自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.12 少なくとも俺達のテニス部は全国No.1を諦めるつもりはないからな
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秋はハラハラしていた。手塚が女子テニス部の部長と話をしているから。
別に彼が誰と話していても問題はないのだけど、相手は皐月涙。男子の人気も高いモデル並の美しさを持つ生徒である。
それぞれテニス部の部長という同じ立場だから顔見知りだろうとは思っていたし、話くらいするだろう。
それなのにこの焦燥感の正体が何なのか分からず、秋はただ二人の様子が気になって仕方なかった。
そんな彼女の元に一人の男が声をかける。
「どうしたんだ九条? そんなにそわそわして」
「い、乾君っ」
新しいデータを求めるように背後から話しかけたのは乾だった。びくっ、と肩を跳ねさせて驚いた秋は彼になんと答えたらいいか分からずに少し口ごもる。
「あ、ええと……その、手塚君と皐月さんって仲がいいんだなぁって思ってただけで、そわそわというのとは違うような……」
「ほう。二人の仲が気になるのかい?」
乾の眼鏡が光ったような気がした。秋は「えっ」と戸惑いと図星をつかれたような声を上げる。
「確かに手塚と皐月は同じテニス部の部長であり、今回のミクスド大会が決まってから二人で何かと話をする機会も多くなっている。一部ではお似合いの二人だの、付き合ってるんじゃないかだの、噂が流れているようだ」
「えっ、つ、付き合ってるの?」
そんな噂は初耳だった。もしかして最近流れているのだろうか。いや、そんなことよりも二人が付き合ってるなら秋は手塚と接することをよく考えなければならないと考える。
この間、複数人とはいえ水族館に行ったし、故意ではないが二人きりになってしまった。もし恋人ならばその状況は快く思わないだろう。
秋はさらにハラハラした表情になると同時に胸がチクッとした痛みも走る。
「いや、噂であって事実ではないよ。あまりにも確証がなさすぎる。それに手塚は否定してたしね」
「そ、そうなんだ」
今度はホッと安堵する自分に気づく。
良かった、と口にしそうになったので、秋は慌てて口を閉じた。
……今私は何を。これではまるで私は手塚君のことが━━。
「乾。何をしている?」
その声を聞いて秋はハッと声の主へと目を向けた。聞き間違うはずはない。手塚の声である。
「手塚君っ」
「やぁ、手塚。九条さんと話をしてたところだ。お前の」
「俺の?」
手塚の視線が秋へと向けられ、彼女は慌てふためいた。
「あ、や、そんな大したことじゃっ!」
「お前と皐月、仲が良さそうだと話をしてたんだよ。付き合っているという噂があると教えたところだ」
フフ、とどこか笑みを見せる乾に手塚は僅かながら眉間に皺を寄せた。もちろん乾はその反応をすることくらいとっくに予想している。
「その噂はまったくのデタラメだと言っただろう」
「あぁ、そうだな。だから俺も彼女にそう説明したんだよ」
「……本当か?」
そう尋ねる手塚に秋はこくこくと頷いた。それを見た手塚は軽く溜め息を吐き捨てると、彼女へとしっかり目を合わせ口を開く。
「皐月とはそういう関係ではない、分かったな?」
「う、うん」
「さて、俺は試合観戦でもしに行くとしよう」
面白いものが見れたなと言わんばかりに乾はノートに何かを書き込むと、パタンと閉じて逃げるようにそそくさとその場から離れて行ってしまった。
「何なんだあいつは……」
「あ、あの、手塚君……ごめんね、変な話しちゃって……」
「……俺は本当に皐月とは何ともないからな」
念を押すように強く言う手塚に対して、秋は戸惑いながらも「う、うん」と答えることしか出来なかった。
その様子をしっかりと確認した手塚は「それならいい」と告げて元の場所に戻っていく。
先ほど河村と共に病院から戻ってきたときから手塚の様子がいつもと少し違うことに気づいてはいたが、その理由が分からなくて秋は知らないうちに彼の機嫌を損ねてしまったのかと、しゅんと落ち込んでしまった。
別に彼が誰と話していても問題はないのだけど、相手は皐月涙。男子の人気も高いモデル並の美しさを持つ生徒である。
それぞれテニス部の部長という同じ立場だから顔見知りだろうとは思っていたし、話くらいするだろう。
それなのにこの焦燥感の正体が何なのか分からず、秋はただ二人の様子が気になって仕方なかった。
そんな彼女の元に一人の男が声をかける。
「どうしたんだ九条? そんなにそわそわして」
「い、乾君っ」
新しいデータを求めるように背後から話しかけたのは乾だった。びくっ、と肩を跳ねさせて驚いた秋は彼になんと答えたらいいか分からずに少し口ごもる。
「あ、ええと……その、手塚君と皐月さんって仲がいいんだなぁって思ってただけで、そわそわというのとは違うような……」
「ほう。二人の仲が気になるのかい?」
乾の眼鏡が光ったような気がした。秋は「えっ」と戸惑いと図星をつかれたような声を上げる。
「確かに手塚と皐月は同じテニス部の部長であり、今回のミクスド大会が決まってから二人で何かと話をする機会も多くなっている。一部ではお似合いの二人だの、付き合ってるんじゃないかだの、噂が流れているようだ」
「えっ、つ、付き合ってるの?」
そんな噂は初耳だった。もしかして最近流れているのだろうか。いや、そんなことよりも二人が付き合ってるなら秋は手塚と接することをよく考えなければならないと考える。
この間、複数人とはいえ水族館に行ったし、故意ではないが二人きりになってしまった。もし恋人ならばその状況は快く思わないだろう。
秋はさらにハラハラした表情になると同時に胸がチクッとした痛みも走る。
「いや、噂であって事実ではないよ。あまりにも確証がなさすぎる。それに手塚は否定してたしね」
「そ、そうなんだ」
今度はホッと安堵する自分に気づく。
良かった、と口にしそうになったので、秋は慌てて口を閉じた。
……今私は何を。これではまるで私は手塚君のことが━━。
「乾。何をしている?」
その声を聞いて秋はハッと声の主へと目を向けた。聞き間違うはずはない。手塚の声である。
「手塚君っ」
「やぁ、手塚。九条さんと話をしてたところだ。お前の」
「俺の?」
手塚の視線が秋へと向けられ、彼女は慌てふためいた。
「あ、や、そんな大したことじゃっ!」
「お前と皐月、仲が良さそうだと話をしてたんだよ。付き合っているという噂があると教えたところだ」
フフ、とどこか笑みを見せる乾に手塚は僅かながら眉間に皺を寄せた。もちろん乾はその反応をすることくらいとっくに予想している。
「その噂はまったくのデタラメだと言っただろう」
「あぁ、そうだな。だから俺も彼女にそう説明したんだよ」
「……本当か?」
そう尋ねる手塚に秋はこくこくと頷いた。それを見た手塚は軽く溜め息を吐き捨てると、彼女へとしっかり目を合わせ口を開く。
「皐月とはそういう関係ではない、分かったな?」
「う、うん」
「さて、俺は試合観戦でもしに行くとしよう」
面白いものが見れたなと言わんばかりに乾はノートに何かを書き込むと、パタンと閉じて逃げるようにそそくさとその場から離れて行ってしまった。
「何なんだあいつは……」
「あ、あの、手塚君……ごめんね、変な話しちゃって……」
「……俺は本当に皐月とは何ともないからな」
念を押すように強く言う手塚に対して、秋は戸惑いながらも「う、うん」と答えることしか出来なかった。
その様子をしっかりと確認した手塚は「それならいい」と告げて元の場所に戻っていく。
先ほど河村と共に病院から戻ってきたときから手塚の様子がいつもと少し違うことに気づいてはいたが、その理由が分からなくて秋は知らないうちに彼の機嫌を損ねてしまったのかと、しゅんと落ち込んでしまった。