自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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手塚国光×九条秋(『今日の青春学園』設定より)
「手塚君って釣りが好きなの?」
生徒会終わりに突然九条からそう尋ねられた。なぜ釣りの話になったのかは分からないが、彼女に俺のことを知ってもらえるならばと正直に「あぁ」と答える。
「大石君から聞いたことがあったからどんな感じなのか気になって。やっぱり難しいのかな?」
なるほど。大石が出所だったのか。どういう経緯でそんな話になったのかは分からないが、俺の好きなものに興味を持ってもらえるのは純粋に嬉しいことだ。
「必ずしも難しいとも限らないな。初心者向けのスポットもあるくらいだ。釣りは未経験か?」
「うん。海釣りのイメージなんだけど、手塚君は海で釣りをしてるの?」
「個人的には渓流釣りの方が好ましい。海釣りも開放的で多種多様の魚が釣れるが、山間に流れる川の音や鳥の声、緑に囲まれた大自然の香りもまたいい。釣りのポイントまで向かう道すらも冒険をしているような感覚にもなり胸も弾んでしまう。それに山登りやキャンプなど他のアウトドアの合間にも楽しめるからな」
……少し口早になってしまっただろうか。九条に引かれたりしていないか確認をすると、彼女は小さく笑いながら「そうなんだね」と相槌を打っていた。
「確かに自然に囲まれた中での釣りは気持ちいいかもね。手塚君がそこまで言ってくれるなら機会があれば試してみたいかも」
「……ならば一緒に行かないか?」
「え?」
「嫌ならいいが」
「ううんっ! 手塚君さえ良ければ! 私、初めてだから迷惑かけちゃうかもだけど」
「迷惑なんて思うものか。誰しも最初は初めてを経験するから気楽にしてくれ」
「そ、そうかな? それじゃあ、手塚君を頼りにするね」
照れくさそうにそう語る九条の口から「頼りにする」という言葉が聞けただけですでに胸がいっぱいになるが、そう悟らせないためにも表情は崩さないように「お前の期待に応えるよう努める」と返した。
そして後日、休みの日に九条と共に初心者向けの渓流釣りの場所へと向かった。初めての経験になる九条に無理はさせないように険しい山ではなく、そう遠くはない移動距離も短い場所。
九条は初めてだというのに予習をしてきたのか、俺が教えるまでもなく淡々と釣りの準備をこなす。つい「手際がいいな」と声をかけると、彼女は嬉しそうに笑みを見せてくれた。
九条の話によると、どうやら釣竿はレンタルなどではなく彼女の父親から借りてきたものらしい。その際に色々と教えを乞うたそうだ。
……俺を頼りにすると言っていたのは嘘なのか。と思ってしまったが、俺の手間にならないようにと彼女なりに出来ることをしただけなのだろう。
少し残念ではあるが、一生懸命父に教えてもらった九条のことを思えば愛おしさが増していく。
俺もセッティングの続き始めようとルアーボックスを開けて、どれを使用するか悩むと九条がそれを覗き見た。
「凄い。沢山あるんだね」
「あぁ、気になったものがあれば使ってくれて構わない」
「え? いいのかな……」
「試すつもりで使ってくれたらいい」
「ありがとう。そう言ってくれるならお言葉に甘えようかな」
ひとつひとつ手に取りながらルアーの形や色を確かめていく九条の表情を見ながらどれを手に取るか見届ける。すると彼女は「あ」と言って一際興味を注いだと思われるルアーを手にした。それを見た俺も「あ」と声に出す。
「これ、大石君に似てるね」
「あぁ……それは誕生日に大石から貰ったものだ」
何故か大石に似た手作りと思わしきルアー。最初はこれで釣れるのかと心配したが、いざ使ってみれば大物が釣れたのだから侮れない。
……いや、待て。九条がここまで反応するということは大石のルアーを使いたいというのだろうか。自分から使っていいと言ったが、何だか大石に九条を取られたような気がしてならない。せめてそれ以外で頼みたいところだが……。
「そうなんだ。じゃあ、大事な物だね。私が使うのは申し訳ないから別のにしようかな」
そう言って九条は大石ルアーを戻した。心の中でガッツポーズしたと同時に心の狭い男ですまない、と大石に謝罪をする。
「うーん……やっぱり色々悩んじゃうね。手塚君のオススメとかあるかな?」
「ならばこれはどうだ?」
ひとつのルアーを手に取り、九条に手渡す。彼女はマジマジと見ながら微笑んでくれた。
「ありがとう、手塚君。綺麗なルアーだね。これなら沢山釣れそうだよ」
「そう言ってもらえると俺としても喜ばしい。それは俺の手作りでもあるからな」
「えっ? 手塚君の手作りなの? 凄いね! 色とか艶とかお店で売られてる物みたいっ。手塚君って本当に器用なんだね」
俺の手作りだと知るとさらに目を輝かせてルアーを見つめる九条に悪い気はしない。むしろ……照れくさくなってしまい、コホンと咳払いをして誤魔化す。
「……興味があるなら九条も一緒に作ってみないか? 自分で作ったルアーを使用するのも楽しいからな」
それでまた共に釣りに行けたらありがたい……とまでは口に出来ずに飲み込んでしまう。さすがに九条の予定ばかり俺が押さえてしまうのは申し訳ないし、九条もそこまで望んでいないのかもしれない。
「そうだね、凄く楽しそうっ。それじゃあ今度はルアー作りを教えてね。それで、その、完成したらまた一緒に釣りに連れて行ってくれると嬉しいな……」
恥ずかしげに、特に最後の言葉は少し小さめではあったが聞き逃すことはなかった。むしろこちらが望んでいたことなので俺は今までにないほどの力強さで「もちろんだ」と九条に伝えた。
その後、共に始めた渓流釣りは九条の方が沢山釣れていたので俺は驚きを隠せなかった。
「手塚君って釣りが好きなの?」
生徒会終わりに突然九条からそう尋ねられた。なぜ釣りの話になったのかは分からないが、彼女に俺のことを知ってもらえるならばと正直に「あぁ」と答える。
「大石君から聞いたことがあったからどんな感じなのか気になって。やっぱり難しいのかな?」
なるほど。大石が出所だったのか。どういう経緯でそんな話になったのかは分からないが、俺の好きなものに興味を持ってもらえるのは純粋に嬉しいことだ。
「必ずしも難しいとも限らないな。初心者向けのスポットもあるくらいだ。釣りは未経験か?」
「うん。海釣りのイメージなんだけど、手塚君は海で釣りをしてるの?」
「個人的には渓流釣りの方が好ましい。海釣りも開放的で多種多様の魚が釣れるが、山間に流れる川の音や鳥の声、緑に囲まれた大自然の香りもまたいい。釣りのポイントまで向かう道すらも冒険をしているような感覚にもなり胸も弾んでしまう。それに山登りやキャンプなど他のアウトドアの合間にも楽しめるからな」
……少し口早になってしまっただろうか。九条に引かれたりしていないか確認をすると、彼女は小さく笑いながら「そうなんだね」と相槌を打っていた。
「確かに自然に囲まれた中での釣りは気持ちいいかもね。手塚君がそこまで言ってくれるなら機会があれば試してみたいかも」
「……ならば一緒に行かないか?」
「え?」
「嫌ならいいが」
「ううんっ! 手塚君さえ良ければ! 私、初めてだから迷惑かけちゃうかもだけど」
「迷惑なんて思うものか。誰しも最初は初めてを経験するから気楽にしてくれ」
「そ、そうかな? それじゃあ、手塚君を頼りにするね」
照れくさそうにそう語る九条の口から「頼りにする」という言葉が聞けただけですでに胸がいっぱいになるが、そう悟らせないためにも表情は崩さないように「お前の期待に応えるよう努める」と返した。
そして後日、休みの日に九条と共に初心者向けの渓流釣りの場所へと向かった。初めての経験になる九条に無理はさせないように険しい山ではなく、そう遠くはない移動距離も短い場所。
九条は初めてだというのに予習をしてきたのか、俺が教えるまでもなく淡々と釣りの準備をこなす。つい「手際がいいな」と声をかけると、彼女は嬉しそうに笑みを見せてくれた。
九条の話によると、どうやら釣竿はレンタルなどではなく彼女の父親から借りてきたものらしい。その際に色々と教えを乞うたそうだ。
……俺を頼りにすると言っていたのは嘘なのか。と思ってしまったが、俺の手間にならないようにと彼女なりに出来ることをしただけなのだろう。
少し残念ではあるが、一生懸命父に教えてもらった九条のことを思えば愛おしさが増していく。
俺もセッティングの続き始めようとルアーボックスを開けて、どれを使用するか悩むと九条がそれを覗き見た。
「凄い。沢山あるんだね」
「あぁ、気になったものがあれば使ってくれて構わない」
「え? いいのかな……」
「試すつもりで使ってくれたらいい」
「ありがとう。そう言ってくれるならお言葉に甘えようかな」
ひとつひとつ手に取りながらルアーの形や色を確かめていく九条の表情を見ながらどれを手に取るか見届ける。すると彼女は「あ」と言って一際興味を注いだと思われるルアーを手にした。それを見た俺も「あ」と声に出す。
「これ、大石君に似てるね」
「あぁ……それは誕生日に大石から貰ったものだ」
何故か大石に似た手作りと思わしきルアー。最初はこれで釣れるのかと心配したが、いざ使ってみれば大物が釣れたのだから侮れない。
……いや、待て。九条がここまで反応するということは大石のルアーを使いたいというのだろうか。自分から使っていいと言ったが、何だか大石に九条を取られたような気がしてならない。せめてそれ以外で頼みたいところだが……。
「そうなんだ。じゃあ、大事な物だね。私が使うのは申し訳ないから別のにしようかな」
そう言って九条は大石ルアーを戻した。心の中でガッツポーズしたと同時に心の狭い男ですまない、と大石に謝罪をする。
「うーん……やっぱり色々悩んじゃうね。手塚君のオススメとかあるかな?」
「ならばこれはどうだ?」
ひとつのルアーを手に取り、九条に手渡す。彼女はマジマジと見ながら微笑んでくれた。
「ありがとう、手塚君。綺麗なルアーだね。これなら沢山釣れそうだよ」
「そう言ってもらえると俺としても喜ばしい。それは俺の手作りでもあるからな」
「えっ? 手塚君の手作りなの? 凄いね! 色とか艶とかお店で売られてる物みたいっ。手塚君って本当に器用なんだね」
俺の手作りだと知るとさらに目を輝かせてルアーを見つめる九条に悪い気はしない。むしろ……照れくさくなってしまい、コホンと咳払いをして誤魔化す。
「……興味があるなら九条も一緒に作ってみないか? 自分で作ったルアーを使用するのも楽しいからな」
それでまた共に釣りに行けたらありがたい……とまでは口に出来ずに飲み込んでしまう。さすがに九条の予定ばかり俺が押さえてしまうのは申し訳ないし、九条もそこまで望んでいないのかもしれない。
「そうだね、凄く楽しそうっ。それじゃあ今度はルアー作りを教えてね。それで、その、完成したらまた一緒に釣りに連れて行ってくれると嬉しいな……」
恥ずかしげに、特に最後の言葉は少し小さめではあったが聞き逃すことはなかった。むしろこちらが望んでいたことなので俺は今までにないほどの力強さで「もちろんだ」と九条に伝えた。
その後、共に始めた渓流釣りは九条の方が沢山釣れていたので俺は驚きを隠せなかった。