自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.2 ……お前は人の世話は好きか?
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「麻美……ショック受けてんのかなー……」
朝練を始めるための準備体操の途中、僕のクラスメイトであり部活仲間である英二が屈伸をしながら呟いた。その内容は昨日についてのこと。
「気になる?」
「そりゃあねー。実際は見てないけど、不二から1ポイントも取れずにコテンパンにやられたらさ……あいつ相当ショック受けてるって」
「でも、負けたことのない彼女にとってはいい経験じゃないかな」
「だからってフツー女子相手に本気でやんないっしょ?」
「スポーツマンとしては本気でやらなきゃ相手にとって失礼だよ。赤宮さんも手加減するなって言ってたし」
「そんにゃんだけどさー……」
屈伸を終えると、納得のいかない英二はぶつぶつ文句を言いながら腰に手を当て状態を反らす動作に入る。
すると彼は後ろにあるフェンスの先に誰かを見つけたらしく「あ!」と声を出し、慌てて反らしていた体を戻すと、すぐに後ろを振り向いて指を差した。
「不二! 麻美が来た!」
「え?」
肩を叩かれ、僕も彼と同じように後ろを振り向くとそこには確かに英二の言う通り、赤宮麻美が立っていた。
そして誰かを捜しているのかキョロキョロと辺りを見回す彼女と目が合う。
僕と視線が合うと赤宮さんの目付きが鋭くなった。
どうやら彼女は僕を捜していたようで視線の先にいる僕を捕らえたままズンズンとこちらへと近づいてくる。
「ヤバイって不二! 殴り込みだよ! きっと復讐しに来たんだって!」
赤宮さんの様子を見た英二が僕のジャージを引っ張る。
伸びるから離してと言ってる暇はなく、彼女は男子テニス部の敷地内に入って僕の前で立ち止まった。
そして次第に部員達がざわめく。残念なことに手塚と大石、竜崎先生はランキング戦について話し合っているので今はコートにはいない。だから彼女を止めようとする人物はいなかった。
「おはよう、赤宮さん。一体どうしたのかな?」
にっこり、いつものように笑顔を見せるが赤宮さんはキッと強く僕を睨みつけた。
それを見た英二は慌てて僕の後ろに隠れる。そんな獲物を狙うような鋭い瞳、僕は嫌いじゃない。
「不二。私はあんたが強いなんて認めない。そのうち私があんたより上に立つからだ」
「うん、それで?」
「お前の言う努力とやらをしてやる。それで貴様に勝てるのならな」
「ということは、ちゃんと部活に出る気になったってことなんだね?」
「あぁ、男テニのな」
「……え?」
一瞬、彼女の言ってることが理解出来なかった。
僕は部活を疎かにする彼女のために全力で試合をし、負けたことにより向上心が生まれ、きちんと部活に出てもらう……という筋書きだったはずだけど、どうやら赤宮さんの行動は僕の予想の斜め上にいってしまった。
「女テニの練習をしてたらあんたと同じ練習が出来ないだろ」
僕に勝つには僕と同じ練習をしなければ意味がない。どうやら彼女はそう考えたようだ。
「赤宮さん……いくら何でも女子が男子の練習メニューをこなすなんて……」
「馬鹿にするな。女子だからって出来ないとか言うなよ」
「でも、君の所属しているのは女子テニス部なんだよ。男子テニス部じゃないんだ」
「勝手に練習するから問題はない」
「だけど……」
問題あるに決まってるじゃないか。むしろ手塚が許さないだろうし。
困ったなぁ……そう悩む僕の元に助け船を出してくれる者が現れた。
「それならこういうのはどうだ?」
「あ、乾ー!」
突然僕らの前に乾がにゅっと現れ、後ろに隠れていた英二が彼の名を呼ぶ。
「何かいい考えでもあるのかい?」
「あぁ、要は彼女がうちと同じ練習メニューが出来たら問題がないのだろう?」
「当たり前だ。不二と同じ練習が出来ないと意味ないだろ」
「ならば毎日練習メニューを君に教えてあげるよ。それを女テニでこなせばいい。もちろん、女テニでの練習メニューもこなせたら、だけど」
「楽勝だ。だが、本当にちゃんと同じメニューを教えてくれるわけ?」
「嘘だと感じるならばうちの日誌を見てその日行ったメニューを確認すればいい」
なるほど。練習メニューを彼女に提供するということだね。こっちに乗り込んで来るくらいならその方が断然いい。毎日ここに来られたら練習どころではないだろうし。
「分かった。じゃあ早速今日の放課後に行う練習メニューを貰う」
「では、放課後の部活が始まる前にまた来てくれないかい? それまでに練習メニューをまとめてあげるよ」
あぁ、と赤宮さんが頷くと彼女は何も言わずにテニスコートから出て行く。気の強すぎる彼女の後ろ姿を見送りながら僕はぼんやりと考えた。
赤宮麻美という人物を知ってからまだ数週間。
英二から彼女についての話を度々聞いていたけど、彼女の執念は僕が想像していた以上に強いことがよく分かった。
「赤宮さんって面白い人だね」
英二にそう告げると彼は「正気かよ?」と言うような目を僕に向けた。
朝練を始めるための準備体操の途中、僕のクラスメイトであり部活仲間である英二が屈伸をしながら呟いた。その内容は昨日についてのこと。
「気になる?」
「そりゃあねー。実際は見てないけど、不二から1ポイントも取れずにコテンパンにやられたらさ……あいつ相当ショック受けてるって」
「でも、負けたことのない彼女にとってはいい経験じゃないかな」
「だからってフツー女子相手に本気でやんないっしょ?」
「スポーツマンとしては本気でやらなきゃ相手にとって失礼だよ。赤宮さんも手加減するなって言ってたし」
「そんにゃんだけどさー……」
屈伸を終えると、納得のいかない英二はぶつぶつ文句を言いながら腰に手を当て状態を反らす動作に入る。
すると彼は後ろにあるフェンスの先に誰かを見つけたらしく「あ!」と声を出し、慌てて反らしていた体を戻すと、すぐに後ろを振り向いて指を差した。
「不二! 麻美が来た!」
「え?」
肩を叩かれ、僕も彼と同じように後ろを振り向くとそこには確かに英二の言う通り、赤宮麻美が立っていた。
そして誰かを捜しているのかキョロキョロと辺りを見回す彼女と目が合う。
僕と視線が合うと赤宮さんの目付きが鋭くなった。
どうやら彼女は僕を捜していたようで視線の先にいる僕を捕らえたままズンズンとこちらへと近づいてくる。
「ヤバイって不二! 殴り込みだよ! きっと復讐しに来たんだって!」
赤宮さんの様子を見た英二が僕のジャージを引っ張る。
伸びるから離してと言ってる暇はなく、彼女は男子テニス部の敷地内に入って僕の前で立ち止まった。
そして次第に部員達がざわめく。残念なことに手塚と大石、竜崎先生はランキング戦について話し合っているので今はコートにはいない。だから彼女を止めようとする人物はいなかった。
「おはよう、赤宮さん。一体どうしたのかな?」
にっこり、いつものように笑顔を見せるが赤宮さんはキッと強く僕を睨みつけた。
それを見た英二は慌てて僕の後ろに隠れる。そんな獲物を狙うような鋭い瞳、僕は嫌いじゃない。
「不二。私はあんたが強いなんて認めない。そのうち私があんたより上に立つからだ」
「うん、それで?」
「お前の言う努力とやらをしてやる。それで貴様に勝てるのならな」
「ということは、ちゃんと部活に出る気になったってことなんだね?」
「あぁ、男テニのな」
「……え?」
一瞬、彼女の言ってることが理解出来なかった。
僕は部活を疎かにする彼女のために全力で試合をし、負けたことにより向上心が生まれ、きちんと部活に出てもらう……という筋書きだったはずだけど、どうやら赤宮さんの行動は僕の予想の斜め上にいってしまった。
「女テニの練習をしてたらあんたと同じ練習が出来ないだろ」
僕に勝つには僕と同じ練習をしなければ意味がない。どうやら彼女はそう考えたようだ。
「赤宮さん……いくら何でも女子が男子の練習メニューをこなすなんて……」
「馬鹿にするな。女子だからって出来ないとか言うなよ」
「でも、君の所属しているのは女子テニス部なんだよ。男子テニス部じゃないんだ」
「勝手に練習するから問題はない」
「だけど……」
問題あるに決まってるじゃないか。むしろ手塚が許さないだろうし。
困ったなぁ……そう悩む僕の元に助け船を出してくれる者が現れた。
「それならこういうのはどうだ?」
「あ、乾ー!」
突然僕らの前に乾がにゅっと現れ、後ろに隠れていた英二が彼の名を呼ぶ。
「何かいい考えでもあるのかい?」
「あぁ、要は彼女がうちと同じ練習メニューが出来たら問題がないのだろう?」
「当たり前だ。不二と同じ練習が出来ないと意味ないだろ」
「ならば毎日練習メニューを君に教えてあげるよ。それを女テニでこなせばいい。もちろん、女テニでの練習メニューもこなせたら、だけど」
「楽勝だ。だが、本当にちゃんと同じメニューを教えてくれるわけ?」
「嘘だと感じるならばうちの日誌を見てその日行ったメニューを確認すればいい」
なるほど。練習メニューを彼女に提供するということだね。こっちに乗り込んで来るくらいならその方が断然いい。毎日ここに来られたら練習どころではないだろうし。
「分かった。じゃあ早速今日の放課後に行う練習メニューを貰う」
「では、放課後の部活が始まる前にまた来てくれないかい? それまでに練習メニューをまとめてあげるよ」
あぁ、と赤宮さんが頷くと彼女は何も言わずにテニスコートから出て行く。気の強すぎる彼女の後ろ姿を見送りながら僕はぼんやりと考えた。
赤宮麻美という人物を知ってからまだ数週間。
英二から彼女についての話を度々聞いていたけど、彼女の執念は僕が想像していた以上に強いことがよく分かった。
「赤宮さんって面白い人だね」
英二にそう告げると彼は「正気かよ?」と言うような目を僕に向けた。