自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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赤澤吉朗×赤宮麻美(『今日の氷帝学園』設定より)
「よぉ! 麻美っ! 邪魔してるぜ!」
「……」
学校から帰宅したらなぜか部屋に吉朗がいた。いや、なんでお前がここにいるんだよ。快活な声にウンザリしながら目で訴えると「?」という顔をするので大袈裟な溜め息をついてから口を開く。
「なんでお前がここにいる?」
「麻美に会いに来たからに決まってるだろ?」
「私の部屋にいる理由にならないだろ!」
「っつっても叔母さんが部屋で待っていいって言ってたからよ」
くそっ! 勝手に部屋に入れやがって! 一応ベッドじゃなく、床に腰を下ろしているだけマシと思うべきか……。
学校指定の鞄を適当に放り投げてベッドに座ると、腕と足を組み目の前にいる従兄妹に睨みを利かせる。
「で? 用件はなんだ?」
休日でもない日にわざわざ家まで来るんだから用がないわけがない。いくら突発的に行動するであろうこいつであっても。
「もちろん、お返しだ。バレンタインの」
「バレンタイン……」
こいつにあげたか? と記憶を掘り起こしてみると、心当たりがひとつあった。
バレンタインの前日、日曜日だということもあって吉朗が顔を出しに来ていたな。確かその日に「バレンタインのチョコはねぇのか?」とか聞いてきやがったから「ねぇよ」と返した。
けど、たまたまおやつとして食べていた徳用一口チョコを勝手に奪って「じゃあ、これをバレンタイン代わりにするなっ」と言ってくるもんだからあげた意識なんてまるでなかった。
むしろ勝手に取ったから睨んだけど、奴には効果はない。
「勝手にバレンタインとして奪った、の間違いだろ」
「まぁ、そうとも言うけど一応用意したんだから受け取ってもらわねーと無駄足になっちまうんだよな」
そう言って吉朗はポケットから何やら紙切れみたいな物を取り出して私に寄越してきた。
「……水族館?」
受け取って見ればそれは水族館の入場チケットだった。まさかこれがお返しだというのか。誰が一人で水族館に行くかよ━━。
「そう! 行こうぜ、俺と一緒に!」
ニッと笑いながら自分の分のチケットを見せつける。おい、待て。今こいつなんて言った? 一緒に行くだと?
「なんであんたと行かなきゃなんないんだよ。全然お返しにならないだろっ」
ちゃっかり自分の分のチケットまで買いやがって何なんだよこいつは。水族館に着いて来てほしいからホワイトデーにかこつけてきたのかよ。吉朗のくせに!
「あれ? 麻美、ここ行きたいんじゃなかったか?」
「はあ?」
「ほら、この前真剣に雑誌見てただろ? 水族館がリニューアルしたからその特集が組まれてるやつ。あまりに集中してたから俺が呼んでも気づかなかったくらいだし」
「……」
記憶に、ある。あったな、そんなこと。たまたま親が読んでいた雑誌が近くにあったから暇潰しとして手に取っただけなんだけど。
まぁ、面白そうなショーとか美味そうな食い物とかあるなって思ったから今度こういうのが好きそうな秋とか、ついでに下僕でも誘ってみるかと考えてはいたが。
「それに調べたらウミウシも展示されてるから俺も行きたくてよ。だから麻美も行きたいなら一緒に行けば楽しいかもなーって」
「ウミウシ目当てかよ。一人で行けよ、一人で」
「一人がつまんねーから麻美も行こうって言ってんだぜ? 興味なかったか?」
「興味なくはないけど」
「じゃあ、行こうぜ!」
人の話を聞いてないのかこいつは。
「叔母さんだって今度の休みは部活もないし、他に予定もないって言ってたから時間はあるだろ?」
うちの親は従兄妹だからって何でも話すのはどうかしてるんじゃないのか? 情報流出だろ?
「……中の飲食費がそっち持ちなら行ってやってもいい」
「お? じゃあ、決まりだなっ。今度の休みに行こうぜ」
少しは躊躇え。なんで秒で即決してんだこいつ。もっと嫌がれよ。なんで俺が奢るんだよとか言えよ。
……いや、無駄か。こいつは無駄にポジティブな野郎だ。少しでも期待させる言葉を発したこちらが間違いだった。
「……勝手にしろ」
諦めた大息を吐き捨て了承すれば目の前の男は眩い笑顔で「おう!」と返事をし、予定してなかった予定が組まれた。
「よぉ! 麻美っ! 邪魔してるぜ!」
「……」
学校から帰宅したらなぜか部屋に吉朗がいた。いや、なんでお前がここにいるんだよ。快活な声にウンザリしながら目で訴えると「?」という顔をするので大袈裟な溜め息をついてから口を開く。
「なんでお前がここにいる?」
「麻美に会いに来たからに決まってるだろ?」
「私の部屋にいる理由にならないだろ!」
「っつっても叔母さんが部屋で待っていいって言ってたからよ」
くそっ! 勝手に部屋に入れやがって! 一応ベッドじゃなく、床に腰を下ろしているだけマシと思うべきか……。
学校指定の鞄を適当に放り投げてベッドに座ると、腕と足を組み目の前にいる従兄妹に睨みを利かせる。
「で? 用件はなんだ?」
休日でもない日にわざわざ家まで来るんだから用がないわけがない。いくら突発的に行動するであろうこいつであっても。
「もちろん、お返しだ。バレンタインの」
「バレンタイン……」
こいつにあげたか? と記憶を掘り起こしてみると、心当たりがひとつあった。
バレンタインの前日、日曜日だということもあって吉朗が顔を出しに来ていたな。確かその日に「バレンタインのチョコはねぇのか?」とか聞いてきやがったから「ねぇよ」と返した。
けど、たまたまおやつとして食べていた徳用一口チョコを勝手に奪って「じゃあ、これをバレンタイン代わりにするなっ」と言ってくるもんだからあげた意識なんてまるでなかった。
むしろ勝手に取ったから睨んだけど、奴には効果はない。
「勝手にバレンタインとして奪った、の間違いだろ」
「まぁ、そうとも言うけど一応用意したんだから受け取ってもらわねーと無駄足になっちまうんだよな」
そう言って吉朗はポケットから何やら紙切れみたいな物を取り出して私に寄越してきた。
「……水族館?」
受け取って見ればそれは水族館の入場チケットだった。まさかこれがお返しだというのか。誰が一人で水族館に行くかよ━━。
「そう! 行こうぜ、俺と一緒に!」
ニッと笑いながら自分の分のチケットを見せつける。おい、待て。今こいつなんて言った? 一緒に行くだと?
「なんであんたと行かなきゃなんないんだよ。全然お返しにならないだろっ」
ちゃっかり自分の分のチケットまで買いやがって何なんだよこいつは。水族館に着いて来てほしいからホワイトデーにかこつけてきたのかよ。吉朗のくせに!
「あれ? 麻美、ここ行きたいんじゃなかったか?」
「はあ?」
「ほら、この前真剣に雑誌見てただろ? 水族館がリニューアルしたからその特集が組まれてるやつ。あまりに集中してたから俺が呼んでも気づかなかったくらいだし」
「……」
記憶に、ある。あったな、そんなこと。たまたま親が読んでいた雑誌が近くにあったから暇潰しとして手に取っただけなんだけど。
まぁ、面白そうなショーとか美味そうな食い物とかあるなって思ったから今度こういうのが好きそうな秋とか、ついでに下僕でも誘ってみるかと考えてはいたが。
「それに調べたらウミウシも展示されてるから俺も行きたくてよ。だから麻美も行きたいなら一緒に行けば楽しいかもなーって」
「ウミウシ目当てかよ。一人で行けよ、一人で」
「一人がつまんねーから麻美も行こうって言ってんだぜ? 興味なかったか?」
「興味なくはないけど」
「じゃあ、行こうぜ!」
人の話を聞いてないのかこいつは。
「叔母さんだって今度の休みは部活もないし、他に予定もないって言ってたから時間はあるだろ?」
うちの親は従兄妹だからって何でも話すのはどうかしてるんじゃないのか? 情報流出だろ?
「……中の飲食費がそっち持ちなら行ってやってもいい」
「お? じゃあ、決まりだなっ。今度の休みに行こうぜ」
少しは躊躇え。なんで秒で即決してんだこいつ。もっと嫌がれよ。なんで俺が奢るんだよとか言えよ。
……いや、無駄か。こいつは無駄にポジティブな野郎だ。少しでも期待させる言葉を発したこちらが間違いだった。
「……勝手にしろ」
諦めた大息を吐き捨て了承すれば目の前の男は眩い笑顔で「おう!」と返事をし、予定してなかった予定が組まれた。