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vol.10 君のことを心配する気持ちは理解してほしい
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「遥と大石君、やっぱりこの辺りにはいなさそうだね」
困り気な表情の九条が呟く。大石達とはぐれて30分が経ったくらいだろうか。水槽を眺めつつ、二人を探す九条だがおそらくこの辺りにはいないだろう。
……実は大石が西成の手を引いてずっと奥に向かって行ったのを俺は見ていた。大石にして珍しい行動である。いつものあいつなら団体を乱すようなことはしない。むしろ周りに目を向けるような男だ。
それにはぐれたことに一番に気づきそうな奴が連絡すらしないのだから、もしかして気を遣って九条と二人きりにしてくれたのだろうか。……しかし、なぜ分かったんだ? 俺は話してないはずだが?
「そろそろ二人に連絡しておいた方がいいよね?」
「……そうだな。俺から大石に連絡してみよう」
九条が不安そうな顔をするのでこれ以上は無視出来ないと判断する。彼女は優しいのだから二人が心配になったのだろう。
二人がはぐれたことを知っていながら黙っているのは申し訳ないと思いつつも、二人で行動を共に出来ることには喜びを感じている。我ながら浅ましいのは認めざるを得ない。
ひとまず大石にメッセージを打ち込む。今どこにいる? という簡潔な文で。返事はすぐに来た。
『ごめん、手塚。西成さんと熱帯魚エリアを見てたんだ。それで彼女と話し合ったんだけど、人も多いし、合流するのは大変だろうからイルカショーの時までお互い別行動でいいかな?』
なるほど。大石の案か西成の案かは分からないがその提案には俺も賛成だ。それに西成も別行動を強く望んでいるだろう。どういう経緯かは知らないが、あいつは大石に気があるようだ。
「九条。大石達が人混みの中での合流は大変だからイルカショーの時までは別行動するそうだ」
「そうなんだ。二人が困ってないなら良かったよ」
「向こうには大石がいるんだ。困るようなことにはならないだろう」
「ふふっ。それじゃあ、イルカショーまで他を見て回ろっか」
「あぁ」
暗がりの中でも九条の柔らかい笑みは眩しさを覚える。
ゆっくり館内を見て回っていても水槽より彼女の表情ばかり見てしまう。そんな俺とは違って九条は泳ぐ海の生き物達に夢中だった。
時折、俺の方を見ては楽しげに笑いながら観賞した生き物の感想を述べたり、近くにある水槽の住人に関する説明文が書かれた看板を真剣に見ていたりと彼女は水族館を満喫しているようだ。
そのような九条の姿を見られて嬉しさを感じた俺は無意識にフッと笑ってしまった。あろうことかそれを彼女に見られてしまい、無意味だろうが咳払いをして誤魔化す。
「手塚君が楽しそうで良かった」
お前がいるからだ。と言えるはずもなく、出かかった言葉を飲み込む。
「九条も楽しんでいるんじゃないのか?」
「もちろん。それに手塚君達とこうして一緒に出かけるのは初めてだからもっと楽しいよ。……まぁ、今は遥と大石君はいないけど」
「……じゃあ、また一緒に出かけよう。九条が良ければだが」
「うん。その時はまたよろしくね」
社交辞令だと思われたりしないだろうか。言葉数が少ないと言われることもあるので気掛かりではある。
そうしている間にもショーの時間が迫っていた。そろそろ行かないといけないが、二人でいるこの状況を終わりにするのが惜しくて仕方ない。
「そろそろ時間だね。他のお客さん達も同じ方へ向かうと思うし、私達もはぐれないように気をつけなきゃ」
俺ははぐれるつもりも目を離すつもりもないから九条と離れ離れにはならない。いや、そうはさせない。それを確実なものにするため、俺は彼女の手を掴んだ。
「え……手塚、君?」
「こうすればはぐれないですむだろう」
「う、うん」
拒絶はされなかったのでひとますは安心した。一方的に彼女の手を掴んだが変に思われないか気になって九条の表情を確認すると、驚くことに彼女は僅かに顔を赤らめていることに気づく。
……その反応は少し期待してもいいのだろうか? 悪い反応ではないことは確かなので俺の胸も熱くなった。
困り気な表情の九条が呟く。大石達とはぐれて30分が経ったくらいだろうか。水槽を眺めつつ、二人を探す九条だがおそらくこの辺りにはいないだろう。
……実は大石が西成の手を引いてずっと奥に向かって行ったのを俺は見ていた。大石にして珍しい行動である。いつものあいつなら団体を乱すようなことはしない。むしろ周りに目を向けるような男だ。
それにはぐれたことに一番に気づきそうな奴が連絡すらしないのだから、もしかして気を遣って九条と二人きりにしてくれたのだろうか。……しかし、なぜ分かったんだ? 俺は話してないはずだが?
「そろそろ二人に連絡しておいた方がいいよね?」
「……そうだな。俺から大石に連絡してみよう」
九条が不安そうな顔をするのでこれ以上は無視出来ないと判断する。彼女は優しいのだから二人が心配になったのだろう。
二人がはぐれたことを知っていながら黙っているのは申し訳ないと思いつつも、二人で行動を共に出来ることには喜びを感じている。我ながら浅ましいのは認めざるを得ない。
ひとまず大石にメッセージを打ち込む。今どこにいる? という簡潔な文で。返事はすぐに来た。
『ごめん、手塚。西成さんと熱帯魚エリアを見てたんだ。それで彼女と話し合ったんだけど、人も多いし、合流するのは大変だろうからイルカショーの時までお互い別行動でいいかな?』
なるほど。大石の案か西成の案かは分からないがその提案には俺も賛成だ。それに西成も別行動を強く望んでいるだろう。どういう経緯かは知らないが、あいつは大石に気があるようだ。
「九条。大石達が人混みの中での合流は大変だからイルカショーの時までは別行動するそうだ」
「そうなんだ。二人が困ってないなら良かったよ」
「向こうには大石がいるんだ。困るようなことにはならないだろう」
「ふふっ。それじゃあ、イルカショーまで他を見て回ろっか」
「あぁ」
暗がりの中でも九条の柔らかい笑みは眩しさを覚える。
ゆっくり館内を見て回っていても水槽より彼女の表情ばかり見てしまう。そんな俺とは違って九条は泳ぐ海の生き物達に夢中だった。
時折、俺の方を見ては楽しげに笑いながら観賞した生き物の感想を述べたり、近くにある水槽の住人に関する説明文が書かれた看板を真剣に見ていたりと彼女は水族館を満喫しているようだ。
そのような九条の姿を見られて嬉しさを感じた俺は無意識にフッと笑ってしまった。あろうことかそれを彼女に見られてしまい、無意味だろうが咳払いをして誤魔化す。
「手塚君が楽しそうで良かった」
お前がいるからだ。と言えるはずもなく、出かかった言葉を飲み込む。
「九条も楽しんでいるんじゃないのか?」
「もちろん。それに手塚君達とこうして一緒に出かけるのは初めてだからもっと楽しいよ。……まぁ、今は遥と大石君はいないけど」
「……じゃあ、また一緒に出かけよう。九条が良ければだが」
「うん。その時はまたよろしくね」
社交辞令だと思われたりしないだろうか。言葉数が少ないと言われることもあるので気掛かりではある。
そうしている間にもショーの時間が迫っていた。そろそろ行かないといけないが、二人でいるこの状況を終わりにするのが惜しくて仕方ない。
「そろそろ時間だね。他のお客さん達も同じ方へ向かうと思うし、私達もはぐれないように気をつけなきゃ」
俺ははぐれるつもりも目を離すつもりもないから九条と離れ離れにはならない。いや、そうはさせない。それを確実なものにするため、俺は彼女の手を掴んだ。
「え……手塚、君?」
「こうすればはぐれないですむだろう」
「う、うん」
拒絶はされなかったのでひとますは安心した。一方的に彼女の手を掴んだが変に思われないか気になって九条の表情を確認すると、驚くことに彼女は僅かに顔を赤らめていることに気づく。
……その反応は少し期待してもいいのだろうか? 悪い反応ではないことは確かなので俺の胸も熱くなった。