自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.11 気にすることない。俺は事実を言ったまでだ
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「いやいや、嘘でしょ……?」
遥は続行した試合を見ながらそう呟く。
いくら一時的に止血出来たからと言って試合する? だって実質片目で試合するんだよ? そんなの無茶という以前に無理だ。出来っこない。大石だって止めてたじゃないか! 大人しく先輩の言うこと聞けばいいのに。どうせ棄権したってまだ手塚が控えた大将戦があるんだからそれに賭けたっていいじゃないか。手塚も手塚だ。どうして後輩にそんな無茶を許すのか。
もやもやしながらも10分という制限時間があるだけマシなのかとも思うがハラハラする。それこそ新聞部としての仕事を忘れてしまいそうになりながら。
時折、ハッと自身の使命を思い出してカメラで写真を撮るが、手当てされた左目がやはり痛々しい。
こんなハンデ、負けても仕方がないと言えよう。せめて試合後に彼の勇姿を讃えてジュースくらい奢ってあげようかな。
そう思ったのもつかの間、越前は早くも自身を苦しめたスポットを攻略する。両手で交互に持ち替えて打つ方法、それと相手に上下回転のボールを交互に打たせないようにする方法で対戦相手である伊武のスポットを封じることに成功した。
そして越前は最後の一球に逆回転のスマッシュを決める。顔面へと跳ね上がるボールを打ち返せることなく、伊武はそれを手で受け止め、勝負が決まった。
同時に青学が地区大会優勝を手にしたのだ。
「……うっそん」
怒涛の展開にさすがの遥も驚きに驚きを重ねた。本当に10分で決着をつけたのだ。左目が塞がっているというハンデつきで。
片目で試合だなんて遠近感が狂ってしまうのに。それに相手だって一筋縄ではいかない相手だったんじゃないの?
もしかしてもしかして、越前ってば本当に凄い子?
カシャリ。優勝を決めても喜ぶ姿どころかクールな様子の1年生を写真に収めた遥は越前のテニスの才能に少しだけ身震いした。
「おーい! 越前ー!」
地区予選を制した越前が戻ると遥は彼の元へ駆け寄った。越前は「げっ」と少しばかり顔を歪める。
「青学優勝に導いた越前にいくつか質問なんだけど、怪我は本当に大丈夫なの? 痛くない?」
「痛くないッス……」
「それじゃあなんで棄権しなかったの? 越前が棄権しても手塚がいるんだし、任せられるでしょ?」
「別に……棄権するほどじゃないし。負けたくないし」
「負けず嫌いだなぁ……」
「それに……」
越前の脳裏に過ぎったのは自分の父の姿。あの親父ならこれくらいのハンデなんてことないと考えていた。
「それに?」
そう聞き返す遥に越前はハッとして帽子を深く被る。
「なんもないッス」
「えー?」
「こーら、取材はその辺にせんか。こやつは今から病院に連れて行かなきゃだからね」
「ぐぬぬっ」
そこへ顧問の竜崎が二人の間に割って入る。まだまだ質問し足りない遥としては邪魔が入ってしまったと思うものの、越前の怪我をそのままにさせるわけにもいかないので大人しく引き下がることにした。
病院へと連れられた越前の背を見送りながら跡に残らないか心配する中、後ろからにゅっと乾が姿を現す。
「あのくらいなら大丈夫だ。血は沢山出ていたが、そこまで深いものではないし、何より越前もあの調子なんだ。心配しなくていいよ」
「うおぉっ! ちょ、いきなり背後から現れないでくんないっ!?」
「この程度の歩み寄りにも気づかないとは……思ったよりも鈍いんだな、お前」
「酷い物言いだこと!」
「それよりこのあとすぐにミクスド試合だ。ただでさえミクスド大会は時間の関係上、同時試合だから忙しいぞ」
「ゲッ! マジッ!? コートからコートへ反復横跳びじゃん!」
早くミクスド大会の会場に急がなきゃ! そう言ってカメラ抱えながら遥は走り出した。乾は「待て待て」と声をかけるが彼女の耳には届かない。
「……ミクスドもここのコートを使うんだがな」
会場が分かってないな、まったく。と乾は呆れの溜め息を漏らした。
遥は続行した試合を見ながらそう呟く。
いくら一時的に止血出来たからと言って試合する? だって実質片目で試合するんだよ? そんなの無茶という以前に無理だ。出来っこない。大石だって止めてたじゃないか! 大人しく先輩の言うこと聞けばいいのに。どうせ棄権したってまだ手塚が控えた大将戦があるんだからそれに賭けたっていいじゃないか。手塚も手塚だ。どうして後輩にそんな無茶を許すのか。
もやもやしながらも10分という制限時間があるだけマシなのかとも思うがハラハラする。それこそ新聞部としての仕事を忘れてしまいそうになりながら。
時折、ハッと自身の使命を思い出してカメラで写真を撮るが、手当てされた左目がやはり痛々しい。
こんなハンデ、負けても仕方がないと言えよう。せめて試合後に彼の勇姿を讃えてジュースくらい奢ってあげようかな。
そう思ったのもつかの間、越前は早くも自身を苦しめたスポットを攻略する。両手で交互に持ち替えて打つ方法、それと相手に上下回転のボールを交互に打たせないようにする方法で対戦相手である伊武のスポットを封じることに成功した。
そして越前は最後の一球に逆回転のスマッシュを決める。顔面へと跳ね上がるボールを打ち返せることなく、伊武はそれを手で受け止め、勝負が決まった。
同時に青学が地区大会優勝を手にしたのだ。
「……うっそん」
怒涛の展開にさすがの遥も驚きに驚きを重ねた。本当に10分で決着をつけたのだ。左目が塞がっているというハンデつきで。
片目で試合だなんて遠近感が狂ってしまうのに。それに相手だって一筋縄ではいかない相手だったんじゃないの?
もしかしてもしかして、越前ってば本当に凄い子?
カシャリ。優勝を決めても喜ぶ姿どころかクールな様子の1年生を写真に収めた遥は越前のテニスの才能に少しだけ身震いした。
「おーい! 越前ー!」
地区予選を制した越前が戻ると遥は彼の元へ駆け寄った。越前は「げっ」と少しばかり顔を歪める。
「青学優勝に導いた越前にいくつか質問なんだけど、怪我は本当に大丈夫なの? 痛くない?」
「痛くないッス……」
「それじゃあなんで棄権しなかったの? 越前が棄権しても手塚がいるんだし、任せられるでしょ?」
「別に……棄権するほどじゃないし。負けたくないし」
「負けず嫌いだなぁ……」
「それに……」
越前の脳裏に過ぎったのは自分の父の姿。あの親父ならこれくらいのハンデなんてことないと考えていた。
「それに?」
そう聞き返す遥に越前はハッとして帽子を深く被る。
「なんもないッス」
「えー?」
「こーら、取材はその辺にせんか。こやつは今から病院に連れて行かなきゃだからね」
「ぐぬぬっ」
そこへ顧問の竜崎が二人の間に割って入る。まだまだ質問し足りない遥としては邪魔が入ってしまったと思うものの、越前の怪我をそのままにさせるわけにもいかないので大人しく引き下がることにした。
病院へと連れられた越前の背を見送りながら跡に残らないか心配する中、後ろからにゅっと乾が姿を現す。
「あのくらいなら大丈夫だ。血は沢山出ていたが、そこまで深いものではないし、何より越前もあの調子なんだ。心配しなくていいよ」
「うおぉっ! ちょ、いきなり背後から現れないでくんないっ!?」
「この程度の歩み寄りにも気づかないとは……思ったよりも鈍いんだな、お前」
「酷い物言いだこと!」
「それよりこのあとすぐにミクスド試合だ。ただでさえミクスド大会は時間の関係上、同時試合だから忙しいぞ」
「ゲッ! マジッ!? コートからコートへ反復横跳びじゃん!」
早くミクスド大会の会場に急がなきゃ! そう言ってカメラ抱えながら遥は走り出した。乾は「待て待て」と声をかけるが彼女の耳には届かない。
「……ミクスドもここのコートを使うんだがな」
会場が分かってないな、まったく。と乾は呆れの溜め息を漏らした。