自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
5位を巡る戦い
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5位決定戦も終えて関東大会の切符を手にした氷帝は帰り支度をしていた。
そんな氷帝チームに紛れて一人の他校生が辺りをキョロキョロと誰かを探しているかのように見回している。
(確か……この辺にいたはずなんだが)
色黒で肩につくくらいの髪の長さをしたその男は先ほど見かけた人物を探していた。
関東大会への切符をかけた氷帝との試合。氷帝軍団の中に女子がいたことに気づいたのは彼が出たダブルス2の試合が終わってからだった。
氷帝を応援する女子が何人かいたのは理解していたが、その人物は部活の関係者だと言わんばかりの堂々たる態度で試合を観戦していたのだ。
そして、その人物が自分の従兄妹だと気づくまでそう時間はかからなかった。
なぜ、あいつがあそこにいるのか? 確かに氷帝に通ってはいるがテニス部を応援しているなんて話、正月の集まりの時でさえも聞いていない。
団体戦の結果は残念なものだった。試合を終えてそれぞれ帰り支度を始める両校だが、部長でもある彼こと赤澤吉郎はマネージャーの観月に「従兄妹がいたからちょっと話してくる」と一方的に告げて麻美がいたであろう場所へと訪れたのだ。
「どうした? ルドルフの部長さんよ?」
そこへ、氷帝を束ねる部長が登場する。先ほどまで観月と試合をしてあっさりと勝利した人間。汗をかいている様子もなく本当に今さっきまで試合をしていたとは思えない。
「あぁ、跡部か。麻美……赤宮麻美を知らないか? この辺りにいたと思うんだけど」
「待ってな。樺地!」
「ウス」
パチン! と高らかに指を鳴らすと、跡部の後ろに控えていた樺地がその場を離れる。
「すぐに来るだろう」
「お、おう。サンキューな。っつーか、聞いてもいいか?」
「なんだ?」
「……麻美とお前はどういう関係なんだ?」
「あーん? 親戚の人間関係が気になるってか?」
「いや、麻美はお前のような人間とは一番関わりたくないはずだからな。純粋な疑問だ」
赤澤は麻美という人間を知っているからこそ、なぜこの二人が知り合いでかつ共に行動しているのか不思議で不思議で仕方なかった。
疑問符を浮かべる赤澤に跡部は小さく笑みを浮かべる。
「あいつはうちのマネージャーの一人だ」
「麻美が……マネージャー!?」
従兄妹である赤澤も麻美がマネージャーを担うとは夢にも思っていなかっただろう。信じられない事実ゆえに「本当に俺の知ってる麻美と跡部の言う麻美は同一人物なのか?」と疑うほど。
「げっ。吉郎、何しに来たんだよ」
すると、面倒だと言わんばかりの苦りきった顔をあらわにする麻美が樺地に連れられやって来た。
そんな麻美の態度に嫌な顔ひとつせず、むしろ満面の笑みを彼女に向けて手を上げた。
「よぉ、麻美! お前の姿が見えたから探しに来たんだよ。幻かと思ったけど本当にいたんだなっ」
「そのまま幻だと思ってくれて良かったっつーのに」
「跡部から聞いたぜ。お前、テニス部のマネージャーになったのか?」
「不本意ながらな」
「それならそうと言ってくれても良かったじゃねーか」
「言ってどうするんだよ」
「帰りに最近見つけた美味いカレーでも食いに行こうって誘えるだろ?」
「誘うな! そのカレーのある店だけ教えろ!」
(仲良いな、こいつら)
親戚だからなのか、麻美と赤澤の会話は普通の会話のようにも見える。
麻美と言えば話をするだけ悪態づくし、威圧的で態度も大きいのでまともに会話するのが難しいくらいだ。
それでも慣れたらあまり気にならないのもまた事実。現に氷帝男子テニス部は少しずつ麻美と対話出来る部員がちらほらいる。
けれど、やはり親戚という家族枠なのか距離が近くに思えた。
いや、むしろ赤澤が大らかだから成り立っているのかもしれない。麻美がどれだけ口悪く返しても赤澤は気に留めることなく、普通に話を続けるのだ。
悪口を悪口で返す某準レギュラーとは全く違うのである。
「そもそも私がマネージャーをやろうが、公式戦を観に来ようがあんたには関係ないだろ」
「そうだな。でも、予め知ってたら俺は嬉しいぜ」
ニカッと太陽の如く笑う赤澤に麻美は嫌そうに眉間に皺を寄せた。
(なるほどね。こいつもある意味赤宮が関わりたくない人物とも言えるわけか)
麻美の表情を見た跡部は一人頷く。おそらくこの様子だと赤澤は麻美に何を言われてもケロッとしているのだろう。
悪意を悪意として受け取らない人間はある種無敵とも言えるので麻美にとっては挑発にも乗らないため喧嘩すら出来ない相手だ。
とはいえ、仲が悪いとは言えない雰囲気なのは確かだろう。その証拠に麻美は赤澤の出た試合だけ、ずっと彼を目で追っていたのだ。
なんだかんだ言ってもやはり従兄妹が気になっていたと思われる。それを知る跡部はフッとわざとらしく笑った。
「素直じゃねぇな。赤宮」
「は?」
「5位決定戦の相手がルドルフと分かった途端行くって答えただろ? ご丁寧に従兄妹がテニスしてる様子を見るって言ったしな」
「お? ほんとか? そりゃあ嬉しいなっ」
「別に深い意味はない! あんたが全国区だっつーからどれほどの実力があるか一度見てやろうと思っただけだ。勘違いすんなよ!」
「そうかそうか。見てくれてサンキューな」
麻美の怒鳴り声に怯むことなく素直に礼を告げると、麻美は何を言っても楽観的に受け止める相手にこれ以上は無駄だと判断し「帰る!」と不機嫌そうに一人で先に帰り始めた。
そんな態度を取られようとも赤澤は「おう! また連絡するぜー」と笑いながら手を振る。
二人の様子を見ながら跡部は赤澤に「赤宮の扱いが上手いな」と感心するのだった。
そんな氷帝チームに紛れて一人の他校生が辺りをキョロキョロと誰かを探しているかのように見回している。
(確か……この辺にいたはずなんだが)
色黒で肩につくくらいの髪の長さをしたその男は先ほど見かけた人物を探していた。
関東大会への切符をかけた氷帝との試合。氷帝軍団の中に女子がいたことに気づいたのは彼が出たダブルス2の試合が終わってからだった。
氷帝を応援する女子が何人かいたのは理解していたが、その人物は部活の関係者だと言わんばかりの堂々たる態度で試合を観戦していたのだ。
そして、その人物が自分の従兄妹だと気づくまでそう時間はかからなかった。
なぜ、あいつがあそこにいるのか? 確かに氷帝に通ってはいるがテニス部を応援しているなんて話、正月の集まりの時でさえも聞いていない。
団体戦の結果は残念なものだった。試合を終えてそれぞれ帰り支度を始める両校だが、部長でもある彼こと赤澤吉郎はマネージャーの観月に「従兄妹がいたからちょっと話してくる」と一方的に告げて麻美がいたであろう場所へと訪れたのだ。
「どうした? ルドルフの部長さんよ?」
そこへ、氷帝を束ねる部長が登場する。先ほどまで観月と試合をしてあっさりと勝利した人間。汗をかいている様子もなく本当に今さっきまで試合をしていたとは思えない。
「あぁ、跡部か。麻美……赤宮麻美を知らないか? この辺りにいたと思うんだけど」
「待ってな。樺地!」
「ウス」
パチン! と高らかに指を鳴らすと、跡部の後ろに控えていた樺地がその場を離れる。
「すぐに来るだろう」
「お、おう。サンキューな。っつーか、聞いてもいいか?」
「なんだ?」
「……麻美とお前はどういう関係なんだ?」
「あーん? 親戚の人間関係が気になるってか?」
「いや、麻美はお前のような人間とは一番関わりたくないはずだからな。純粋な疑問だ」
赤澤は麻美という人間を知っているからこそ、なぜこの二人が知り合いでかつ共に行動しているのか不思議で不思議で仕方なかった。
疑問符を浮かべる赤澤に跡部は小さく笑みを浮かべる。
「あいつはうちのマネージャーの一人だ」
「麻美が……マネージャー!?」
従兄妹である赤澤も麻美がマネージャーを担うとは夢にも思っていなかっただろう。信じられない事実ゆえに「本当に俺の知ってる麻美と跡部の言う麻美は同一人物なのか?」と疑うほど。
「げっ。吉郎、何しに来たんだよ」
すると、面倒だと言わんばかりの苦りきった顔をあらわにする麻美が樺地に連れられやって来た。
そんな麻美の態度に嫌な顔ひとつせず、むしろ満面の笑みを彼女に向けて手を上げた。
「よぉ、麻美! お前の姿が見えたから探しに来たんだよ。幻かと思ったけど本当にいたんだなっ」
「そのまま幻だと思ってくれて良かったっつーのに」
「跡部から聞いたぜ。お前、テニス部のマネージャーになったのか?」
「不本意ながらな」
「それならそうと言ってくれても良かったじゃねーか」
「言ってどうするんだよ」
「帰りに最近見つけた美味いカレーでも食いに行こうって誘えるだろ?」
「誘うな! そのカレーのある店だけ教えろ!」
(仲良いな、こいつら)
親戚だからなのか、麻美と赤澤の会話は普通の会話のようにも見える。
麻美と言えば話をするだけ悪態づくし、威圧的で態度も大きいのでまともに会話するのが難しいくらいだ。
それでも慣れたらあまり気にならないのもまた事実。現に氷帝男子テニス部は少しずつ麻美と対話出来る部員がちらほらいる。
けれど、やはり親戚という家族枠なのか距離が近くに思えた。
いや、むしろ赤澤が大らかだから成り立っているのかもしれない。麻美がどれだけ口悪く返しても赤澤は気に留めることなく、普通に話を続けるのだ。
悪口を悪口で返す某準レギュラーとは全く違うのである。
「そもそも私がマネージャーをやろうが、公式戦を観に来ようがあんたには関係ないだろ」
「そうだな。でも、予め知ってたら俺は嬉しいぜ」
ニカッと太陽の如く笑う赤澤に麻美は嫌そうに眉間に皺を寄せた。
(なるほどね。こいつもある意味赤宮が関わりたくない人物とも言えるわけか)
麻美の表情を見た跡部は一人頷く。おそらくこの様子だと赤澤は麻美に何を言われてもケロッとしているのだろう。
悪意を悪意として受け取らない人間はある種無敵とも言えるので麻美にとっては挑発にも乗らないため喧嘩すら出来ない相手だ。
とはいえ、仲が悪いとは言えない雰囲気なのは確かだろう。その証拠に麻美は赤澤の出た試合だけ、ずっと彼を目で追っていたのだ。
なんだかんだ言ってもやはり従兄妹が気になっていたと思われる。それを知る跡部はフッとわざとらしく笑った。
「素直じゃねぇな。赤宮」
「は?」
「5位決定戦の相手がルドルフと分かった途端行くって答えただろ? ご丁寧に従兄妹がテニスしてる様子を見るって言ったしな」
「お? ほんとか? そりゃあ嬉しいなっ」
「別に深い意味はない! あんたが全国区だっつーからどれほどの実力があるか一度見てやろうと思っただけだ。勘違いすんなよ!」
「そうかそうか。見てくれてサンキューな」
麻美の怒鳴り声に怯むことなく素直に礼を告げると、麻美は何を言っても楽観的に受け止める相手にこれ以上は無駄だと判断し「帰る!」と不機嫌そうに一人で先に帰り始めた。
そんな態度を取られようとも赤澤は「おう! また連絡するぜー」と笑いながら手を振る。
二人の様子を見ながら跡部は赤澤に「赤宮の扱いが上手いな」と感心するのだった。