自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
vol.11 気にすることない。俺は事実を言ったまでだ
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「良かったね、河村君。骨に異常はなくて」
「あぁ、テニスが出来なくならなくて安心したよ」
病院にて河村の怪我を診てもらった結果、骨までに響くような怪我ではないという知り、一安心する二人は病院から出たところだった。
池田と林は結果を知るとみんなに報告を知らせるため一足先に会場へと戻ったので、残された河村と秋は今から試合会場へと向かう。
早ければもう試合が終わっている可能性もあるので結果がどうなるか気になるところ。
「あ、おーい! タカさーん! 九条せんぱーい!」
すると二人の姿を見つけて駆け寄る後輩の姿が見えた。
「桃っ!」
「桃君?」
「ちょーど良かったッスね! タカさんの怪我も酷くなさそうで安心しましたよ。━━じゃあ、走れますよね?」
「「えっ?」」
ニッと笑った桃城が突然「早く戻りましょう!」と言って走り出したのだ。唐突のことで混乱する二人は言われるがまま走った。
「タカさん、そっちじゃない。右、右!」
「ああ、そっか」
「も、桃君、どうしてそんなに急ぐの?」
「そうだよ、桃。お前試合見たかっただろ? 抜け出したりして先生にも怒られるかも……」
「だって先輩方、アレはみんなで迎えなくっちゃ!! 青学の優勝!」
「!」
「ってことは、桃君。あれから青学は勝ってるってこと?」
「ご名答! おそらくマムシも勝ってるだろうし、今頃越前が青学の優勝、を━━」
ピタッと桃城の足が止まった。ようやく試合会場に戻り、秋も息が上がる中、試合コートへと目を向ける。
そこにはあの期待の1年生が目元に血を沢山流した状態で立っていた。そのため会場は大きくざわつき、試合は一時中断となる。
「ダメだ。血が止まらない。眼球は大丈夫そうだけど、まぶたの肉がパックリ抉られている」
大石が越前の瞼の上にある傷から溢れる血を拭うも、次から次へと血は流れ落ちる。
スポットという一瞬の麻痺状態で無理にボールを打とうとした結果、握力がなくなった手からラケットが抜け、支柱に当たったラケットが真っ二つになり、運悪くそのラケットが越前の目の上を切るというアクシデント。
それを他の部員から聞いた秋は絶句した。
「ほあら~」
「あっ、タカさんしっかり!」
「河村君っ」
越前の血を見て血の気が引いた河村が足元をふらつかせた。おそらく他人の大きな怪我や血などが見れないタイプなのだろう。
秋はふらつく河村を支えるが、彼がこうなるのも頷ける。それほど中学生になったばかりの少年が負うには酷い傷なのだ。
周りの部員達も痛々しいと言わんばかりに彼へ同情の視線が向けられる。
遠巻きでその様子を見ている麻美も「鈍臭い」と呟きながら溜め息をついていた。
「どうだ? 大石」
「どうもこうもこんな状態じゃプレー続行は不可能だ。ここに来てこの結果はイタイが……」
そうだよね。それが懸命な判断だろう。秋も小さく頷いた。
「よう越前。壊れちまったラケット、バッグに入れとくぜ」
「……。桃先輩、ついでにかわりのラケット1本出しておいて下さい」
「「!」」
越前の言葉に周りは驚いた。もちろん近くにいた取材班である遥も同じである。
しかし桃城は違った。「あいよ」と口にして後輩の言う通り新しいラケットを取り出したのだ。
「無茶だその傷で!」
「無茶しない方がいい。あまりにもハンデが大きすぎる」
大石と乾が強行しようとする越前を止めようとする。そうしている間も彼の傷からは血がドクドクと溢れていたため、見かねた審判が声をかける。
血が止まらないのでは試合をさせるわけにはいかない。諦めなさい。そう告げるが、生意気な彼はそれで「はい」とは頷かず、レギュラージャージの袖で血を拭った。
「やるよ」
そんな子どもの我儘なような物言いに顧問である竜崎スミレが彼を呼ぶ。越前を説得するのかと思われたが、竜崎は傷の手当てを始めた。
その結果、先ほどまでは滴り落ちるほど止まらなかった血がピタリと止まったのだ。
「いや、一時的に止めたにすぎんよ。もって……15分が限界だろう」
つまり15分だけ続行を許すということだろう。本当にそれでいいのか秋も焦りを見せる。しかし顧問の判断ならマネージャーが口を出すものではない。
「血が止まれば試合してもいいんだよね」
越前はすっかりその気である。困る審判をよそに桃城は越前に代わりのラケットを差し出そうとした……が、副部長が二人の間に入った。
一見、試合に水をさすような行動ではあるが、秋は大石の気持ちが分からないわけじゃない。
同じクラスであり、彼の人となりはそれなりに理解している。心優しい彼だからこそ越前に無茶をさせたくないし、もしものことがあったらと思うと止めずにはいられなかった。
そんな中、手塚が桃城からラケットを取り、部長としての判断を言葉にする。
「10分だ! 10分で決着 がつかなければ棄権させるぞ。いいな」
「……」
ハァ。大石は溜め息を吐く。15分でなく10分ということで多少譲歩したつもりなのだろうが、試合に出すことには変わりない。しかし彼がそういうのなら……と大石も諦めざるを得なかった。
「行ってこい。無茶するなよ」
「━━充分!」
試合続行が決まった瞬間だった。同じ学校の秋でさえも驚くのに他校が驚かないわけがない状況。
「て、手塚君っ、本当に大丈夫なの?」
秋が慌てて強行させた手塚に声をかけると、彼はちらりと彼女を見てから試合へと向かう越前へと視線を戻す。
「あぁ」
……あれ? と少しだけ違和感があった。どこか手塚の様子がおかしいと感じたから。
機嫌が良くなさそうな、まるで不貞腐れるようなそんな態度を僅かに感じた秋は少しだけ戸惑った。
「あぁ、テニスが出来なくならなくて安心したよ」
病院にて河村の怪我を診てもらった結果、骨までに響くような怪我ではないという知り、一安心する二人は病院から出たところだった。
池田と林は結果を知るとみんなに報告を知らせるため一足先に会場へと戻ったので、残された河村と秋は今から試合会場へと向かう。
早ければもう試合が終わっている可能性もあるので結果がどうなるか気になるところ。
「あ、おーい! タカさーん! 九条せんぱーい!」
すると二人の姿を見つけて駆け寄る後輩の姿が見えた。
「桃っ!」
「桃君?」
「ちょーど良かったッスね! タカさんの怪我も酷くなさそうで安心しましたよ。━━じゃあ、走れますよね?」
「「えっ?」」
ニッと笑った桃城が突然「早く戻りましょう!」と言って走り出したのだ。唐突のことで混乱する二人は言われるがまま走った。
「タカさん、そっちじゃない。右、右!」
「ああ、そっか」
「も、桃君、どうしてそんなに急ぐの?」
「そうだよ、桃。お前試合見たかっただろ? 抜け出したりして先生にも怒られるかも……」
「だって先輩方、アレはみんなで迎えなくっちゃ!! 青学の優勝!」
「!」
「ってことは、桃君。あれから青学は勝ってるってこと?」
「ご名答! おそらくマムシも勝ってるだろうし、今頃越前が青学の優勝、を━━」
ピタッと桃城の足が止まった。ようやく試合会場に戻り、秋も息が上がる中、試合コートへと目を向ける。
そこにはあの期待の1年生が目元に血を沢山流した状態で立っていた。そのため会場は大きくざわつき、試合は一時中断となる。
「ダメだ。血が止まらない。眼球は大丈夫そうだけど、まぶたの肉がパックリ抉られている」
大石が越前の瞼の上にある傷から溢れる血を拭うも、次から次へと血は流れ落ちる。
スポットという一瞬の麻痺状態で無理にボールを打とうとした結果、握力がなくなった手からラケットが抜け、支柱に当たったラケットが真っ二つになり、運悪くそのラケットが越前の目の上を切るというアクシデント。
それを他の部員から聞いた秋は絶句した。
「ほあら~」
「あっ、タカさんしっかり!」
「河村君っ」
越前の血を見て血の気が引いた河村が足元をふらつかせた。おそらく他人の大きな怪我や血などが見れないタイプなのだろう。
秋はふらつく河村を支えるが、彼がこうなるのも頷ける。それほど中学生になったばかりの少年が負うには酷い傷なのだ。
周りの部員達も痛々しいと言わんばかりに彼へ同情の視線が向けられる。
遠巻きでその様子を見ている麻美も「鈍臭い」と呟きながら溜め息をついていた。
「どうだ? 大石」
「どうもこうもこんな状態じゃプレー続行は不可能だ。ここに来てこの結果はイタイが……」
そうだよね。それが懸命な判断だろう。秋も小さく頷いた。
「よう越前。壊れちまったラケット、バッグに入れとくぜ」
「……。桃先輩、ついでにかわりのラケット1本出しておいて下さい」
「「!」」
越前の言葉に周りは驚いた。もちろん近くにいた取材班である遥も同じである。
しかし桃城は違った。「あいよ」と口にして後輩の言う通り新しいラケットを取り出したのだ。
「無茶だその傷で!」
「無茶しない方がいい。あまりにもハンデが大きすぎる」
大石と乾が強行しようとする越前を止めようとする。そうしている間も彼の傷からは血がドクドクと溢れていたため、見かねた審判が声をかける。
血が止まらないのでは試合をさせるわけにはいかない。諦めなさい。そう告げるが、生意気な彼はそれで「はい」とは頷かず、レギュラージャージの袖で血を拭った。
「やるよ」
そんな子どもの我儘なような物言いに顧問である竜崎スミレが彼を呼ぶ。越前を説得するのかと思われたが、竜崎は傷の手当てを始めた。
その結果、先ほどまでは滴り落ちるほど止まらなかった血がピタリと止まったのだ。
「いや、一時的に止めたにすぎんよ。もって……15分が限界だろう」
つまり15分だけ続行を許すということだろう。本当にそれでいいのか秋も焦りを見せる。しかし顧問の判断ならマネージャーが口を出すものではない。
「血が止まれば試合してもいいんだよね」
越前はすっかりその気である。困る審判をよそに桃城は越前に代わりのラケットを差し出そうとした……が、副部長が二人の間に入った。
一見、試合に水をさすような行動ではあるが、秋は大石の気持ちが分からないわけじゃない。
同じクラスであり、彼の人となりはそれなりに理解している。心優しい彼だからこそ越前に無茶をさせたくないし、もしものことがあったらと思うと止めずにはいられなかった。
そんな中、手塚が桃城からラケットを取り、部長としての判断を言葉にする。
「10分だ! 10分で
「……」
ハァ。大石は溜め息を吐く。15分でなく10分ということで多少譲歩したつもりなのだろうが、試合に出すことには変わりない。しかし彼がそういうのなら……と大石も諦めざるを得なかった。
「行ってこい。無茶するなよ」
「━━充分!」
試合続行が決まった瞬間だった。同じ学校の秋でさえも驚くのに他校が驚かないわけがない状況。
「て、手塚君っ、本当に大丈夫なの?」
秋が慌てて強行させた手塚に声をかけると、彼はちらりと彼女を見てから試合へと向かう越前へと視線を戻す。
「あぁ」
……あれ? と少しだけ違和感があった。どこか手塚の様子がおかしいと感じたから。
機嫌が良くなさそうな、まるで不貞腐れるようなそんな態度を僅かに感じた秋は少しだけ戸惑った。