自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.19 ミクスドまですぐだろ。それまで治まるのか?
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「そーいや来る時……タクシーが事故ってやがったな」
「「!」」
準決勝の不動峰対山吹の試合を観戦してる最中のこと。試合を見るのに夢中になって後ろを通りかかる彼の存在に気づかなかった。
その彼の言葉を聞いて慌てて後ろを振り返る。逆立つような白く染めた髪は麻美が目の敵にしていた人物の容姿にとてもよく似ていた。そして山吹中のユニフォームを身に纏っている。目つきも鋭くて恐怖さえも感じた。
確証はないけど、予め聞いていた情報により彼が亜久津君なのだと察する。しかし今彼が言った言葉の意味ってもしかして……。
「よく無事だったよなあ。あの四人」
そう言って亜久津君は立ち去る。その発言にゾッとした。まさか事故に遭ったのに試合に出ていたってこと……?
ベンチコーチとして座っていた橘君が静かに問いかけた。
「神尾。本当なのか……」
「……でも」
近くにいる神尾君は僅かに震えていた。否定しないということはそういうことなんだ。
その後、馬鹿野郎と怒鳴る橘君の怒鳴り声が響き渡ったあと彼は棄権を選択した。事故に遭った四人のことをしっかり考えた判断だと思う。無理をしていいことなんて何一つないのだから。
でも、私は亜久津君の真意が気になって遥に「私、一足先に戻るね」と声をかけて駆け出した。
「あの、待って! 亜久津君!」
名を呼ぶと彼は足を止めてゆっくりと身体をこちらに向ける。その時に見せた恐ろしいほどの三白眼に睨まれた私は思わず怯んでしまい、ごくりと息を飲んだ。
見た目で判断してはいけないと自分で言い聞かせ、私は彼の本音に迫る。
「誰だテメェは」
「九条秋と申します。さっきの発言についてなんだけど……亜久津君は不動峰の子達が事故に遭ったのを知ってたんだよね? だからああ言ったと思うんだけど、それって彼らの身を心配して、とかだったりする?」
橘君が聞いたら後輩達の身体を気遣って全力で止めるだろう。それを狙って、とかだったら少しは亜久津君への印象が変わるかもしれない。
「ハッ。何を言い出すかと思えば。頭沸いてんじゃねーのか」
「だ、だって、わざわざあんなこと言う必要ないよね? 言わなかったらきっと最後まで試合してたし、そうなったら全力を出せないどころか怪我が悪化する可能性だってあったんだもの。試合途中であろうと棄権するのが正解だと思う。だからあなたはわざわざ橘君に伝え━━」
その瞬間、私の胸元は亜久津君に掴まれ、ずいっと顔を寄せられた。鼻を掠める煙草の匂いが仄かに感じる。
「随分と頭が花畑みてーなこと言うじゃねーの。聖人にさせようとすんじゃねぇ。馬鹿馬鹿しい」
「……じゃあ、何のために?」
恐怖で身体が震えそうになる。胸ぐらを掴む力もとても強くて、それを自分に向けられたらと思うと気が気ではない。でも私は彼の本音を聞きに来たんだ。彼が悪い人なのか、いい人なのか、はっきりしたい。
人から聞いた話だけで鵜呑みしないように……だけど、ここまでされたらもはや確かめるまでもないのかもしれない。それでもしっかり聞いておかなければ。
「んなもん不動峰の部長の株を落とすために決まってんだろうが。あのまま試合やったって勝とうが負けようが事故に遭ったことを黙って最後まで試合をしたなんていう感動のお涙頂戴な展開は胸糞悪ぃんだよ! だから試合中にネタばらしして途中で棄権させ、みっともねぇ姿を晒してやっただけだ! これで満足かよ?」
そう告げると荒々しく胸ぐらを掴む手が離された。その勢いで足元がふらつく。
「……昔馴染みの河村君には飲み物をかけたけど、手を上げることはしなかったからもしかしたら少しでも人を思いやれる人かと思ったけど、違うんだね」
「ああ? テメェ河村の知り合いか。っつーことは青学か? 青学の女共はすぐ突っかかってきやがるな。女のくせに威勢だけはいいが、所詮女だ。弱ぇ奴が吠えてんじゃねぇよ」
ハッと鼻で笑うように言葉を残して立ち去ろうとするその背中を見ながら、私はまだ会話を終わらせることはしなかった。
「私はっ、私は弱いかもしれないけど、麻美は別だよ! 女の子の中でも彼女ほど身も心も強い人はそうそういないし、挫折にも乗り越える強さもあるの!」
私のことはいい。ただ麻美を弱いと一括りにされるのは我慢出来なかった。彼女は色んな意味を込めても強いと思える凄い子。だからそこは否定させてもらった。
亜久津君は私を一瞥したあと舌を鳴らし、また顔を前方へと戻す。
「挫折する時点で弱ぇ奴でしかねぇ。くだらねぇ青春をぶつけてくんじゃねぇよ。虫唾が走る」
結局、亜久津君には何も響いてもらえない上に麻美が弱くないことを上手く伝えることが出来なかった。
「「!」」
準決勝の不動峰対山吹の試合を観戦してる最中のこと。試合を見るのに夢中になって後ろを通りかかる彼の存在に気づかなかった。
その彼の言葉を聞いて慌てて後ろを振り返る。逆立つような白く染めた髪は麻美が目の敵にしていた人物の容姿にとてもよく似ていた。そして山吹中のユニフォームを身に纏っている。目つきも鋭くて恐怖さえも感じた。
確証はないけど、予め聞いていた情報により彼が亜久津君なのだと察する。しかし今彼が言った言葉の意味ってもしかして……。
「よく無事だったよなあ。あの四人」
そう言って亜久津君は立ち去る。その発言にゾッとした。まさか事故に遭ったのに試合に出ていたってこと……?
ベンチコーチとして座っていた橘君が静かに問いかけた。
「神尾。本当なのか……」
「……でも」
近くにいる神尾君は僅かに震えていた。否定しないということはそういうことなんだ。
その後、馬鹿野郎と怒鳴る橘君の怒鳴り声が響き渡ったあと彼は棄権を選択した。事故に遭った四人のことをしっかり考えた判断だと思う。無理をしていいことなんて何一つないのだから。
でも、私は亜久津君の真意が気になって遥に「私、一足先に戻るね」と声をかけて駆け出した。
「あの、待って! 亜久津君!」
名を呼ぶと彼は足を止めてゆっくりと身体をこちらに向ける。その時に見せた恐ろしいほどの三白眼に睨まれた私は思わず怯んでしまい、ごくりと息を飲んだ。
見た目で判断してはいけないと自分で言い聞かせ、私は彼の本音に迫る。
「誰だテメェは」
「九条秋と申します。さっきの発言についてなんだけど……亜久津君は不動峰の子達が事故に遭ったのを知ってたんだよね? だからああ言ったと思うんだけど、それって彼らの身を心配して、とかだったりする?」
橘君が聞いたら後輩達の身体を気遣って全力で止めるだろう。それを狙って、とかだったら少しは亜久津君への印象が変わるかもしれない。
「ハッ。何を言い出すかと思えば。頭沸いてんじゃねーのか」
「だ、だって、わざわざあんなこと言う必要ないよね? 言わなかったらきっと最後まで試合してたし、そうなったら全力を出せないどころか怪我が悪化する可能性だってあったんだもの。試合途中であろうと棄権するのが正解だと思う。だからあなたはわざわざ橘君に伝え━━」
その瞬間、私の胸元は亜久津君に掴まれ、ずいっと顔を寄せられた。鼻を掠める煙草の匂いが仄かに感じる。
「随分と頭が花畑みてーなこと言うじゃねーの。聖人にさせようとすんじゃねぇ。馬鹿馬鹿しい」
「……じゃあ、何のために?」
恐怖で身体が震えそうになる。胸ぐらを掴む力もとても強くて、それを自分に向けられたらと思うと気が気ではない。でも私は彼の本音を聞きに来たんだ。彼が悪い人なのか、いい人なのか、はっきりしたい。
人から聞いた話だけで鵜呑みしないように……だけど、ここまでされたらもはや確かめるまでもないのかもしれない。それでもしっかり聞いておかなければ。
「んなもん不動峰の部長の株を落とすために決まってんだろうが。あのまま試合やったって勝とうが負けようが事故に遭ったことを黙って最後まで試合をしたなんていう感動のお涙頂戴な展開は胸糞悪ぃんだよ! だから試合中にネタばらしして途中で棄権させ、みっともねぇ姿を晒してやっただけだ! これで満足かよ?」
そう告げると荒々しく胸ぐらを掴む手が離された。その勢いで足元がふらつく。
「……昔馴染みの河村君には飲み物をかけたけど、手を上げることはしなかったからもしかしたら少しでも人を思いやれる人かと思ったけど、違うんだね」
「ああ? テメェ河村の知り合いか。っつーことは青学か? 青学の女共はすぐ突っかかってきやがるな。女のくせに威勢だけはいいが、所詮女だ。弱ぇ奴が吠えてんじゃねぇよ」
ハッと鼻で笑うように言葉を残して立ち去ろうとするその背中を見ながら、私はまだ会話を終わらせることはしなかった。
「私はっ、私は弱いかもしれないけど、麻美は別だよ! 女の子の中でも彼女ほど身も心も強い人はそうそういないし、挫折にも乗り越える強さもあるの!」
私のことはいい。ただ麻美を弱いと一括りにされるのは我慢出来なかった。彼女は色んな意味を込めても強いと思える凄い子。だからそこは否定させてもらった。
亜久津君は私を一瞥したあと舌を鳴らし、また顔を前方へと戻す。
「挫折する時点で弱ぇ奴でしかねぇ。くだらねぇ青春をぶつけてくんじゃねぇよ。虫唾が走る」
結局、亜久津君には何も響いてもらえない上に麻美が弱くないことを上手く伝えることが出来なかった。