自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.13 さっさと帰って練習するぞ
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女子テニス部では女子部員達がとある人物を見てひそひそと話をしていた。その視線の先は先ほど遥に女子テニス部の場所を聞いていた千石清純である。
フェンス越しから女子テニス部の様子を見てニタ~と鼻を伸ばして笑みを浮かべていたので女子達は若干引いていた。
「……うちの奴ら何をひそひそと話してやがんだ?」
そんな中、いつもと部活の様子が違うことに気づいた麻美が肩にラケットを乗せながら部長である皐月涙に話しかける。
「他校生が覗きに来てるのよ。男子テニス部の偵察だと思うけどなんでこっちに来たかは分からないのよね。しかもあの調子で見てくるから、それで部員達も気味悪がっちゃってね。先生に報告しようかしら……」
はぁ、と額に手を当てながら溜め息をつく部長に麻美は「ふーん」と呟く。
「じゃあ、私が追い払ってやる」
「……えっ?」
ワンテンポ遅れて皐月が反応する。あの面倒臭がりのあなたが? と言いたげな表情だったが、麻美の様子を見ると彼女はどこか納得した。
なぜなら苛立ちMAXの顔をしていたのだ。まるで今から喧嘩を売りに行くような形相ともいえる。いや、まさに喧嘩を売るのかもしれない。それに気づいた部長は声を上げた。
「ちょっと赤宮さん! 喧嘩はやめなさい!」
「脅すだけだっての」
「それも駄目なの! 大人しくして!」
「静かにやるから安心しろっつーの」
いちいちうるさいな、と言わんばかりの態度で麻美は女子テニス部の敷地から出て行った。
皐月は「安心出来るわけないじゃないっ」と思いながらも相手はまだ何も仕出かしてないため、強く止めることも出来ない。そのため仕方なしに彼女は麻美の動向を窺うことした。
「ん~! やっぱり女子テニス部の子もレベル高いなぁ~。実力も可愛さも」
その頃、女子テニス部を覗くオレンジ頭の不審者はニヤニヤしながら女子達を眺めていた。
親指と人差し指をくっつけて円を作り、そこから覗くように一人一人の女の子をウォッチングする。
練習に励もうとする女の子の声、世の男達の幸福度を上げていると言わんばかりの生足。千石にとってはそこはもう天国である。
「ミクスドに出ていた子はあの子と、あの子と~……んん? おっかしいな。もう一人いるはずなのにどこにいるのやら?」
先日の地区予選。男子、女子中学生大会だけでなく男女混合のミクスド大会も今年から始まり、それを観戦していた千石は青学の女子メンバーが一人いないことに首を傾げていた。
「おい、そこのオレンジ頭」
すると突然彼に向けたであろう声がかかる。女の子の声だ! とウキウキしながら声をした方へと顔を向けるとそこには不機嫌そうな麻美が立っていた。
そんな彼女の顔を見て千石は「あ!」と声を出す。
「いたいた! 赤宮麻美ちゃん!」
「は? なんで名前知ってんだよ?」
訝しげな表情で問うと千石はデレデレしながらすぐに答える。
「そりゃあもちろんこの間のミクスド大会に出てたからね。まぁ、大会に出てた子はみんな覚えるんだけど、君は中でもすっごい綺麗な子だったからさ、俺も目を奪われちゃったよ」
「……」
「だけど決勝戦は残念だったね。でもまだ都大会には出場出来るから次は頑張って。俺も応援するよ。あ、そうだ! 良かったら今度一緒にテニスデートでもしない? 俺もね、実はこう見えてテニス上手いんだよ? 一緒にダブルス組んだりしてみよ━━」
ペラペラと喋る千石に麻美は静かにポケットからテニスボールを取り出し、トスを上げる。そして手にしていたラケットでそのボールを力強く千石へと目掛け打ち込んだ。
ボールは千石の顔面へと向かった……と思いきや、その球は急激に曲がり、彼の近くにある木へとぶつかった。
麻美は驚く。ボールが千石に当たらなかったことじゃない。彼女はわざと顔面に当たるスレスレにカーブがかかるように球を打ったので、最初から彼に当てるつもりはなく、ただの脅しだった。
麻美は千石の態度に驚いたのである。顔面に当たるかもしれないボールを避けるどころか慌てる様子もなかったのだ。
しかもしっかりと球を認識した上で避けるまでもないと見切ったのだから麻美は相手が只者ではないと察する。
「うんうんっ、いいサーブだよ。やっぱり君は磨けばもっと輝く原石。いや、すでに宝石の如く輝きを放っているから原石は違うか。宝石に更なる加工が必要、ってとこかな、うん」
「……あんた、名を名乗れ」
「おおっ! 俺に興味持ってくれちゃった? 俺、山吹中テニス部の千石清純。君とデートしたいなって思ってる中学3年生。あ、そうだ。連絡先交換しない?」
「……」
テニスとしての実力は確かなんだろう。そう認めかけたその時、麻美の興味は一気になくなった。暖かくなった季節とは違い、みるみる冷めて真冬のような冷たい視線が千石へと向けられる。
そして黙ったまま彼の前から立ち去った。
「あ、待ってよ麻美ちゃんー!」
千石はそんな彼女の態度を気にすることなく麻美を追いかけた。
フェンス越しから女子テニス部の様子を見てニタ~と鼻を伸ばして笑みを浮かべていたので女子達は若干引いていた。
「……うちの奴ら何をひそひそと話してやがんだ?」
そんな中、いつもと部活の様子が違うことに気づいた麻美が肩にラケットを乗せながら部長である皐月涙に話しかける。
「他校生が覗きに来てるのよ。男子テニス部の偵察だと思うけどなんでこっちに来たかは分からないのよね。しかもあの調子で見てくるから、それで部員達も気味悪がっちゃってね。先生に報告しようかしら……」
はぁ、と額に手を当てながら溜め息をつく部長に麻美は「ふーん」と呟く。
「じゃあ、私が追い払ってやる」
「……えっ?」
ワンテンポ遅れて皐月が反応する。あの面倒臭がりのあなたが? と言いたげな表情だったが、麻美の様子を見ると彼女はどこか納得した。
なぜなら苛立ちMAXの顔をしていたのだ。まるで今から喧嘩を売りに行くような形相ともいえる。いや、まさに喧嘩を売るのかもしれない。それに気づいた部長は声を上げた。
「ちょっと赤宮さん! 喧嘩はやめなさい!」
「脅すだけだっての」
「それも駄目なの! 大人しくして!」
「静かにやるから安心しろっつーの」
いちいちうるさいな、と言わんばかりの態度で麻美は女子テニス部の敷地から出て行った。
皐月は「安心出来るわけないじゃないっ」と思いながらも相手はまだ何も仕出かしてないため、強く止めることも出来ない。そのため仕方なしに彼女は麻美の動向を窺うことした。
「ん~! やっぱり女子テニス部の子もレベル高いなぁ~。実力も可愛さも」
その頃、女子テニス部を覗くオレンジ頭の不審者はニヤニヤしながら女子達を眺めていた。
親指と人差し指をくっつけて円を作り、そこから覗くように一人一人の女の子をウォッチングする。
練習に励もうとする女の子の声、世の男達の幸福度を上げていると言わんばかりの生足。千石にとってはそこはもう天国である。
「ミクスドに出ていた子はあの子と、あの子と~……んん? おっかしいな。もう一人いるはずなのにどこにいるのやら?」
先日の地区予選。男子、女子中学生大会だけでなく男女混合のミクスド大会も今年から始まり、それを観戦していた千石は青学の女子メンバーが一人いないことに首を傾げていた。
「おい、そこのオレンジ頭」
すると突然彼に向けたであろう声がかかる。女の子の声だ! とウキウキしながら声をした方へと顔を向けるとそこには不機嫌そうな麻美が立っていた。
そんな彼女の顔を見て千石は「あ!」と声を出す。
「いたいた! 赤宮麻美ちゃん!」
「は? なんで名前知ってんだよ?」
訝しげな表情で問うと千石はデレデレしながらすぐに答える。
「そりゃあもちろんこの間のミクスド大会に出てたからね。まぁ、大会に出てた子はみんな覚えるんだけど、君は中でもすっごい綺麗な子だったからさ、俺も目を奪われちゃったよ」
「……」
「だけど決勝戦は残念だったね。でもまだ都大会には出場出来るから次は頑張って。俺も応援するよ。あ、そうだ! 良かったら今度一緒にテニスデートでもしない? 俺もね、実はこう見えてテニス上手いんだよ? 一緒にダブルス組んだりしてみよ━━」
ペラペラと喋る千石に麻美は静かにポケットからテニスボールを取り出し、トスを上げる。そして手にしていたラケットでそのボールを力強く千石へと目掛け打ち込んだ。
ボールは千石の顔面へと向かった……と思いきや、その球は急激に曲がり、彼の近くにある木へとぶつかった。
麻美は驚く。ボールが千石に当たらなかったことじゃない。彼女はわざと顔面に当たるスレスレにカーブがかかるように球を打ったので、最初から彼に当てるつもりはなく、ただの脅しだった。
麻美は千石の態度に驚いたのである。顔面に当たるかもしれないボールを避けるどころか慌てる様子もなかったのだ。
しかもしっかりと球を認識した上で避けるまでもないと見切ったのだから麻美は相手が只者ではないと察する。
「うんうんっ、いいサーブだよ。やっぱり君は磨けばもっと輝く原石。いや、すでに宝石の如く輝きを放っているから原石は違うか。宝石に更なる加工が必要、ってとこかな、うん」
「……あんた、名を名乗れ」
「おおっ! 俺に興味持ってくれちゃった? 俺、山吹中テニス部の千石清純。君とデートしたいなって思ってる中学3年生。あ、そうだ。連絡先交換しない?」
「……」
テニスとしての実力は確かなんだろう。そう認めかけたその時、麻美の興味は一気になくなった。暖かくなった季節とは違い、みるみる冷めて真冬のような冷たい視線が千石へと向けられる。
そして黙ったまま彼の前から立ち去った。
「あ、待ってよ麻美ちゃんー!」
千石はそんな彼女の態度を気にすることなく麻美を追いかけた。