自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.20 また怪我をするようなことがあったらと思うと心配だよ
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山吹陣営ではミクスド都大会決勝への切符を手にした亜久津、誉ペアが戻ってきた。
「おかえり~誉ちゃん、亜久津。正直亜久津のあれは褒められたものじゃないけど一応勝ち星おめでと━━」
「信じらんない! 誉ちゃんのリベンジ戦をこんな形で終わらせるのほんっとどうかしてるわ!」
「あら~……」
千石が二人の元へ拍手しながら出迎えるが、ぷりぷりと怒りを露わにする誉はそんな彼の横を通り過ぎる。
「おやおや、下梨さん。随分とご立腹ですね」
そんな誉の神経を逆撫でするようにニマニマした笑みの伴田が声をかける。しかし勝利したが目的は果たされなかった誉は眉を寄せて、ベンチに座る男子テニス部顧問の元へズカズカと歩み寄った。
「伴爺、誉ちゃんテニス部辞めるわ」
「これはまた唐突ですね。さすがに早計では? まだうちは大会を勝ち抜いている途中ですし、感情のままに決めるのはあまり良くはないですね。それに下梨さんはまだ2年生ですから来年もうちのテニス部で頑張ってもらいたいんですよ」
「そんなの押しつけないでちょうだい。誉ちゃんは簡単に捕まらない魅惑の蝶なの。そ・れ・に! こんな男と組んだせいで誉ちゃんの思い描く素晴らしきリベンジ戦がダメになったのよ! せっかく誉ちゃんがあの赤宮さんを圧倒的な強さで倒してやるつもりだったのに! 必殺技の準備までしたのに! それを全部全部この不良のせいでオジャンよ!」
「ああ? 文句あんのか?」
「あったり前でしょ!? 何悪者ムーブしてんのよ! 悲劇のヒロインみたいな目に合わせちゃってさ! それはヒロインたる誉ちゃんが請け負うってもんでしょ! 赤宮さんにやるなんて解釈違いもいいとこよ!」
「ピーピーうっせぇ奴だな……一度シメんぞ?」
「いつでも来いやオラァ!」
「あー! もう、亜久津も誉ちゃんも喧嘩しないでっ! 俺の顔に免じて。ね? ね?」
先程まで相方だった亜久津に指を差し、文句を言う誉と手を出そうとする亜久津が一触即発な雰囲気を漂わせたが、千石が間に入った。しばらくして亜久津と誉は黙ったまま千石に向けて舌打ちをし、彼をへこませる。
そんな中、伴田はやれやれと言わんばかりに溜め息を吐き出した。
「亜久津君もやられたからと言って女の子相手にやり返すのは紳士的ではないですね」
「ケッ。知るか」
「下梨さんも怒るのは分かりますが、今一度耐えましょう。青学も関東大会に出場は確実なのでまた赤宮さんと試合が出来るチャンスがありますよ」
「ふーんだっ。だからってもう亜久津さんとは組みませーん!」
「彼はもうこの試合が最後で退部します。こちらとしては残念なんですが、あなたもいなくなるとはさすがに痛いのですよ。どうかこの年寄りの遺言と思って聞いてはくれませんかね?」
「遺言の割にはピンピンしてんじゃないのよ」
よく言うわよとジト目で睨んだあと、誉は「亜久津さん以外と、ねぇ」と呟きながら山吹の男子テニス部のメンバーをざっと見渡した。
「エースとはいえラッキーさんはもちろん嫌だし」
「え~? そんなこと言わないでよ誉ちゃ~ん!」
「ダブルスがお上手な南方さんと東さんはパッとしないからちょっと誉ちゃんの相方としては物足りないし」
「南だ!」
「東方だ!」
「新渡米と喜多はイロモノすぎて誉ちゃんが同類と思われちゃうかもしれないし」
「こっちも下梨と同類と思われたくないからちょうどいいよね~」
「僕も先輩と同じくで~す」
「ムロマッティはグチグチと文句言いそうなのでパスだし」
「言われなくても俺だってパスだっての」
「太一は実力不足だし」
「ダ、ダダダダーン……」
「ってなわけで誉ちゃんに合う相手がいないので誉ちゃん辞めるし、転校します!! 誉ちゃんに合うダブルスパートナーを求めるためこの辺で失礼するわね~! パパに頼めば誉ちゃんの望む学校に行けるし~! じゃあね~! バッハハイ! お世話様でした~~!」
口を挟む隙を与えないように言いたいことだけ言い残すと、誉はロケットの如く勢いで山吹部員達の前を後にする。
誰もが呆れながらその背中を見送る中、ただ一人千石だけは残念そうな声で誉の名を叫んでいた。
「あ、もしもし、ダディ? 誉たんねぇ~山吹飽きちゃったから次の学校を手配してほしいんだけどぉ~……ん? ううん。勝ったんだけど、納得いかない勝利ってやつ? 誉ちゃんの力で勝ったって感じじゃないの。完璧を求める誉ちゃんとしては新しい学校でまた息の合いそうなパートナーを見つけて今度こそ赤宮さんを完膚無きまで叩きのめしたいの!」
試合会場から離れた誉は自分の携帯端末で実父に連絡を取った。猫撫で声で普通ならば理解し難いお願いを口にするが、彼女にとって良い返事が来たのか嬉しそうな顔を見せる。
「やったぁ! だからパピー大好き! じゃあ、次の学校が決まったらまた連絡するぅ~! じゃあねぃ!」
気分良く電話を切ったあと、誉はにんまりと口角を上げて笑った。
「さぁて、次はどっこにしよっかにゃ~」
鼻歌交じりでスマホを弄り始めると、誉は大会に残った候補となる学校を探し始めた。
「おかえり~誉ちゃん、亜久津。正直亜久津のあれは褒められたものじゃないけど一応勝ち星おめでと━━」
「信じらんない! 誉ちゃんのリベンジ戦をこんな形で終わらせるのほんっとどうかしてるわ!」
「あら~……」
千石が二人の元へ拍手しながら出迎えるが、ぷりぷりと怒りを露わにする誉はそんな彼の横を通り過ぎる。
「おやおや、下梨さん。随分とご立腹ですね」
そんな誉の神経を逆撫でするようにニマニマした笑みの伴田が声をかける。しかし勝利したが目的は果たされなかった誉は眉を寄せて、ベンチに座る男子テニス部顧問の元へズカズカと歩み寄った。
「伴爺、誉ちゃんテニス部辞めるわ」
「これはまた唐突ですね。さすがに早計では? まだうちは大会を勝ち抜いている途中ですし、感情のままに決めるのはあまり良くはないですね。それに下梨さんはまだ2年生ですから来年もうちのテニス部で頑張ってもらいたいんですよ」
「そんなの押しつけないでちょうだい。誉ちゃんは簡単に捕まらない魅惑の蝶なの。そ・れ・に! こんな男と組んだせいで誉ちゃんの思い描く素晴らしきリベンジ戦がダメになったのよ! せっかく誉ちゃんがあの赤宮さんを圧倒的な強さで倒してやるつもりだったのに! 必殺技の準備までしたのに! それを全部全部この不良のせいでオジャンよ!」
「ああ? 文句あんのか?」
「あったり前でしょ!? 何悪者ムーブしてんのよ! 悲劇のヒロインみたいな目に合わせちゃってさ! それはヒロインたる誉ちゃんが請け負うってもんでしょ! 赤宮さんにやるなんて解釈違いもいいとこよ!」
「ピーピーうっせぇ奴だな……一度シメんぞ?」
「いつでも来いやオラァ!」
「あー! もう、亜久津も誉ちゃんも喧嘩しないでっ! 俺の顔に免じて。ね? ね?」
先程まで相方だった亜久津に指を差し、文句を言う誉と手を出そうとする亜久津が一触即発な雰囲気を漂わせたが、千石が間に入った。しばらくして亜久津と誉は黙ったまま千石に向けて舌打ちをし、彼をへこませる。
そんな中、伴田はやれやれと言わんばかりに溜め息を吐き出した。
「亜久津君もやられたからと言って女の子相手にやり返すのは紳士的ではないですね」
「ケッ。知るか」
「下梨さんも怒るのは分かりますが、今一度耐えましょう。青学も関東大会に出場は確実なのでまた赤宮さんと試合が出来るチャンスがありますよ」
「ふーんだっ。だからってもう亜久津さんとは組みませーん!」
「彼はもうこの試合が最後で退部します。こちらとしては残念なんですが、あなたもいなくなるとはさすがに痛いのですよ。どうかこの年寄りの遺言と思って聞いてはくれませんかね?」
「遺言の割にはピンピンしてんじゃないのよ」
よく言うわよとジト目で睨んだあと、誉は「亜久津さん以外と、ねぇ」と呟きながら山吹の男子テニス部のメンバーをざっと見渡した。
「エースとはいえラッキーさんはもちろん嫌だし」
「え~? そんなこと言わないでよ誉ちゃ~ん!」
「ダブルスがお上手な南方さんと東さんはパッとしないからちょっと誉ちゃんの相方としては物足りないし」
「南だ!」
「東方だ!」
「新渡米と喜多はイロモノすぎて誉ちゃんが同類と思われちゃうかもしれないし」
「こっちも下梨と同類と思われたくないからちょうどいいよね~」
「僕も先輩と同じくで~す」
「ムロマッティはグチグチと文句言いそうなのでパスだし」
「言われなくても俺だってパスだっての」
「太一は実力不足だし」
「ダ、ダダダダーン……」
「ってなわけで誉ちゃんに合う相手がいないので誉ちゃん辞めるし、転校します!! 誉ちゃんに合うダブルスパートナーを求めるためこの辺で失礼するわね~! パパに頼めば誉ちゃんの望む学校に行けるし~! じゃあね~! バッハハイ! お世話様でした~~!」
口を挟む隙を与えないように言いたいことだけ言い残すと、誉はロケットの如く勢いで山吹部員達の前を後にする。
誰もが呆れながらその背中を見送る中、ただ一人千石だけは残念そうな声で誉の名を叫んでいた。
「あ、もしもし、ダディ? 誉たんねぇ~山吹飽きちゃったから次の学校を手配してほしいんだけどぉ~……ん? ううん。勝ったんだけど、納得いかない勝利ってやつ? 誉ちゃんの力で勝ったって感じじゃないの。完璧を求める誉ちゃんとしては新しい学校でまた息の合いそうなパートナーを見つけて今度こそ赤宮さんを完膚無きまで叩きのめしたいの!」
試合会場から離れた誉は自分の携帯端末で実父に連絡を取った。猫撫で声で普通ならば理解し難いお願いを口にするが、彼女にとって良い返事が来たのか嬉しそうな顔を見せる。
「やったぁ! だからパピー大好き! じゃあ、次の学校が決まったらまた連絡するぅ~! じゃあねぃ!」
気分良く電話を切ったあと、誉はにんまりと口角を上げて笑った。
「さぁて、次はどっこにしよっかにゃ~」
鼻歌交じりでスマホを弄り始めると、誉は大会に残った候補となる学校を探し始めた。
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