自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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宍戸亮×赤宮麻美(『今日の氷帝学園』設定より)
「さすがに12月は寒いな……」
放課後の帰り道に冷たい風を受けてぶるっと身体が震える中、無意識に呟いた言葉は白い息と共に静寂な空気に紛れて消えた。
「ハッ。情けない。冬なんてこれからが本番だろ。何年四季を巡ってるんだよ」
家の方向が一緒なため近くにいた赤宮が嘲笑する。なんでこいつはこんなふうに人の神経を逆撫でするようなことしか言えないんだよ。だから敵が多いんだろ。
……って、言っても赤宮のことだ「敵にでも何でもなりゃいいだろ」と返ってくるのが目に見える。
基本的に悪い奴ではないが、良い奴と言うには難しい。
「仕方ねーだろ。髪をバッサリ切ったから余計に寒いんだよっ」
「あの長い髪で暖をとってたのかよお前」
「少なくとも首の後ろはそれなりに風を防いでくれてたからな。今じゃスースーして寒くて適わねぇよ」
「軟弱。私を見習え」
鼻で笑いながら自信満々に自分を見ろと言わんばかりの赤宮を見てみれば、手には手袋、首にはマフラー、スカート下にはタイツ。完全防備である。
「━━って、俺より万全の体制で寒さを凌いでる格好じゃねーか! 手袋にマフラーにタイツまでして見習えって、その格好を見習えってのかっ?」
「そりゃそうだろ。根性論でも語ってると思ったのか」
「お前なら根性論を押し付けるだろ」
「時と場合による」
「あぁ……そう」
そうだよな、お前はそういう奴だったな。自分の言うことが全て正しいっていう奴だったぜ。今さら驚きやしねぇよ。
はぁ、と溜め息を吐き出して寒さのあまりツッコミする気力もなくなった俺はそこで口を閉ざす。
やべ、鼻も垂れそう。ズズッと鼻をすすりながら早く家に着きてぇと思っていたらガコンと音が聞こえた。
目を向けると赤宮が自販機で何かを買っているようでその飲み物を取り出し口から出していたところだ。
「……それだけ防寒しておきながらまだ足りねぇのか?」
さすがにこの寒さでアイスの飲み物ではないだろう。どこか恨めしい目で赤宮を見てると奴はフッと嫌みのような笑みを向ける。そしてそのドリンクを俺に目掛けて下から投げた。
慌ててそれを手に取ると冷えきった手には火傷をするのではないかという熱さで思わず「あちっ」と呟いてその缶を一度宙に投げてから懐で抱える。よく見るとコンポタだった。
「な、なんだよいきなりっ」
「寒い寒いうるさいからそれで暖でもとっとけ」
「え……マジかよ。これ、俺にくれんのか?」
「何言ってんだ。ちゃんと金は貰う」
「んだよ、奢ってくれるんじゃねーのかよ……」
ちょっとでも期待してた俺が馬鹿だった。っつーか勝手に買って金を巻き上げるとかなんだよ。だったら最初っから聞けっての。
しゃーねぇなと思いながらポケットに手を突っ込んで小銭を探す。……しかし、小銭がない。ポケットの中全部取り出してみるもゴミしか入ってなかった。
そういや、今日の昼飯で全部使ったんだっけ。やべ。赤宮にガチギレされる。
「わ、わりぃ。赤宮……ちょっと今手持ちがねぇから……来週でもいいか?」
明日は学校も部活も休みだし、次に顔を合わせるのは明後日。さすがの赤宮もそれで納得するだろうと思っていた。いや、納得するだろ普通?
「は? 無理」
赤宮に普通を期待したのが駄目だった。
「じゃあどうしろっつーんだよ」
「明日返せばいいだろ」
「明日って学校も部活もないのにわざわざお前と会えってことか?」
「何。不満?」
「いや、不満って……お前の方だろ?」
「別に」
「あぁ、そう……」
っつーことはだ。休みの日にわざわざ百何十円のために赤宮と顔を合わすってことになるのか。
「……なぁ、赤宮。本当に小銭を返してもらうだけのために休みっつーのにわざわざ俺と会うのか?」
「そうだけど」
「面倒じゃねぇの? お前、そういうとこあるだろ」
「否定はしない」
「しないのか……」
「それに小銭を返すだけじゃない。せっかくだから私の買い物に付き合え」
「え。買い物?」
「今度、秋と遥とクリスマスプレゼントの交換をやることになったからそのプレゼント探しに付き合え」
何を言うかと思えば。それ、俺必要か? なんかよく分かんねぇまま頭を掻きながら赤宮に問う。
「女子ならともかく、男の俺が九条達のプレゼント探しなんて役に立たねぇだろ?」
「……」
至極当然のことを言ったのになぜか赤宮は腕を組んで不服そうな顔で俺を見る。
「宍戸。あんたは私に借りがあるからそれを返す義理がある」
マジかよ。勝手にコンポタを押し付けて金を巻き上げておきながら借りがあるって言うのか。
「だから絶対に明日は私に付き合え。一日」
「一日……」
かなりの時間拘束されるのか俺? ……まぁ、いいけど。別に。赤宮のこと嫌いじゃねーし……うん。どうしてもっつーなら仕方ねぇしな。
「わーったよ。お前がそれでいいっつーなら付き合う。それでいいだろ?」
鼻下を擦りながら少しだけ恥ずかしさが混じったこともあり目線を逸らしていたら赤宮はすぐに返事をした。
「約束は絶っっ対に守れよ」
絶対を強調する赤宮の声色は何だか焦りのようなものを感じたので相手の顔を見れば、向こうも目どころか顔を逸らしていた。
けれど微かに頬が赤くなっているのが見えて、それが寒さのせいなのか別の意味を含んでいるのか分からないけど、何となく後者の方だと思う。そう思いたい。それくらいの期待はいいんじゃねぇか。
だってそうだとしたら何となく赤宮が無理強いしていたのも分かるし、納得出来る。
「……デートなら約束を破るわけねぇだろ」
「……」
返事はなかったが否定はされなかったし、何より赤かった頬がさらに赤くなったのは分かった。
顔を見せないし、態度は素っ気ないがちょっと可愛いなと思ったが、今さらになってデートなんて単語を口にしたことがすげー恥ずかしくなった俺も赤宮と同様顔が熱くなり、互いに少しだけ無言になってしまった。
「さすがに12月は寒いな……」
放課後の帰り道に冷たい風を受けてぶるっと身体が震える中、無意識に呟いた言葉は白い息と共に静寂な空気に紛れて消えた。
「ハッ。情けない。冬なんてこれからが本番だろ。何年四季を巡ってるんだよ」
家の方向が一緒なため近くにいた赤宮が嘲笑する。なんでこいつはこんなふうに人の神経を逆撫でするようなことしか言えないんだよ。だから敵が多いんだろ。
……って、言っても赤宮のことだ「敵にでも何でもなりゃいいだろ」と返ってくるのが目に見える。
基本的に悪い奴ではないが、良い奴と言うには難しい。
「仕方ねーだろ。髪をバッサリ切ったから余計に寒いんだよっ」
「あの長い髪で暖をとってたのかよお前」
「少なくとも首の後ろはそれなりに風を防いでくれてたからな。今じゃスースーして寒くて適わねぇよ」
「軟弱。私を見習え」
鼻で笑いながら自信満々に自分を見ろと言わんばかりの赤宮を見てみれば、手には手袋、首にはマフラー、スカート下にはタイツ。完全防備である。
「━━って、俺より万全の体制で寒さを凌いでる格好じゃねーか! 手袋にマフラーにタイツまでして見習えって、その格好を見習えってのかっ?」
「そりゃそうだろ。根性論でも語ってると思ったのか」
「お前なら根性論を押し付けるだろ」
「時と場合による」
「あぁ……そう」
そうだよな、お前はそういう奴だったな。自分の言うことが全て正しいっていう奴だったぜ。今さら驚きやしねぇよ。
はぁ、と溜め息を吐き出して寒さのあまりツッコミする気力もなくなった俺はそこで口を閉ざす。
やべ、鼻も垂れそう。ズズッと鼻をすすりながら早く家に着きてぇと思っていたらガコンと音が聞こえた。
目を向けると赤宮が自販機で何かを買っているようでその飲み物を取り出し口から出していたところだ。
「……それだけ防寒しておきながらまだ足りねぇのか?」
さすがにこの寒さでアイスの飲み物ではないだろう。どこか恨めしい目で赤宮を見てると奴はフッと嫌みのような笑みを向ける。そしてそのドリンクを俺に目掛けて下から投げた。
慌ててそれを手に取ると冷えきった手には火傷をするのではないかという熱さで思わず「あちっ」と呟いてその缶を一度宙に投げてから懐で抱える。よく見るとコンポタだった。
「な、なんだよいきなりっ」
「寒い寒いうるさいからそれで暖でもとっとけ」
「え……マジかよ。これ、俺にくれんのか?」
「何言ってんだ。ちゃんと金は貰う」
「んだよ、奢ってくれるんじゃねーのかよ……」
ちょっとでも期待してた俺が馬鹿だった。っつーか勝手に買って金を巻き上げるとかなんだよ。だったら最初っから聞けっての。
しゃーねぇなと思いながらポケットに手を突っ込んで小銭を探す。……しかし、小銭がない。ポケットの中全部取り出してみるもゴミしか入ってなかった。
そういや、今日の昼飯で全部使ったんだっけ。やべ。赤宮にガチギレされる。
「わ、わりぃ。赤宮……ちょっと今手持ちがねぇから……来週でもいいか?」
明日は学校も部活も休みだし、次に顔を合わせるのは明後日。さすがの赤宮もそれで納得するだろうと思っていた。いや、納得するだろ普通?
「は? 無理」
赤宮に普通を期待したのが駄目だった。
「じゃあどうしろっつーんだよ」
「明日返せばいいだろ」
「明日って学校も部活もないのにわざわざお前と会えってことか?」
「何。不満?」
「いや、不満って……お前の方だろ?」
「別に」
「あぁ、そう……」
っつーことはだ。休みの日にわざわざ百何十円のために赤宮と顔を合わすってことになるのか。
「……なぁ、赤宮。本当に小銭を返してもらうだけのために休みっつーのにわざわざ俺と会うのか?」
「そうだけど」
「面倒じゃねぇの? お前、そういうとこあるだろ」
「否定はしない」
「しないのか……」
「それに小銭を返すだけじゃない。せっかくだから私の買い物に付き合え」
「え。買い物?」
「今度、秋と遥とクリスマスプレゼントの交換をやることになったからそのプレゼント探しに付き合え」
何を言うかと思えば。それ、俺必要か? なんかよく分かんねぇまま頭を掻きながら赤宮に問う。
「女子ならともかく、男の俺が九条達のプレゼント探しなんて役に立たねぇだろ?」
「……」
至極当然のことを言ったのになぜか赤宮は腕を組んで不服そうな顔で俺を見る。
「宍戸。あんたは私に借りがあるからそれを返す義理がある」
マジかよ。勝手にコンポタを押し付けて金を巻き上げておきながら借りがあるって言うのか。
「だから絶対に明日は私に付き合え。一日」
「一日……」
かなりの時間拘束されるのか俺? ……まぁ、いいけど。別に。赤宮のこと嫌いじゃねーし……うん。どうしてもっつーなら仕方ねぇしな。
「わーったよ。お前がそれでいいっつーなら付き合う。それでいいだろ?」
鼻下を擦りながら少しだけ恥ずかしさが混じったこともあり目線を逸らしていたら赤宮はすぐに返事をした。
「約束は絶っっ対に守れよ」
絶対を強調する赤宮の声色は何だか焦りのようなものを感じたので相手の顔を見れば、向こうも目どころか顔を逸らしていた。
けれど微かに頬が赤くなっているのが見えて、それが寒さのせいなのか別の意味を含んでいるのか分からないけど、何となく後者の方だと思う。そう思いたい。それくらいの期待はいいんじゃねぇか。
だってそうだとしたら何となく赤宮が無理強いしていたのも分かるし、納得出来る。
「……デートなら約束を破るわけねぇだろ」
「……」
返事はなかったが否定はされなかったし、何より赤かった頬がさらに赤くなったのは分かった。
顔を見せないし、態度は素っ気ないがちょっと可愛いなと思ったが、今さらになってデートなんて単語を口にしたことがすげー恥ずかしくなった俺も赤宮と同様顔が熱くなり、互いに少しだけ無言になってしまった。