自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.16 僕のことを少しは意識してるって自惚れてもいいんだね?
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女子の試合は終わった。残りの試合は次回に持ち越されるので自分の出番が終わったと同時に男子の試合会場へと向かっている途中、何やら聞き覚えのある声が聞こえてきたので足を止める。
不二だ。不二と弟、裕太って言ってたな。話を聞くと一方的に弟の方が不二に捲し立てているようだけど、要約すると「俺は勝つ。お前は観月さんに打ち負かされろ」的なことだと思う。
観月……あぁ、あの勧誘してきた奴か。本当に試合出場出来るレベルなのか、あのマネージャー。
弟が立ち去ると不二は何かを確認するように見上げた。その視線の先にはフェンスに食い込むテニスボールがあったが、なんで上部の天井部分とも言える場所にあるんだ?
「観月……か」
にこやかな表情ばかりの奴が別の感情を込めた目と確信を得たような声色で呟く。
「ビビってるわけじゃなさそうだな」
「! 赤宮さん」
不二の前に姿を現すと奴は驚いた顔を見せたあと、すぐにいつもの微笑みを私に向けた。
「あんたの対戦相手だそうだな、観月って奴。何か気になることでもあるわけ?」
「そうだね。……僕と裕太のすれ違いの原因が分かりそうなんだ」
「ふーん」
何となく理解は出来る。あの観月って奴、多分私と同じように裕太をスカウトしたんだろ。どこかずる賢い感じがするし、いいように利用しているようにも思える。
「もしかして、僕のこと心配してくれてる?」
「……は?」
待て。なんでそうなる? そんなつもりはこれっぽっちもないんだけど? そう態度で示しても不二の奴は汲み取ろうとしない。わざとだ。
「嬉しいよ。赤宮さんも僕のことを少しは意識してるって自惚れてもいいんだね?」
「自惚れるにもほどがあるだろっ! 深い意味なんてない!」
そう。全くない。深い意味なんて。気になることは色々あるけど。
「それにあんたが観月に負けたりしたらこっちはガッカリするんだから無様な姿を見せるなって言いたいだけだ!」
「うん。僕は負けるつもりはないよ」
「……万が一にも負けたらあんたを見限って私もルドルフに行くのを考えなきゃなんないからな」
「ルドルフに……?」
ぴくりと反応を見せる不二。にこにこしていた顔が少し崩れた。それが何だか面白くて得意げに語ってみる。
「スカウト受けたんだよ。その観月って奴にな」
「観月が赤宮さんを引き抜こうとしてるんだね。……君は興味があるの?」
「どうだろうな。ただ私を選ぶ辺り見る目はいいと思うけど」
「……困るな」
ぼそりと呟いた言葉はあまりにも小さくて私の耳には入らなかった。なんて? と聞き返した瞬間、不二は強い眼差しで私を見つめてきた。
「赤宮さんまで彼に取られたくない。さっきも言ったように僕は負けるつもりはないから行かないでほしい」
思いのこもった開眼の力なのか少したじろぐ。そんな真剣に言うほどのことでもないのに。
「……まぁ、私もその気はないけど。青学にいる方があんたとやり合える機会が多いし」
「そっか。それなら良かった」
安心したような笑みを向けられ調子が狂ってしまう。あの不二に必要とされてると思うと悪い気もしなかった。
その後始まったシングルス3の試合は1年ルーキー越前と不二の弟、裕太の試合だった。そこで初めて裕太が左殺しという異名があると知る。
左利き対策をしっかりされたらしいが不二は右利きなんだし、意味ないだろ。あいつも打倒不二周助なんじゃなかったのか? よく分からないけど越前には通じるはずだったのだろう。結局、裕太の技は越前によって打ち破られ敗北した。
そしてとうとう始まったシングルス2の不二と観月の試合。これに勝てば青学の勝利。負けるつもりはないと言っていたし、心配はないだろうと思いながら試合観戦していたが一体どういうことなのか、0-5で負けているではないか。あの不二周助が。
1ゲームも取れない相手だっていうわけ? 苦手なコースを打たれたからといってここまで押されるあんたじゃないだろ? ……てか、私だって打ったことあるコースだし。なんで取れないわけ?
無様な姿を見せるなって言っただろ! 苛立ちながらフェンスに絡める指の力が強くなる。
あと1ゲーム落としたら不二の負け。しかも観月からのサービスだ。不利である━━はずだった。
突然不二の動きが変わった。さっきまで押されていたのが嘘のようで、あっという間に試合結果はひっくり返される。あれから1ゲームも落とさなかった不二は7-5で勝利を手にした。
「……あの野郎」
わざとか。わざとだったのか。観月も同様のことを叫ぶ。心配させやがって……って、別に心配はしていない。つまらない試合を見せられたのがムカつくだけだ。
……まぁ、無様な試合をさせられた観月には少しだけ同情するけど。どちらにしてもあれが私の倒すべき相手ということは嫌というほど思い知らされた。
不二だ。不二と弟、裕太って言ってたな。話を聞くと一方的に弟の方が不二に捲し立てているようだけど、要約すると「俺は勝つ。お前は観月さんに打ち負かされろ」的なことだと思う。
観月……あぁ、あの勧誘してきた奴か。本当に試合出場出来るレベルなのか、あのマネージャー。
弟が立ち去ると不二は何かを確認するように見上げた。その視線の先にはフェンスに食い込むテニスボールがあったが、なんで上部の天井部分とも言える場所にあるんだ?
「観月……か」
にこやかな表情ばかりの奴が別の感情を込めた目と確信を得たような声色で呟く。
「ビビってるわけじゃなさそうだな」
「! 赤宮さん」
不二の前に姿を現すと奴は驚いた顔を見せたあと、すぐにいつもの微笑みを私に向けた。
「あんたの対戦相手だそうだな、観月って奴。何か気になることでもあるわけ?」
「そうだね。……僕と裕太のすれ違いの原因が分かりそうなんだ」
「ふーん」
何となく理解は出来る。あの観月って奴、多分私と同じように裕太をスカウトしたんだろ。どこかずる賢い感じがするし、いいように利用しているようにも思える。
「もしかして、僕のこと心配してくれてる?」
「……は?」
待て。なんでそうなる? そんなつもりはこれっぽっちもないんだけど? そう態度で示しても不二の奴は汲み取ろうとしない。わざとだ。
「嬉しいよ。赤宮さんも僕のことを少しは意識してるって自惚れてもいいんだね?」
「自惚れるにもほどがあるだろっ! 深い意味なんてない!」
そう。全くない。深い意味なんて。気になることは色々あるけど。
「それにあんたが観月に負けたりしたらこっちはガッカリするんだから無様な姿を見せるなって言いたいだけだ!」
「うん。僕は負けるつもりはないよ」
「……万が一にも負けたらあんたを見限って私もルドルフに行くのを考えなきゃなんないからな」
「ルドルフに……?」
ぴくりと反応を見せる不二。にこにこしていた顔が少し崩れた。それが何だか面白くて得意げに語ってみる。
「スカウト受けたんだよ。その観月って奴にな」
「観月が赤宮さんを引き抜こうとしてるんだね。……君は興味があるの?」
「どうだろうな。ただ私を選ぶ辺り見る目はいいと思うけど」
「……困るな」
ぼそりと呟いた言葉はあまりにも小さくて私の耳には入らなかった。なんて? と聞き返した瞬間、不二は強い眼差しで私を見つめてきた。
「赤宮さんまで彼に取られたくない。さっきも言ったように僕は負けるつもりはないから行かないでほしい」
思いのこもった開眼の力なのか少したじろぐ。そんな真剣に言うほどのことでもないのに。
「……まぁ、私もその気はないけど。青学にいる方があんたとやり合える機会が多いし」
「そっか。それなら良かった」
安心したような笑みを向けられ調子が狂ってしまう。あの不二に必要とされてると思うと悪い気もしなかった。
その後始まったシングルス3の試合は1年ルーキー越前と不二の弟、裕太の試合だった。そこで初めて裕太が左殺しという異名があると知る。
左利き対策をしっかりされたらしいが不二は右利きなんだし、意味ないだろ。あいつも打倒不二周助なんじゃなかったのか? よく分からないけど越前には通じるはずだったのだろう。結局、裕太の技は越前によって打ち破られ敗北した。
そしてとうとう始まったシングルス2の不二と観月の試合。これに勝てば青学の勝利。負けるつもりはないと言っていたし、心配はないだろうと思いながら試合観戦していたが一体どういうことなのか、0-5で負けているではないか。あの不二周助が。
1ゲームも取れない相手だっていうわけ? 苦手なコースを打たれたからといってここまで押されるあんたじゃないだろ? ……てか、私だって打ったことあるコースだし。なんで取れないわけ?
無様な姿を見せるなって言っただろ! 苛立ちながらフェンスに絡める指の力が強くなる。
あと1ゲーム落としたら不二の負け。しかも観月からのサービスだ。不利である━━はずだった。
突然不二の動きが変わった。さっきまで押されていたのが嘘のようで、あっという間に試合結果はひっくり返される。あれから1ゲームも落とさなかった不二は7-5で勝利を手にした。
「……あの野郎」
わざとか。わざとだったのか。観月も同様のことを叫ぶ。心配させやがって……って、別に心配はしていない。つまらない試合を見せられたのがムカつくだけだ。
……まぁ、無様な試合をさせられた観月には少しだけ同情するけど。どちらにしてもあれが私の倒すべき相手ということは嫌というほど思い知らされた。