自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.15 あたしが拾い食いするとでも!?
主人公名前変換
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「あっ、か、海堂君っ」
夕方のランニングに勤しんでいる時だった。いつものコースである河川敷を走り始めてしばらくした頃、前方にて同じようにランニングする人を追い越したら名前を呼ばれた。
聞き覚えのある声に、まさか今追い抜かした人物は……と思って後ろを振り向けば九条先輩が走っていることに気づく。
「……ども」
少しペースを落として並走しながら返事をするが、先輩はそれで満足したのか息を切らしながら少しずつスピードを落とし、その場で立ち止まった。
「?」
なんだ、もうバテたのか。そのまま走り抜いても良かったが、せめて一声かけてから行くのが礼儀だろうと思い、俺も一旦足を止める。
「あ、ご、ごめんね、海堂君。はぁ、私のことは気にしなくていいから……はぁっ……ランニングしていいよ」
ぜぇはぁと息を整えながらそう口にするが、そうなるのも仕方ないというような汗の量だった。
「もちろんそのつもりなんすけど……先輩、結構疲れてるんじゃないんスか?」
「そう、だね。さっきスポーツ施設で色々遊びすぎちゃったからかな……体力がそんなに残ってなかったみたいで……」
「だったらランニングは休めば良かったじゃないですか」
「まぁ、そうなんだけど、こういう時だからこそ頑張ってみようかなって思ったの」
肩に掛けていたタオルで汗を拭いながらそう言うものの、この人確かマネージャーのはずだよな? と少し所属してる部を疑ってしまった。
あーでも体力作りと減量を兼ねてるんだったか?
「九条先輩、頑張るのはいいですけど程々にしておかないよ大変ッスよ。ただでさえ最近始めたばかりなんですから無理に義務付けをすると心身共に負担がかかりますし」
「そ、っか……ちょっと張り切りすぎちゃったかな。毎日ランニングをする海堂君を思うと1日も休めないなって思っちゃって……」
そんなこったろうと思った。この人、自分の性別や運動を始めたばかりということが頭から抜けてるな。馬鹿じゃないくせになんでそれくらいのことを差し引かないのか。
「俺は運動部ですし、鍛えるのは当たり前ッスけど、あんたは違うでしょうよ」
「あ、確かに……」
「だから今日は少し距離を減らすなりしといた方がいいッスよ。先輩、変にやりすぎるとこあるんで」
「あはは、海堂君に褒められると嬉しいね」
どうやら褒め言葉として受け取ったらしい。そんなつもりはなかったが、わざわざ訂正するほどでもない。
「じゃあ海堂君の助言通り今日は少しだけにするよ」
「それがいいッスね……じゃ、俺はこれで……」
「あ、待って海堂君」
ランニングの続きをしようとしたら九条先輩に止められた。今度はなんだと思って一歩進んだ足を止める。
「例の仔猫、飼い主が決まったよ」
「あ……」
この人と初めて出会う切っ掛けとなった仔猫。校内新聞に里親募集の記事を書いてもらってしばらく経ったが……飼い主が決まったのか。そういえばこの人も見つかったら教えるとか言っていたな。
……何度か職員室にいる仔猫を見に行ったが、それももう出来なくなるのか。喜ばしいことではあると同時にどこか残念に思う気持ちもある。
まぁ、仔猫だったし、あのまま野良として生きるよりも飼い猫になった方が安全かもしれねぇのは間違いない。
「それは……良かったッスね」
「うん。見つかって安心だけど、やっぱりちょっとは寂しくなっちゃうね」
「……でも、あいつにしたら家族がいる方がいいだろう」
「そうだね。あの子を面倒見てくれた海堂君もその一人だと思うよ」
「面倒というほどのことは……それに里親募集とか色々掛け合ったのは先輩じゃないスか」
「私はたまたまみたいなところだから。ありがとうね、海堂君。あ、引き止めてごめんね。話はそれだけなの」
「ッス。じゃあ、失礼します」
とっくに呼吸が整った先輩の話が以上だと知ると、俺は頭を下げて再びランニングに戻ることにする。
九条先輩はもう少し休憩するのか、小さく手を振りながら俺を見送っていた。
そして一人、心の中であの仔猫との思い出を記憶から呼び起こし、あいつに向けて「新しい家で幸せになれよ……」と呟いた。
夕方のランニングに勤しんでいる時だった。いつものコースである河川敷を走り始めてしばらくした頃、前方にて同じようにランニングする人を追い越したら名前を呼ばれた。
聞き覚えのある声に、まさか今追い抜かした人物は……と思って後ろを振り向けば九条先輩が走っていることに気づく。
「……ども」
少しペースを落として並走しながら返事をするが、先輩はそれで満足したのか息を切らしながら少しずつスピードを落とし、その場で立ち止まった。
「?」
なんだ、もうバテたのか。そのまま走り抜いても良かったが、せめて一声かけてから行くのが礼儀だろうと思い、俺も一旦足を止める。
「あ、ご、ごめんね、海堂君。はぁ、私のことは気にしなくていいから……はぁっ……ランニングしていいよ」
ぜぇはぁと息を整えながらそう口にするが、そうなるのも仕方ないというような汗の量だった。
「もちろんそのつもりなんすけど……先輩、結構疲れてるんじゃないんスか?」
「そう、だね。さっきスポーツ施設で色々遊びすぎちゃったからかな……体力がそんなに残ってなかったみたいで……」
「だったらランニングは休めば良かったじゃないですか」
「まぁ、そうなんだけど、こういう時だからこそ頑張ってみようかなって思ったの」
肩に掛けていたタオルで汗を拭いながらそう言うものの、この人確かマネージャーのはずだよな? と少し所属してる部を疑ってしまった。
あーでも体力作りと減量を兼ねてるんだったか?
「九条先輩、頑張るのはいいですけど程々にしておかないよ大変ッスよ。ただでさえ最近始めたばかりなんですから無理に義務付けをすると心身共に負担がかかりますし」
「そ、っか……ちょっと張り切りすぎちゃったかな。毎日ランニングをする海堂君を思うと1日も休めないなって思っちゃって……」
そんなこったろうと思った。この人、自分の性別や運動を始めたばかりということが頭から抜けてるな。馬鹿じゃないくせになんでそれくらいのことを差し引かないのか。
「俺は運動部ですし、鍛えるのは当たり前ッスけど、あんたは違うでしょうよ」
「あ、確かに……」
「だから今日は少し距離を減らすなりしといた方がいいッスよ。先輩、変にやりすぎるとこあるんで」
「あはは、海堂君に褒められると嬉しいね」
どうやら褒め言葉として受け取ったらしい。そんなつもりはなかったが、わざわざ訂正するほどでもない。
「じゃあ海堂君の助言通り今日は少しだけにするよ」
「それがいいッスね……じゃ、俺はこれで……」
「あ、待って海堂君」
ランニングの続きをしようとしたら九条先輩に止められた。今度はなんだと思って一歩進んだ足を止める。
「例の仔猫、飼い主が決まったよ」
「あ……」
この人と初めて出会う切っ掛けとなった仔猫。校内新聞に里親募集の記事を書いてもらってしばらく経ったが……飼い主が決まったのか。そういえばこの人も見つかったら教えるとか言っていたな。
……何度か職員室にいる仔猫を見に行ったが、それももう出来なくなるのか。喜ばしいことではあると同時にどこか残念に思う気持ちもある。
まぁ、仔猫だったし、あのまま野良として生きるよりも飼い猫になった方が安全かもしれねぇのは間違いない。
「それは……良かったッスね」
「うん。見つかって安心だけど、やっぱりちょっとは寂しくなっちゃうね」
「……でも、あいつにしたら家族がいる方がいいだろう」
「そうだね。あの子を面倒見てくれた海堂君もその一人だと思うよ」
「面倒というほどのことは……それに里親募集とか色々掛け合ったのは先輩じゃないスか」
「私はたまたまみたいなところだから。ありがとうね、海堂君。あ、引き止めてごめんね。話はそれだけなの」
「ッス。じゃあ、失礼します」
とっくに呼吸が整った先輩の話が以上だと知ると、俺は頭を下げて再びランニングに戻ることにする。
九条先輩はもう少し休憩するのか、小さく手を振りながら俺を見送っていた。
そして一人、心の中であの仔猫との思い出を記憶から呼び起こし、あいつに向けて「新しい家で幸せになれよ……」と呟いた。