえねぇんだっての」
はぁ、と軽く溜め息をつく宍戸はそのまま麻美に急かされるように「腹減ったから行くぞ」と言われてファストフード店へと足を踏み入れた。
時間は正午。昼食時である。多少混みはするものの、カウンター席が空いていたので二人は並んで注文した品物が乗ったトレーを持って席に座った。
「宍戸から夏休みの宿題をやりたいって言い出すとは思わなかったけど」
麻美の言う通り、今回麻美を誘うための理由として『一人じゃ捗られねぇから夏休みの宿題を一緒に付き合ってくれ』と頼んだのである。
渡したい物がある、という理由でも良かったのかもしれないがすぐに渡せるか心配になったし、時を見て渡そうと考えていた。
……が、しかし、課題に夢中になったというべきか、熱が入ってしまったというべきか、分からない所があれば麻美に相談し、麻美にも分からなければ共に悩み、気がつけば予定していた範囲を終わらせていた。
麻美が「ここまでにするか」と口を開いた時に宍戸はようやくハッと気づく。熱中しすぎた。これではこのまま解散の流れになってしまう。まだ告白どころかチョコレートを渡す文句すら考えていないのに。
ひとつのことに集中していたあまり宿題が捗ったのはいいが、肝心の目的が果たせなくなる。
「そろそろ出るか」
氷が溶けてほとんど水だけの状態となったドリンクを最後に飲みきった麻美が席を立つ。それを見た宍戸が慌てて彼女の腕を掴んだ。
「ま、待てよっ。まだ待てって!」
「は?」
訝しげな表情をする麻美にそりゃもっともな反応だと思いながらもう一度座るように促す。
「あー……その、あれだ。これ。ハッピー、サマーバレンタイン……ってやつだ」
照れながらずっとカウンターに置いていた小さな紙袋を麻美の前に差し出す。
逆チョコとしてバレンタイン時期に買うチョコレートよりも遥かに買いやすかった某チョコレート専門店のもの。
とはいえハッピーサマーバレンタインという行事がバレンタイン並に知名度が上がり、盛り上がることになれば陳列されている商品もハッピーサマーバレンタイン用に変わるかもしれないが。
「なんつーか、その……俺はな、赤宮のことが好きだから……こういう日じゃねーと言えねぇって思ってよ」
麻美の顔を見たくても恥ずかしくて見れずに目を逸らしながら頬を掻く。なんて返事をするのか緊張と恐怖で心臓が騒がしくなった。
「ふーん。あんたでもこういうことするんだな」
そう告げて紙袋を受け取った麻美。僅かな期待に胸がさらに高鳴った。
「まぁ、私も宍戸のことはそれなりに好きだけど」
つまり、それって? 更なる期待に宍戸は顔を赤くしながら麻美へとようやく視線を向けた。
「友達として」
しかし続く言葉を聞いて宍戸はピシッと石化した。そして麻美は何食わぬ顔で紙袋を持って再び席を立つ。
「じゃあな、貰ってく」
にんまりと笑いながら麻美はそのまま紙袋を片手に店から出て行った。
残された宍戸は呆気にとられた後すぐに我に返り、告白に失敗したことに気づいてテーブルに顔を突っ伏す。けれど彼は知らなかった。麻美はあえて気づかない振りをしていたことに。
(もう少しはっきり言ってもらわないとな。あれだけじゃまだ響かないし)
店を出ると紙袋を眺めながら麻美はそう思っていた。けれど落胆の色はない。今後の成長に期待とチョコレートを貰った喜びに麻美は一人ほくそ笑むのだった。
漢、宍戸亮は今まさに想いを寄せる人物に告白をしようと意気込んでいた。8月14日、ハッピーサマーバレンタインというイベントにて向日葵と夏の太陽に勇気を与えてもらった彼は小さな紙袋を片手に想い人こと赤宮麻美の元へ向かう。
夏休み真っ只中なので会うとなると予定を合わせてもらわなければならない。運のいいことに麻美の予定は特になく、会ってくれることになったのだ。
本当ならば学校で渡す方が楽ではあるが、誰に見られるか分かったものではない。
だから逆に休みで良かったのかもしれない。そう思いながら宍戸は待ち合わせ場所へと足を運んだ。
待ち合わせ場所は駅前のファストフード店。昼飯ついでに渡そうという考えだった。
「よぉ……待たせちまったか?」
待ち合わせ時間ぴったりにファストフードの店前に辿り着くと少し緊張した面持ちの宍戸が先に待っていた麻美に声をかける。
「待ったって言ったなら何か詫びてくれるわけ?」
「……謝罪だけじゃ許さねぇってことか」
参ったな……と呟きながら頭を搔く。じゃあこれ、と言って手持ちのチョコレートをあげるわけにはいかないのだ。これはそんな簡単に渡すものじゃなく、もっと強い想いを込めた言葉と共に差し出すものだから。
手に持つ袋へ目を向けながら悩む宍戸に麻美はフッと笑いながら彼の肩を叩いた。
「いてっ」
「冗談だ。真に受けるな」
「……お前が言うと冗談には聞こえねぇんだっての」
はぁ、と軽く溜め息をつく宍戸はそのまま麻美に急かされるように「腹減ったから行くぞ」と言われてファストフード店へと足を踏み入れた。
時間は正午。昼食時である。多少混みはするものの、カウンター席が空いていたので二人は並んで注文した品物が乗ったトレーを持って席に座った。
「宍戸から夏休みの宿題をやりたいって言い出すとは思わなかったけど」
麻美の言う通り、今回麻美を誘うための理由として『一人じゃ捗られねぇから夏休みの宿題を一緒に付き合ってくれ』と頼んだのである。
渡したい物がある、という理由でも良かったのかもしれないがすぐに渡せるか心配になったし、時を見て渡そうと考えていた。
……が、しかし、課題に夢中になったというべきか、熱が入ってしまったというべきか、分からない所があれば麻美に相談し、麻美にも分からなければ共に悩み、気がつけば予定していた範囲を終わらせていた。
麻美が「ここまでにするか」と口を開いた時に宍戸はようやくハッと気づく。熱中しすぎた。これではこのまま解散の流れになってしまう。まだ告白どころかチョコレートを渡す文句すら考えていないのに。
ひとつのことに集中していたあまり宿題が捗ったのはいいが、肝心の目的が果たせなくなる。
「そろそろ出るか」
氷が溶けてほとんど水だけの状態となったドリンクを最後に飲みきった麻美が席を立つ。それを見た宍戸が慌てて彼女の腕を掴んだ。
「ま、待てよっ。まだ待てって!」
「は?」
訝しげな表情をする麻美にそりゃもっともな反応だと思いながらもう一度座るように促す。
「あー……その、あれだ。これ。ハッピー、サマーバレンタイン……ってやつだ」
照れながらずっとカウンターに置いていた小さな紙袋を麻美の前に差し出す。
逆チョコとしてバレンタイン時期に買うチョコレートよりも遥かに買いやすかった某チョコレート専門店のもの。
とはいえハッピーサマーバレンタインという行事がバレンタイン並に知名度が上がり、盛り上がることになれば陳列されている商品もハッピーサマーバレンタイン用に変わるかもしれないが。
「なんつーか、その……俺はな、赤宮のことが好きだから……こういう日じゃねーと言えねぇって思ってよ」
麻美の顔を見たくても恥ずかしくて見れずに目を逸らしながら頬を掻く。なんて返事をするのか緊張と恐怖で心臓が騒がしくなった。
「ふーん。あんたでもこういうことするんだな」
そう告げて紙袋を受け取った麻美。僅かな期待に胸がさらに高鳴った。
「まぁ、私も宍戸のことはそれなりに好きだけど」
つまり、それって? 更なる期待に宍戸は顔を赤くしながら麻美へとようやく視線を向けた。
「友達として」
しかし続く言葉を聞いて宍戸はピシッと石化した。そして麻美は何食わぬ顔で紙袋を持って再び席を立つ。
「じゃあな、貰ってく」
にんまりと笑いながら麻美はそのまま紙袋を片手に店から出て行った。
残された宍戸は呆気にとられた後すぐに我に返り、告白に失敗したことに気づいてテーブルに顔を突っ伏す。けれど彼は知らなかった。麻美はあえて気づかない振りをしていたことに。
(もう少しはっきり言ってもらわないとな。あれだけじゃまだ響かないし)
店を出ると紙袋を眺めながら麻美はそう思っていた。けれど落胆の色はない。今後の成長に期待とチョコレートを貰った喜びに麻美は一人ほくそ笑むのだった。