自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.10 君のことを心配する気持ちは理解してほしい
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結局、あのあとも赤宮さんと試合をしたけど、裕太の件もあって少し落ち込んだこともあり、1ゲーム落としてしまう。
とはいえ、それでも僕が勝ったことには変わりないので赤宮さんはやはり不服そうにしていた。そんな顔しても結果は変わらないのに。
こうしてテニスクラブで一日テニスをした僕達は帰りの電車に揺られていた。
車内はそんなに人は多くないので椅子に座り、静かに向かい窓の外の景色を眺める。
次の駅に到着するも人の乗り降りはあまりなかった。そして扉が閉まりかけたその瞬間、一人の男が駆け込み乗車をする。危ないなぁ、そんなふうに思っていたら彼は僕達と向かい合わせて座った。
それだけならまだ良かったけど、ぶつぶつと一人で喋っていてその声が段々と大きくなる。なるほど、これは関わりたくない人だね。
他の乗客も同じ考えなのか彼から距離を取ったり隣の車両に移り始める。
「……赤宮さん、他の車両に移動しようか」
ボソッと彼女に伝えると、赤宮さんの視線は目の前の男へと向けられた。
「うっせぇな、おっさん」
鋭い視線と不愉快だと言わんばかりのオーラを漂わせて彼女は男に口を開いた。まったくどうしてこの人はすぐに喧嘩を吹っかけるのか。しかも相手は学生でもない大人。さすがにその態度はまずい。
「ああ? ガキが何言いやがってんだ?」
あぁ、ほら。相手も彼女に目をつけてきた。しかも立ち上がって赤宮さんの前まで近づこうとする。
「すみません。彼女に悪気はありませんので落ち着いてもらえますか?」
すかさず赤宮さんの前に立ち、男が近づけないように間に入ると、相手は大きな舌打ちを鳴らす。
「女の前だからって格好つけてんじゃねぇよ、この優男が!」
男は構わず僕を突き飛ばしてきた。その勢いによろめくが倒れるほどではない。しかし相手は赤宮さんの目の前に立って座席に座る彼女を見下ろしていた。
「おい、女だろうとガキだろうと容赦しね━━ぶふっ!?」
男が赤宮さんに向けて手を伸ばす。危ない、そう思って手出ししようとする男の腕を掴もうとしたら赤宮さんの反応の方が早かった。
相手の手を強く払い除け、テニスバッグを男の横面に当ててからそれを背負うように立ち上がる。
「人の前に立ってんじゃねぇ」
「っ……んのアマッ!」
「待ってください! これ以上騒ぎを大きくすると警察を呼びますよ!」
もう一度、二人の間に立つ。赤宮さんを背にして今にも殴りかかりそうな男の壁になるように。
「そいつが先に喧嘩売ってきたんだろ!」
「それはあなたの公共のマナーがなっていないからでしょう? 言い分があるならそれこそ駅員さんか警察に間を入ってもらいますけど」
「っち! クソどもが!」
「あ゛?」
「赤宮さんっ」
ちょうど電車は次の駅に到着し、乗降扉が開くと男は暴言を吐きながら降車して行った。
しかしその態度がまた赤宮さんに火がついたのか男を追いかけようとしたので彼女の手を掴んで何とか落ち着かせようとする。
「相手を追う必要はないよ。それにここは僕達の降りる駅じゃないから一旦落ち着こう。ね?」
「馬鹿にされて落ち着けると思ってんの?」
「だからって追いかけたってどうしようもないさ。危ないよ」
「私が危ないかそうじゃないかなんてあんたには関係ないことだろ!」
掴んでいた手を振り払われたところで出発を控えた電車の扉は静かに閉まった。それを見た彼女は舌打ちをし、再びドカッと椅子に座り込む。ひとまず諦めてくれたようで僕も胸を撫で下ろし、そして彼女に向けて呟いた。
「……関係はある。赤宮さんにもしものことがあったら僕が心配なんだ」
「なんであんたが心配するわけ?」
なんで。そう問いたいのは僕の方だ。けれど心の奥底で見え隠れしていた感情が強く湧き上がる。
「僕は……赤宮さんに惹かれてるんだ」
「……は?」
急に何を言い出すのかと言いたげな彼女の呆気にとられる様子はとても理解出来る。僕も今この感情の正体を知ったんだ。
「だから危ないことはもちろん、傷つくようなこともしてほしくない」
「おい、さっきから何言ってんだ?」
「言葉の通りだよ。僕は赤宮さんのことが気になって仕方ないんだ。だから君のことを心配する気持ちは理解してほしい」
思えば前々から彼女のことは気になっていた。興味があったというべきだろうか? 女子には珍しいほど強い貫禄と自信を持っていて、傲慢すぎる所が目立つので少しお灸を据えるつもりで試合をしたに過ぎなかったのに。
テニスを通じて多少その距離が縮んだかと思えば遠く離れてしまったけど、関わりは強くなったのは確かだ。
気づけば赤宮さんのことを考えることが多くなったし、目で追うことも多くなった。
今にして思えば兆候はあったのだろう。僕は彼女を、赤宮さんのことを異性として意識し始めている。まだ強く自信を持って言えないのはおそらく自分自身でも戸惑っているからだと思う。
でも赤宮さんに告げた言葉に嘘偽りはなく本音である。
「ああ……分からんが、とりあえず分かった」
「うん。ありがとう」
赤宮さんも困惑しているのだろうけど僕の言葉が本気だということは伝わったようだ。
それからはお互いに何も話すことなく下車駅まで大人しく座っていた。
きっと赤宮さんもはっきりとしない僕の言葉の意味を考えているはず。それはちょっと申し訳ないと思うけど、はっきり言うのはまだちょっと自信がないし、すぐにフラれるのが目に見えるから大会前の今メンタルを弱らせるわけにはいかなかった。
中学最後の大会だから今はそっちに集中しないと。……せめてその間に赤宮さんが僕のことを意識してくれたらいいんだけど。さすがに難しいかな。
なんて、心の中で自嘲しながら僕は認めざるを得ない気持ちの整理した。
とはいえ、それでも僕が勝ったことには変わりないので赤宮さんはやはり不服そうにしていた。そんな顔しても結果は変わらないのに。
こうしてテニスクラブで一日テニスをした僕達は帰りの電車に揺られていた。
車内はそんなに人は多くないので椅子に座り、静かに向かい窓の外の景色を眺める。
次の駅に到着するも人の乗り降りはあまりなかった。そして扉が閉まりかけたその瞬間、一人の男が駆け込み乗車をする。危ないなぁ、そんなふうに思っていたら彼は僕達と向かい合わせて座った。
それだけならまだ良かったけど、ぶつぶつと一人で喋っていてその声が段々と大きくなる。なるほど、これは関わりたくない人だね。
他の乗客も同じ考えなのか彼から距離を取ったり隣の車両に移り始める。
「……赤宮さん、他の車両に移動しようか」
ボソッと彼女に伝えると、赤宮さんの視線は目の前の男へと向けられた。
「うっせぇな、おっさん」
鋭い視線と不愉快だと言わんばかりのオーラを漂わせて彼女は男に口を開いた。まったくどうしてこの人はすぐに喧嘩を吹っかけるのか。しかも相手は学生でもない大人。さすがにその態度はまずい。
「ああ? ガキが何言いやがってんだ?」
あぁ、ほら。相手も彼女に目をつけてきた。しかも立ち上がって赤宮さんの前まで近づこうとする。
「すみません。彼女に悪気はありませんので落ち着いてもらえますか?」
すかさず赤宮さんの前に立ち、男が近づけないように間に入ると、相手は大きな舌打ちを鳴らす。
「女の前だからって格好つけてんじゃねぇよ、この優男が!」
男は構わず僕を突き飛ばしてきた。その勢いによろめくが倒れるほどではない。しかし相手は赤宮さんの目の前に立って座席に座る彼女を見下ろしていた。
「おい、女だろうとガキだろうと容赦しね━━ぶふっ!?」
男が赤宮さんに向けて手を伸ばす。危ない、そう思って手出ししようとする男の腕を掴もうとしたら赤宮さんの反応の方が早かった。
相手の手を強く払い除け、テニスバッグを男の横面に当ててからそれを背負うように立ち上がる。
「人の前に立ってんじゃねぇ」
「っ……んのアマッ!」
「待ってください! これ以上騒ぎを大きくすると警察を呼びますよ!」
もう一度、二人の間に立つ。赤宮さんを背にして今にも殴りかかりそうな男の壁になるように。
「そいつが先に喧嘩売ってきたんだろ!」
「それはあなたの公共のマナーがなっていないからでしょう? 言い分があるならそれこそ駅員さんか警察に間を入ってもらいますけど」
「っち! クソどもが!」
「あ゛?」
「赤宮さんっ」
ちょうど電車は次の駅に到着し、乗降扉が開くと男は暴言を吐きながら降車して行った。
しかしその態度がまた赤宮さんに火がついたのか男を追いかけようとしたので彼女の手を掴んで何とか落ち着かせようとする。
「相手を追う必要はないよ。それにここは僕達の降りる駅じゃないから一旦落ち着こう。ね?」
「馬鹿にされて落ち着けると思ってんの?」
「だからって追いかけたってどうしようもないさ。危ないよ」
「私が危ないかそうじゃないかなんてあんたには関係ないことだろ!」
掴んでいた手を振り払われたところで出発を控えた電車の扉は静かに閉まった。それを見た彼女は舌打ちをし、再びドカッと椅子に座り込む。ひとまず諦めてくれたようで僕も胸を撫で下ろし、そして彼女に向けて呟いた。
「……関係はある。赤宮さんにもしものことがあったら僕が心配なんだ」
「なんであんたが心配するわけ?」
なんで。そう問いたいのは僕の方だ。けれど心の奥底で見え隠れしていた感情が強く湧き上がる。
「僕は……赤宮さんに惹かれてるんだ」
「……は?」
急に何を言い出すのかと言いたげな彼女の呆気にとられる様子はとても理解出来る。僕も今この感情の正体を知ったんだ。
「だから危ないことはもちろん、傷つくようなこともしてほしくない」
「おい、さっきから何言ってんだ?」
「言葉の通りだよ。僕は赤宮さんのことが気になって仕方ないんだ。だから君のことを心配する気持ちは理解してほしい」
思えば前々から彼女のことは気になっていた。興味があったというべきだろうか? 女子には珍しいほど強い貫禄と自信を持っていて、傲慢すぎる所が目立つので少しお灸を据えるつもりで試合をしたに過ぎなかったのに。
テニスを通じて多少その距離が縮んだかと思えば遠く離れてしまったけど、関わりは強くなったのは確かだ。
気づけば赤宮さんのことを考えることが多くなったし、目で追うことも多くなった。
今にして思えば兆候はあったのだろう。僕は彼女を、赤宮さんのことを異性として意識し始めている。まだ強く自信を持って言えないのはおそらく自分自身でも戸惑っているからだと思う。
でも赤宮さんに告げた言葉に嘘偽りはなく本音である。
「ああ……分からんが、とりあえず分かった」
「うん。ありがとう」
赤宮さんも困惑しているのだろうけど僕の言葉が本気だということは伝わったようだ。
それからはお互いに何も話すことなく下車駅まで大人しく座っていた。
きっと赤宮さんもはっきりとしない僕の言葉の意味を考えているはず。それはちょっと申し訳ないと思うけど、はっきり言うのはまだちょっと自信がないし、すぐにフラれるのが目に見えるから大会前の今メンタルを弱らせるわけにはいかなかった。
中学最後の大会だから今はそっちに集中しないと。……せめてその間に赤宮さんが僕のことを意識してくれたらいいんだけど。さすがに難しいかな。
なんて、心の中で自嘲しながら僕は認めざるを得ない気持ちの整理した。