自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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不二周助×赤宮麻美(『今日の青春学園』設定より)
からころからころ、下駄の音。ドンドンドン、太鼓の音。そして夜でも明るく照らすいくつもの提灯。夏祭りの定番の音と風景だ。
屋台もあちこちにあって人も多い。夏の一大イベントなので人が集まるのも仕方ない。それは分かっていたのだけど、困ったことに英二達とはぐれてしまった。
一応連絡は取ったけど、この人混みだ。探し出すのも見つけるのも大変だろうから僕は英二に『僕は僕で見回るから30分後に神社の鳥居前に集合しよう』と連絡を入れる。
僕を探すのに時間を使わせるのは申し訳ないし、一人で過ごせないわけでもないしね。せっかく楽しみに来たんだから少しは遊ばせなきゃ。
射的、金魚すくい、ヨーヨー釣り、水飴、イカ焼き、かき氷。屋台も色々あるし、英二達は何をしてるんだろうか。
「……あれ?」
気ままに歩いていたら目の前に見覚えのある人物がキョロキョロと辺りを見回していた。
「やぁ、赤宮さん」
声をかけると彼女はゲッと言わんばかりの表情を見せた。うーん、相変わらず僕への態度が分かりやすい。
「何やってんだよ……」
「夏祭りにいるってことはここにいる人達とほぼ同じ理由なんだけどな。赤宮さんも遊びに来てたんだね」
「私は秋と遥の付き合いだ。じゃなきゃ一人で来るわけないだろ。こんな人混みの所に」
「九条さんと西成さんも? でも彼女達の姿は見えないようだけど……」
「……どっかにはぐれやがったんだよ」
っち、と舌打ちをする赤宮さんになるほどと口にする。きっとその二人を探してたからキョロキョロしてたんだ。通りで屋台に目を向けてないなって思ったよ。
「あんたこそその浮かれた格好してるのに一人なわけ? 寂しい奴だな」
鼻で笑いながら僕の格好について口にする。ベージュの浴衣のことだろう。
「似合ってるってことかな? ありがとう」
「何一つそんなこと言ってないけど?」
「赤宮さんは浴衣を着なかったんだね」
「別に興味ないし」
「でも似合うと思うよ。見てみたかったな」
「あんたに見せることなんて一生ないけど」
「じゃあ、九条さんや西成さんに頼んで写真を撮って送ってもらおうかな」
「ふざけんなっ」
眉間の皺が深くなった。少しからかいすぎただろうか。ごめんごめんと、謝罪をしながら話題を変えることにする。
「それより九条さん達とは連絡は取ったの?」
「さっきはぐれたからその辺にいるはずだ」
「とにかく連絡を取っておこうよ。人も多いから近くにいても気づきにくいだろうし、神社の鳥居前で集合とか分かりやすいと思うよ」
そう助言すると、赤宮さんはムスッとしながらスマホを取り出してメッセージを打ち込んでいた。
そして再びスマホをしまうと彼女はスタスタと歩き出すので僕も追いかける。
「鳥居に向かうの?」
「だったら何? ついてくんな」
「僕も行くからだよ」
「は?」
「僕も英二達とはぐれちゃったから鳥居で落ち合うことにしたんだ」
「っち」
もっと罵倒されるのかと思ったけど舌打ちだけで済んだ。……いや、罵倒されるのが普通というのもおかしな話なんだけどね。まぁ、彼女の場合は罵倒と言うべきか猫の威嚇? 本人に言うとまた怒られそうだから言わないけど。
でも、ちょっとラッキーだったかも。赤宮さんと少しの間とはいえ二人きりになれるから。はぐれて良かったと思うのはさすがに英二達に悪いか。
我ながら酷いかな、なんて考えてる途中にとある屋台に目を向ける。せっかくだし、一緒に遊んだっていう思い出も欲しいかな。
「ねぇ、赤宮さん。射的しない?」
「あんたと遊ぶつもりはないんだけど?」
「じゃあ遊びじゃなくて勝負なら受けてくれる?」
「なんでそうなるんだよ」
「もしかして僕に負けるかもしれないから受けてくれないの?」
「は? 凄い自信だな? 負かしてやる」
……自分で言い出しておいてあれだけど、赤宮さんさすがに乗せられすぎでは? そう思いながらも射的をしてくれることには変わりないので一緒に近くの射的屋で勝負をすることになった。
ピストンレバーを引き、銃にコルクを詰める彼女の姿はプロのような貫禄がある。そして狙い定める目も猟師そのもの。もちろん見掛け倒しではなく、持ち手のコルク全て景品を撃ち落とした。
なるほど、勝負を吹っ掛けた僕も負けてられないなと意気込み、赤宮さんと同様に一度も外すことなく景品を落としていく。
あと残りは一発。このままドローになるかなと考え、最後の一発を構えながら僕は赤宮さんに尋ねた。
「赤宮さんってテニス以外でも僕に勝ちたいの?」
「当たり前だろ。テニスが第一だけど、その他でもあんたを打ち負かすつもりだから。何せ私が認めた男なんだからな」
「っ!」
その言葉に思わずドキリとして、その拍子に撃った弾は外れてしまった。勝負があった瞬間でもある。それを見た彼女はこれまでにないほどの自慢げな表情を見せた。
「私の勝ちだな」
満足気に笑う赤宮さんは機嫌良さげに「行くぞ」と射的場を後にする。
僕としては負けても全く悔しくはないのだけど、それ以上に彼女に認められた存在という事実が嬉しくなって、にやけてしまいそうな口元を必死に手で隠すのだった。
あぁ、もしかしたら顔も熱を持ってしまったのかもしれない。どうか赤宮さんが僕の顔を見ませんように。そう願うことしか出来なかった。
からころからころ、下駄の音。ドンドンドン、太鼓の音。そして夜でも明るく照らすいくつもの提灯。夏祭りの定番の音と風景だ。
屋台もあちこちにあって人も多い。夏の一大イベントなので人が集まるのも仕方ない。それは分かっていたのだけど、困ったことに英二達とはぐれてしまった。
一応連絡は取ったけど、この人混みだ。探し出すのも見つけるのも大変だろうから僕は英二に『僕は僕で見回るから30分後に神社の鳥居前に集合しよう』と連絡を入れる。
僕を探すのに時間を使わせるのは申し訳ないし、一人で過ごせないわけでもないしね。せっかく楽しみに来たんだから少しは遊ばせなきゃ。
射的、金魚すくい、ヨーヨー釣り、水飴、イカ焼き、かき氷。屋台も色々あるし、英二達は何をしてるんだろうか。
「……あれ?」
気ままに歩いていたら目の前に見覚えのある人物がキョロキョロと辺りを見回していた。
「やぁ、赤宮さん」
声をかけると彼女はゲッと言わんばかりの表情を見せた。うーん、相変わらず僕への態度が分かりやすい。
「何やってんだよ……」
「夏祭りにいるってことはここにいる人達とほぼ同じ理由なんだけどな。赤宮さんも遊びに来てたんだね」
「私は秋と遥の付き合いだ。じゃなきゃ一人で来るわけないだろ。こんな人混みの所に」
「九条さんと西成さんも? でも彼女達の姿は見えないようだけど……」
「……どっかにはぐれやがったんだよ」
っち、と舌打ちをする赤宮さんになるほどと口にする。きっとその二人を探してたからキョロキョロしてたんだ。通りで屋台に目を向けてないなって思ったよ。
「あんたこそその浮かれた格好してるのに一人なわけ? 寂しい奴だな」
鼻で笑いながら僕の格好について口にする。ベージュの浴衣のことだろう。
「似合ってるってことかな? ありがとう」
「何一つそんなこと言ってないけど?」
「赤宮さんは浴衣を着なかったんだね」
「別に興味ないし」
「でも似合うと思うよ。見てみたかったな」
「あんたに見せることなんて一生ないけど」
「じゃあ、九条さんや西成さんに頼んで写真を撮って送ってもらおうかな」
「ふざけんなっ」
眉間の皺が深くなった。少しからかいすぎただろうか。ごめんごめんと、謝罪をしながら話題を変えることにする。
「それより九条さん達とは連絡は取ったの?」
「さっきはぐれたからその辺にいるはずだ」
「とにかく連絡を取っておこうよ。人も多いから近くにいても気づきにくいだろうし、神社の鳥居前で集合とか分かりやすいと思うよ」
そう助言すると、赤宮さんはムスッとしながらスマホを取り出してメッセージを打ち込んでいた。
そして再びスマホをしまうと彼女はスタスタと歩き出すので僕も追いかける。
「鳥居に向かうの?」
「だったら何? ついてくんな」
「僕も行くからだよ」
「は?」
「僕も英二達とはぐれちゃったから鳥居で落ち合うことにしたんだ」
「っち」
もっと罵倒されるのかと思ったけど舌打ちだけで済んだ。……いや、罵倒されるのが普通というのもおかしな話なんだけどね。まぁ、彼女の場合は罵倒と言うべきか猫の威嚇? 本人に言うとまた怒られそうだから言わないけど。
でも、ちょっとラッキーだったかも。赤宮さんと少しの間とはいえ二人きりになれるから。はぐれて良かったと思うのはさすがに英二達に悪いか。
我ながら酷いかな、なんて考えてる途中にとある屋台に目を向ける。せっかくだし、一緒に遊んだっていう思い出も欲しいかな。
「ねぇ、赤宮さん。射的しない?」
「あんたと遊ぶつもりはないんだけど?」
「じゃあ遊びじゃなくて勝負なら受けてくれる?」
「なんでそうなるんだよ」
「もしかして僕に負けるかもしれないから受けてくれないの?」
「は? 凄い自信だな? 負かしてやる」
……自分で言い出しておいてあれだけど、赤宮さんさすがに乗せられすぎでは? そう思いながらも射的をしてくれることには変わりないので一緒に近くの射的屋で勝負をすることになった。
ピストンレバーを引き、銃にコルクを詰める彼女の姿はプロのような貫禄がある。そして狙い定める目も猟師そのもの。もちろん見掛け倒しではなく、持ち手のコルク全て景品を撃ち落とした。
なるほど、勝負を吹っ掛けた僕も負けてられないなと意気込み、赤宮さんと同様に一度も外すことなく景品を落としていく。
あと残りは一発。このままドローになるかなと考え、最後の一発を構えながら僕は赤宮さんに尋ねた。
「赤宮さんってテニス以外でも僕に勝ちたいの?」
「当たり前だろ。テニスが第一だけど、その他でもあんたを打ち負かすつもりだから。何せ私が認めた男なんだからな」
「っ!」
その言葉に思わずドキリとして、その拍子に撃った弾は外れてしまった。勝負があった瞬間でもある。それを見た彼女はこれまでにないほどの自慢げな表情を見せた。
「私の勝ちだな」
満足気に笑う赤宮さんは機嫌良さげに「行くぞ」と射的場を後にする。
僕としては負けても全く悔しくはないのだけど、それ以上に彼女に認められた存在という事実が嬉しくなって、にやけてしまいそうな口元を必死に手で隠すのだった。
あぁ、もしかしたら顔も熱を持ってしまったのかもしれない。どうか赤宮さんが僕の顔を見ませんように。そう願うことしか出来なかった。