自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
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桃城武×赤宮麻美(『今日の青春学園』設定より)
正月と言えばおせちだろ? あとは餅。そう餅つきだ!
町内会で餅つき大会をするって商店街の張り紙を見たから餅が食えると思い、楽しみにしながら現場に向かうと、会場は年配の爺さんやチビッ子達が杵を振って餅つきをしている真っ只中だった。
隣の集会用のテントの下では婆さん達がつきたてのお餅を丸めてきな粉やあんこを乗せたりしていて思わず涎が垂れてしまいそうになる。
自由に食べていいらしく早速きな粉の餅から手を出そうとしたら、急に後ろ襟をぐいっと引っ張られた。
「ぐえっ!」
「いいところに来たな、桃城」
「な、えっ!? 赤宮先輩っ!?」
まさかの赤宮先輩だ。いや、あの容赦ない引っ張り方はまさにこの人とも言えるけど……って、そうじゃなくて! なんで赤宮先輩がこんな所にいるんだ!?
「言いたいことが顔に出る奴だな」
「いや、そりゃびっくりするでしょうよ……」
「私だって好きでここにいるわけじゃない。親が餅つき大会のメンバーのくせに正月早々ぎっくり腰になって参加出来ないから私が代わりに出ることになったんだよ」
っち、と舌打ちをする先輩をよく見れば杵を手にしていた。それを肩で担いでるもんだから貫禄があるというか迫力があるというか……。この人に武器になりそうな物を持たせるとおっかなさが倍増するんだよな……。
「……で、俺を呼び止めた理由は何すか?」
「私の代わりに振れ」
悪い笑みで俺に杵を渡してきた。マジかよ。自分の仕事を俺に押し付けるのかこの人は。……まぁ、こういう人だってのは今に始まったことじゃねぇけどよ。
「いやいやっ、俺がやらなくても振りたい奴なんて沢山いるでしょーよ。ほら、チビッ子とかこういうのやりたがりますよね?」
「ガキ共は形だけだ。力もねぇし、時間がかかる。年寄りも長くは持たん。若い男のあんたなら力が有り余ってるだろ」
「……せめて餅一個くらい食ってからでいいッスか?」
「働かざる者食うべからず」
仕事押し付けてる先輩はいいんスか!? と声を大にして言いたかったが睨まれたくはないので口にチャックをし、俺は観念するしかなかった。
「はいはい、分かりましたよ。まぁ、餅つきは嫌いじゃねーしな」
「よし、それでいい」
満足気な表情で「行くぞ」と顎で促す赤宮先輩の後に続き、隣の餅つき会場にて杵を振るうことになった。
餅の入った臼はふたつ。ひとつはチビッ子向けなのか、幼児から小学生くらいの子が並んでいて、補助する人が傍についた状態で餅をついていた。確かに赤宮先輩の言う通り、形だけというか餅をつく感触を楽しむような感じだ。
で、その隣であるもうひとつの臼には大人が腕を振るってマジの餅つきをしている……はずなのだが、主に年配が多くてすでに体力が底をついたのか休憩タイムを挟んでいて手付かずの状態だった。
「なーるほど、俺が頑張るしかねぇってわけか」
「分かったなら始めろ」
「へーい」
手水役のおじさんが傍にスタンバって俺の餅つきは始まった。最初は軽快な動作で楽しんでいたが、同じ体勢でついてることもあり、次第に疲れを感じるようになった。
だってよ……仕上がったと思ったら次のもち米を投入されて「さぁ、やれ」と言わんばかりに爺さん婆さんからの期待のこもった視線をもらうわけよ。そんな目で見られたらやるわけにはいかねーよな、いかねーよ。
っつーわけで餅つき2回戦を始めたけど、やっぱ無理だった。腰に来る。途中でギブアップを宣言した。
「もう終わりか」
「いや、これ結構キツいッスよ!?」
「そうは見えないな」
「じゃあ赤宮先輩もやってみてくださいよっ!」
ほら、とへばる俺は先輩に杵を託すと言葉を続ける。
「俺が手水役やりますし、せっかくだから餅に赤宮先輩の鬱憤をぶつけるつもりでやりましょうよ! ムカつく相手の一人や二人いるでしょっ?」
「ムカつく相手、か……」
そう呟くと赤宮先輩はスッと杵を持ち上げた。そして餅に向かって力強く振り下ろした。
「喰らえ! 不二周助!!」
ドスッ! と恨みがこもった餅つきが始まる。ほんと、この人は不二先輩をライバル視しすぎやしねーか?
思わず一歩引いてしまうが手水役を引き受けたからには逃げるわけにはいかない。いかないのだが……赤宮先輩による不二先輩の怒りが相当溜まっていたのか、連続して杵をつくスピードが速すぎて手を入れられねぇ……。
「ちょ、ちょっと待ってくださいって先輩! 餅を濡らさねぇとくっついちまいますって!」
「あの澄まし顔っ!!」
あぁ、ダメだこりゃ。耳に入ってねぇ。どうすりゃいいんだ……って思ったら赤宮先輩が杵を思い切り振り上げると、餅が杵にくっついて離れなくなった。そのせいで先輩はバランスを崩し、後ろに倒れそうになる。
「!」
「危ねぇ!!」
急いで赤宮先輩の手を引っ張って転ばないように抱き寄せた。
「……ふぅ、危ねぇ」
「……」
「赤宮先輩? ……あ。す、すんません! その、急に抱き締めるようなことして!」
黙ったままの先輩を見て自分の今の状況に気づき、慌てて手を離す。周りの爺さん婆さんから「ひゅーひゅー!」と要らぬ声援を送られたが、外野は頼むから静かにしてくれ!
「……」
「せ、先輩……?」
やべぇ。キレるか? おどおどしながら俯いてその表情が見えない赤宮先輩に声をかけると、突然杵を押し付けられた。
「もういい。続きはお前がやれ」
「えっ、え? あのっ」
杵を受け取ると赤宮先輩は隣の餅配布テントに向かってしまった。一瞬だけ見えた赤宮先輩の顔が赤くなっていたような気がするけど、俺の見間違いだろうか?
ゆっくり考える暇なく、未だに周りの年配組による冷やかしの声が続くので「からかわないでもらえます!?」と俺も恥ずかしくなりながら声を上げた。
正月と言えばおせちだろ? あとは餅。そう餅つきだ!
町内会で餅つき大会をするって商店街の張り紙を見たから餅が食えると思い、楽しみにしながら現場に向かうと、会場は年配の爺さんやチビッ子達が杵を振って餅つきをしている真っ只中だった。
隣の集会用のテントの下では婆さん達がつきたてのお餅を丸めてきな粉やあんこを乗せたりしていて思わず涎が垂れてしまいそうになる。
自由に食べていいらしく早速きな粉の餅から手を出そうとしたら、急に後ろ襟をぐいっと引っ張られた。
「ぐえっ!」
「いいところに来たな、桃城」
「な、えっ!? 赤宮先輩っ!?」
まさかの赤宮先輩だ。いや、あの容赦ない引っ張り方はまさにこの人とも言えるけど……って、そうじゃなくて! なんで赤宮先輩がこんな所にいるんだ!?
「言いたいことが顔に出る奴だな」
「いや、そりゃびっくりするでしょうよ……」
「私だって好きでここにいるわけじゃない。親が餅つき大会のメンバーのくせに正月早々ぎっくり腰になって参加出来ないから私が代わりに出ることになったんだよ」
っち、と舌打ちをする先輩をよく見れば杵を手にしていた。それを肩で担いでるもんだから貫禄があるというか迫力があるというか……。この人に武器になりそうな物を持たせるとおっかなさが倍増するんだよな……。
「……で、俺を呼び止めた理由は何すか?」
「私の代わりに振れ」
悪い笑みで俺に杵を渡してきた。マジかよ。自分の仕事を俺に押し付けるのかこの人は。……まぁ、こういう人だってのは今に始まったことじゃねぇけどよ。
「いやいやっ、俺がやらなくても振りたい奴なんて沢山いるでしょーよ。ほら、チビッ子とかこういうのやりたがりますよね?」
「ガキ共は形だけだ。力もねぇし、時間がかかる。年寄りも長くは持たん。若い男のあんたなら力が有り余ってるだろ」
「……せめて餅一個くらい食ってからでいいッスか?」
「働かざる者食うべからず」
仕事押し付けてる先輩はいいんスか!? と声を大にして言いたかったが睨まれたくはないので口にチャックをし、俺は観念するしかなかった。
「はいはい、分かりましたよ。まぁ、餅つきは嫌いじゃねーしな」
「よし、それでいい」
満足気な表情で「行くぞ」と顎で促す赤宮先輩の後に続き、隣の餅つき会場にて杵を振るうことになった。
餅の入った臼はふたつ。ひとつはチビッ子向けなのか、幼児から小学生くらいの子が並んでいて、補助する人が傍についた状態で餅をついていた。確かに赤宮先輩の言う通り、形だけというか餅をつく感触を楽しむような感じだ。
で、その隣であるもうひとつの臼には大人が腕を振るってマジの餅つきをしている……はずなのだが、主に年配が多くてすでに体力が底をついたのか休憩タイムを挟んでいて手付かずの状態だった。
「なーるほど、俺が頑張るしかねぇってわけか」
「分かったなら始めろ」
「へーい」
手水役のおじさんが傍にスタンバって俺の餅つきは始まった。最初は軽快な動作で楽しんでいたが、同じ体勢でついてることもあり、次第に疲れを感じるようになった。
だってよ……仕上がったと思ったら次のもち米を投入されて「さぁ、やれ」と言わんばかりに爺さん婆さんからの期待のこもった視線をもらうわけよ。そんな目で見られたらやるわけにはいかねーよな、いかねーよ。
っつーわけで餅つき2回戦を始めたけど、やっぱ無理だった。腰に来る。途中でギブアップを宣言した。
「もう終わりか」
「いや、これ結構キツいッスよ!?」
「そうは見えないな」
「じゃあ赤宮先輩もやってみてくださいよっ!」
ほら、とへばる俺は先輩に杵を託すと言葉を続ける。
「俺が手水役やりますし、せっかくだから餅に赤宮先輩の鬱憤をぶつけるつもりでやりましょうよ! ムカつく相手の一人や二人いるでしょっ?」
「ムカつく相手、か……」
そう呟くと赤宮先輩はスッと杵を持ち上げた。そして餅に向かって力強く振り下ろした。
「喰らえ! 不二周助!!」
ドスッ! と恨みがこもった餅つきが始まる。ほんと、この人は不二先輩をライバル視しすぎやしねーか?
思わず一歩引いてしまうが手水役を引き受けたからには逃げるわけにはいかない。いかないのだが……赤宮先輩による不二先輩の怒りが相当溜まっていたのか、連続して杵をつくスピードが速すぎて手を入れられねぇ……。
「ちょ、ちょっと待ってくださいって先輩! 餅を濡らさねぇとくっついちまいますって!」
「あの澄まし顔っ!!」
あぁ、ダメだこりゃ。耳に入ってねぇ。どうすりゃいいんだ……って思ったら赤宮先輩が杵を思い切り振り上げると、餅が杵にくっついて離れなくなった。そのせいで先輩はバランスを崩し、後ろに倒れそうになる。
「!」
「危ねぇ!!」
急いで赤宮先輩の手を引っ張って転ばないように抱き寄せた。
「……ふぅ、危ねぇ」
「……」
「赤宮先輩? ……あ。す、すんません! その、急に抱き締めるようなことして!」
黙ったままの先輩を見て自分の今の状況に気づき、慌てて手を離す。周りの爺さん婆さんから「ひゅーひゅー!」と要らぬ声援を送られたが、外野は頼むから静かにしてくれ!
「……」
「せ、先輩……?」
やべぇ。キレるか? おどおどしながら俯いてその表情が見えない赤宮先輩に声をかけると、突然杵を押し付けられた。
「もういい。続きはお前がやれ」
「えっ、え? あのっ」
杵を受け取ると赤宮先輩は隣の餅配布テントに向かってしまった。一瞬だけ見えた赤宮先輩の顔が赤くなっていたような気がするけど、俺の見間違いだろうか?
ゆっくり考える暇なく、未だに周りの年配組による冷やかしの声が続くので「からかわないでもらえます!?」と俺も恥ずかしくなりながら声を上げた。