自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.18 もし何か協力が必要なら頼ってくれ
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休日だろうと乾の作ったメニューをこなすのが日課の私は今日も街の中を走り回った。打倒不二周助の思いを原動力にして。
……けれど、最初の頃に比べて烈火のごとく反発心は少しだけ落ち着いた気がする。別に不二を負かすのを諦めたわけじゃない。余計な感情がちらつくだけ。そうだ、不二がそれを与えようとしている。そうやって私を馬鹿にしてるに違いない。
そう考えるとまた苛立ってくる。そう、それでいい。と自分に言い聞かせるようにして不二に余計な感情を捨て、リベンジに集中することにする。
しかし暑い。もう夏だ。こんな中を走り込むのもなかなかにキツい。水でも浴びたい気分だ。そう思って公園に入って抜けようとしたその時だった。
ビシャッ!
「……」
突然ぶっかけられる水に思わず足が止まる。水がかかってきた方へと目を向けると小学生くらいのガキンチョが噴水の中に入って水遊びをしていた。その余波がこちらにもきたというわけだ。
ガキンチョ共が水がかかった私を見て謝罪するどころか「やべ!」「逃げろ!」とか言い出してその場から逃げ出した。
「このガキ……!」
ふざけんな。取っ捕まえてやる! そう思って走り出そうとした矢先だった。
「うっひゃ~。麻美ってば災難じゃん~」
「……」
水で滴る全身を見て同情するような、それともからかうような声色で私の名を呼ぶ。その相手を見やれば菊丸だった。片手にはスーパーの袋を提げている。
そんな奴に気を取られたせいでガキ共には逃げられてしまい、大きな舌打ちをした。
「っち。逃げられただろうが!」
「いやいや、子供相手に暴力はダメっしょ」
「くっそ……最っ悪」
「まぁ、かなりの量だったもんなぁ。雨にずぶ濡れたのかってくらいの勢いだったし。タオルとかは……持ってなさそうだよなぁ」
「ランニング中だってのに……」
一旦家に帰るか。それともそのまま走り抜け乾かすか。どうするべきか考えると、菊丸の奴が名案だと言わんばかりに「あ、そうだ!」と口を開く。
「俺ん家近いからさ、うちで乾かすのはどうよ?」
「はあ?」
「ほら、いくら夏だからとはいえ風邪でも引いたら大変じゃん? うちの大事なミクスドメンバーなんだし。大会に支障でもきたしたら困るのは麻美だけじゃないんだからさ。っつーわけで俺ん家行こ!」
「何がっつーわけなんだよ。こっちはトレーニング中だ。寄り道なんてしてられるか」
「ちょっとだけじゃん。寄り道したってトレーニングは出来るし、休憩も大事だし、体調を整えるのはもっと大事じゃんっ。万が一子供に水をかけられて風邪を引きましたなんて不二が知ったら笑われちゃうよ?」
不二に笑われる。その言葉を聞いてカチンときた。あんな奴に笑われてたまるものか。
「さっさと案内しろ」
「想像以上の変わり身の早さ」
「は?」
「にゃーんでもないないっ! ほらほら、行こっ!」
菊丸に背中を押されるが「押すなっ」と声を上げたら渋々と手を離し、奴の家へと向かうことになった。
向こうの言う通り家に辿り着くのはすぐだった。菊丸の家に邪魔することになったが、まだ水がボタボタだったので「タオル持ってくるからちょい待ってて」と言われ玄関で待つことに。
すると廊下の奥から家人と思わしき何人かがこちらを覗き見てる。何見てんだ見せもんじゃないぞと訝しげに眉間に皺を寄せると、すぐに菊丸がバスタオルを持って戻ってきた。
「お待たへ! とりあえずこれ使って。あらかた拭けたら脱衣所に案内するからさ。そんじゃ次は着替え探してくるね~」
バスタオルを私に押しつけ、一方的に言うだけ言うと菊丸は覗き見る家人達が集う奥へと向かった。
「英二~。あの子彼女? 彼女?」
「あんたやるじゃない!」
「そうじゃないっての! あ、姉ちゃん、服借りること出来る? あの子の服が乾くまで貸してほしいんだけど」
会話から察するに兄と姉達のようだ。兄弟が多いのか賑わっているようで騒がしいなと思いながら濡れた髪を拭う。
しばらくして菊丸がまたドタドタと玄関までやって来る。その手には替えと思わしき服。
「ひとまず姉ちゃんから借りたから乾くまでこれ着といてよ。そんじゃ上がって上がって」
菊丸に言われるがまま玄関を上がり、そのまま脱衣所まで案内された。
「俺、部屋にいるからさ。シャワーも使っていいよん」
そう言って菊丸はすぐに出て行くが、別にシャワーを使うほどではない。濡れた服を脱ぎ、姉の衣類に着替えてドライヤーを借りる。何だかんだ季節も季節だし、乾くのも早い。
服はTシャツと明るい色合いのロングスカート。まぁ、無難な感じだけど、あまり趣味ではない。しかし贅沢は言えないし、借りてる身なので気にしないでおく。
身なりを整え、濡れた服を抱えてどっかで乾かしてもらうかと思いながら脱衣所を出ると、菊丸の姉らしき人物が立っていて「服、乾かしとくから。それまで英二の部屋に行って遊んどいで」とニコニコしながら言われて、別に遊ぶつもりはないんだけどと喉から出かかったが飲み込んだ。どちらにせよ自分の服が乾くまで動けないだろうし。
仕方なく口頭で説明された菊丸の部屋に足を運ぶ。ガチャリと部屋の扉を開けると、菊丸が「うおっ!?」と声を上げる。
「びっくりした~。ノックくらいしろよなー!」
「乾くまでここにいろって言われた」
「姉ちゃんに言われたんだろ? そりゃそうなるっしょ」
「トレーニング中だってのに……」
「だから休憩ってことにしようってば。そんなに焦ること無いのにさ。あ、そうだ。麻美は昼飯まだ食べてない?」
「まだだけど」
「んじゃ時間あるんだし、うちで昼飯食ってきなよ」
そう言われると腹が減ってきた気もする。しかし菊丸に借りを作りたくないな……。そう悩んでいたら奴は勝手に話を進めた。
「よっし! そんじゃあ俺が特別にオムレツ作るから麻美はここで待っててよ」
「は? 作る? あんたが?」
「もちっ」
ぶいっ、とピースを決めた菊丸はまだ食べるとも言ってないのにすぐに部屋から飛び出した。……いや、あいつ作れるのか? そんなイメージがなくて心配になった私は菊丸の後を追いかけた。
……けれど、最初の頃に比べて烈火のごとく反発心は少しだけ落ち着いた気がする。別に不二を負かすのを諦めたわけじゃない。余計な感情がちらつくだけ。そうだ、不二がそれを与えようとしている。そうやって私を馬鹿にしてるに違いない。
そう考えるとまた苛立ってくる。そう、それでいい。と自分に言い聞かせるようにして不二に余計な感情を捨て、リベンジに集中することにする。
しかし暑い。もう夏だ。こんな中を走り込むのもなかなかにキツい。水でも浴びたい気分だ。そう思って公園に入って抜けようとしたその時だった。
ビシャッ!
「……」
突然ぶっかけられる水に思わず足が止まる。水がかかってきた方へと目を向けると小学生くらいのガキンチョが噴水の中に入って水遊びをしていた。その余波がこちらにもきたというわけだ。
ガキンチョ共が水がかかった私を見て謝罪するどころか「やべ!」「逃げろ!」とか言い出してその場から逃げ出した。
「このガキ……!」
ふざけんな。取っ捕まえてやる! そう思って走り出そうとした矢先だった。
「うっひゃ~。麻美ってば災難じゃん~」
「……」
水で滴る全身を見て同情するような、それともからかうような声色で私の名を呼ぶ。その相手を見やれば菊丸だった。片手にはスーパーの袋を提げている。
そんな奴に気を取られたせいでガキ共には逃げられてしまい、大きな舌打ちをした。
「っち。逃げられただろうが!」
「いやいや、子供相手に暴力はダメっしょ」
「くっそ……最っ悪」
「まぁ、かなりの量だったもんなぁ。雨にずぶ濡れたのかってくらいの勢いだったし。タオルとかは……持ってなさそうだよなぁ」
「ランニング中だってのに……」
一旦家に帰るか。それともそのまま走り抜け乾かすか。どうするべきか考えると、菊丸の奴が名案だと言わんばかりに「あ、そうだ!」と口を開く。
「俺ん家近いからさ、うちで乾かすのはどうよ?」
「はあ?」
「ほら、いくら夏だからとはいえ風邪でも引いたら大変じゃん? うちの大事なミクスドメンバーなんだし。大会に支障でもきたしたら困るのは麻美だけじゃないんだからさ。っつーわけで俺ん家行こ!」
「何がっつーわけなんだよ。こっちはトレーニング中だ。寄り道なんてしてられるか」
「ちょっとだけじゃん。寄り道したってトレーニングは出来るし、休憩も大事だし、体調を整えるのはもっと大事じゃんっ。万が一子供に水をかけられて風邪を引きましたなんて不二が知ったら笑われちゃうよ?」
不二に笑われる。その言葉を聞いてカチンときた。あんな奴に笑われてたまるものか。
「さっさと案内しろ」
「想像以上の変わり身の早さ」
「は?」
「にゃーんでもないないっ! ほらほら、行こっ!」
菊丸に背中を押されるが「押すなっ」と声を上げたら渋々と手を離し、奴の家へと向かうことになった。
向こうの言う通り家に辿り着くのはすぐだった。菊丸の家に邪魔することになったが、まだ水がボタボタだったので「タオル持ってくるからちょい待ってて」と言われ玄関で待つことに。
すると廊下の奥から家人と思わしき何人かがこちらを覗き見てる。何見てんだ見せもんじゃないぞと訝しげに眉間に皺を寄せると、すぐに菊丸がバスタオルを持って戻ってきた。
「お待たへ! とりあえずこれ使って。あらかた拭けたら脱衣所に案内するからさ。そんじゃ次は着替え探してくるね~」
バスタオルを私に押しつけ、一方的に言うだけ言うと菊丸は覗き見る家人達が集う奥へと向かった。
「英二~。あの子彼女? 彼女?」
「あんたやるじゃない!」
「そうじゃないっての! あ、姉ちゃん、服借りること出来る? あの子の服が乾くまで貸してほしいんだけど」
会話から察するに兄と姉達のようだ。兄弟が多いのか賑わっているようで騒がしいなと思いながら濡れた髪を拭う。
しばらくして菊丸がまたドタドタと玄関までやって来る。その手には替えと思わしき服。
「ひとまず姉ちゃんから借りたから乾くまでこれ着といてよ。そんじゃ上がって上がって」
菊丸に言われるがまま玄関を上がり、そのまま脱衣所まで案内された。
「俺、部屋にいるからさ。シャワーも使っていいよん」
そう言って菊丸はすぐに出て行くが、別にシャワーを使うほどではない。濡れた服を脱ぎ、姉の衣類に着替えてドライヤーを借りる。何だかんだ季節も季節だし、乾くのも早い。
服はTシャツと明るい色合いのロングスカート。まぁ、無難な感じだけど、あまり趣味ではない。しかし贅沢は言えないし、借りてる身なので気にしないでおく。
身なりを整え、濡れた服を抱えてどっかで乾かしてもらうかと思いながら脱衣所を出ると、菊丸の姉らしき人物が立っていて「服、乾かしとくから。それまで英二の部屋に行って遊んどいで」とニコニコしながら言われて、別に遊ぶつもりはないんだけどと喉から出かかったが飲み込んだ。どちらにせよ自分の服が乾くまで動けないだろうし。
仕方なく口頭で説明された菊丸の部屋に足を運ぶ。ガチャリと部屋の扉を開けると、菊丸が「うおっ!?」と声を上げる。
「びっくりした~。ノックくらいしろよなー!」
「乾くまでここにいろって言われた」
「姉ちゃんに言われたんだろ? そりゃそうなるっしょ」
「トレーニング中だってのに……」
「だから休憩ってことにしようってば。そんなに焦ること無いのにさ。あ、そうだ。麻美は昼飯まだ食べてない?」
「まだだけど」
「んじゃ時間あるんだし、うちで昼飯食ってきなよ」
そう言われると腹が減ってきた気もする。しかし菊丸に借りを作りたくないな……。そう悩んでいたら奴は勝手に話を進めた。
「よっし! そんじゃあ俺が特別にオムレツ作るから麻美はここで待っててよ」
「は? 作る? あんたが?」
「もちっ」
ぶいっ、とピースを決めた菊丸はまだ食べるとも言ってないのにすぐに部屋から飛び出した。……いや、あいつ作れるのか? そんなイメージがなくて心配になった私は菊丸の後を追いかけた。