自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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滝萩之介×西成遥(『今日の氷帝学園』設定より)
クリスマス市やってるから行こう! と、遥に誘われて学校帰りに会場へと足を運んだ。
何だかんだ毎年この時期には遥と一緒に行くことが恒例になっている気がする。俺一人だと行くことはないが、彼女が楽しんでいる様子を見れるので気がつけば俺もこの日を楽しみにしていた。
暗くなるのがすっかり早くなってしまった冬の暮れ。クリスマスマーケットはすでにライトアップをしていて、会場の中心には大きなクリスマスツリーが飾られている。
周りには山小屋のような屋台の数々。本場のドイツよりかは規模は小さいかもしれないが楽しめる分には十分だ。
「ソーセージ! ラクレット! ホットワイン……は飲めないからホットチョコレート! 食べるぞ飲むぞ!」
「夕飯もあるんだから食べすぎちゃ駄目だよ」
あちこち目移りする彼女に注意する。これも毎年のことではある。そうしないと欲望のままにあれを食べたい、これを買いたいと言い出すからね。ストッパー役は必要だ。
「それに何も食べるだけじゃないでしょ? ほら、雑貨とかもあるよ」
オーナメントやマグカップ、クリスマスカードなども売っているのでそれを指差せば遥はすぐにそちらへと目を向け、すぐに雑貨専門の屋台へと向かう。
……自分で誘導しておいてあれだけど、ここまで動かしやすいと拐われないか心配になるな。俺がしっかりと見ておかないと。
「見て見て萩! スノードームだよっ!」
「サンタが入ってるんだ? クリスマスらしいね」
「でしょー。玄関に置くのもいいし、部屋に飾るのもいいなー……あ! ソーセージ!」
近くの屋台から香りが漂ってきたため、遥の意識はすぐにソーセージへと持っていかれてしまった。……雑貨から食べ物へとシフトするの早かったなぁ。
結局、彼女の空腹を満たすためソーセージを注文した。近くのストーブが設置されているテントへ入って暖をとりながら空いてるテーブルにて食事をする。椅子はないため立食形式だ。
ドイツのソーセージは上にラクレットチーズがかかった贅沢なもので遥は目を輝かせながらフォークでソーセージを刺した。
ただ気になるのは量的にかなりあるように見えるんだけど。
「遥……そんなに食べるの?」
「ん? ひはふよ」
「うん、食べてから話そうか」
口いっぱいに肉とチーズを頬張る遥が食べ終えるのを待つ。リスとかハムスターみたいで愛らしくはあるけど上品さには欠ける……まぁ、今さらではあるけど。それが遥らしいし。
しばらくもごもごしていた遥はようやく口に入っていたものを喉に通した。
「あたしだけじゃなく萩も食べよっ」
はいっ。とフォークで刺したソーセージを俺の前に差し出される。しかし、食べかけであるソーセージを渡された俺は一瞬思考が停止した。
これは間接的に遥の口に触れることになるんじゃないのか。この状況、俺以外に向けられたら「食べかけをあげるのはやめようか」って注意するのにそれが自分に向けられると色々と躊躇してしまう。
そりゃあ好きな子と食べ合えるのは嬉しいけど、相手に深い意味はないだろう。それを知ってて食べるのも何だか申し訳ないというか、人としてどうかなとも感じる。
「ありがとう」
それならばと俺は遥からソーセージを刺したフォークを受け取り、使われていなかったナイフで齧られていない端の方を切り落として━━たら、遥がどこか不服そうな表情をする。
「そんなあからさまにあたしの食べた所を避けなくてもいいじゃん……」
「遥……分かってるならもう少し気をつけなきゃ。食べかけを差し出しても困る人もいるだろうし、人の口に触れたものを嫌がる人もいるんだから」
「萩は嫌だった?」
「嫌……ではないけど」
「じゃあ、いいでしょ?」
「そうじゃなくて、マナーというか……遥ももう子どもじゃないんだし、もっと行動に責任を持たなきゃ。そもそも遥は嫌だと思わないの? 俺が口につけたソーセージを食べることになるんだよ」
ここまでは言いたくはなかった。「それもそっか」なんて返事をされたら俺だって多少なりとも傷つくし。けれど、はっきり言わないと彼女も理解してくれないだろう。
「……あたしはいいもん。嫌じゃないから萩にも分けてるんだし。ていうか、萩じゃなきゃここまでしないよ。いくらあたしでもさ」
意外な返答に俺は目を丸くした。恥ずかしげにぼそぼそと話す姿はいつもの彼女らしくない。いくらストーブで暖かくなっているとはいえ、あそこまで顔が赤くなるものなのか。
そんなことを考えていたら俺が持っていたフォークを遥が奪った。
「た、食べないならいいさ! 全部あたしが食べるから!」
ヤケクソな様子で残りのソーセージを勢いよく食べ始める彼女を見て、少しだけ期待を抱いた俺は遥の名前を呼び、彼女の手を掴んだ。
「俺だけってことなら安心した。そういうことなら貰うよ。それ、食べさせてくれる?」
「え、えっ、あ、うん……で、でも食べかけだよ……?」
「嫌じゃないんでしょ? 俺も嫌じゃないから何も問題ないよね」
まさか今さら嘘でしたとか言わないよね。さすがに遥ならそう言いかねない気もしてきた。
しかしその心配も杞憂に終わる。目の前の彼女はぷしゅーとオーバーヒートしそうなほど顔を赤くし、食べかけのソーセージを俺の口へと持ってきてくれたので今度は迷いなくそれを食べた。
「うん、美味しいね。遥が食べていたから余計に」
「あ、あはは! そうとも! あたしが美味しいと言うのだからね!」
「遥が口をつけたから、って意味なんだけど」
「!」
そう伝えると遥は面白いくらいに顔を真っ赤にさせた。先ほど分かっててソーセージを差し出したとは思えないくらいに。
今度はホットチョコレートを一緒に飲もっか。と言ったら彼女はどんな表情をするのかな。けど、からかいすぎるのも良くないのでそれ以上は言わないでおこう。遥なりに幼馴染みである俺のことを意識してるってことが分かったんだし。
クリスマス市やってるから行こう! と、遥に誘われて学校帰りに会場へと足を運んだ。
何だかんだ毎年この時期には遥と一緒に行くことが恒例になっている気がする。俺一人だと行くことはないが、彼女が楽しんでいる様子を見れるので気がつけば俺もこの日を楽しみにしていた。
暗くなるのがすっかり早くなってしまった冬の暮れ。クリスマスマーケットはすでにライトアップをしていて、会場の中心には大きなクリスマスツリーが飾られている。
周りには山小屋のような屋台の数々。本場のドイツよりかは規模は小さいかもしれないが楽しめる分には十分だ。
「ソーセージ! ラクレット! ホットワイン……は飲めないからホットチョコレート! 食べるぞ飲むぞ!」
「夕飯もあるんだから食べすぎちゃ駄目だよ」
あちこち目移りする彼女に注意する。これも毎年のことではある。そうしないと欲望のままにあれを食べたい、これを買いたいと言い出すからね。ストッパー役は必要だ。
「それに何も食べるだけじゃないでしょ? ほら、雑貨とかもあるよ」
オーナメントやマグカップ、クリスマスカードなども売っているのでそれを指差せば遥はすぐにそちらへと目を向け、すぐに雑貨専門の屋台へと向かう。
……自分で誘導しておいてあれだけど、ここまで動かしやすいと拐われないか心配になるな。俺がしっかりと見ておかないと。
「見て見て萩! スノードームだよっ!」
「サンタが入ってるんだ? クリスマスらしいね」
「でしょー。玄関に置くのもいいし、部屋に飾るのもいいなー……あ! ソーセージ!」
近くの屋台から香りが漂ってきたため、遥の意識はすぐにソーセージへと持っていかれてしまった。……雑貨から食べ物へとシフトするの早かったなぁ。
結局、彼女の空腹を満たすためソーセージを注文した。近くのストーブが設置されているテントへ入って暖をとりながら空いてるテーブルにて食事をする。椅子はないため立食形式だ。
ドイツのソーセージは上にラクレットチーズがかかった贅沢なもので遥は目を輝かせながらフォークでソーセージを刺した。
ただ気になるのは量的にかなりあるように見えるんだけど。
「遥……そんなに食べるの?」
「ん? ひはふよ」
「うん、食べてから話そうか」
口いっぱいに肉とチーズを頬張る遥が食べ終えるのを待つ。リスとかハムスターみたいで愛らしくはあるけど上品さには欠ける……まぁ、今さらではあるけど。それが遥らしいし。
しばらくもごもごしていた遥はようやく口に入っていたものを喉に通した。
「あたしだけじゃなく萩も食べよっ」
はいっ。とフォークで刺したソーセージを俺の前に差し出される。しかし、食べかけであるソーセージを渡された俺は一瞬思考が停止した。
これは間接的に遥の口に触れることになるんじゃないのか。この状況、俺以外に向けられたら「食べかけをあげるのはやめようか」って注意するのにそれが自分に向けられると色々と躊躇してしまう。
そりゃあ好きな子と食べ合えるのは嬉しいけど、相手に深い意味はないだろう。それを知ってて食べるのも何だか申し訳ないというか、人としてどうかなとも感じる。
「ありがとう」
それならばと俺は遥からソーセージを刺したフォークを受け取り、使われていなかったナイフで齧られていない端の方を切り落として━━たら、遥がどこか不服そうな表情をする。
「そんなあからさまにあたしの食べた所を避けなくてもいいじゃん……」
「遥……分かってるならもう少し気をつけなきゃ。食べかけを差し出しても困る人もいるだろうし、人の口に触れたものを嫌がる人もいるんだから」
「萩は嫌だった?」
「嫌……ではないけど」
「じゃあ、いいでしょ?」
「そうじゃなくて、マナーというか……遥ももう子どもじゃないんだし、もっと行動に責任を持たなきゃ。そもそも遥は嫌だと思わないの? 俺が口につけたソーセージを食べることになるんだよ」
ここまでは言いたくはなかった。「それもそっか」なんて返事をされたら俺だって多少なりとも傷つくし。けれど、はっきり言わないと彼女も理解してくれないだろう。
「……あたしはいいもん。嫌じゃないから萩にも分けてるんだし。ていうか、萩じゃなきゃここまでしないよ。いくらあたしでもさ」
意外な返答に俺は目を丸くした。恥ずかしげにぼそぼそと話す姿はいつもの彼女らしくない。いくらストーブで暖かくなっているとはいえ、あそこまで顔が赤くなるものなのか。
そんなことを考えていたら俺が持っていたフォークを遥が奪った。
「た、食べないならいいさ! 全部あたしが食べるから!」
ヤケクソな様子で残りのソーセージを勢いよく食べ始める彼女を見て、少しだけ期待を抱いた俺は遥の名前を呼び、彼女の手を掴んだ。
「俺だけってことなら安心した。そういうことなら貰うよ。それ、食べさせてくれる?」
「え、えっ、あ、うん……で、でも食べかけだよ……?」
「嫌じゃないんでしょ? 俺も嫌じゃないから何も問題ないよね」
まさか今さら嘘でしたとか言わないよね。さすがに遥ならそう言いかねない気もしてきた。
しかしその心配も杞憂に終わる。目の前の彼女はぷしゅーとオーバーヒートしそうなほど顔を赤くし、食べかけのソーセージを俺の口へと持ってきてくれたので今度は迷いなくそれを食べた。
「うん、美味しいね。遥が食べていたから余計に」
「あ、あはは! そうとも! あたしが美味しいと言うのだからね!」
「遥が口をつけたから、って意味なんだけど」
「!」
そう伝えると遥は面白いくらいに顔を真っ赤にさせた。先ほど分かっててソーセージを差し出したとは思えないくらいに。
今度はホットチョコレートを一緒に飲もっか。と言ったら彼女はどんな表情をするのかな。けど、からかいすぎるのも良くないのでそれ以上は言わないでおこう。遥なりに幼馴染みである俺のことを意識してるってことが分かったんだし。