自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.11 気にすることない。俺は事実を言ったまでだ
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いよいよ始まる地区予選。1年に1度、全国No.1の座を争う大会が幕を開く。地区予選、都大会、関東大会、全国大会。それらを全て勝ち続けなければならない長い戦いが始まる。
青学は第1シードなので準々決勝からのスタート。最初に対戦した玉林とのダブルスで少しヒヤリとした場面もあったが期待の1年越前と2年の桃城による機転により無事勝利を収めた。
しかし顧問はそれでもめちゃくちゃな試合をした二人を許さず、二人を次の試合とその次の試合を交互に補欠にさせることで罰を与える。
それでもシード校ということもあり、順調に勝ち進む中でいつもの大会とは違う空気が流れた。
『都大会出場候補の柿ノ木中が地区予選敗退した』
それは青学も驚く情報だった。柿ノ木といえば全国二連覇を成している立海大附属と何度も練習試合をしているシード校。
地区予選の決勝で当たるのは柿ノ木だと誰もが思っていたのだが、その柿ノ木中がストレート負け。主将である九鬼貴一でさえも2年に負かされた。ノーシードである無名の学校、不動峰中に。
「不動峰中!? 昨年の新人戦の直前、暴力沙汰で出場を辞退した?」
「オレあそこの顧問嫌い。エラそうで」
河村と菊丸による不動峰の情報に耳を傾ける秋は不穏な言葉を聞いてオロオロしてしまう。
「河村君、それ本当……? 危ない学校なの?」
「あー……俺も詳しいことは分からないんだけど、あまりいいイメージがないのは確かだね……」
「そうなんだ……」
そんな学校と対戦だなんて少し不安だった。ガラが悪かったらどうしようとか部員の品位が気にかかる。
不安気な青学のマネージャーの表情に気づいた乾は「大丈夫だ、九条」という言葉をかけた。
「試合を見てきたけどまったく別物だったね。選手は全員新レギュラーだ。部長以外はすべて2年生。顧問も替わったらしい。鍵を握るのは実質的に監督も兼任している部長の橘という男……」
「つまり、その不動峰はこれまでの不動峰とは別の新生不動峰ということだね!」
まるで関係者の如く青学の輪に入る遥が腕を組みながらドヤ顔で発言する。
一瞬だけ沈黙が起こったが溜め息をついた乾が野良猫を扱うかのように遥の首根っこを掴んだ。
「だからそう言っただろう。そもそもお前がなんでここまで首を突っ込むんだ」
「新聞部なのだから当然でしょっ!?」
「それでも部外者だろう。口を挟むんじゃない」
「ムキーッ!」
首根っこを掴まれたまま暴れる遥はそのまま乾に連れられ少し離れた場所へとポイッとされてしまう。
その様子を見た秋は「遥ってば……」と苦笑いするしかなかった。
すると1年生の堀尾が未知の相手とも言える学校への不安を払拭するためなのか、それともただのお調子者発言なのか「そんな新参者余裕ッスよ!!」と声を上げる。
しかしタイミングが悪かったのか、そんな彼の後ろに噂の不動峰が現れた。
(! あれが、不動峰……)
黒いユニフォーム。まるでダークホースだというのをそのジャージで示しているようだった。
先頭に立つベリーショートの男が手塚の前に立つ。
「俺は不動峰の部長、橘だ! いい試合をしよう」
「ああ」
握手を交わす様子を見た1年生達は緊張の糸が切れたかのように大息をついた。
最初に聞いたイメージとは違い、丁寧な対応をする不動峰の部長。それは先ほど乾の言った別物という言葉に間違いはなかった。
けれど部長の橘の後ろにいる2年生達はすでに貫禄があって緊張の色すら見えない。
そんな中、不動峰の一人がラケットの側面を使ってテニスボールを落とすことなくついている技を披露する。
これには秋も「わ……」と声が漏れた。手元も見ずにあそこまでのことが出来るなんてとても器用、そしてテクニックがある。
そう関心したのもつかの間、別の場所でもポーンポーンとボールをつく音が聞こえたのでその方向に目をやるとなんと期待の1年ルーキー越前リョーマも彼と同じようにラケットの側面でラケッティングを見せた。もちろん不動峰の部員と同じく手元を見ることなく、ジュースを飲みながらの余裕を見せつける。
(え、越前君……)
まさか挑発しているのだろうか。少しハラハラした気持ちで彼と不動峰メンバーを交互に見ていると、ひとつの影が不動峰の元へ駆け寄った。
「どうもー! 青学新聞部です! 決勝戦で青学に当たる不動峰さんですが意気込みとかあれば教えてくださいっ!」
「えっ」
なんと遥がメモ帳を片手に部長である橘にインタビューを始めていた。さすがに不動峰も戸惑いの表情を見せるので秋も慌て始め、彼女の元へ駆けつけその手を両手で掴む。
「遥っ、駄目でしょ! 勝手なことはっ」
「へ?」
「「西成」」
遥を呼ぶ声が重なる。呼ばれた本人が後ろを振り向けばそこには「人様に迷惑かけるな」という怒りのオーラを背後に背負った手塚と乾が立っていた。遥の苦手な眼鏡二人組みである。
「ひぇ……」
「乾、頼む」
「あぁ」
手塚がそう告げるとこくりと頷いた乾が再び遥の首根っこを掴み、今度はズルズルと引き摺って先ほどより遠くの場所へと連れて行った。
「ご、ごめんなさいっ! うちの学校の者が勝手にインタビューなんてっ!」
秋が遥に代わり大きく頭を下げる。せっかく礼儀良く挨拶してくれたのにこれでは青学の印象が悪くなってしまう。それだけは避けたくて秋は謝罪を述べると、彼女の肩が誰かの手によって掴まれ、そのまま上体を起こされた。
「て、手塚君」
「お前がすることではない。━━すまなかった。部外者とはいえ同じ学校の者が粗相をしてしまって」
「あぁ、いや、別にこちらは気にしてはいない。少し圧倒されてしまったが失礼というほどではなかったからな。それに面白いものも見られた」
そう言うと橘は越前に視線を向けてから「では、試合で会おう」と告げて立ち去った。
黒い軍団の背中を見送りながら秋は小さな溜め息を吐く。
「大丈夫か、九条?」
「あ、うん。私は全然……。フォローさせてごめんね。ありがとう、手塚君」
「気にすることない。俺は事実を言ったまでだ。……西成については後から俺も叱っておく」
僅かながら怒りの表情を見せる手塚に秋は心の中で「遥、また怒られちゃうね……」と苦笑するのだった。
離れた場所では乾より注意を受けてるであろう遥に目を向けながら。
青学は第1シードなので準々決勝からのスタート。最初に対戦した玉林とのダブルスで少しヒヤリとした場面もあったが期待の1年越前と2年の桃城による機転により無事勝利を収めた。
しかし顧問はそれでもめちゃくちゃな試合をした二人を許さず、二人を次の試合とその次の試合を交互に補欠にさせることで罰を与える。
それでもシード校ということもあり、順調に勝ち進む中でいつもの大会とは違う空気が流れた。
『都大会出場候補の柿ノ木中が地区予選敗退した』
それは青学も驚く情報だった。柿ノ木といえば全国二連覇を成している立海大附属と何度も練習試合をしているシード校。
地区予選の決勝で当たるのは柿ノ木だと誰もが思っていたのだが、その柿ノ木中がストレート負け。主将である九鬼貴一でさえも2年に負かされた。ノーシードである無名の学校、不動峰中に。
「不動峰中!? 昨年の新人戦の直前、暴力沙汰で出場を辞退した?」
「オレあそこの顧問嫌い。エラそうで」
河村と菊丸による不動峰の情報に耳を傾ける秋は不穏な言葉を聞いてオロオロしてしまう。
「河村君、それ本当……? 危ない学校なの?」
「あー……俺も詳しいことは分からないんだけど、あまりいいイメージがないのは確かだね……」
「そうなんだ……」
そんな学校と対戦だなんて少し不安だった。ガラが悪かったらどうしようとか部員の品位が気にかかる。
不安気な青学のマネージャーの表情に気づいた乾は「大丈夫だ、九条」という言葉をかけた。
「試合を見てきたけどまったく別物だったね。選手は全員新レギュラーだ。部長以外はすべて2年生。顧問も替わったらしい。鍵を握るのは実質的に監督も兼任している部長の橘という男……」
「つまり、その不動峰はこれまでの不動峰とは別の新生不動峰ということだね!」
まるで関係者の如く青学の輪に入る遥が腕を組みながらドヤ顔で発言する。
一瞬だけ沈黙が起こったが溜め息をついた乾が野良猫を扱うかのように遥の首根っこを掴んだ。
「だからそう言っただろう。そもそもお前がなんでここまで首を突っ込むんだ」
「新聞部なのだから当然でしょっ!?」
「それでも部外者だろう。口を挟むんじゃない」
「ムキーッ!」
首根っこを掴まれたまま暴れる遥はそのまま乾に連れられ少し離れた場所へとポイッとされてしまう。
その様子を見た秋は「遥ってば……」と苦笑いするしかなかった。
すると1年生の堀尾が未知の相手とも言える学校への不安を払拭するためなのか、それともただのお調子者発言なのか「そんな新参者余裕ッスよ!!」と声を上げる。
しかしタイミングが悪かったのか、そんな彼の後ろに噂の不動峰が現れた。
(! あれが、不動峰……)
黒いユニフォーム。まるでダークホースだというのをそのジャージで示しているようだった。
先頭に立つベリーショートの男が手塚の前に立つ。
「俺は不動峰の部長、橘だ! いい試合をしよう」
「ああ」
握手を交わす様子を見た1年生達は緊張の糸が切れたかのように大息をついた。
最初に聞いたイメージとは違い、丁寧な対応をする不動峰の部長。それは先ほど乾の言った別物という言葉に間違いはなかった。
けれど部長の橘の後ろにいる2年生達はすでに貫禄があって緊張の色すら見えない。
そんな中、不動峰の一人がラケットの側面を使ってテニスボールを落とすことなくついている技を披露する。
これには秋も「わ……」と声が漏れた。手元も見ずにあそこまでのことが出来るなんてとても器用、そしてテクニックがある。
そう関心したのもつかの間、別の場所でもポーンポーンとボールをつく音が聞こえたのでその方向に目をやるとなんと期待の1年ルーキー越前リョーマも彼と同じようにラケットの側面でラケッティングを見せた。もちろん不動峰の部員と同じく手元を見ることなく、ジュースを飲みながらの余裕を見せつける。
(え、越前君……)
まさか挑発しているのだろうか。少しハラハラした気持ちで彼と不動峰メンバーを交互に見ていると、ひとつの影が不動峰の元へ駆け寄った。
「どうもー! 青学新聞部です! 決勝戦で青学に当たる不動峰さんですが意気込みとかあれば教えてくださいっ!」
「えっ」
なんと遥がメモ帳を片手に部長である橘にインタビューを始めていた。さすがに不動峰も戸惑いの表情を見せるので秋も慌て始め、彼女の元へ駆けつけその手を両手で掴む。
「遥っ、駄目でしょ! 勝手なことはっ」
「へ?」
「「西成」」
遥を呼ぶ声が重なる。呼ばれた本人が後ろを振り向けばそこには「人様に迷惑かけるな」という怒りのオーラを背後に背負った手塚と乾が立っていた。遥の苦手な眼鏡二人組みである。
「ひぇ……」
「乾、頼む」
「あぁ」
手塚がそう告げるとこくりと頷いた乾が再び遥の首根っこを掴み、今度はズルズルと引き摺って先ほどより遠くの場所へと連れて行った。
「ご、ごめんなさいっ! うちの学校の者が勝手にインタビューなんてっ!」
秋が遥に代わり大きく頭を下げる。せっかく礼儀良く挨拶してくれたのにこれでは青学の印象が悪くなってしまう。それだけは避けたくて秋は謝罪を述べると、彼女の肩が誰かの手によって掴まれ、そのまま上体を起こされた。
「て、手塚君」
「お前がすることではない。━━すまなかった。部外者とはいえ同じ学校の者が粗相をしてしまって」
「あぁ、いや、別にこちらは気にしてはいない。少し圧倒されてしまったが失礼というほどではなかったからな。それに面白いものも見られた」
そう言うと橘は越前に視線を向けてから「では、試合で会おう」と告げて立ち去った。
黒い軍団の背中を見送りながら秋は小さな溜め息を吐く。
「大丈夫か、九条?」
「あ、うん。私は全然……。フォローさせてごめんね。ありがとう、手塚君」
「気にすることない。俺は事実を言ったまでだ。……西成については後から俺も叱っておく」
僅かながら怒りの表情を見せる手塚に秋は心の中で「遥、また怒られちゃうね……」と苦笑するのだった。
離れた場所では乾より注意を受けてるであろう遥に目を向けながら。