自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
小話
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跡部景吾×赤宮麻美(『今日の氷帝学園』設定より)
「そういや珍しくあんたはまだ歌ってねぇんだな」
ふと、麻美は思い出した。今や恒例の夏のバレンタインソングのことを。
「あーん? 何の話だ?」
「夏のバレンタインとかいうやつ」
「あぁ、ハッピーサマーバレンタインか。そのうちオファーが来るだろ。いつ歌おうが構わねぇよ」
跡部にとっては先だろうと後だろうと関係なかった。自分ならばいつかその時が回ってくると信じているため、フッと鼻で笑う。
その昔、バレンタインソングをカバーした頃は跡部が一番最初だったが、そうなった経緯は手塚との三ヶ月連続CDリリース勝負の結果、勝者がバレンタインソングカバーを歌うことになったため。
当時、罰ゲームじゃねーか! と叫んだこともあるが、それが恒例のバレンタインソングカバーの始まりでもある。
その後、手塚も歌っているので勝者特典とは……と思ったが、すぐに気にしなくなったのは彼の懐の深さもあるだろう。
「相変わらず自信だけはたっぷりな奴だな」
「弱気な俺の方がお気に召すってのか?」
「全く。全然」
「だろ」
「っつーか、バレンタインにハッピーサマーバレンタイン? 何でもイベント事があればいいと思いやがって……」
「毎日何かしらの記念日でありイベント事だ。そんなのでいちいち突っかかってりゃキリねぇぜ」
「あんたは冬だけでなく夏にもチョコなんか貰ったら鬱陶しいと思わないわけ?」
毎年バレンタインデーといえば氷帝でもある意味大イベントである。
一番人気と言える跡部へのチョコレートは学園内だけでなく他校からも贈られるため、毎年トラックが何台も跡部邸へと運ばれていく。
一年に一度ならまだしも、夏も同じ現象が起こると思うと他人である麻美も頭が痛くなる。
ただでさえ暑いのに暑苦しいったらありゃしないのだ。
「日々進化する俺様に想いを伝えたいっつーなら仕方ねぇだろ」
「あぁ、そう」
どうやら跡部は迷惑とは思っていないようだ。それはそれで何だかムカつくなと麻美は思うがそれをわざわざ口にするのは躊躇する。
「それにハッピーサマーバレンタインってのは男だろうが女だろうが関係なく相手にチョコを贈り、想いを告げる日なんだってよ」
「チョコ溶けるだろ。季節的に」
「それがまた趣があるってもんだ」
「原型のない溶けたチョコなんざ欲しくないだろ」
「そこまでドロドロにするほど炎天下に放置する奴もそうそういないと思うがな。まぁ、お前ならそう言うと思ってしっかり対策は取ってある」
「は?」
「受け取りな。俺から赤宮へのハッピーサマーバレンタインだ」
跡部から渡されたのは上等なラッピングを施されたプレゼント。しかも直前まで冷やしてたのか、プレゼントそのものがひんやりとしている。
どういうことだと言わんばかりに無言で受け取ったそれを見つめる麻美に跡部は小さく笑う。
「警戒すんな。開けてみればいい」
言われるがまま包装されたプレゼントを開けてみる。中にはアイスブルーの薔薇が一輪とドライアイスでも入っているのかスモークが溢れ出していた。
「……薔薇? いや、薔薇に似せたチョコか」
「氷帝に相応しいカラーの薔薇を作らせたぜ。一枚一枚手に取ることが出来てまさに食べる薔薇だ」
「金かけやがって……」
跡部の言う通り一枚ずつ花弁を手に取って食べられる作りらしく、溜め息をつきながらも麻美は学校カラーの薔薇の花を一枚口に入れる。
「ん、うまっ」
「当たり前だ。この俺様が用意したものだから味は保証するぜ」
「そりゃああんたの所なら馬鹿みたいに美味いもんを用意するだろうな」
「……。赤宮、俺がお前にチョコを渡した意味くらいは分かるな?」
ここまでしたんだ。言いたいことは分かるだろ? そう言わんばかりの態度で麻美に尋ねると彼女はもちろんと言いたげに答えた。
「毎日マネージャー業に勤しむから労ったんだろ」
その返答に跡部は眉を寄せる。
(ちゃんと意味を教えた上でこの反応か? そこまで鈍感なのか、知っててわざとはぐらかしてるのか……はっきり言わなきゃ分からねぇならまた次の機会にでも試してみるか)
わざわざ種明かしするのは格好がつかない。気付かれない演出を説明するほど虚しいものはないだろう。そう考えた跡部は今度はもっと上手いことやらねぇと、と一人で次の機会を考えた。
(想いとやらを告げられてないからこれに深い意味はないのは分かってるが、跡部の奴いきなり考え込みやがったな。チョコが美味いならもっと褒めろってか? 面倒な性格だ)
対する麻美は深い意味がないと言い聞かせ勘違いしないように努めるが、跡部の表情を見て小さく溜め息をついたのだった。
「そういや珍しくあんたはまだ歌ってねぇんだな」
ふと、麻美は思い出した。今や恒例の夏のバレンタインソングのことを。
「あーん? 何の話だ?」
「夏のバレンタインとかいうやつ」
「あぁ、ハッピーサマーバレンタインか。そのうちオファーが来るだろ。いつ歌おうが構わねぇよ」
跡部にとっては先だろうと後だろうと関係なかった。自分ならばいつかその時が回ってくると信じているため、フッと鼻で笑う。
その昔、バレンタインソングをカバーした頃は跡部が一番最初だったが、そうなった経緯は手塚との三ヶ月連続CDリリース勝負の結果、勝者がバレンタインソングカバーを歌うことになったため。
当時、罰ゲームじゃねーか! と叫んだこともあるが、それが恒例のバレンタインソングカバーの始まりでもある。
その後、手塚も歌っているので勝者特典とは……と思ったが、すぐに気にしなくなったのは彼の懐の深さもあるだろう。
「相変わらず自信だけはたっぷりな奴だな」
「弱気な俺の方がお気に召すってのか?」
「全く。全然」
「だろ」
「っつーか、バレンタインにハッピーサマーバレンタイン? 何でもイベント事があればいいと思いやがって……」
「毎日何かしらの記念日でありイベント事だ。そんなのでいちいち突っかかってりゃキリねぇぜ」
「あんたは冬だけでなく夏にもチョコなんか貰ったら鬱陶しいと思わないわけ?」
毎年バレンタインデーといえば氷帝でもある意味大イベントである。
一番人気と言える跡部へのチョコレートは学園内だけでなく他校からも贈られるため、毎年トラックが何台も跡部邸へと運ばれていく。
一年に一度ならまだしも、夏も同じ現象が起こると思うと他人である麻美も頭が痛くなる。
ただでさえ暑いのに暑苦しいったらありゃしないのだ。
「日々進化する俺様に想いを伝えたいっつーなら仕方ねぇだろ」
「あぁ、そう」
どうやら跡部は迷惑とは思っていないようだ。それはそれで何だかムカつくなと麻美は思うがそれをわざわざ口にするのは躊躇する。
「それにハッピーサマーバレンタインってのは男だろうが女だろうが関係なく相手にチョコを贈り、想いを告げる日なんだってよ」
「チョコ溶けるだろ。季節的に」
「それがまた趣があるってもんだ」
「原型のない溶けたチョコなんざ欲しくないだろ」
「そこまでドロドロにするほど炎天下に放置する奴もそうそういないと思うがな。まぁ、お前ならそう言うと思ってしっかり対策は取ってある」
「は?」
「受け取りな。俺から赤宮へのハッピーサマーバレンタインだ」
跡部から渡されたのは上等なラッピングを施されたプレゼント。しかも直前まで冷やしてたのか、プレゼントそのものがひんやりとしている。
どういうことだと言わんばかりに無言で受け取ったそれを見つめる麻美に跡部は小さく笑う。
「警戒すんな。開けてみればいい」
言われるがまま包装されたプレゼントを開けてみる。中にはアイスブルーの薔薇が一輪とドライアイスでも入っているのかスモークが溢れ出していた。
「……薔薇? いや、薔薇に似せたチョコか」
「氷帝に相応しいカラーの薔薇を作らせたぜ。一枚一枚手に取ることが出来てまさに食べる薔薇だ」
「金かけやがって……」
跡部の言う通り一枚ずつ花弁を手に取って食べられる作りらしく、溜め息をつきながらも麻美は学校カラーの薔薇の花を一枚口に入れる。
「ん、うまっ」
「当たり前だ。この俺様が用意したものだから味は保証するぜ」
「そりゃああんたの所なら馬鹿みたいに美味いもんを用意するだろうな」
「……。赤宮、俺がお前にチョコを渡した意味くらいは分かるな?」
ここまでしたんだ。言いたいことは分かるだろ? そう言わんばかりの態度で麻美に尋ねると彼女はもちろんと言いたげに答えた。
「毎日マネージャー業に勤しむから労ったんだろ」
その返答に跡部は眉を寄せる。
(ちゃんと意味を教えた上でこの反応か? そこまで鈍感なのか、知っててわざとはぐらかしてるのか……はっきり言わなきゃ分からねぇならまた次の機会にでも試してみるか)
わざわざ種明かしするのは格好がつかない。気付かれない演出を説明するほど虚しいものはないだろう。そう考えた跡部は今度はもっと上手いことやらねぇと、と一人で次の機会を考えた。
(想いとやらを告げられてないからこれに深い意味はないのは分かってるが、跡部の奴いきなり考え込みやがったな。チョコが美味いならもっと褒めろってか? 面倒な性格だ)
対する麻美は深い意味がないと言い聞かせ勘違いしないように努めるが、跡部の表情を見て小さく溜め息をついたのだった。
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