自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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柳生比呂士×西成遥(『今日の立海大附属』設定より)
「やぎゅー! やぎゅー、やぎゅー!」
昼休みに何やら小さな菓子箱を手に私のクラスまで駆けつけて来た西成さんに驚きながらも教室の入口に立つ彼女の元へと向かった。
廊下は走ってはいけませんよ、とか、そんなに名前を連呼しなくても大丈夫ですよ、とか、色々と言いたいことはありましたが今日はバレンタインということもあり浮かれているのでしょうとあまり口うるさく言わないように心に留めておく。
「突然どうしましたか?」
「これ! これ見て! チョコ!」
「え?」
チョコ? ということはバレンタインの? 私に?
そんな思わぬ展開に戸惑いつつも、いや、これは部活仲間としての意味合いでしょうと勘違いしないようにするも、ほんの少しだけの期待というものが芽生えてしまいながらコホンと咳払いをひとつする。
そして彼女の差し出すチョコレートが入っている菓子箱がどんな物なのかよく見れば……デフォルメされた戦隊物のキャラクターがパッケージになった所謂キャラチョコというものであった。
「これさ、コンビニのバレンタインチョココーナーにあったの! レジャーレンジャーのチョコだからつい買っちゃった! それでせっかくだから柳生と一緒に食べよーって思って持って来たんだ~」
西成さんは特撮ヒーローであるレジャーレンジャーの大ファン。かくいう私も特撮物は少々嗜んでいるので彼女とはよく戦隊物の話で盛り上がることが多々ある。
おそらく話のネタになると思い、購入して見せに来たのでしょう。
……まぁ、しかし、あれですね。期待はしないようにはしていましたが、僅かながら抱いてしまったのがいけなかった。少々、いえ、かなり残念に思わざるを得ない。
私の返事を聞く前に西成さんはいそいそと外箱を開け、デフォルメされたキャラのチョコを一つ手に取った。
「あたし、レジャーレッドね!」
早速口に入れてチョコレートを味わいながら幸せそうな表情をする彼女を見て、何だかこちらも微笑ましい気持ちになる。
「柳生もどーぞっ」
「ありがとうございます。では、私はレジャーブルーをいただきましょうか」
差し出されたチョコを選ぶとすぐに口に運んだ。男児向けのチョコレートなのでそんな手の込んだものではないが、彼女と共に食べるのならそれはとても美味しく感じてしまう。
「ん、ありがとうございました。ごちそうさまです」
「あれ? もういいの? もう一個くらいいいよ」
「いえいえ、私はひとつで充分ですので残りは西成さんが食べてください」
「そお? それならいいんだけどね」
チョコレートを食べるあなたを見てる方がいいので、とはさすがに言えないのでそこは胸に秘めておくことにしましょう。
「……あぁ、西成さんからバレンタインのチョコをいただいたことになりましたね。来月にお返しをいたしましょう」
「え? いいのっ? 分けっ子したのに?」
「えぇ、もちろん。そうですね……お返しに特撮カフェをご馳走する、というのはいかがでしょうか? つい最近メニューがリニューアルされたようですし」
まるで今思いついたような言い方をしてしまいましたが、結構前から彼女を誘おうとしていました。えぇ、実は。
ただ、上手く誘えるか分からなかったですし、口実が弱いかとも思い、ずるずると今まで胸の内に閉まっていましたが、まさかここで使えるとは思いませんでした。
「ほんとっ!? 行く行くっ!」
どうやら彼女も乗ってくれたようでひとまずは安心しました。まぁ、私の気にしすぎというか、考えすぎだっただけで普通に誘っても頷いてくれたのかもしれませんね。
「では、西成さんのホワイトデーの予定は私がいただいてもよろしいでしょうか?」
「もちっ! 指切りしよっ!」
そう言って差し出される小指。安易に女性に触れていいものか悩むところですが断るのも申し訳ない。
「えぇ、分かりました」
自分の小指も出して彼女の指に絡めると「ゆーびきーりげんまんっ」と機嫌良く歌いながら指切りをする西成さんを穏やかな気持ちで見ていたら、ふと視界に見覚えのある人物が映った。
私の様子を見て笑いを堪える仁王くんが……。それを見つけてしまい、ピシッと固まってしまう。
あとで彼からからかわれたり、根掘り葉掘り聞かれるのだと察してしまった私は心の中で深い溜め息を吐いた。
「ゆーびきった! えへへ、ありがとね、柳生!」
……厄介事が近くにあるとはいえ、彼女の満面な笑みを見られたので良しとしましょう。
「やぎゅー! やぎゅー、やぎゅー!」
昼休みに何やら小さな菓子箱を手に私のクラスまで駆けつけて来た西成さんに驚きながらも教室の入口に立つ彼女の元へと向かった。
廊下は走ってはいけませんよ、とか、そんなに名前を連呼しなくても大丈夫ですよ、とか、色々と言いたいことはありましたが今日はバレンタインということもあり浮かれているのでしょうとあまり口うるさく言わないように心に留めておく。
「突然どうしましたか?」
「これ! これ見て! チョコ!」
「え?」
チョコ? ということはバレンタインの? 私に?
そんな思わぬ展開に戸惑いつつも、いや、これは部活仲間としての意味合いでしょうと勘違いしないようにするも、ほんの少しだけの期待というものが芽生えてしまいながらコホンと咳払いをひとつする。
そして彼女の差し出すチョコレートが入っている菓子箱がどんな物なのかよく見れば……デフォルメされた戦隊物のキャラクターがパッケージになった所謂キャラチョコというものであった。
「これさ、コンビニのバレンタインチョココーナーにあったの! レジャーレンジャーのチョコだからつい買っちゃった! それでせっかくだから柳生と一緒に食べよーって思って持って来たんだ~」
西成さんは特撮ヒーローであるレジャーレンジャーの大ファン。かくいう私も特撮物は少々嗜んでいるので彼女とはよく戦隊物の話で盛り上がることが多々ある。
おそらく話のネタになると思い、購入して見せに来たのでしょう。
……まぁ、しかし、あれですね。期待はしないようにはしていましたが、僅かながら抱いてしまったのがいけなかった。少々、いえ、かなり残念に思わざるを得ない。
私の返事を聞く前に西成さんはいそいそと外箱を開け、デフォルメされたキャラのチョコを一つ手に取った。
「あたし、レジャーレッドね!」
早速口に入れてチョコレートを味わいながら幸せそうな表情をする彼女を見て、何だかこちらも微笑ましい気持ちになる。
「柳生もどーぞっ」
「ありがとうございます。では、私はレジャーブルーをいただきましょうか」
差し出されたチョコを選ぶとすぐに口に運んだ。男児向けのチョコレートなのでそんな手の込んだものではないが、彼女と共に食べるのならそれはとても美味しく感じてしまう。
「ん、ありがとうございました。ごちそうさまです」
「あれ? もういいの? もう一個くらいいいよ」
「いえいえ、私はひとつで充分ですので残りは西成さんが食べてください」
「そお? それならいいんだけどね」
チョコレートを食べるあなたを見てる方がいいので、とはさすがに言えないのでそこは胸に秘めておくことにしましょう。
「……あぁ、西成さんからバレンタインのチョコをいただいたことになりましたね。来月にお返しをいたしましょう」
「え? いいのっ? 分けっ子したのに?」
「えぇ、もちろん。そうですね……お返しに特撮カフェをご馳走する、というのはいかがでしょうか? つい最近メニューがリニューアルされたようですし」
まるで今思いついたような言い方をしてしまいましたが、結構前から彼女を誘おうとしていました。えぇ、実は。
ただ、上手く誘えるか分からなかったですし、口実が弱いかとも思い、ずるずると今まで胸の内に閉まっていましたが、まさかここで使えるとは思いませんでした。
「ほんとっ!? 行く行くっ!」
どうやら彼女も乗ってくれたようでひとまずは安心しました。まぁ、私の気にしすぎというか、考えすぎだっただけで普通に誘っても頷いてくれたのかもしれませんね。
「では、西成さんのホワイトデーの予定は私がいただいてもよろしいでしょうか?」
「もちっ! 指切りしよっ!」
そう言って差し出される小指。安易に女性に触れていいものか悩むところですが断るのも申し訳ない。
「えぇ、分かりました」
自分の小指も出して彼女の指に絡めると「ゆーびきーりげんまんっ」と機嫌良く歌いながら指切りをする西成さんを穏やかな気持ちで見ていたら、ふと視界に見覚えのある人物が映った。
私の様子を見て笑いを堪える仁王くんが……。それを見つけてしまい、ピシッと固まってしまう。
あとで彼からからかわれたり、根掘り葉掘り聞かれるのだと察してしまった私は心の中で深い溜め息を吐いた。
「ゆーびきった! えへへ、ありがとね、柳生!」
……厄介事が近くにあるとはいえ、彼女の満面な笑みを見られたので良しとしましょう。