自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
真田弦一郎×九条秋(『今日の立海大附属』設定より)
いつからだろうか。彼女を意識するようになったのは。最初は幸村の提案により振り回されて巻き込まれた被害者だと思っていた。
騙すような形でマネージャーとして入部し、結果として俺もその片棒を担いでしまう。我ながらなんと情けないことをしたのかと彼女には申し訳なく感じていた。
そのため出来ることなら彼女を、九条秋を助けてやらねばならないと使命感を持つようにしていたのだが、接するうちに俺は九条に惹かれてしまっていた。
飛び抜けて明るいタイプの人間ではないがだからと言って物凄く大人しいわけでもない。その中間だろうか? 俺としても最初は大人しい女子と思っていたが、自分の意思は強い方だった。
一歩身を引き出しゃばることをしない時もあれば、前に出てフォローに回ることもある。気遣いの出来る人間なのだろう。
「真田くん。テニスネットの補修が終わったよ」
練習試合を眺めていると九条が綺麗に畳んだネットを持って報告してくれた。
部活前にネットが破れていることに気づいた彼女が修繕を買って出てくれたためそのまま託したのだが、思いのほか早く終えたようだ。
「あぁ、すまない。ありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ、早速これ張ってくるよ」
「あぁ……あ、いや、待て。九条」
「?」
「その、なんだ。ここで少し休んでから行くといい」
ネットを繕ったばかりで疲れているかもしれない。少し前ならそう思って吃ることなく、さらっと言えたものを今ではそうはいかなくなってしまった。
やはり彼女と少しでも言葉を交えたいという下心があるからやもしれん。部活に集中せねばならんのだから煩悩に支配されるわけにはいかないが、すでに口に出した言の葉は戻ることは出来ない。
「休むほどまだ働いていないよ」
「いや、休める時に休む方がいいだろう」
間髪を入れずに口に出す。……少々強引だったかもしれないな。
「ありがとう、真田くん。それじゃあ数分だけ」
「うむ」
その返事を聞けて少し安心した。横目で彼女を見れば、九条は訝しむ様子もなく柔らかい笑みを浮かべている。
ふと、いつもと違う雰囲気に気づいた。いや、気づくのが遅かったという方が正しいだろうか。
どうやら今日の九条は髪を結っている。いつもなら下ろしているので少し印象が違うように思えた。
その髪留めは青色をした小さな石が埋め込まれているのだが……何というか、俺の目でも分かるくらいの安物……いや、女児が好みそうなヘアゴムというべきなのか。
九条が身につけるには違和感を抱くようなちぐはぐさ。素材はあれだが、まだシンプルな装飾なだけマシと言えよう。
そんな俺の視線に気づいたのか、九条と目が合う。
「? 真田くん、どうかしたの?」
「あぁ……いや、髪を結ってるのだな、と」
「あ、うん。これね、仁王くんから貰ったの。ガチャガチャの景品なんだって」
花開くようにはにかみながら微笑む様子はまるで天女のようだった。仁王が彼女にそのような表情をさせるのだからやはり九条は奴のことを好いてるのだろう。
羨ましい、という気持ちがないわけではないが、そんな女々しい感情を表に出すつもりはない。
……しかし、玩具の贈り物だろうと嬉々として身につけるのだから彼女は相当気に入ってるのだろうな。
「……あ、もしかしてこれアクセサリー扱いになるかな?」
俺が風紀委員に所属していると知っているのでそう尋ねたのだと思われる。
しかし女子の装飾品は判断が難しい。もちろんアクセサリーならば禁止だと言えるが髪留めというのならよほど高価だったり華美でなければ多少の飾りは許容範囲内だろう。
「本来ならば装飾がない方が学生らしくあると思うが、高価なものでもなければ目立つ飾りでもない。髪留めならば問題ないだろう」
そう答えると九条は嬉しげに笑った。もし俺が駄目だと言ったら彼女はすぐに髪留めを取ったのかもしれないが、おそらく今のような笑みは向けられなかっただろう。
「ありがとう、真田くん。真田くんがそう言ってくれるなら安心してつけられるよ」
「……よほど気に入ってるようだな」
「ふふっ、そうだね。凄く気に入ってるの」
うっすら頬紅のように色づく彼女はその髪留めをプレゼントした人物を思い浮かんでいるのだろう。
「そうか、ならば大事にするといい」
「うんっ」
何も感じないわけではない。少しだけ胸が締めつけられるような気がするだけだ。それに恥じることもない。嘘偽りのない感情だと理解出来るからだ。
俺の気持ちが彼女に届くことは叶わないが、せめて九条だけは成就してくれることを俺は願おう。
いつからだろうか。彼女を意識するようになったのは。最初は幸村の提案により振り回されて巻き込まれた被害者だと思っていた。
騙すような形でマネージャーとして入部し、結果として俺もその片棒を担いでしまう。我ながらなんと情けないことをしたのかと彼女には申し訳なく感じていた。
そのため出来ることなら彼女を、九条秋を助けてやらねばならないと使命感を持つようにしていたのだが、接するうちに俺は九条に惹かれてしまっていた。
飛び抜けて明るいタイプの人間ではないがだからと言って物凄く大人しいわけでもない。その中間だろうか? 俺としても最初は大人しい女子と思っていたが、自分の意思は強い方だった。
一歩身を引き出しゃばることをしない時もあれば、前に出てフォローに回ることもある。気遣いの出来る人間なのだろう。
「真田くん。テニスネットの補修が終わったよ」
練習試合を眺めていると九条が綺麗に畳んだネットを持って報告してくれた。
部活前にネットが破れていることに気づいた彼女が修繕を買って出てくれたためそのまま託したのだが、思いのほか早く終えたようだ。
「あぁ、すまない。ありがとう」
「どういたしまして。それじゃあ、早速これ張ってくるよ」
「あぁ……あ、いや、待て。九条」
「?」
「その、なんだ。ここで少し休んでから行くといい」
ネットを繕ったばかりで疲れているかもしれない。少し前ならそう思って吃ることなく、さらっと言えたものを今ではそうはいかなくなってしまった。
やはり彼女と少しでも言葉を交えたいという下心があるからやもしれん。部活に集中せねばならんのだから煩悩に支配されるわけにはいかないが、すでに口に出した言の葉は戻ることは出来ない。
「休むほどまだ働いていないよ」
「いや、休める時に休む方がいいだろう」
間髪を入れずに口に出す。……少々強引だったかもしれないな。
「ありがとう、真田くん。それじゃあ数分だけ」
「うむ」
その返事を聞けて少し安心した。横目で彼女を見れば、九条は訝しむ様子もなく柔らかい笑みを浮かべている。
ふと、いつもと違う雰囲気に気づいた。いや、気づくのが遅かったという方が正しいだろうか。
どうやら今日の九条は髪を結っている。いつもなら下ろしているので少し印象が違うように思えた。
その髪留めは青色をした小さな石が埋め込まれているのだが……何というか、俺の目でも分かるくらいの安物……いや、女児が好みそうなヘアゴムというべきなのか。
九条が身につけるには違和感を抱くようなちぐはぐさ。素材はあれだが、まだシンプルな装飾なだけマシと言えよう。
そんな俺の視線に気づいたのか、九条と目が合う。
「? 真田くん、どうかしたの?」
「あぁ……いや、髪を結ってるのだな、と」
「あ、うん。これね、仁王くんから貰ったの。ガチャガチャの景品なんだって」
花開くようにはにかみながら微笑む様子はまるで天女のようだった。仁王が彼女にそのような表情をさせるのだからやはり九条は奴のことを好いてるのだろう。
羨ましい、という気持ちがないわけではないが、そんな女々しい感情を表に出すつもりはない。
……しかし、玩具の贈り物だろうと嬉々として身につけるのだから彼女は相当気に入ってるのだろうな。
「……あ、もしかしてこれアクセサリー扱いになるかな?」
俺が風紀委員に所属していると知っているのでそう尋ねたのだと思われる。
しかし女子の装飾品は判断が難しい。もちろんアクセサリーならば禁止だと言えるが髪留めというのならよほど高価だったり華美でなければ多少の飾りは許容範囲内だろう。
「本来ならば装飾がない方が学生らしくあると思うが、高価なものでもなければ目立つ飾りでもない。髪留めならば問題ないだろう」
そう答えると九条は嬉しげに笑った。もし俺が駄目だと言ったら彼女はすぐに髪留めを取ったのかもしれないが、おそらく今のような笑みは向けられなかっただろう。
「ありがとう、真田くん。真田くんがそう言ってくれるなら安心してつけられるよ」
「……よほど気に入ってるようだな」
「ふふっ、そうだね。凄く気に入ってるの」
うっすら頬紅のように色づく彼女はその髪留めをプレゼントした人物を思い浮かんでいるのだろう。
「そうか、ならば大事にするといい」
「うんっ」
何も感じないわけではない。少しだけ胸が締めつけられるような気がするだけだ。それに恥じることもない。嘘偽りのない感情だと理解出来るからだ。
俺の気持ちが彼女に届くことは叶わないが、せめて九条だけは成就してくれることを俺は願おう。