自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.10 君のことを心配する気持ちは理解してほしい
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「くそっ! 本当にムカつく奴だなあんた!」
試合を終えたテニスコートで赤宮さんが悔しげな表情と共に声を上げる。
ストリートテニス場は人が多いので地元から少し離れた場所にあるテニスクラブへと彼女を案内した。
もちろん提案は僕なので彼女の分の利用料金は支払うことを申し出る。驚くことに赤宮さんから「出来た奴だな」とお褒めの言葉を頂けた。
いつも彼女から悪態つかれてばかりなので気分良くしていたのだけど、いざコートで試合をしたら赤宮さんは不機嫌になって僕を睨みつける。ちょっとだけ舞い上がって気持ち良く試合をした結果0-6で勝利したのがいけなかったのかな。
「でも、僕が真剣に試合をしないと赤宮さんはもっと腹立たしくなるでしょ?」
「当たり前だっ」
「それじゃあ、そんなに怒らなくてもいいんじゃないかな?」
「ムカつくんだから仕方ないだろ」
フンッとそっぽを向く赤宮さんにどうしようかなと悩む。小さな子どもみたいに不貞腐れる彼女の機嫌をどうしたら良くなるだろうか。
「ひとまず休憩しようか。しっかり水分取って休んでから体力が続くようならもう1試合する?」
「体力が続くようなら、だと? こっちはまだやれる。馬鹿にすんな」
「そんなつもりはないけど、それなら良かったよ。赤宮さんって体力ある方なんだね」
「……余裕そうなのが本当に腹立つな。そこらの女子の体力と一緒にするなよ」
「赤宮さんは元から他の女子より一際強いと思ってるよ」
「思ってもないことを」
「本当なんだけどな……」
お世辞でもないんだけど赤宮さんには通じないようだ。信用ないなぁ、僕。
ちょっと残念ではあるけど、そんな彼女を何とか説得してクラブハウスにある休憩スペースへと向かう。
自販機でスポーツ飲料を二本買ってソファーで休む彼女に一本差し出す。
「どうぞ」
「……あぁ」
何か言いたげな表情ではあるが疲れるだけと気づいたのか赤宮さんは特に何も言うことはなく素直に受け取ってくれた。
反発ばかりする彼女が少しだけ受け入れてくれたのかなと思うと僕は嬉しくなって赤宮さんの隣に座る。
先ほどから彼女の言動に一喜一憂してるような気がするけど、その理由を考え━━ようとしたら僕の視界に入った人物を見て思わず声を上げた。
「裕太っ」
「!」
自販機で飲み物を買っていた後ろ姿が弟の裕太に酷似していたからもしかしてと思って声をかけた。名前に反応して振り返った彼が僕と目を合わせる。あぁ、やっぱり裕太だ。弟を見間違えるわけがない。
そもそもここのテニスクラブだって裕太が通ってると母さんから聞いて僕もたまに足を運んでいた。いつか裕太と会えたらいいなって思っていたからこうして顔を合わせることが出来て嬉しくなり、席を立ち彼の元へ近づく。
「久しぶりだね、裕太も来てたんだ。最近どう? 寮暮らしは大変じゃない?」
「……別に兄貴には関係ねーだろ」
「家族だから関係なくはないと思うけど」
「いちいちうるせーんだよっ」
……何となく分かっていたとはいえ、実の弟に鬱陶しがられるとちょっと傷ついてしまう。赤宮さんといい、裕太といい、僕は人を怒らせるのが得意なようだ。
「……せっかくだから少しだけでも話しないかな?」
「フン。俺は大会前の練習で忙しいんだよ。兄貴みたいに女子と遊んでる暇なんてねぇし」
「誤解だよ、裕太。僕も彼女と練習してるんだ。彼女、赤宮さんはミクスド大会に出場する有能な青学女子テニス部員なんだよ」
赤宮さんの紹介をするとソファーで座っていた彼女が不思議そうに呟いた。
「あんたら兄弟か? 弟の方はテニス部で見た記憶ないけど」
弟、という言葉にぴくりと反応した裕太が拳を強く握り締め、忌々しいという表情を彼女に向ける。あ、これはまずい。
「弟って言わないでもらえます?」
「じゃあ名乗れ。弟」
鼻で笑うように煽る赤宮さんと奥歯を噛み締めてるであろう裕太。裕太が過敏過ぎたのも原因だけど、赤宮さんも煽るので僕はどっちを宥めたらいいのか。
「っ……裕太。俺は聖ルドルフ2年の不二裕太だ」
「ふーん。うちで見ないと思ったら別の学校か。裕太だな。名前を忘れない限りそう呼んでおいてやる」
「何なんださっきからこの人のこの態度っ……俺を馬鹿にするための兄貴の回し者か!?」
「いや、彼女は素でこうなんだ」
「っち。なんだよっ、くそっ!」
舌打ちをすると裕太は挨拶することなくさっさと休憩室から姿を消してしまった。僕が「待ってよ、裕太」と声をかけても無視されてしまう。
「……行っちゃった」
「あんた弟から相当嫌われてるな」
ざまあみろという表情で口角を上げながらスポーツ飲料水の蓋を開けた赤宮さんはそのまま喉を潤していた。
「そんな嬉しそうに言われるとさすがの僕も凹むんだけど……」
事実だから否定出来ないので深い溜め息を吐き捨てるしかなかった。
試合を終えたテニスコートで赤宮さんが悔しげな表情と共に声を上げる。
ストリートテニス場は人が多いので地元から少し離れた場所にあるテニスクラブへと彼女を案内した。
もちろん提案は僕なので彼女の分の利用料金は支払うことを申し出る。驚くことに赤宮さんから「出来た奴だな」とお褒めの言葉を頂けた。
いつも彼女から悪態つかれてばかりなので気分良くしていたのだけど、いざコートで試合をしたら赤宮さんは不機嫌になって僕を睨みつける。ちょっとだけ舞い上がって気持ち良く試合をした結果0-6で勝利したのがいけなかったのかな。
「でも、僕が真剣に試合をしないと赤宮さんはもっと腹立たしくなるでしょ?」
「当たり前だっ」
「それじゃあ、そんなに怒らなくてもいいんじゃないかな?」
「ムカつくんだから仕方ないだろ」
フンッとそっぽを向く赤宮さんにどうしようかなと悩む。小さな子どもみたいに不貞腐れる彼女の機嫌をどうしたら良くなるだろうか。
「ひとまず休憩しようか。しっかり水分取って休んでから体力が続くようならもう1試合する?」
「体力が続くようなら、だと? こっちはまだやれる。馬鹿にすんな」
「そんなつもりはないけど、それなら良かったよ。赤宮さんって体力ある方なんだね」
「……余裕そうなのが本当に腹立つな。そこらの女子の体力と一緒にするなよ」
「赤宮さんは元から他の女子より一際強いと思ってるよ」
「思ってもないことを」
「本当なんだけどな……」
お世辞でもないんだけど赤宮さんには通じないようだ。信用ないなぁ、僕。
ちょっと残念ではあるけど、そんな彼女を何とか説得してクラブハウスにある休憩スペースへと向かう。
自販機でスポーツ飲料を二本買ってソファーで休む彼女に一本差し出す。
「どうぞ」
「……あぁ」
何か言いたげな表情ではあるが疲れるだけと気づいたのか赤宮さんは特に何も言うことはなく素直に受け取ってくれた。
反発ばかりする彼女が少しだけ受け入れてくれたのかなと思うと僕は嬉しくなって赤宮さんの隣に座る。
先ほどから彼女の言動に一喜一憂してるような気がするけど、その理由を考え━━ようとしたら僕の視界に入った人物を見て思わず声を上げた。
「裕太っ」
「!」
自販機で飲み物を買っていた後ろ姿が弟の裕太に酷似していたからもしかしてと思って声をかけた。名前に反応して振り返った彼が僕と目を合わせる。あぁ、やっぱり裕太だ。弟を見間違えるわけがない。
そもそもここのテニスクラブだって裕太が通ってると母さんから聞いて僕もたまに足を運んでいた。いつか裕太と会えたらいいなって思っていたからこうして顔を合わせることが出来て嬉しくなり、席を立ち彼の元へ近づく。
「久しぶりだね、裕太も来てたんだ。最近どう? 寮暮らしは大変じゃない?」
「……別に兄貴には関係ねーだろ」
「家族だから関係なくはないと思うけど」
「いちいちうるせーんだよっ」
……何となく分かっていたとはいえ、実の弟に鬱陶しがられるとちょっと傷ついてしまう。赤宮さんといい、裕太といい、僕は人を怒らせるのが得意なようだ。
「……せっかくだから少しだけでも話しないかな?」
「フン。俺は大会前の練習で忙しいんだよ。兄貴みたいに女子と遊んでる暇なんてねぇし」
「誤解だよ、裕太。僕も彼女と練習してるんだ。彼女、赤宮さんはミクスド大会に出場する有能な青学女子テニス部員なんだよ」
赤宮さんの紹介をするとソファーで座っていた彼女が不思議そうに呟いた。
「あんたら兄弟か? 弟の方はテニス部で見た記憶ないけど」
弟、という言葉にぴくりと反応した裕太が拳を強く握り締め、忌々しいという表情を彼女に向ける。あ、これはまずい。
「弟って言わないでもらえます?」
「じゃあ名乗れ。弟」
鼻で笑うように煽る赤宮さんと奥歯を噛み締めてるであろう裕太。裕太が過敏過ぎたのも原因だけど、赤宮さんも煽るので僕はどっちを宥めたらいいのか。
「っ……裕太。俺は聖ルドルフ2年の不二裕太だ」
「ふーん。うちで見ないと思ったら別の学校か。裕太だな。名前を忘れない限りそう呼んでおいてやる」
「何なんださっきからこの人のこの態度っ……俺を馬鹿にするための兄貴の回し者か!?」
「いや、彼女は素でこうなんだ」
「っち。なんだよっ、くそっ!」
舌打ちをすると裕太は挨拶することなくさっさと休憩室から姿を消してしまった。僕が「待ってよ、裕太」と声をかけても無視されてしまう。
「……行っちゃった」
「あんた弟から相当嫌われてるな」
ざまあみろという表情で口角を上げながらスポーツ飲料水の蓋を開けた赤宮さんはそのまま喉を潤していた。
「そんな嬉しそうに言われるとさすがの僕も凹むんだけど……」
事実だから否定出来ないので深い溜め息を吐き捨てるしかなかった。