自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.20 また怪我をするようなことがあったらと思うと心配だよ
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
ミクスド準決勝。関東大会行きは確実とはいえ、やはり優勝だといいなと応援していたけど、1試合目は黒星を取ってしまう。もう後はないけど麻美なら、と思った矢先、あの亜久津君とルドルフで戦った下梨さんのペアが出てきて思わず息が止まってしまった。ドクンドクン、と恐怖と不安で胸がざわついてしまう。
だって彼は麻美や他の部員達を傷つけ、河村君にも酷いことをし、不動峰の部長橘君の印象を最悪にさせた張本人。何かの間違いかと思って話をしても駄目だったあの亜久津君……。
そんな彼と麻美が当たるなんて。避けることは出来なかったのかな。
「……赤宮先輩、乾先輩にあのイカレ野郎と当たるように頼んでましたよ」
なんで、と戸惑う私の様子に気づいたのか、傍にいた海堂君が教えてくれた。……麻美からの要望だったんだ。確かに麻美はタダじゃおかないって言ってたけど、だからといってこの組み合わせにしなくても良かったんじゃないかな。麻美は傷つけられたことがあるのに……。
「まぁ、今回ばかりは俺もあの人の気持ちは分からなくもねぇッスけど。やられっぱなしなのはプライドが許さないと思うんで」
「……だけど、ただでさえ麻美も血の気が多いからまた怪我をするようなことがあったらと思うと心配だよ」
「それも承知なんじゃねーんすか。覚悟がなきゃあの場所には立ちませんよ。それにシングルスならまだしも、ダブルスなんすよ。不二先輩もいるし、あの人なら酷くなる前に何とかしてくれますよ」
「そう……だと、いいな」
「……ダチなら、望んであの場に立って戦う選手を信じて応援すべきなんじゃないんすか」
ぽつりと呟く海堂君の言葉がストンと心の中に落ちた。彼の言うことをもっともだと思ったから。心配ばかりで麻美を信じてなかったのだと気づかされた。
「うん、そうだね。海堂君、ありがとう。心配ばかりしても仕方ないもんね。覚悟を持って戦う麻美にも失礼になっちゃうから、信じて応援に集中するよ」
「そのほうがいいッスよ。応援する立場が試合中に不安顔を見せるもんじゃねぇ」
まったくその通りだね。そう小さく笑った私は麻美と不二君の試合を見守ることにする。
けれど試合は良いのか悪いのか横ばい続き。麻美ばかり狙っていた試合だったけど、途中で集中攻撃を受けるのが不二君へと切り替わった。
不二君は何とか技術で凌いでいるけど、割って入れない麻美を見る限り隙がなさそう。でもこのままだと不二君は押され負けてしまうかもしれない。不二君も反撃のチャンスを窺っているようだけど、なかなか訪れないまま結局何ポイントか落としていく。
「ちょっと押され始めたね……」
「そッスね……」
「でも、麻美にしては我慢してる方だと思う。ずっと前の彼女ならすぐに割って入っただろうし」
麻美はすぐに動いて陣形を崩し、そこを狙われるといったことも多かった。今では桃君のおかげで麻美もジッと耐えることが出来るようになったし、不二君とのダブルスでも問題なく発揮してる。
でも長ければ長いほど、麻美も焦るんじゃないか気が気ではない。ちょっとしたミスがゲームの流れを変えていくのだから。
「けどどっちにしろ動かなきゃ攻撃も出来ねぇッスよ」
「相手のペアも隙を見せないから難しそうだけど、何とか粘ってほしいね……」
観戦するこちらのほうが焦燥感を抱いてしまう。そうやって見守る中、とうとう麻美が動き出した。入れる隙があったのか、集中的に狙われる不二君の元へ向かう。不二君もそれに気づいたのか、麻美と場所を入れ替えるように上手く動いた。
しかし、亜久津君の目に動揺はなく、むしろ深い笑みを浮かべていた。
「馬鹿が、テメーは誘い出されたんだよ!」
「!」
その刹那、重たい音が響く。目に映る光景と共に息を飲んでしまった。
麻美の側頭部に彼の打ち込んだボールが当てられたから。彼女はその衝撃でコートに倒れ込む。
「麻美っ!!」
麻美の元へ駆け出そうとする。しかし、海堂君の手が私の腕を掴んで阻止するので困惑した顔を彼に向けた。
「試合中だ。水を差すような真似はすんじゃねぇ」
「でも……!」
そうは言っても麻美にボールをぶつけられてそのままにすることなんて出来ない。麻美と海堂君を交互に見ながらも彼の手を振り払おうとした。
「駆けつけたところでどうするつもりなんスか。あの人はきっと先輩の手を跳ね除けますよ」
「……そう、だね」
否定は、出来なかった。きっと彼女に「大丈夫?」と尋ねても麻美は邪魔をするなと言わんばかりにコートに立つだろう。現に今、彼女はふらりと立ち上がったのだ。
「それにどうするかは不二先輩達が判断しますんで」
海堂君の言う通りだった。試合は一時中断し、不二君が最初に麻美の容態を確認しているようで、審判の人やベンチコーチの竜崎先生も同じく麻美の元へ向かい、話をしている。
……立っているとはいえ、麻美は大丈夫なのかと心配で心配で不安な気持ちが一気に広がってしまう。
だって彼は麻美や他の部員達を傷つけ、河村君にも酷いことをし、不動峰の部長橘君の印象を最悪にさせた張本人。何かの間違いかと思って話をしても駄目だったあの亜久津君……。
そんな彼と麻美が当たるなんて。避けることは出来なかったのかな。
「……赤宮先輩、乾先輩にあのイカレ野郎と当たるように頼んでましたよ」
なんで、と戸惑う私の様子に気づいたのか、傍にいた海堂君が教えてくれた。……麻美からの要望だったんだ。確かに麻美はタダじゃおかないって言ってたけど、だからといってこの組み合わせにしなくても良かったんじゃないかな。麻美は傷つけられたことがあるのに……。
「まぁ、今回ばかりは俺もあの人の気持ちは分からなくもねぇッスけど。やられっぱなしなのはプライドが許さないと思うんで」
「……だけど、ただでさえ麻美も血の気が多いからまた怪我をするようなことがあったらと思うと心配だよ」
「それも承知なんじゃねーんすか。覚悟がなきゃあの場所には立ちませんよ。それにシングルスならまだしも、ダブルスなんすよ。不二先輩もいるし、あの人なら酷くなる前に何とかしてくれますよ」
「そう……だと、いいな」
「……ダチなら、望んであの場に立って戦う選手を信じて応援すべきなんじゃないんすか」
ぽつりと呟く海堂君の言葉がストンと心の中に落ちた。彼の言うことをもっともだと思ったから。心配ばかりで麻美を信じてなかったのだと気づかされた。
「うん、そうだね。海堂君、ありがとう。心配ばかりしても仕方ないもんね。覚悟を持って戦う麻美にも失礼になっちゃうから、信じて応援に集中するよ」
「そのほうがいいッスよ。応援する立場が試合中に不安顔を見せるもんじゃねぇ」
まったくその通りだね。そう小さく笑った私は麻美と不二君の試合を見守ることにする。
けれど試合は良いのか悪いのか横ばい続き。麻美ばかり狙っていた試合だったけど、途中で集中攻撃を受けるのが不二君へと切り替わった。
不二君は何とか技術で凌いでいるけど、割って入れない麻美を見る限り隙がなさそう。でもこのままだと不二君は押され負けてしまうかもしれない。不二君も反撃のチャンスを窺っているようだけど、なかなか訪れないまま結局何ポイントか落としていく。
「ちょっと押され始めたね……」
「そッスね……」
「でも、麻美にしては我慢してる方だと思う。ずっと前の彼女ならすぐに割って入っただろうし」
麻美はすぐに動いて陣形を崩し、そこを狙われるといったことも多かった。今では桃君のおかげで麻美もジッと耐えることが出来るようになったし、不二君とのダブルスでも問題なく発揮してる。
でも長ければ長いほど、麻美も焦るんじゃないか気が気ではない。ちょっとしたミスがゲームの流れを変えていくのだから。
「けどどっちにしろ動かなきゃ攻撃も出来ねぇッスよ」
「相手のペアも隙を見せないから難しそうだけど、何とか粘ってほしいね……」
観戦するこちらのほうが焦燥感を抱いてしまう。そうやって見守る中、とうとう麻美が動き出した。入れる隙があったのか、集中的に狙われる不二君の元へ向かう。不二君もそれに気づいたのか、麻美と場所を入れ替えるように上手く動いた。
しかし、亜久津君の目に動揺はなく、むしろ深い笑みを浮かべていた。
「馬鹿が、テメーは誘い出されたんだよ!」
「!」
その刹那、重たい音が響く。目に映る光景と共に息を飲んでしまった。
麻美の側頭部に彼の打ち込んだボールが当てられたから。彼女はその衝撃でコートに倒れ込む。
「麻美っ!!」
麻美の元へ駆け出そうとする。しかし、海堂君の手が私の腕を掴んで阻止するので困惑した顔を彼に向けた。
「試合中だ。水を差すような真似はすんじゃねぇ」
「でも……!」
そうは言っても麻美にボールをぶつけられてそのままにすることなんて出来ない。麻美と海堂君を交互に見ながらも彼の手を振り払おうとした。
「駆けつけたところでどうするつもりなんスか。あの人はきっと先輩の手を跳ね除けますよ」
「……そう、だね」
否定は、出来なかった。きっと彼女に「大丈夫?」と尋ねても麻美は邪魔をするなと言わんばかりにコートに立つだろう。現に今、彼女はふらりと立ち上がったのだ。
「それにどうするかは不二先輩達が判断しますんで」
海堂君の言う通りだった。試合は一時中断し、不二君が最初に麻美の容態を確認しているようで、審判の人やベンチコーチの竜崎先生も同じく麻美の元へ向かい、話をしている。
……立っているとはいえ、麻美は大丈夫なのかと心配で心配で不安な気持ちが一気に広がってしまう。