自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.20 また怪我をするようなことがあったらと思うと心配だよ
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男女の部を終えて引き続きミクスド大会が行われる。初戦は山吹だ。上手いこと向こうも勝ち続けて安心した。絶対にあの白髪野郎をぶちのめしてやる。
「やぁ、赤宮さん。対戦相手が発表されたよ。君の望んだ通りの相手みたいだね」
ベンチに座り、出番を待つ私の元へ不二周助がやってきた。その手に持つのは山吹の出場選手が記載された対戦表だろう。そして奴の言葉を聞き、にんまりと笑った。
「よし。役者は揃ったな」
「僕としては心配のほうが大きいけどね。彼、亜久津は異性が相手でも容赦するような人間じゃないだろうし」
「私としてはそのほうがいい。手加減されて負けたときの言い訳にされちゃたまったもんじゃないからな」
「赤宮さんならそう言うと思ったよ。でも無茶だけはしてほしくない僕の気持ちも分かってくれるかな?」
いつもの細目が真剣な目つきになる。まるで弟のことで観月とやり合った時のような。……っつーか、その言葉に深い意味はあるのかないのかはっきりしろ。
「あんたが気にする必要はないだろ」
「気にするよ。だって僕はパートナーなんだから」
いつもの微笑みの貴公子のような顔に変わる。その言葉を聞いて私は早まったことをしたのかもしれないとつい先ほどのことを思い出した。
ミクスドのコンビとなる桃城が負傷した。そのため今回は一緒に出られなくなり、私はどうするのか考えるしかなかった。こっちも出場辞退して別のミクスドペアに譲るか、それとも別の奴と組んで出場するか。
正直言えばどちらも却下したいが、そういうわけにもいかない。ミクスド大会に出場するならばもちろん試合には何がなんでも出たい気持ちがある。しかし桃城以外の奴と組んだこともないのに上手くいくはずがない。
ダブルスは付け焼き刃でどうにかなるものじゃない。そんなの私が一番よく身に沁みている。
しかも結論を出すまで約5分。出場するにしたって現実的ではない。それに手塚が納得しなきゃいけないというのもハードルが高い気がする。……どうやら今回は私も降りるしかないのかもしれない。勝てる相手でないと手塚も認めてくれないだろう。
「赤宮さん、僕と組まない?」
結論を出そうとした矢先、私の前に不二が現れた。こんな時に何を言い出すんだこいつは。
「ふざけたこと言うな。こっちは忙しいんだ。あんたの相手なんてしてられないんだよ」
「至って真面目だよ。僕は君のテニスをよく見ているし、性格もよく理解してるからどう動くかはそれなりに読めるつもりなんだけど」
「私はあんたの動きは読めないんだけど」
「別に無理に理解しようとしなくていいよ。僕がフォローするから赤宮さんは動きたいように動けばいいから。それに赤宮さん、試合に出たいでしょ? 桃以外なら僕の方が適任だと思うんだ」
「……」
試合に出たいかと尋ねられたらもちろんだと答えるが、だからと言って不二と組むのはかなり癪である。こいつとは幾度か試合をしたことはあるが、ダブルスを組むことなんてない。上手くいくとも思えないな。
「君のことだから色々と思うことはあるだろうけど、赤宮さんはただ僕を利用してくれたらいいよ」
「利用……?」
「パートナーとして組んで見つかる弱点があるかもしれない、とかね?」
クスッとどこか読めない笑みでそう答える奴の言葉に私の中にある『打倒不二周助』の思いに火がついた。
我ながら単純だとか、不二の手のひらの上に転がされてるだとか思わないわけではないが、あいつを倒せる可能性が1%でもあるならそれを利用しない手はない。
「渋るには時間もないし、今回はあんたと組んでやる」
「ありがとう。じゃあ早速エントリーしに行こうか。手塚も待っているようだしね」
それもそうだな。そう返して、乾と共に並んで立つ手塚の元へ向かった。おそらくオーダーの順番について話し合っているのだろう。ミクスドは先に2勝すれば勝ちなので先手必勝を狙うか、それともミクスド1に最大戦力を充てるか、悩みどころとも言える。
「手塚、赤宮さんは僕と一緒に出るよ」
不二が説明すると手塚は間を開けることなく「そうか。分かった」と返事をした。……って、納得早すぎ。そりゃあ時間はないけどせめて悩む素振りくらい見せろよ。それとも私の相手が不二なら問題ないとでも思ったのか。
すると乾が「ふむ」と呟いた。
「それならAプランでいこうか、手塚」
「あぁ」
「待て。私をあのイカレ白髪野郎と当てろ」
「もちろんそのつもりだよ。お前ならそう言うだろうと思って予め考えておいた。それがAプランだ」
それなら話が早い。頭の回る奴はこういうときに役立つな。
とはいえ、確率の問題だから絶対に当たるとも言えない。そこは乾の腕にかかっている。絶対に当てろよという念のこもった目で睨めば、奴は眼鏡を光らせながら「今回はとても読みやすいから心配いらないよ」と告げた。
━━で、今に至るわけだけど。
「第一試合目は負けやがったか」
最初の試合、ミクスド3とも言える第一試合の結果は青学の負け。元よりダブルスが強い山吹はミクスドにもその実力を見せつけてきやがった。
「何がなんでも2勝しなきゃいけないね。赤宮さん、次は僕達の番だけど準備は大丈夫かい?」
「もちろん」
すでに準備したラケットを手にし、第二試合が開始となる私らはコートへと向かった。
「やぁ、赤宮さん。対戦相手が発表されたよ。君の望んだ通りの相手みたいだね」
ベンチに座り、出番を待つ私の元へ不二周助がやってきた。その手に持つのは山吹の出場選手が記載された対戦表だろう。そして奴の言葉を聞き、にんまりと笑った。
「よし。役者は揃ったな」
「僕としては心配のほうが大きいけどね。彼、亜久津は異性が相手でも容赦するような人間じゃないだろうし」
「私としてはそのほうがいい。手加減されて負けたときの言い訳にされちゃたまったもんじゃないからな」
「赤宮さんならそう言うと思ったよ。でも無茶だけはしてほしくない僕の気持ちも分かってくれるかな?」
いつもの細目が真剣な目つきになる。まるで弟のことで観月とやり合った時のような。……っつーか、その言葉に深い意味はあるのかないのかはっきりしろ。
「あんたが気にする必要はないだろ」
「気にするよ。だって僕はパートナーなんだから」
いつもの微笑みの貴公子のような顔に変わる。その言葉を聞いて私は早まったことをしたのかもしれないとつい先ほどのことを思い出した。
ミクスドのコンビとなる桃城が負傷した。そのため今回は一緒に出られなくなり、私はどうするのか考えるしかなかった。こっちも出場辞退して別のミクスドペアに譲るか、それとも別の奴と組んで出場するか。
正直言えばどちらも却下したいが、そういうわけにもいかない。ミクスド大会に出場するならばもちろん試合には何がなんでも出たい気持ちがある。しかし桃城以外の奴と組んだこともないのに上手くいくはずがない。
ダブルスは付け焼き刃でどうにかなるものじゃない。そんなの私が一番よく身に沁みている。
しかも結論を出すまで約5分。出場するにしたって現実的ではない。それに手塚が納得しなきゃいけないというのもハードルが高い気がする。……どうやら今回は私も降りるしかないのかもしれない。勝てる相手でないと手塚も認めてくれないだろう。
「赤宮さん、僕と組まない?」
結論を出そうとした矢先、私の前に不二が現れた。こんな時に何を言い出すんだこいつは。
「ふざけたこと言うな。こっちは忙しいんだ。あんたの相手なんてしてられないんだよ」
「至って真面目だよ。僕は君のテニスをよく見ているし、性格もよく理解してるからどう動くかはそれなりに読めるつもりなんだけど」
「私はあんたの動きは読めないんだけど」
「別に無理に理解しようとしなくていいよ。僕がフォローするから赤宮さんは動きたいように動けばいいから。それに赤宮さん、試合に出たいでしょ? 桃以外なら僕の方が適任だと思うんだ」
「……」
試合に出たいかと尋ねられたらもちろんだと答えるが、だからと言って不二と組むのはかなり癪である。こいつとは幾度か試合をしたことはあるが、ダブルスを組むことなんてない。上手くいくとも思えないな。
「君のことだから色々と思うことはあるだろうけど、赤宮さんはただ僕を利用してくれたらいいよ」
「利用……?」
「パートナーとして組んで見つかる弱点があるかもしれない、とかね?」
クスッとどこか読めない笑みでそう答える奴の言葉に私の中にある『打倒不二周助』の思いに火がついた。
我ながら単純だとか、不二の手のひらの上に転がされてるだとか思わないわけではないが、あいつを倒せる可能性が1%でもあるならそれを利用しない手はない。
「渋るには時間もないし、今回はあんたと組んでやる」
「ありがとう。じゃあ早速エントリーしに行こうか。手塚も待っているようだしね」
それもそうだな。そう返して、乾と共に並んで立つ手塚の元へ向かった。おそらくオーダーの順番について話し合っているのだろう。ミクスドは先に2勝すれば勝ちなので先手必勝を狙うか、それともミクスド1に最大戦力を充てるか、悩みどころとも言える。
「手塚、赤宮さんは僕と一緒に出るよ」
不二が説明すると手塚は間を開けることなく「そうか。分かった」と返事をした。……って、納得早すぎ。そりゃあ時間はないけどせめて悩む素振りくらい見せろよ。それとも私の相手が不二なら問題ないとでも思ったのか。
すると乾が「ふむ」と呟いた。
「それならAプランでいこうか、手塚」
「あぁ」
「待て。私をあのイカレ白髪野郎と当てろ」
「もちろんそのつもりだよ。お前ならそう言うだろうと思って予め考えておいた。それがAプランだ」
それなら話が早い。頭の回る奴はこういうときに役立つな。
とはいえ、確率の問題だから絶対に当たるとも言えない。そこは乾の腕にかかっている。絶対に当てろよという念のこもった目で睨めば、奴は眼鏡を光らせながら「今回はとても読みやすいから心配いらないよ」と告げた。
━━で、今に至るわけだけど。
「第一試合目は負けやがったか」
最初の試合、ミクスド3とも言える第一試合の結果は青学の負け。元よりダブルスが強い山吹はミクスドにもその実力を見せつけてきやがった。
「何がなんでも2勝しなきゃいけないね。赤宮さん、次は僕達の番だけど準備は大丈夫かい?」
「もちろん」
すでに準備したラケットを手にし、第二試合が開始となる私らはコートへと向かった。