自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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樺地崇弘×西成遥(『今日の氷帝学園』設定より)
「かばっち……あのね、これ……跡部に渡してってお願いされたの……」
昼休みに2年の自分のいる教室に顔を出して来た西成さんはいつもより元気がない様子だった。
どうしたのか尋ねる前に彼女から沢山の手紙を持って自分に差し出した。
「ウス」
こくっと頷いて跡部さん宛の手紙を受け取る。お礼を告げようとしたらまた西成さんが先に口を開いた。
「ごめんね! かばっちにこんなのを任せちゃって! あたしちゃんと自分で渡しなよって言ったのにかばっちと仲がいいって理由で押し付けられてしまって……ちゃんと拒否したのに……」
ずーんと沈む先輩は自分に気遣ってくれたようだ。しかし、それを全う出来なかったゆえに落ち込んでいる様子。
「大丈夫です。跡部さんに宛てた物を届けるのも、自分の役目です……。だからわざわざ自分に持って来ていただいて……ありがとうございます」
「おおおおっ……優しい。かばっちの優しさが身に染みる。……いや、あたしが跡部に直接渡せば良かったんだよね。同じクラスなんだし。言われたままかばっちに渡してしまった。二度手間だ……」
「構いません……跡部さんは、忙しい方なので自分に渡していただく方があとで纏めてお渡し出来ます」
跡部さんは直接手紙を受け取ることもある。しかし、受け取った物は一旦自分に預けて後ほど纏めてお返しするので最初から自分に渡した方が実は手間にはならない。
そう説明すると西成さんの沈んでいた表情はようやく消えてなくなった。
「じゃ、じゃあ、跡部よりかばっちに渡して大丈夫なのっ?」
「ウス。……また頼まれたら自分にお願いします」
「うんっ! 任せてっ」
目を輝かせながら何度も頷く西成さんを見てホッとする。
初めて会った時の彼女は泣いていたけど、それ以来は常に元気な姿ばかり目にしていた。それが本来の彼女のあるべき姿だと言わんばかりに。
自分とは違って感情表現が激しいので、もちろんさっきみたいに落ち込んだり怒ったりする姿を見ることもある。素直に感情を表すのは西成さんの尊敬するべき所のひとつだ。
自分に慕ってくれてるのが勿体ないほど魅力的な人だと思う。
━━翌日。西成さんはまた跡部さん宛の手紙を持って来てくれた。昨日とはうってかわり随分と機嫌が良さそうでいいことでもあったのかというほど。
「かばっち! また跡部に渡してほしい手紙なんだけど、宛名をしっかり確認してね! ねっ!」
「ウス」
ひとつ頷き、束のような手紙を受け取る。するといつもなら世間話を沢山してくれる彼女は用事があったのかすぐに戻ってしまった。
少しだけ残念に思いながら自分の席に座り、言われた通り宛名の確認をする。たまに宛名もない手紙もあり、その時は差出人に申し訳ないけど中身を確認して跡部さん宛ならば問題なく渡すようにしている。
「?」
すると一枚だけ樺地崇弘様、と書かれた手紙を見つけた。自分に……? と不思議に思いながら差出人の名前を探すと、西成遥の名前を見つける。
「!」
無愛想、無表情の自分の顔にも分かるほど驚いたのかもしれない。
西成さんが自分に手紙を? わざわざ跡部さんの手紙と混ぜて? 色々と不思議に思うも自分に宛てたものなら拝読してもいいのだろうけど、少し躊躇ってしまう。
こうやって自分に宛てた手紙をいただけるのはそうそうないのだから。
かばっちへ
跡部ばっか手紙をもらうのがズルいのであたしがかばっちにも手紙を書くね!
……って、いつも好き勝手話してるから改めて手紙で書くとなると何を書けばいいか分からないし、いつも思いつきで話してるんだな~ってことがよく分かるんだけど。
でもね、かばっちへの愛は誰にも負けないんだよ! かばっちはいつも優しくて跡部にこれでもかってくらい尽くすし、強くて格好いいのに常に一歩下がっててあたしとしてはもっと前に出てもいいんだけど、かばっちは絶対そうしないんだよね。
それがかばっちらしいんだけどね! 好き!
昨日は元気づけさせてくれてありがとね! 今度はあたしが沢山かばっちに元気を届けさせるようにするよ。
手紙書くのはちょっと照れくさいけどまた書くから! 読んでね!
「……」
文面から分かるほど相手の明るさが伝わった。自分のためにしたためてくれたのだと思うと嬉しくないわけがない。
初めて西成さんから受け取った手紙を宝物にしよう。そして家に帰ったら早速返事を書こう。
そういえばレターセットはあっただろうか。いや、あるかもしれないが味気ないシンプルな物しかなかったはず。せめて少しでも飾り気のある便箋と封筒を用意したい。
西成さんのような華やかでお洒落な手紙に比べたら落ち着いたものになるかもしれないが、まだマシと思える。帰りに買いに行こう。そして返事はなんて書こうか。
あれこれ考えながら跡部さん宛の手紙とは別に彼女からの手紙は自分の鞄にすぐにしまった。
「かばっち……あのね、これ……跡部に渡してってお願いされたの……」
昼休みに2年の自分のいる教室に顔を出して来た西成さんはいつもより元気がない様子だった。
どうしたのか尋ねる前に彼女から沢山の手紙を持って自分に差し出した。
「ウス」
こくっと頷いて跡部さん宛の手紙を受け取る。お礼を告げようとしたらまた西成さんが先に口を開いた。
「ごめんね! かばっちにこんなのを任せちゃって! あたしちゃんと自分で渡しなよって言ったのにかばっちと仲がいいって理由で押し付けられてしまって……ちゃんと拒否したのに……」
ずーんと沈む先輩は自分に気遣ってくれたようだ。しかし、それを全う出来なかったゆえに落ち込んでいる様子。
「大丈夫です。跡部さんに宛てた物を届けるのも、自分の役目です……。だからわざわざ自分に持って来ていただいて……ありがとうございます」
「おおおおっ……優しい。かばっちの優しさが身に染みる。……いや、あたしが跡部に直接渡せば良かったんだよね。同じクラスなんだし。言われたままかばっちに渡してしまった。二度手間だ……」
「構いません……跡部さんは、忙しい方なので自分に渡していただく方があとで纏めてお渡し出来ます」
跡部さんは直接手紙を受け取ることもある。しかし、受け取った物は一旦自分に預けて後ほど纏めてお返しするので最初から自分に渡した方が実は手間にはならない。
そう説明すると西成さんの沈んでいた表情はようやく消えてなくなった。
「じゃ、じゃあ、跡部よりかばっちに渡して大丈夫なのっ?」
「ウス。……また頼まれたら自分にお願いします」
「うんっ! 任せてっ」
目を輝かせながら何度も頷く西成さんを見てホッとする。
初めて会った時の彼女は泣いていたけど、それ以来は常に元気な姿ばかり目にしていた。それが本来の彼女のあるべき姿だと言わんばかりに。
自分とは違って感情表現が激しいので、もちろんさっきみたいに落ち込んだり怒ったりする姿を見ることもある。素直に感情を表すのは西成さんの尊敬するべき所のひとつだ。
自分に慕ってくれてるのが勿体ないほど魅力的な人だと思う。
━━翌日。西成さんはまた跡部さん宛の手紙を持って来てくれた。昨日とはうってかわり随分と機嫌が良さそうでいいことでもあったのかというほど。
「かばっち! また跡部に渡してほしい手紙なんだけど、宛名をしっかり確認してね! ねっ!」
「ウス」
ひとつ頷き、束のような手紙を受け取る。するといつもなら世間話を沢山してくれる彼女は用事があったのかすぐに戻ってしまった。
少しだけ残念に思いながら自分の席に座り、言われた通り宛名の確認をする。たまに宛名もない手紙もあり、その時は差出人に申し訳ないけど中身を確認して跡部さん宛ならば問題なく渡すようにしている。
「?」
すると一枚だけ樺地崇弘様、と書かれた手紙を見つけた。自分に……? と不思議に思いながら差出人の名前を探すと、西成遥の名前を見つける。
「!」
無愛想、無表情の自分の顔にも分かるほど驚いたのかもしれない。
西成さんが自分に手紙を? わざわざ跡部さんの手紙と混ぜて? 色々と不思議に思うも自分に宛てたものなら拝読してもいいのだろうけど、少し躊躇ってしまう。
こうやって自分に宛てた手紙をいただけるのはそうそうないのだから。
かばっちへ
跡部ばっか手紙をもらうのがズルいのであたしがかばっちにも手紙を書くね!
……って、いつも好き勝手話してるから改めて手紙で書くとなると何を書けばいいか分からないし、いつも思いつきで話してるんだな~ってことがよく分かるんだけど。
でもね、かばっちへの愛は誰にも負けないんだよ! かばっちはいつも優しくて跡部にこれでもかってくらい尽くすし、強くて格好いいのに常に一歩下がっててあたしとしてはもっと前に出てもいいんだけど、かばっちは絶対そうしないんだよね。
それがかばっちらしいんだけどね! 好き!
昨日は元気づけさせてくれてありがとね! 今度はあたしが沢山かばっちに元気を届けさせるようにするよ。
手紙書くのはちょっと照れくさいけどまた書くから! 読んでね!
「……」
文面から分かるほど相手の明るさが伝わった。自分のためにしたためてくれたのだと思うと嬉しくないわけがない。
初めて西成さんから受け取った手紙を宝物にしよう。そして家に帰ったら早速返事を書こう。
そういえばレターセットはあっただろうか。いや、あるかもしれないが味気ないシンプルな物しかなかったはず。せめて少しでも飾り気のある便箋と封筒を用意したい。
西成さんのような華やかでお洒落な手紙に比べたら落ち着いたものになるかもしれないが、まだマシと思える。帰りに買いに行こう。そして返事はなんて書こうか。
あれこれ考えながら跡部さん宛の手紙とは別に彼女からの手紙は自分の鞄にすぐにしまった。