自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.17 君に格好悪い所は見せられないしさ
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その後、下梨のサービスゲームでは呆気なく1ゲームを取られてしまった。
サーブの際に無駄な動きをするからいつ打ち込んでくるのかタイミングが掴めやしないし、打ち返したら裕太と代わる代わる攻撃を仕掛けてくる。守備より攻撃を意識しているのがよく分かった。
2ゲーム目は私のサービスゲームだから落とすつもりはない。サービスエースを決めてやる。そう思い、レシーバーの下梨に向けてパワーサーブを叩き込む……が、奴は構えるどころか、欠伸をしてサーブを見送った。
「……あいつ、やる気あんのか」
「もっちろん! どんなサーブか見てあげようと思ったけど、何だか思ってたよりも大したことなくてつい欠伸が出ちゃいましたね~。赤宮さんって力があるらしいって聞いたのにちょーっと拍子抜けですぅ~」
「あぁ?」
ギュッとテニスボールを握る指に力が入る。こいつ、顔面にぶつけて泣かせてやろうか。イライラしながらレシーバーを交代した裕太に向けて怒りを込めたサーブをぶちかました。
裕太は下梨と違い、構えを崩すことはなかったが、打球を捉えることが出来ずに空振りする。
再び下梨がサーブを受ける位置に立つと今度はサーブを打ち返してきた。けれどその威力は弱い。すぐに桃城がポーチに出て打ち返そうとしたが、下梨が私に指を差して叫んだ。
「やだーっ! 赤宮さんなんてはしたないことしてるんですか!?」
は? 私何もやってないが?
「へ?」
桃城が何事かと言わんばかりに後ろを振り向く。思わず「馬鹿っ……!」と口にする。何お前が釣られてんだよ!
そのため桃城はボールを打ち返すことが出来ずにポイントを取られる。
「おまっ……! そんなことでいちいち反応すんな!」
「す、すんません! 赤宮先輩ならもしかしたらと思って!」
「何がもしかしたら、だ! 何考えてやがる!」
「だからすんませんでしたってば!」
くそっ。ペースが乱される。下梨の言動にイラつくし、それだけならまだしも、テニス自体も下手でもないから余計に腹立たしい。しかも……。
「食らえ! 誉ちゃんの必殺っ! 春恋の桜吹雪!」
腰を大きく捻り、ジャンピングスマッシュを放ったそのボールをボレーで返球しようとするも、カーブがかかりスカッと空振りしてしまう。
それを見た奴は「ぷぷーっ! 空振っちゃってはっずかし~~!!」とケラケラ笑ってくる。そんな下梨の言動にストレスが蓄積したせいでミスも連発するようになった。気づけば3-1と押されている現状だ。
下梨に気を取られていたら裕太にツイストスピンショットを決められるし、桃城も下梨の言動に少なからず苛立っている様子。このままじゃ駄目だ。私も桃城も思うことは一緒だった。
「ねーねー。裕太~。やっぱこの試合チョロいと思わない? 確か観月さんのデータだと6-2で勝つらしいけど、このまま6-1目指してもいいと思わない?」
「目指すのは賛成だけどよ。お前すぐ調子に乗るからそれで俺の足引っ張るなよな」
「は~? 引っ張りませんけどぉ~? むしろ裕太が気をつけてくださらないかしらね~~!? ほんっと大人しくしてたら生意気言うんだから! 少しは誉ちゃんの成果に崇め讃えたらどうなのっ!?」
「どこが大人しいんだよ……」
ルドルフの奴らはすでに勝利を確信してる。それがすでに気に入らない。なんでこんなにもあの女にムカつくのか分からないが、このまま突き離されてたまるか。
「……桃城。頭冷やすか」
「……そーッスね。俺もちょうどそう思ってました」
「やっぱり挑発は乗るより乗せる方がいい」
「同感。あいつに球を回すと面倒なことこの上ないんで狙うはひとつッスね」
「そうだな」
私と桃城の視線は不二裕太に向いた。一人に集中攻撃。ダブルスならよくある方法だ。
それからは裕太へ向けてボールを打ちまくる。下梨の所へは絶対に回させない。両刀ゆえに守備範囲が広いからその分際どいコースの攻めになるが、あいつのリーチさえ覚えてしまえば上手く避けられる。
「くそっ……俺狙いかよっ!」
「なんだ。もうへばってんの? 兄貴ならもっとやれるけど、やっぱ弟の方はその程度か」
「っ! んだと!?」
弟は簡単に挑発に乗ってくれた。兄貴の名前を出せば楽勝過ぎるな。まぁ、そのおかげでムキになって返球してくれるけど。
「ちょっと裕太! あんた何挑発に乗ってんのよ! 2対1じゃ不利になるんだからちゃんと誉ちゃんが攻撃出来るように考えて打ち返しなさいよ! てか聞いてんの!? 私の見せ場なしにするわけ!?」
「下梨。あんたはこの程度のラリーにも入って来れないのか? 少しは悪足掻きしてみせろよ。見せ場が欲しいならな」
「はあ? 誉ちゃんは最高のリターンを狙ってるだけなんだけど」
「どーだかな〜。口では何とでも言えるぜ!」
「はああああ? なぁに桃太郎まで誉ちゃんを馬鹿にしてんの!? いいわよいいわよ、やってやろうじゃないの! 悪足掻きって好きじゃないけど見せてあげるわよ! 誉ちゃんの食らいつきを!」
誘い出された下梨。桃城とともに口端を上げて笑った。そうだと思った、と。あの下梨って奴、挑発するのは得意だけど、焚き付けられやすいな。そういう所は認めたくはないが私に似ている。
だからこそ確信した。誰よりも舐められることや馬鹿にされるのを嫌う人種だと。
そんな下梨が意地でボールを打ち返す。もちろん奴の言う完璧なリターンには届かず、スイートスポットを外してフレームの上部に当たった球はチャンスボールに変わる。
「桃城、行け」
「あいよっ!」
「ゲッ! しまった!」
桃城が高く跳び、奴の得意技であるダンクスマッシュを決めた。チャンスを確実なものにした桃城は着地すると「どーんっ」と指を差す。
「裕太、下梨。あんたら結構チョロいな」
「っ!」
「なっ、なっ、ふざけんじゃねーですよ!! たった1ポイント取れたからっていい気にならないでよね!」
「そうかよ。じゃあ、早く見せ場作れよ。出来るもんならな?」
「~~っ!!」
煽られた分は倍にして返してやる。その効果は絶大だ。下梨は見せ場欲しさに焦り、誘い出される。裕太はそんな下梨を落ち着かせようとするが、兄の名を出せばすぐに頭に血が上って冷静さを失った。
確実にこっちのペースになった瞬間だ。1ゲームを取り、続く6ゲーム目は私からのサービス。トスを上げ、下梨に向けて力強く打ち込む……ように思わせてアンダーサーブを打つ。そう、下梨がやったのをそっくりそのまま返してやった。
真剣に構えていた奴はハッとした表情をし、タイミングが狂ったため急いでバウンドしたボールを返すが、また緩く上がりこちらに有利な球となる。
そして桃城の十八番を打ち込んでポイントを取っていく。
挑発に乗り、冷静でいられず、さらにやったことをやり返され、苛立ちが止まらず力み過ぎてミスショットも放つようになる。まるで負の連鎖。少し前の私のようだと思わなくもない。
そんな相手の未来はもう見えていた。結果は6-3で私らの逆転勝ち。正直なところコンビネーションは元々いいわけでもなかったし、こっちの方が上だった。
サーブの際に無駄な動きをするからいつ打ち込んでくるのかタイミングが掴めやしないし、打ち返したら裕太と代わる代わる攻撃を仕掛けてくる。守備より攻撃を意識しているのがよく分かった。
2ゲーム目は私のサービスゲームだから落とすつもりはない。サービスエースを決めてやる。そう思い、レシーバーの下梨に向けてパワーサーブを叩き込む……が、奴は構えるどころか、欠伸をしてサーブを見送った。
「……あいつ、やる気あんのか」
「もっちろん! どんなサーブか見てあげようと思ったけど、何だか思ってたよりも大したことなくてつい欠伸が出ちゃいましたね~。赤宮さんって力があるらしいって聞いたのにちょーっと拍子抜けですぅ~」
「あぁ?」
ギュッとテニスボールを握る指に力が入る。こいつ、顔面にぶつけて泣かせてやろうか。イライラしながらレシーバーを交代した裕太に向けて怒りを込めたサーブをぶちかました。
裕太は下梨と違い、構えを崩すことはなかったが、打球を捉えることが出来ずに空振りする。
再び下梨がサーブを受ける位置に立つと今度はサーブを打ち返してきた。けれどその威力は弱い。すぐに桃城がポーチに出て打ち返そうとしたが、下梨が私に指を差して叫んだ。
「やだーっ! 赤宮さんなんてはしたないことしてるんですか!?」
は? 私何もやってないが?
「へ?」
桃城が何事かと言わんばかりに後ろを振り向く。思わず「馬鹿っ……!」と口にする。何お前が釣られてんだよ!
そのため桃城はボールを打ち返すことが出来ずにポイントを取られる。
「おまっ……! そんなことでいちいち反応すんな!」
「す、すんません! 赤宮先輩ならもしかしたらと思って!」
「何がもしかしたら、だ! 何考えてやがる!」
「だからすんませんでしたってば!」
くそっ。ペースが乱される。下梨の言動にイラつくし、それだけならまだしも、テニス自体も下手でもないから余計に腹立たしい。しかも……。
「食らえ! 誉ちゃんの必殺っ! 春恋の桜吹雪!」
腰を大きく捻り、ジャンピングスマッシュを放ったそのボールをボレーで返球しようとするも、カーブがかかりスカッと空振りしてしまう。
それを見た奴は「ぷぷーっ! 空振っちゃってはっずかし~~!!」とケラケラ笑ってくる。そんな下梨の言動にストレスが蓄積したせいでミスも連発するようになった。気づけば3-1と押されている現状だ。
下梨に気を取られていたら裕太にツイストスピンショットを決められるし、桃城も下梨の言動に少なからず苛立っている様子。このままじゃ駄目だ。私も桃城も思うことは一緒だった。
「ねーねー。裕太~。やっぱこの試合チョロいと思わない? 確か観月さんのデータだと6-2で勝つらしいけど、このまま6-1目指してもいいと思わない?」
「目指すのは賛成だけどよ。お前すぐ調子に乗るからそれで俺の足引っ張るなよな」
「は~? 引っ張りませんけどぉ~? むしろ裕太が気をつけてくださらないかしらね~~!? ほんっと大人しくしてたら生意気言うんだから! 少しは誉ちゃんの成果に崇め讃えたらどうなのっ!?」
「どこが大人しいんだよ……」
ルドルフの奴らはすでに勝利を確信してる。それがすでに気に入らない。なんでこんなにもあの女にムカつくのか分からないが、このまま突き離されてたまるか。
「……桃城。頭冷やすか」
「……そーッスね。俺もちょうどそう思ってました」
「やっぱり挑発は乗るより乗せる方がいい」
「同感。あいつに球を回すと面倒なことこの上ないんで狙うはひとつッスね」
「そうだな」
私と桃城の視線は不二裕太に向いた。一人に集中攻撃。ダブルスならよくある方法だ。
それからは裕太へ向けてボールを打ちまくる。下梨の所へは絶対に回させない。両刀ゆえに守備範囲が広いからその分際どいコースの攻めになるが、あいつのリーチさえ覚えてしまえば上手く避けられる。
「くそっ……俺狙いかよっ!」
「なんだ。もうへばってんの? 兄貴ならもっとやれるけど、やっぱ弟の方はその程度か」
「っ! んだと!?」
弟は簡単に挑発に乗ってくれた。兄貴の名前を出せば楽勝過ぎるな。まぁ、そのおかげでムキになって返球してくれるけど。
「ちょっと裕太! あんた何挑発に乗ってんのよ! 2対1じゃ不利になるんだからちゃんと誉ちゃんが攻撃出来るように考えて打ち返しなさいよ! てか聞いてんの!? 私の見せ場なしにするわけ!?」
「下梨。あんたはこの程度のラリーにも入って来れないのか? 少しは悪足掻きしてみせろよ。見せ場が欲しいならな」
「はあ? 誉ちゃんは最高のリターンを狙ってるだけなんだけど」
「どーだかな〜。口では何とでも言えるぜ!」
「はああああ? なぁに桃太郎まで誉ちゃんを馬鹿にしてんの!? いいわよいいわよ、やってやろうじゃないの! 悪足掻きって好きじゃないけど見せてあげるわよ! 誉ちゃんの食らいつきを!」
誘い出された下梨。桃城とともに口端を上げて笑った。そうだと思った、と。あの下梨って奴、挑発するのは得意だけど、焚き付けられやすいな。そういう所は認めたくはないが私に似ている。
だからこそ確信した。誰よりも舐められることや馬鹿にされるのを嫌う人種だと。
そんな下梨が意地でボールを打ち返す。もちろん奴の言う完璧なリターンには届かず、スイートスポットを外してフレームの上部に当たった球はチャンスボールに変わる。
「桃城、行け」
「あいよっ!」
「ゲッ! しまった!」
桃城が高く跳び、奴の得意技であるダンクスマッシュを決めた。チャンスを確実なものにした桃城は着地すると「どーんっ」と指を差す。
「裕太、下梨。あんたら結構チョロいな」
「っ!」
「なっ、なっ、ふざけんじゃねーですよ!! たった1ポイント取れたからっていい気にならないでよね!」
「そうかよ。じゃあ、早く見せ場作れよ。出来るもんならな?」
「~~っ!!」
煽られた分は倍にして返してやる。その効果は絶大だ。下梨は見せ場欲しさに焦り、誘い出される。裕太はそんな下梨を落ち着かせようとするが、兄の名を出せばすぐに頭に血が上って冷静さを失った。
確実にこっちのペースになった瞬間だ。1ゲームを取り、続く6ゲーム目は私からのサービス。トスを上げ、下梨に向けて力強く打ち込む……ように思わせてアンダーサーブを打つ。そう、下梨がやったのをそっくりそのまま返してやった。
真剣に構えていた奴はハッとした表情をし、タイミングが狂ったため急いでバウンドしたボールを返すが、また緩く上がりこちらに有利な球となる。
そして桃城の十八番を打ち込んでポイントを取っていく。
挑発に乗り、冷静でいられず、さらにやったことをやり返され、苛立ちが止まらず力み過ぎてミスショットも放つようになる。まるで負の連鎖。少し前の私のようだと思わなくもない。
そんな相手の未来はもう見えていた。結果は6-3で私らの逆転勝ち。正直なところコンビネーションは元々いいわけでもなかったし、こっちの方が上だった。