自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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手塚国光×九条秋(『今日の青春学園』設定より)
家族で初詣に行こうと声をかけられ、そんなに遠くはない参拝で有名な神社へと向かう。とはいえ、考える人は皆同じなので道中は参拝客でごった返していた。
中には着物で向かう者も少なくはなく、華美な装いは自然と目に入りやすい。だからだろうか、少し先を歩く振袖姿の女性の横顔が一瞬見えただけで意識が全てそちらに持って行かれた。
「すみません。友人を見かけたので先に向かわせていただきます」
家族にそう声をかけると両親、祖父ともに驚いた表情をするが母はすぐに微笑みながら「せっかくだもの、私達のことは気にせずにいってらっしゃい」と見送ってくれたのでそれに甘えることにした。
人で混み合っている中、彼女の元に向かえるだろうか。そんな不安もあるがせっかく見つけたのだ。言葉を交わしたい。顔を見たい。その気持ちが人混みを掻き分ける原動力になる。
新年から煩悩に塗れてるなと自嘲するが新年だからこそ彼女を見かけるなんて縁起がいいとも言える。
見失いそうだと思ったが白い花のかんざしと首元の白いショールが目印になって目を離してもすぐに見つけることが出来た。
「九条っ」
ようやく彼女の後ろまで辿り着き声をかける。その名に反応した九条が振り返るとオレンジの布地に水仙の柄をあしらった振袖姿の彼女に思わず言葉を失う。もちろんいい意味で。
「手塚君っ。あ、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします」
「あぁ、あけましておめでとう。こちらこそよろしく頼む」
「手塚君も初詣? 誰かと行くの?」
「家族と来ていたんだが、九条を見かけたので挨拶にと思って」
「そうだったんだ。でもご家族の方に迷惑になってない? すぐ戻っていいからね」
余計なことを言ってしまっただろうか。しかし出てしまった言葉は取り消せない。
「家族は気にするなと言っていたから気にしなくていい。それより九条は一人なのか?」
「神社で麻美と遥と待ち合わせてるの。一緒にお参りしようと思って。手塚君も一緒にどうかな?」
魅力的な誘いではあったが赤宮と西成がいるなら俺は浮いてしまいそうだな。特に西成は色々と騒々しいので正月早々顔を合わせたくはない。
「いや、そこまで邪魔をする気はない。だが、せめて神社に着くまでは一緒にいてもいいか?」
「うん。もちろん」
ふわりと微笑む彼女に心臓の音が煩わしくなる。よく見ればその顔に化粧も施されていた。どこか大人びていて眩しいほどに美しい。
ずっと彼女を見つめていそうになり、変だと思われる前に目を逸らす。
こんなに魅力的な九条が一人でいるだなんて信じられない。良からぬ者が近づいたりしないか心配なる。
そう思うと神社に着くまでとはいえ彼女と同行出来て良かったのかもしれない。一時とはいえ変な奴から九条を守れることが出来るだろう。
「手塚君は参拝に青学の全国制覇を願ったりするの?」
「いや、そういうのは自分達の力で成し遂げるつもりだからな」
「そうなんだ。私、青学の全国優勝を願うつもりだったけど余計なお世話だったかな……あ、こういうのって口にすると効果がなくなるかな……」
ハッと気づいて口に手を当てる九条が焦り顔を見せる。その様子を愛らしく思いながらもフォローをしようと口を開く。
「効果があろうとなかろうとお前が応援してくれたらそれだけで十分だ。俺達は……いや、俺は負けない。青学のためにも、お前のためにも」
「うん……頑張ってね。手塚君」
笑いかける九条にこくりと頷いて返事をすると、目的の神社はあっという間に辿り着いてしまった。あまりにも短い時間だ。
「それじゃあ、私はここで麻美達を待ってるから手塚君はゆっくり参拝して来てね」
「あぁ……」
名残惜しいがさすがにずっと彼女の傍にいるわけにもいかないだろう。せめて最後に何か言葉を残したい。そう思った俺はすぐに彼女に伝えなければならない大事なことに気づく。
「九条。その、今日は一段と綺麗だ。よく似合っている」
運良くその姿を拝めたのだからいい新年のスタートを切ったとも言えるだろう。しかし、その感想を述べていなかった。
上手く褒めることは出来ないだろうが普段見ることのない装いに何か口にしなければ彼女やこのような晴れ着を用意してくれた親御さんにも失礼だ。
「あっ……え、あ、ありがとうっ……」
みるみるうちに顔を赤くする彼女を見て、もしかして熱でも出たのではないかと思い、九条の頬に指の背を当ててみた。高い熱が宿っていることが分かる。
「て、手塚君っ!?」
「熱いな、熱があるんじゃないのか?」
「ちが、違うのっ! 手塚君が褒めてくれたことが凄く嬉しくて、体温が上がっただけなのっ」
慌てて首を振る彼女はまさに恥ずかしさで爆発しそうな勢いだ。その様子さえも愛らしく思うがさすがにそこまで素直に口には出来ないため胸の内に秘めておくことに決めた。
家族で初詣に行こうと声をかけられ、そんなに遠くはない参拝で有名な神社へと向かう。とはいえ、考える人は皆同じなので道中は参拝客でごった返していた。
中には着物で向かう者も少なくはなく、華美な装いは自然と目に入りやすい。だからだろうか、少し先を歩く振袖姿の女性の横顔が一瞬見えただけで意識が全てそちらに持って行かれた。
「すみません。友人を見かけたので先に向かわせていただきます」
家族にそう声をかけると両親、祖父ともに驚いた表情をするが母はすぐに微笑みながら「せっかくだもの、私達のことは気にせずにいってらっしゃい」と見送ってくれたのでそれに甘えることにした。
人で混み合っている中、彼女の元に向かえるだろうか。そんな不安もあるがせっかく見つけたのだ。言葉を交わしたい。顔を見たい。その気持ちが人混みを掻き分ける原動力になる。
新年から煩悩に塗れてるなと自嘲するが新年だからこそ彼女を見かけるなんて縁起がいいとも言える。
見失いそうだと思ったが白い花のかんざしと首元の白いショールが目印になって目を離してもすぐに見つけることが出来た。
「九条っ」
ようやく彼女の後ろまで辿り着き声をかける。その名に反応した九条が振り返るとオレンジの布地に水仙の柄をあしらった振袖姿の彼女に思わず言葉を失う。もちろんいい意味で。
「手塚君っ。あ、あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくお願いします」
「あぁ、あけましておめでとう。こちらこそよろしく頼む」
「手塚君も初詣? 誰かと行くの?」
「家族と来ていたんだが、九条を見かけたので挨拶にと思って」
「そうだったんだ。でもご家族の方に迷惑になってない? すぐ戻っていいからね」
余計なことを言ってしまっただろうか。しかし出てしまった言葉は取り消せない。
「家族は気にするなと言っていたから気にしなくていい。それより九条は一人なのか?」
「神社で麻美と遥と待ち合わせてるの。一緒にお参りしようと思って。手塚君も一緒にどうかな?」
魅力的な誘いではあったが赤宮と西成がいるなら俺は浮いてしまいそうだな。特に西成は色々と騒々しいので正月早々顔を合わせたくはない。
「いや、そこまで邪魔をする気はない。だが、せめて神社に着くまでは一緒にいてもいいか?」
「うん。もちろん」
ふわりと微笑む彼女に心臓の音が煩わしくなる。よく見ればその顔に化粧も施されていた。どこか大人びていて眩しいほどに美しい。
ずっと彼女を見つめていそうになり、変だと思われる前に目を逸らす。
こんなに魅力的な九条が一人でいるだなんて信じられない。良からぬ者が近づいたりしないか心配なる。
そう思うと神社に着くまでとはいえ彼女と同行出来て良かったのかもしれない。一時とはいえ変な奴から九条を守れることが出来るだろう。
「手塚君は参拝に青学の全国制覇を願ったりするの?」
「いや、そういうのは自分達の力で成し遂げるつもりだからな」
「そうなんだ。私、青学の全国優勝を願うつもりだったけど余計なお世話だったかな……あ、こういうのって口にすると効果がなくなるかな……」
ハッと気づいて口に手を当てる九条が焦り顔を見せる。その様子を愛らしく思いながらもフォローをしようと口を開く。
「効果があろうとなかろうとお前が応援してくれたらそれだけで十分だ。俺達は……いや、俺は負けない。青学のためにも、お前のためにも」
「うん……頑張ってね。手塚君」
笑いかける九条にこくりと頷いて返事をすると、目的の神社はあっという間に辿り着いてしまった。あまりにも短い時間だ。
「それじゃあ、私はここで麻美達を待ってるから手塚君はゆっくり参拝して来てね」
「あぁ……」
名残惜しいがさすがにずっと彼女の傍にいるわけにもいかないだろう。せめて最後に何か言葉を残したい。そう思った俺はすぐに彼女に伝えなければならない大事なことに気づく。
「九条。その、今日は一段と綺麗だ。よく似合っている」
運良くその姿を拝めたのだからいい新年のスタートを切ったとも言えるだろう。しかし、その感想を述べていなかった。
上手く褒めることは出来ないだろうが普段見ることのない装いに何か口にしなければ彼女やこのような晴れ着を用意してくれた親御さんにも失礼だ。
「あっ……え、あ、ありがとうっ……」
みるみるうちに顔を赤くする彼女を見て、もしかして熱でも出たのではないかと思い、九条の頬に指の背を当ててみた。高い熱が宿っていることが分かる。
「て、手塚君っ!?」
「熱いな、熱があるんじゃないのか?」
「ちが、違うのっ! 手塚君が褒めてくれたことが凄く嬉しくて、体温が上がっただけなのっ」
慌てて首を振る彼女はまさに恥ずかしさで爆発しそうな勢いだ。その様子さえも愛らしく思うがさすがにそこまで素直に口には出来ないため胸の内に秘めておくことに決めた。