自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.18 もし何か協力が必要なら頼ってくれ
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百貨店で行われてる文具博。休日を利用して手塚君と一緒に訪れた。目的は彼の日記帳を購入するため。
待ち合わせ10分前には百貨店の前に到着するように出発したけど、すでに手塚君が待っていたので慌てて彼の元へと駆け寄った。
「て、手塚君っ! もう来てたんだね、ごめんね遅くなって……!」
「まだ10分前だ。遅れてもいないから謝罪はいらないぞ」
「でも、手塚君を待たせたのに……」
「俺が早く着き過ぎただけだ。気にすることはない。それにお前が来るのを待つ時間も悪くはないからな」
そう言ってくれると申し訳ない気持ちが払拭される。良かった、手塚君が機嫌を損ねなくて。ホッと一安心すると手塚君は眉間に少しばかり皺を寄せて尋ねてきた。
「九条は俺に気を遣い過ぎだ」
「え? でも人に気遣うのは当然で……」
「確かにそうかもしれないが、お前は十分過ぎるくらいだ。……せめて俺の前くらいは楽にしてほしい」
そう告げられ、嬉しさと恥ずかしさが込み上げてくる。深い意味はないはずなのにそう聞こえてしまうくらい。彼は厚意で言ってくれるはずなのにそんなことを考えるなんて思い上がりにも程がある。だって手塚君は遥のことが好きなんだから。
ズキッと胸が痛くなる。手塚君が誰を好きになっても私には関係のないことなのに一人で勝手に傷つくなんて……。
「行こうか」
「う、うん」
手塚君に言われてハッとした私はすぐに頷いて施設に足を踏み入れた。今は手塚君と一緒に過ごせる喜びを噛み締めなきゃと、次第に大きくなる恋心を胸の奥へと押し込める。
催事のある階へ向かうと休日ということもあり、人が多くて賑わっていた。文具女子という言葉があるくらいなので女性が多い印象だけど、男性もちらほらいる。
デザイン性のある売り場に女性客、機能性のある売り場に男性客、というように分かれてるようにも見えた。
今回の目的は手塚君の日記帳なのでひとまず先に日記が並ぶコーナーへと向かう。コンパクトなサイズから5年分したためることが出来るもの、キャラクターものなど種類も機能も豊富で思っていたよりも数がある。
しかしそれを選ぶのは何故か私に託されたので責任は重大だ。
「ほ、本当に私が選んでもいいの?」
「あぁ。九条が選んだものを使いたい」
そう言われると押し込んだ気持ちが反応してドキドキしてしまう。でもなんで私なんだろう。こういう時にこそ遥に頼ればいいのに、とも思ってしまった。
「……手塚君はどんなものがいいとかある?」
「そうだな……。このような年間単位のものは書き込める量が少ないので自分で月日を書き込めるものが好ましいな」
なるほど。そう呟いて早々に書き込み量の少ない日記帳は省く。確かに手塚君は沢山書き込んでそうなイメージがする。
「好きな色はある?」
「強いて言うならば緑か青、だろうか」
緑か青。定番の色だから沢山あるのであまり絞れない気もする。それに濃淡もあるからさらに候補が増えていきそう。
でも……こうして少しずつ手塚君の好きなことを知れるのは嬉しいかも。
笑みがこぼれそうになりながら手塚君のために一冊一冊手に取って、サンプルを確認する。
これは日付がすでに記載されてるから違う。こっちは書き込む量が少なめ。こっちは少しペラペラし過ぎるかな。と、悩みに悩んでとうとう一冊の日記帳を手塚君に見せる。
「手塚君、これはどうかな?」
モスグリーンのハードカバーに装丁された丈夫な日記帳。本のようにも見えるので本棚に入れても違和感がない。
「これだと大きかったりするかな? もっと持ち運びやすいコンパクトサイズがいいならそっちで探してみるけど……」
「いや、そんなことはない。九条の選んだものは俺も気に入った。これにしよう」
そう言って彼は私から日記帳を受け取る。その際に手塚君の指が私の手に触れ、大袈裟なくらいに肩を跳ねさせてしまった。彼の触れた箇所がじんじんと熱くなる。
「九条……? どうかしたか?」
手塚君は私の反応を訝しんだのか心配そうに尋ねた。私は慌てて「な、何でもないよっ」と答え、すぐに別の話題に変えようと続けて口を開く。
「私も手塚君と同じように日記をつけようかな、なんて考えてて……」
「そうか。それなら」
スッと彼はもう一冊同じ日記帳を手に取った。そして手塚君は同じ日記帳を重ね……
「選んでくれたお礼に九条に日記を贈ろう」
「えっ、えっ!?」
突然のことで戸惑う私を気にすることなく、それを持ったまま手塚君はレジへと向かう。ワンテンポ遅れて私も彼を追いかけ、その腕を掴んだ。
「ま、待って手塚君っ」
「っ!」
「さすがに悪いよ、それはっ。私はただ選んだだけにすぎないからお礼とかしなくていいんだよっ」
「……迷惑か?」
「迷惑なんて……! むしろ恐れ多いくらいで……」
この前だって手塚君にペンを貰ったのに。お礼がほしくて彼に協力したわけじゃない。
「九条。恐れ多いとは思わないでほしい。俺はお前と対等な関係でありたいからそう恐縮しないでくれ」
「手塚君……」
真剣な眼差しと共にかけられる優しさと懇願がこもる声。尊敬して止まない手塚君が、厳格で努力を惜しまない手塚君が、私と対等な関係を願ってる。
嬉しいはずなのに、これ以上の関係は求めてないと言われてるような気もしなくはない。でも私がそれを望むのは筋違いだから彼の言うことにゆっくりと頷いた。
「わ、分かった」
「じゃあ買ってくる」
「で、でも手塚君いいのっ? その、同じ日記帳で……」
「もちろんだ」
そう言い残し、今度こそ彼はレジへ向かった。ただでさえ手塚君の日記帳を私が選んだのにさらにお揃いだなんて。
手塚君は気にしないのかもしれないけど、私は嬉しくて仕方なかった。
待ち合わせ10分前には百貨店の前に到着するように出発したけど、すでに手塚君が待っていたので慌てて彼の元へと駆け寄った。
「て、手塚君っ! もう来てたんだね、ごめんね遅くなって……!」
「まだ10分前だ。遅れてもいないから謝罪はいらないぞ」
「でも、手塚君を待たせたのに……」
「俺が早く着き過ぎただけだ。気にすることはない。それにお前が来るのを待つ時間も悪くはないからな」
そう言ってくれると申し訳ない気持ちが払拭される。良かった、手塚君が機嫌を損ねなくて。ホッと一安心すると手塚君は眉間に少しばかり皺を寄せて尋ねてきた。
「九条は俺に気を遣い過ぎだ」
「え? でも人に気遣うのは当然で……」
「確かにそうかもしれないが、お前は十分過ぎるくらいだ。……せめて俺の前くらいは楽にしてほしい」
そう告げられ、嬉しさと恥ずかしさが込み上げてくる。深い意味はないはずなのにそう聞こえてしまうくらい。彼は厚意で言ってくれるはずなのにそんなことを考えるなんて思い上がりにも程がある。だって手塚君は遥のことが好きなんだから。
ズキッと胸が痛くなる。手塚君が誰を好きになっても私には関係のないことなのに一人で勝手に傷つくなんて……。
「行こうか」
「う、うん」
手塚君に言われてハッとした私はすぐに頷いて施設に足を踏み入れた。今は手塚君と一緒に過ごせる喜びを噛み締めなきゃと、次第に大きくなる恋心を胸の奥へと押し込める。
催事のある階へ向かうと休日ということもあり、人が多くて賑わっていた。文具女子という言葉があるくらいなので女性が多い印象だけど、男性もちらほらいる。
デザイン性のある売り場に女性客、機能性のある売り場に男性客、というように分かれてるようにも見えた。
今回の目的は手塚君の日記帳なのでひとまず先に日記が並ぶコーナーへと向かう。コンパクトなサイズから5年分したためることが出来るもの、キャラクターものなど種類も機能も豊富で思っていたよりも数がある。
しかしそれを選ぶのは何故か私に託されたので責任は重大だ。
「ほ、本当に私が選んでもいいの?」
「あぁ。九条が選んだものを使いたい」
そう言われると押し込んだ気持ちが反応してドキドキしてしまう。でもなんで私なんだろう。こういう時にこそ遥に頼ればいいのに、とも思ってしまった。
「……手塚君はどんなものがいいとかある?」
「そうだな……。このような年間単位のものは書き込める量が少ないので自分で月日を書き込めるものが好ましいな」
なるほど。そう呟いて早々に書き込み量の少ない日記帳は省く。確かに手塚君は沢山書き込んでそうなイメージがする。
「好きな色はある?」
「強いて言うならば緑か青、だろうか」
緑か青。定番の色だから沢山あるのであまり絞れない気もする。それに濃淡もあるからさらに候補が増えていきそう。
でも……こうして少しずつ手塚君の好きなことを知れるのは嬉しいかも。
笑みがこぼれそうになりながら手塚君のために一冊一冊手に取って、サンプルを確認する。
これは日付がすでに記載されてるから違う。こっちは書き込む量が少なめ。こっちは少しペラペラし過ぎるかな。と、悩みに悩んでとうとう一冊の日記帳を手塚君に見せる。
「手塚君、これはどうかな?」
モスグリーンのハードカバーに装丁された丈夫な日記帳。本のようにも見えるので本棚に入れても違和感がない。
「これだと大きかったりするかな? もっと持ち運びやすいコンパクトサイズがいいならそっちで探してみるけど……」
「いや、そんなことはない。九条の選んだものは俺も気に入った。これにしよう」
そう言って彼は私から日記帳を受け取る。その際に手塚君の指が私の手に触れ、大袈裟なくらいに肩を跳ねさせてしまった。彼の触れた箇所がじんじんと熱くなる。
「九条……? どうかしたか?」
手塚君は私の反応を訝しんだのか心配そうに尋ねた。私は慌てて「な、何でもないよっ」と答え、すぐに別の話題に変えようと続けて口を開く。
「私も手塚君と同じように日記をつけようかな、なんて考えてて……」
「そうか。それなら」
スッと彼はもう一冊同じ日記帳を手に取った。そして手塚君は同じ日記帳を重ね……
「選んでくれたお礼に九条に日記を贈ろう」
「えっ、えっ!?」
突然のことで戸惑う私を気にすることなく、それを持ったまま手塚君はレジへと向かう。ワンテンポ遅れて私も彼を追いかけ、その腕を掴んだ。
「ま、待って手塚君っ」
「っ!」
「さすがに悪いよ、それはっ。私はただ選んだだけにすぎないからお礼とかしなくていいんだよっ」
「……迷惑か?」
「迷惑なんて……! むしろ恐れ多いくらいで……」
この前だって手塚君にペンを貰ったのに。お礼がほしくて彼に協力したわけじゃない。
「九条。恐れ多いとは思わないでほしい。俺はお前と対等な関係でありたいからそう恐縮しないでくれ」
「手塚君……」
真剣な眼差しと共にかけられる優しさと懇願がこもる声。尊敬して止まない手塚君が、厳格で努力を惜しまない手塚君が、私と対等な関係を願ってる。
嬉しいはずなのに、これ以上の関係は求めてないと言われてるような気もしなくはない。でも私がそれを望むのは筋違いだから彼の言うことにゆっくりと頷いた。
「わ、分かった」
「じゃあ買ってくる」
「で、でも手塚君いいのっ? その、同じ日記帳で……」
「もちろんだ」
そう言い残し、今度こそ彼はレジへ向かった。ただでさえ手塚君の日記帳を私が選んだのにさらにお揃いだなんて。
手塚君は気にしないのかもしれないけど、私は嬉しくて仕方なかった。