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vol.10 君のことを心配する気持ちは理解してほしい
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俺、手塚、九条さんに西成さんの四人で行く水族館。チケットを買って入場すると、やはり日曜のお昼ということもあり混んでいるようだ。
入場前は西成さんと仲良く言い合いをしていた手塚も館内に入ればすぐに九条さんの隣を陣取っていた。普段ならそれくらい気にしないけど、彼女に気があると思われる手塚のその行動にはそれなり意味があるんだろうなと少し微笑ましく思う。
多分、はぐれないようにと考えて一番離れたくない人物の隣に行ったのだろう。確かに人が多いからはぐれないとも言い切れない。俺もはぐれないように三人を見て━━。
……いや、待てよ。ここはあえてはぐれて二人きりにさせるというのもいいんじゃないだろうか? やはり恋愛にはそういうハプニングというかイベントが付きものだ。
九条さんも手塚と西成さんの仲を気にする素振りがあったし、少し妬いていた可能性もあるだろう。おそらく九条さんも手塚のことを少しは気になっているんじゃないかって気がする。
けれど、ひとつ気がかりなのは俺の傍にいる西成さんだ。彼女も手塚のことを好いている。言わば三角関係状態だ。もちろん彼女のことも応援したいが、手塚との付き合いが長い分俺はあいつの背中を押したい。
天秤をかけてしまったことは二人に対しても申し訳ないが、手塚の友人として俺はお前を応援するぞ、手塚っ!
ちょうど今は手塚と九条さんは水槽前で話に夢中になっているし、西成さんは隣の水槽を見ている。実行に移すなら今しかない。
「西成さん。あっちの水槽何だか面白そうだよ」
「えっ?」
二人に聞かれないように小声で彼女に声をかけ、すぐさまその手を取って先に前へと進む。人が多いし、館内では走れないので早足にはなるがおそらくすぐに二人の視界から消えることには成功しているだろう。
迷路のごとく分かれ道がいくつかあるので簡単には合流出来ないように可能な限り複雑な道を選ぶ。
しばらく離れただろうという所で足を止め、後ろを振り向き二人の姿がないことを確認してから「ふぅ」と息を吐く。
「お、大石っ。つ、着いたの?」
その声にハッとする。そうだ、俺の手は西成さんの手を握っていたんだ。
いくら手塚達から離れるための手段とはいえ思いきり女子の手を取って引っ張るという大胆な行動を起こしたことに今さら恥ずかしくなり、慌ててその手を離した。
「あっ、ご、ごめん! びっくりしただろ? 突然こんなこと……!」
「確かにびっくりしたけど大石ってばそんなに水族館を楽しみにしてたんだなって!」
ちょっと照れながら笑う西成さんの言葉を聞いて少しだけ罪悪感を抱く。そうだけど、そうじゃないというか……ごめん、西成さん。
「それでここは熱帯魚かな? ちっちゃい魚がいっぱいだねっ」
あまり深く考えずに進んでいたから気がつかなかったけど西成さんの言う通りそこは熱帯魚エリアで、トンネルのような通路のあちこちに小さな水槽が並んでいた。
良かった。ここなら俺の得意分野だ。上手く説明出来るぞ。
「そ、そうなんだよ。俺さ、趣味がアクアリウムだから熱帯魚が好きで━━」
「熱帯魚が好きなんだねっ?」
「え? あ、あぁ」
なぜか食い気味に聞かれた。もしかして疑われてる? でも趣味に関しては間違いなく本当のことだけど……って、目が輝かしいな。あ、西成さんも熱帯魚に興味があるのかな?
「それじゃあ、この中に大石の飼ってる熱帯魚もいるの?」
「もちろん。えっと、ネオンテトラとかグッピー、メダカもいるし……あっ。これがネオンテトラだよ。青と赤の色合いが綺麗でさ。まるで青学カラーみたいで好きな熱帯魚のひとつさ」
ちょうど前の空いていた水槽にいるネオンテトラを指差す。この鮮やかなコントラストはやっぱり綺麗なんだよな。
「熱帯魚の初心者でも手が出しやすいし、優しい性格だから混泳しやすいんだ」
「ほうほう。確かに綺麗な色してるよねー」
「水草の育成との相性もいいし群泳も綺麗だし。あ、あそこのグッピーは……」
好きなものだからということもあり、西成さんにあれこれと沢山話をしていた。夢中になっていたせいで熱帯魚エリアに長い時間留まっていたことも気づかずに。
しばらくしてから俺は気づいた。もしかして話しすぎただろうか、と。しまった。さすがに西成さんも飽きるよな……。
「ごめん、西成さん。同じ場所ばかりで━━」
「ね、ね、ね、大石! エンゼルフィッシュは大石の水槽にもいるのっ?」
「え? あ、いや。残念ながらエンゼルフィッシュは攻撃的でネオンテトラ達を食べてしまう恐れがあるから混泳は出来ないんだ」
「そっかー。なんでも一緒には飼えないんだね」
てっきり呆れてるのかと思っていたけど、まさかこんなにも真剣に話を聞いていてくれたとは。なんて良い子なんだ。手塚と離れてしまったというのに。
……いや、その前にはぐれてしまったことに気づいてるのだろうか? 気づかないほど俺の話を真面目に聞いていたのかな。それはそれで時間を稼げるからいいんだけど……ううっ、何だか罪悪感が強くなってしまった。
「そ、そういえば手塚と九条さんがいないなっ」
「ん? あ、ほんとだ。いないね?」
悪い、手塚。これ以上は俺の良心が持たない。これでも俺なりに頑張ったんだ。
入場前は西成さんと仲良く言い合いをしていた手塚も館内に入ればすぐに九条さんの隣を陣取っていた。普段ならそれくらい気にしないけど、彼女に気があると思われる手塚のその行動にはそれなり意味があるんだろうなと少し微笑ましく思う。
多分、はぐれないようにと考えて一番離れたくない人物の隣に行ったのだろう。確かに人が多いからはぐれないとも言い切れない。俺もはぐれないように三人を見て━━。
……いや、待てよ。ここはあえてはぐれて二人きりにさせるというのもいいんじゃないだろうか? やはり恋愛にはそういうハプニングというかイベントが付きものだ。
九条さんも手塚と西成さんの仲を気にする素振りがあったし、少し妬いていた可能性もあるだろう。おそらく九条さんも手塚のことを少しは気になっているんじゃないかって気がする。
けれど、ひとつ気がかりなのは俺の傍にいる西成さんだ。彼女も手塚のことを好いている。言わば三角関係状態だ。もちろん彼女のことも応援したいが、手塚との付き合いが長い分俺はあいつの背中を押したい。
天秤をかけてしまったことは二人に対しても申し訳ないが、手塚の友人として俺はお前を応援するぞ、手塚っ!
ちょうど今は手塚と九条さんは水槽前で話に夢中になっているし、西成さんは隣の水槽を見ている。実行に移すなら今しかない。
「西成さん。あっちの水槽何だか面白そうだよ」
「えっ?」
二人に聞かれないように小声で彼女に声をかけ、すぐさまその手を取って先に前へと進む。人が多いし、館内では走れないので早足にはなるがおそらくすぐに二人の視界から消えることには成功しているだろう。
迷路のごとく分かれ道がいくつかあるので簡単には合流出来ないように可能な限り複雑な道を選ぶ。
しばらく離れただろうという所で足を止め、後ろを振り向き二人の姿がないことを確認してから「ふぅ」と息を吐く。
「お、大石っ。つ、着いたの?」
その声にハッとする。そうだ、俺の手は西成さんの手を握っていたんだ。
いくら手塚達から離れるための手段とはいえ思いきり女子の手を取って引っ張るという大胆な行動を起こしたことに今さら恥ずかしくなり、慌ててその手を離した。
「あっ、ご、ごめん! びっくりしただろ? 突然こんなこと……!」
「確かにびっくりしたけど大石ってばそんなに水族館を楽しみにしてたんだなって!」
ちょっと照れながら笑う西成さんの言葉を聞いて少しだけ罪悪感を抱く。そうだけど、そうじゃないというか……ごめん、西成さん。
「それでここは熱帯魚かな? ちっちゃい魚がいっぱいだねっ」
あまり深く考えずに進んでいたから気がつかなかったけど西成さんの言う通りそこは熱帯魚エリアで、トンネルのような通路のあちこちに小さな水槽が並んでいた。
良かった。ここなら俺の得意分野だ。上手く説明出来るぞ。
「そ、そうなんだよ。俺さ、趣味がアクアリウムだから熱帯魚が好きで━━」
「熱帯魚が好きなんだねっ?」
「え? あ、あぁ」
なぜか食い気味に聞かれた。もしかして疑われてる? でも趣味に関しては間違いなく本当のことだけど……って、目が輝かしいな。あ、西成さんも熱帯魚に興味があるのかな?
「それじゃあ、この中に大石の飼ってる熱帯魚もいるの?」
「もちろん。えっと、ネオンテトラとかグッピー、メダカもいるし……あっ。これがネオンテトラだよ。青と赤の色合いが綺麗でさ。まるで青学カラーみたいで好きな熱帯魚のひとつさ」
ちょうど前の空いていた水槽にいるネオンテトラを指差す。この鮮やかなコントラストはやっぱり綺麗なんだよな。
「熱帯魚の初心者でも手が出しやすいし、優しい性格だから混泳しやすいんだ」
「ほうほう。確かに綺麗な色してるよねー」
「水草の育成との相性もいいし群泳も綺麗だし。あ、あそこのグッピーは……」
好きなものだからということもあり、西成さんにあれこれと沢山話をしていた。夢中になっていたせいで熱帯魚エリアに長い時間留まっていたことも気づかずに。
しばらくしてから俺は気づいた。もしかして話しすぎただろうか、と。しまった。さすがに西成さんも飽きるよな……。
「ごめん、西成さん。同じ場所ばかりで━━」
「ね、ね、ね、大石! エンゼルフィッシュは大石の水槽にもいるのっ?」
「え? あ、いや。残念ながらエンゼルフィッシュは攻撃的でネオンテトラ達を食べてしまう恐れがあるから混泳は出来ないんだ」
「そっかー。なんでも一緒には飼えないんだね」
てっきり呆れてるのかと思っていたけど、まさかこんなにも真剣に話を聞いていてくれたとは。なんて良い子なんだ。手塚と離れてしまったというのに。
……いや、その前にはぐれてしまったことに気づいてるのだろうか? 気づかないほど俺の話を真面目に聞いていたのかな。それはそれで時間を稼げるからいいんだけど……ううっ、何だか罪悪感が強くなってしまった。
「そ、そういえば手塚と九条さんがいないなっ」
「ん? あ、ほんとだ。いないね?」
悪い、手塚。これ以上は俺の良心が持たない。これでも俺なりに頑張ったんだ。