自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
レギュラーから外れた者の扱い方
主人公名前変換
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
その日の夜。麻美は閉店前のスーパーに買い物へ行った帰りだった。
本来ならば自分が行くはずではなかったのだが、親の友人が家に来ていて楽しげに盛り上がっているので買い物を押し付けられたのだ。
それこそ最初は渋ったが、アイスを買ってもいいからと言われたのでそれで手を打つことにした。
アイス一本ではかなり安いがたまには親孝行とやらもしてやろう。そう思って買い物に向かったのだ。
チョコレートでコーティングされた棒付きのバニラアイスを食べながら家に帰る途中、通りがかったテニスコートからボールの打つ音が聞こえた。
(こんな時間までテニスやってんのか)
いい時間だぞ、とスマートフォンに表示される時間を確認しながら胸の内に呟くが、どうも耳に入る打球音がおかしいことに気づく。
ボールを打つ音は部活で嫌というほど聞いているのでよく分かるのだが、所々何か障害物にぶつけるような鈍い音が聞こえるのだ。
足を止めて耳を澄ます。どうやらテニスコートで話し声が聞こえるため少なくとも一人ではない。
そのため壁打ち練習というわけでもなさそうだ。というより壁打ちにしてはラリー音が続かない。まるで一球ずつ何かを狙って打ち込んでいるようだ。
ならばスマッシュ練習か? それにしてもやはり打ったあとの鈍い音が気になる。だからどう聞いてもスマッシュをコートへと打ち込むような音には聞こえないからだ。
「……」
普段なら無視するようなことだが、何か引っかかる。さらに音を立てずに聞き続けると、小さな呻き声が麻美の耳に入った。
ちょうど鈍い音がするのと同時に低く悲痛とも言える声が微かに聞こえたのだ。
それを聞いた麻美は確信した。テニスを使った暴力沙汰だな、と。
そうと分かれば麻美は食べかけだったアイスをすぐに食べ終えて、木の棒を近くのゴミ箱に捨てるとスーパーの袋を腕に下げたまま拳を鳴らし、テニスコートへ向かった。
悪い笑みを浮かべながら。
「ちょうど腹ごなしの運動をしたかったところだ」
いわゆる虐めというやつだなと判断した麻美は弱者を守るという理由なら喧嘩しても許されるだろうと考えてテニスコートに辿り着いたが、それを見た途端彼女の動きは止まった。
「宍戸さん……もうやめましょう。本当にこれ以上やったら体がヤバいっスよ」
ナイター設備の整ったテニスコートには夜でも強く明るいライトが照らす。そこには間違いなく二人の人物がいた。
見覚えのある姿に聞き覚えのある声と人物名。鳳と宍戸だった。
ラケットを持って立つ鳳と反対のコートにはラケットも持たずにふらつくように立つ傷だらけの宍戸。状況が理解出来なかった。
まさかあの人畜無害な鳳が先輩でもある宍戸をテニスでボコボコにしてるのか? 一瞬そう思ったが、鳳の言葉を聞いてそうじゃないと気づく。
「もう勘弁してくださいよっ。ラケットも持たないでいったい……」
「ウルセー。続けろ」
鳳は躊躇いながらもトスを上げてサーブを打つ。そのボールは宍戸の顔面へと当たり、彼はそのままコートの上に倒れる。そりゃそうだ。ラケットもないのにボールを打ち込まれたら避けるか当たるかしかない。打ち返せないのだから。
どうやら二人は麻美の存在には気づいていないようだ。何はともあれ喧嘩ではないことはよく分かった。
宍戸が鳳に頼んであの状況を作ったことくらいしか理解出来ないが、目的や理由は分からない。
ただ自分が入る場ではいなと思った麻美はそのまま引き返した。
「っち。紛らわしい」
せっかく暴れることが出来ると思っただけに麻美のテンションはガタ落ちだ。
テニスコートから離れてもあの身体にぶつけられる鈍い音はまだ聞こえるので余計に。
しかし、あの二人がただならぬ様子なのは少しだけ気になった。
レギュラー落ちして部活に出ない男が後輩を使って何をしているのか。てっきり部活を辞めるのかと思っていたが、跡部からは退部届けは出されてないと聞いていた。
辞めるならとっくに辞めているかもしれないのでテニス部にはまだしがみつくつもりだろう。じゃあ、なぜ部活に出ない? レギュラー落ちが恥ずかしくて顔を出せないとか? それならば所属している意味なんてないだろう。
それに鳳のサーブを身体に受けているあの行為の意味も不明である。
実力不足ゆえの戒めか? そんなことしてる暇があればテニスの腕を上げるべきだろう。
……いや、もしかしてそういう特訓とでも言うんじゃないだろうな?
「……はぁ」
しばらくああだこうだと考えてみるが、なんで私がそこまで気にしなきゃならないんだと頭を振って溜め息をこぼした麻美は先ほど見た光景を忘れようと自分の家へと帰った。
本来ならば自分が行くはずではなかったのだが、親の友人が家に来ていて楽しげに盛り上がっているので買い物を押し付けられたのだ。
それこそ最初は渋ったが、アイスを買ってもいいからと言われたのでそれで手を打つことにした。
アイス一本ではかなり安いがたまには親孝行とやらもしてやろう。そう思って買い物に向かったのだ。
チョコレートでコーティングされた棒付きのバニラアイスを食べながら家に帰る途中、通りがかったテニスコートからボールの打つ音が聞こえた。
(こんな時間までテニスやってんのか)
いい時間だぞ、とスマートフォンに表示される時間を確認しながら胸の内に呟くが、どうも耳に入る打球音がおかしいことに気づく。
ボールを打つ音は部活で嫌というほど聞いているのでよく分かるのだが、所々何か障害物にぶつけるような鈍い音が聞こえるのだ。
足を止めて耳を澄ます。どうやらテニスコートで話し声が聞こえるため少なくとも一人ではない。
そのため壁打ち練習というわけでもなさそうだ。というより壁打ちにしてはラリー音が続かない。まるで一球ずつ何かを狙って打ち込んでいるようだ。
ならばスマッシュ練習か? それにしてもやはり打ったあとの鈍い音が気になる。だからどう聞いてもスマッシュをコートへと打ち込むような音には聞こえないからだ。
「……」
普段なら無視するようなことだが、何か引っかかる。さらに音を立てずに聞き続けると、小さな呻き声が麻美の耳に入った。
ちょうど鈍い音がするのと同時に低く悲痛とも言える声が微かに聞こえたのだ。
それを聞いた麻美は確信した。テニスを使った暴力沙汰だな、と。
そうと分かれば麻美は食べかけだったアイスをすぐに食べ終えて、木の棒を近くのゴミ箱に捨てるとスーパーの袋を腕に下げたまま拳を鳴らし、テニスコートへ向かった。
悪い笑みを浮かべながら。
「ちょうど腹ごなしの運動をしたかったところだ」
いわゆる虐めというやつだなと判断した麻美は弱者を守るという理由なら喧嘩しても許されるだろうと考えてテニスコートに辿り着いたが、それを見た途端彼女の動きは止まった。
「宍戸さん……もうやめましょう。本当にこれ以上やったら体がヤバいっスよ」
ナイター設備の整ったテニスコートには夜でも強く明るいライトが照らす。そこには間違いなく二人の人物がいた。
見覚えのある姿に聞き覚えのある声と人物名。鳳と宍戸だった。
ラケットを持って立つ鳳と反対のコートにはラケットも持たずにふらつくように立つ傷だらけの宍戸。状況が理解出来なかった。
まさかあの人畜無害な鳳が先輩でもある宍戸をテニスでボコボコにしてるのか? 一瞬そう思ったが、鳳の言葉を聞いてそうじゃないと気づく。
「もう勘弁してくださいよっ。ラケットも持たないでいったい……」
「ウルセー。続けろ」
鳳は躊躇いながらもトスを上げてサーブを打つ。そのボールは宍戸の顔面へと当たり、彼はそのままコートの上に倒れる。そりゃそうだ。ラケットもないのにボールを打ち込まれたら避けるか当たるかしかない。打ち返せないのだから。
どうやら二人は麻美の存在には気づいていないようだ。何はともあれ喧嘩ではないことはよく分かった。
宍戸が鳳に頼んであの状況を作ったことくらいしか理解出来ないが、目的や理由は分からない。
ただ自分が入る場ではいなと思った麻美はそのまま引き返した。
「っち。紛らわしい」
せっかく暴れることが出来ると思っただけに麻美のテンションはガタ落ちだ。
テニスコートから離れてもあの身体にぶつけられる鈍い音はまだ聞こえるので余計に。
しかし、あの二人がただならぬ様子なのは少しだけ気になった。
レギュラー落ちして部活に出ない男が後輩を使って何をしているのか。てっきり部活を辞めるのかと思っていたが、跡部からは退部届けは出されてないと聞いていた。
辞めるならとっくに辞めているかもしれないのでテニス部にはまだしがみつくつもりだろう。じゃあ、なぜ部活に出ない? レギュラー落ちが恥ずかしくて顔を出せないとか? それならば所属している意味なんてないだろう。
それに鳳のサーブを身体に受けているあの行為の意味も不明である。
実力不足ゆえの戒めか? そんなことしてる暇があればテニスの腕を上げるべきだろう。
……いや、もしかしてそういう特訓とでも言うんじゃないだろうな?
「……はぁ」
しばらくああだこうだと考えてみるが、なんで私がそこまで気にしなきゃならないんだと頭を振って溜め息をこぼした麻美は先ほど見た光景を忘れようと自分の家へと帰った。