自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.3 困ってる人がいたら助けるものだろ?
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6時間目の授業が終わり俺はすぐに身支度を整える。
すると隣の席に座る西成が申し訳ないような控えめな態度で「あのー……手塚にちょっとお話がありまして」と声をかけてきた。
だが、俺は少し急いでいたので「すまないが、今日は急いでるので明日にしてほしい」と告げ、教室から出たその時、ちょうど隣のクラスから教室を出て廊下を歩く九条の後ろ姿が見えた。
「九条」
声をかけると彼女は歩みを止め、後ろを振り返る。
「あ、手塚君。どうしたの?」
ふんわりと微笑む彼女に俺は自分の鞄からファイルを取り出して、そこからルーズリーフの用紙を2枚彼女に差し出した。
「昨日借りていた議事録だ。ありがとう」
「あ、もういいの? 返すのはいつでも良かったのに」
「昨日言っただろう、明日には返すと。事細かく書いてあって凄く助かった。感謝する」
「役に立てたのなら書記としてとても光栄なことだよ」
驕ることなく、謙虚な物言いをする彼女。このような人物に悪く思う者がこの世に存在するだろうか。
「これから部活か? 吹奏楽はどうだ?」
「うん、まずまずかな。でも何か足りない感じがするの」
「そうか、だが悔いは残さないようにするんだぞ」
「うん、ありがとう。手塚君も部活頑張ってね、それじゃあね」
「あぁ」
匂い零れる笑顔を見せる九条はそのまま音楽室へと歩み始めた。
……彼女は知らないだろう。俺がほんの少し彼女に惹かれているということに。
始まりは1年の青学の入学式。新入生代表として俺と九条が選ばれた時だ。
当時から彼女は柔らかい笑みが印象的だった。新入生代表の言葉を喋る彼女は透き通るような透明感ある声をしていて聞き惚れてしまうほどであった。
それが恋なのかと尋ねられると答えは“分からない”だ。
だが、惹かれているのは事実でそれからというもの彼女を少し意識するようになったが残念ながらこの3年間一緒のクラスにはなることはなかった。
このまま会話する機会もなく中学校生活が終わってしまうのかと思った矢先、生徒会役員として九条との小さな繋がりが出来た。
彼女ならば副生徒会長としても立派に務めることが出来ただろうに書記を選んだが、今となっては書記だろうと何だろうと話す機会が出来たのは喜ばしいことだと思う。
昨日、テニス部のマネージャーにも誘ってみた。乾がマネージャーがいたら助かるとぼやいていたが俺の想像では九条以外当てはまる者がいなかった。
それに彼女ならばいい仕事してくれると信じている。何よりもう少し彼女との時間を共にしたいと感じていた。
九条の返事は保留ということだったが、まだ僅かに希望はある。彼女がこちらへ来ることを毎日のように願っていた。
そう思う辺り、俺はやはり九条に好意を寄せているのだろうかと感じる。
「やぁ、手塚」
「……不二か」
彼女が見えなくなるまで見送ると俺の視界に不二が入ってきた。
九条とはまた違う柔らかい笑みが印象的ではあるが、今の奴は何か面白いものを見たと言いたげな含み笑いが少々混じっていたので出来れば関わりたくないと思ってしまう。
「見てたよ。彼女に議事録を返すとこ」
「それがどうした」
「僕としてはせっかくお世話になったのにお礼のひとつもしないのはどうかなって思ってね」
「? 礼ならちゃんと言ったぞ」
「そうじゃなくてさ、形のある物だよ」
要は何かお返しをしろと言うことだろうか。確かに彼女には何度か手助けをしてもらっている。形のある物でお礼をするのも当然なのかも知れない。
「……だが、彼女が恐縮しないだろうか気になる所だな」
何せ他人の厚意をすんなりと受け取れるような人物ではないため、むしろ迷惑なのではないかと思ってしまう。
「別に高級な物を渡せって言ってるわけじゃないよ。安いお菓子とか消しゴムとかそんなのでいいんだよ。彼女だってタカさんから忘れ物を受け取っただけでお礼にスポーツタオルを渡してたからね」
何とも彼女らしい。河村も他人の厚意にはすぐには甘えられないのできっと九条が上手く言ったのだろう。彼女は人を説得するのが上手でもあるからだ。
「分かった。参考にする、ありがとう」
「どういたしまして。さて、僕達も部活に行こうか」
「あぁ」
気付けば九条の姿はもう見えなくなってしまった。
なので不二の言うように部活へ向かおうと彼女が向かった方とは反対の方へ歩く。
お礼には何をしようかとあれこれと考えながら。
すると隣の席に座る西成が申し訳ないような控えめな態度で「あのー……手塚にちょっとお話がありまして」と声をかけてきた。
だが、俺は少し急いでいたので「すまないが、今日は急いでるので明日にしてほしい」と告げ、教室から出たその時、ちょうど隣のクラスから教室を出て廊下を歩く九条の後ろ姿が見えた。
「九条」
声をかけると彼女は歩みを止め、後ろを振り返る。
「あ、手塚君。どうしたの?」
ふんわりと微笑む彼女に俺は自分の鞄からファイルを取り出して、そこからルーズリーフの用紙を2枚彼女に差し出した。
「昨日借りていた議事録だ。ありがとう」
「あ、もういいの? 返すのはいつでも良かったのに」
「昨日言っただろう、明日には返すと。事細かく書いてあって凄く助かった。感謝する」
「役に立てたのなら書記としてとても光栄なことだよ」
驕ることなく、謙虚な物言いをする彼女。このような人物に悪く思う者がこの世に存在するだろうか。
「これから部活か? 吹奏楽はどうだ?」
「うん、まずまずかな。でも何か足りない感じがするの」
「そうか、だが悔いは残さないようにするんだぞ」
「うん、ありがとう。手塚君も部活頑張ってね、それじゃあね」
「あぁ」
匂い零れる笑顔を見せる九条はそのまま音楽室へと歩み始めた。
……彼女は知らないだろう。俺がほんの少し彼女に惹かれているということに。
始まりは1年の青学の入学式。新入生代表として俺と九条が選ばれた時だ。
当時から彼女は柔らかい笑みが印象的だった。新入生代表の言葉を喋る彼女は透き通るような透明感ある声をしていて聞き惚れてしまうほどであった。
それが恋なのかと尋ねられると答えは“分からない”だ。
だが、惹かれているのは事実でそれからというもの彼女を少し意識するようになったが残念ながらこの3年間一緒のクラスにはなることはなかった。
このまま会話する機会もなく中学校生活が終わってしまうのかと思った矢先、生徒会役員として九条との小さな繋がりが出来た。
彼女ならば副生徒会長としても立派に務めることが出来ただろうに書記を選んだが、今となっては書記だろうと何だろうと話す機会が出来たのは喜ばしいことだと思う。
昨日、テニス部のマネージャーにも誘ってみた。乾がマネージャーがいたら助かるとぼやいていたが俺の想像では九条以外当てはまる者がいなかった。
それに彼女ならばいい仕事してくれると信じている。何よりもう少し彼女との時間を共にしたいと感じていた。
九条の返事は保留ということだったが、まだ僅かに希望はある。彼女がこちらへ来ることを毎日のように願っていた。
そう思う辺り、俺はやはり九条に好意を寄せているのだろうかと感じる。
「やぁ、手塚」
「……不二か」
彼女が見えなくなるまで見送ると俺の視界に不二が入ってきた。
九条とはまた違う柔らかい笑みが印象的ではあるが、今の奴は何か面白いものを見たと言いたげな含み笑いが少々混じっていたので出来れば関わりたくないと思ってしまう。
「見てたよ。彼女に議事録を返すとこ」
「それがどうした」
「僕としてはせっかくお世話になったのにお礼のひとつもしないのはどうかなって思ってね」
「? 礼ならちゃんと言ったぞ」
「そうじゃなくてさ、形のある物だよ」
要は何かお返しをしろと言うことだろうか。確かに彼女には何度か手助けをしてもらっている。形のある物でお礼をするのも当然なのかも知れない。
「……だが、彼女が恐縮しないだろうか気になる所だな」
何せ他人の厚意をすんなりと受け取れるような人物ではないため、むしろ迷惑なのではないかと思ってしまう。
「別に高級な物を渡せって言ってるわけじゃないよ。安いお菓子とか消しゴムとかそんなのでいいんだよ。彼女だってタカさんから忘れ物を受け取っただけでお礼にスポーツタオルを渡してたからね」
何とも彼女らしい。河村も他人の厚意にはすぐには甘えられないのできっと九条が上手く言ったのだろう。彼女は人を説得するのが上手でもあるからだ。
「分かった。参考にする、ありがとう」
「どういたしまして。さて、僕達も部活に行こうか」
「あぁ」
気付けば九条の姿はもう見えなくなってしまった。
なので不二の言うように部活へ向かおうと彼女が向かった方とは反対の方へ歩く。
お礼には何をしようかとあれこれと考えながら。