自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
レギュラーから外れた者の扱い方
主人公名前変換
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部活終わりの帰り道。いや、これは寄り道だった。氷帝からは比較的に近いその場所はどう見ても築50年はありそうな古い一戸建ての家の外観である。
しかし、開きっぱなしの引き戸から覗くその家の中はちゃんとしたお店になっていた。古く懐かしい駄菓子屋の内装。
小さな駄菓子が棚やテーブルの上に数多くずらりと並んでいる。どうやら広い玄関を利用して駄菓子屋を開いているお店のようだ。店の奥や二階は住居らしく、生活感が漂っていた。
芥川によって連れられた秋は初めて入るお店に思わず感嘆の溜め息が漏れる。
「どう? 凄いっしょ?」
「うん。駄菓子屋は久しぶりだけど、こんなに種類が多いお店は初めてだよ」
「でっしょー? 俺ね、パンダカステラにー蒲焼さん太郎にーモロッコヨーグルにする!」
芥川はすでに目星をつけていたのか、一口サイズのカステラが串に刺さったものと、魚肉のすり身を蒲焼風に味付けしてパリパリ食感おつまみ感覚のものと、小さな容器に詰められたヨーグルト風味の駄菓子を選んで店主であり、家主でもあるお婆さんに料金を支払った。
「ご飯前にそんなに食べて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫っ! 秋も何か食べよーよ!」
「そうだね。でも、こんなにあると迷っちゃうなぁ……」
種類があると優柔不断が発揮される秋はうーん、うーん、と悩む。
どれも懐かしくて食べたことがあるものもあれば、存在は知っているが口にしたことないものもある。
そのため食べたことがあるものにすべきか、新しく食べるものにすべきか。それとも定番か変わり種か。色々と思い悩む秋の隣で芥川が口を開いた。
「そんなに悩むなら俺が決めていい~? もし食べられなかったら俺のと交換しよーよ」
「あ、いいね。それじゃあ、お願いしてもいいかな?」
「まっかせて~」
芥川はウキウキしながら秋のために二つの駄菓子を選んだ。
ひとつは女子に特に人気とも言える色んなカラーの糖衣で包んだチョコレート。パッケージから取り出すと占いの結果が書かれているプチプチ占い。
そしてもうひとつは黒糖、水飴、きなこを混ぜて作った優しい味わいのきなこ棒。
「これでどう?」
「うんっ。どっちも好きなものだよ。ありがとう」
「へっへ~。どーいたしまして」
それじゃあ、買ってくるねと秋が芥川の選んだ駄菓子を受け取り、店主に料金を払うその時だった。
「あれ? お前らも寄り道してたのか」
「ほんまや。さっきぶりやな、お二人さん」
その声を聞いて店の出入口に二人が目を向けると、そこには向日と忍足の姿があった。
「岳人と忍足じゃん! なになにっ? 二人も駄菓子食べに来たの?」
「まぁ、そーゆうとこだな」
「岳人も駄菓子屋さんにはよく来るの?」
「ん? まぁ、そうだな。それなりに。秋も来んのか?」
「私はこのお店は初めてなの」
そこで芥川はハッとした。いつの間にか向日と秋が互いに名前で呼び合っていることに気づいたのだ。確か以前は名字で呼んでいたはずなのに、と。
「……二人って、名前で呼んでたっけ?」
思わず聞いてしまった。
「あぁ、友達の証ってやつ? ちょっと前から名前で呼び合うことにしたんだよ」
実に幼馴染みの一人である向日らしい理由だった。それくらいなら芥川もそうだろうなぁ、と納得出来るのだが問題は秋の方だった。
「そ、そうなのっ。岳人が名前で呼び合おうって言ってくれたから」
どこか恥ずかしげで頬を染めている反応だったため、芥川は内心焦りが生まれる。
一体二人はいつからそんな仲になったのだろうか。いや、遅かれ早かれこうなることくらいは予想出来たかもしれないが、いざ目の前で仲が深まるのを見ると不安で不安で仕方なかった。
このままでは秋は向日のことが好きなんだと自覚してしまう。そんな警鐘が鳴ったのだ。
「へー、そうなんだ。あ、秋、そろそろ行こっか。岳人達の買い物の邪魔になっちゃうし」
「え? あ、そうだね。じゃあね、二人とも。また明日」
「おー。またなージロー、秋」
「気をつけて帰るんやで」
芥川が先に店を出ると続いて秋も駄菓子屋の敷地から出た。そんな彼女達を見送った向日と忍足だが、二人揃って芥川の様子にどこか引っかかりを覚える。
「ジローの奴、いつもなら買い物の邪魔とか気にしねーのにどうしたんだ?」
「……さぁな」
「ま、いっか。侑士、いつものやつやってくれよ」
「はいはい、分かったわ。……すんません、型抜き一回お願いします」
いつものやつ、と言われて忍足は駄菓子のお婆さん小銭を渡して型抜きを一枚手渡された。これが向日の言ういつものやつ、である。
忍足は店の隅に置いてある年期の入った木の長椅子をテーブル代わりにして難しいタイプの型抜きに挑戦することになった。
(ジローの奴、九条さんにほの字なんやろな。そんでその九条さんがどうにも岳人に気があるように見えるしなぁ……)
ぼんやりとその手の勘に鋭い忍足は十中八九そうなんだろうと確信する。
まさかの三角関係かいな、と思いつつ隣をチラ見すれば秋のことをそういう対象に見てないであろう向日が型抜きをする忍足の手をジッと見つめていた。
(何も知らんとは罪な奴やな……)
しかし、開きっぱなしの引き戸から覗くその家の中はちゃんとしたお店になっていた。古く懐かしい駄菓子屋の内装。
小さな駄菓子が棚やテーブルの上に数多くずらりと並んでいる。どうやら広い玄関を利用して駄菓子屋を開いているお店のようだ。店の奥や二階は住居らしく、生活感が漂っていた。
芥川によって連れられた秋は初めて入るお店に思わず感嘆の溜め息が漏れる。
「どう? 凄いっしょ?」
「うん。駄菓子屋は久しぶりだけど、こんなに種類が多いお店は初めてだよ」
「でっしょー? 俺ね、パンダカステラにー蒲焼さん太郎にーモロッコヨーグルにする!」
芥川はすでに目星をつけていたのか、一口サイズのカステラが串に刺さったものと、魚肉のすり身を蒲焼風に味付けしてパリパリ食感おつまみ感覚のものと、小さな容器に詰められたヨーグルト風味の駄菓子を選んで店主であり、家主でもあるお婆さんに料金を支払った。
「ご飯前にそんなに食べて大丈夫?」
「大丈夫大丈夫っ! 秋も何か食べよーよ!」
「そうだね。でも、こんなにあると迷っちゃうなぁ……」
種類があると優柔不断が発揮される秋はうーん、うーん、と悩む。
どれも懐かしくて食べたことがあるものもあれば、存在は知っているが口にしたことないものもある。
そのため食べたことがあるものにすべきか、新しく食べるものにすべきか。それとも定番か変わり種か。色々と思い悩む秋の隣で芥川が口を開いた。
「そんなに悩むなら俺が決めていい~? もし食べられなかったら俺のと交換しよーよ」
「あ、いいね。それじゃあ、お願いしてもいいかな?」
「まっかせて~」
芥川はウキウキしながら秋のために二つの駄菓子を選んだ。
ひとつは女子に特に人気とも言える色んなカラーの糖衣で包んだチョコレート。パッケージから取り出すと占いの結果が書かれているプチプチ占い。
そしてもうひとつは黒糖、水飴、きなこを混ぜて作った優しい味わいのきなこ棒。
「これでどう?」
「うんっ。どっちも好きなものだよ。ありがとう」
「へっへ~。どーいたしまして」
それじゃあ、買ってくるねと秋が芥川の選んだ駄菓子を受け取り、店主に料金を払うその時だった。
「あれ? お前らも寄り道してたのか」
「ほんまや。さっきぶりやな、お二人さん」
その声を聞いて店の出入口に二人が目を向けると、そこには向日と忍足の姿があった。
「岳人と忍足じゃん! なになにっ? 二人も駄菓子食べに来たの?」
「まぁ、そーゆうとこだな」
「岳人も駄菓子屋さんにはよく来るの?」
「ん? まぁ、そうだな。それなりに。秋も来んのか?」
「私はこのお店は初めてなの」
そこで芥川はハッとした。いつの間にか向日と秋が互いに名前で呼び合っていることに気づいたのだ。確か以前は名字で呼んでいたはずなのに、と。
「……二人って、名前で呼んでたっけ?」
思わず聞いてしまった。
「あぁ、友達の証ってやつ? ちょっと前から名前で呼び合うことにしたんだよ」
実に幼馴染みの一人である向日らしい理由だった。それくらいなら芥川もそうだろうなぁ、と納得出来るのだが問題は秋の方だった。
「そ、そうなのっ。岳人が名前で呼び合おうって言ってくれたから」
どこか恥ずかしげで頬を染めている反応だったため、芥川は内心焦りが生まれる。
一体二人はいつからそんな仲になったのだろうか。いや、遅かれ早かれこうなることくらいは予想出来たかもしれないが、いざ目の前で仲が深まるのを見ると不安で不安で仕方なかった。
このままでは秋は向日のことが好きなんだと自覚してしまう。そんな警鐘が鳴ったのだ。
「へー、そうなんだ。あ、秋、そろそろ行こっか。岳人達の買い物の邪魔になっちゃうし」
「え? あ、そうだね。じゃあね、二人とも。また明日」
「おー。またなージロー、秋」
「気をつけて帰るんやで」
芥川が先に店を出ると続いて秋も駄菓子屋の敷地から出た。そんな彼女達を見送った向日と忍足だが、二人揃って芥川の様子にどこか引っかかりを覚える。
「ジローの奴、いつもなら買い物の邪魔とか気にしねーのにどうしたんだ?」
「……さぁな」
「ま、いっか。侑士、いつものやつやってくれよ」
「はいはい、分かったわ。……すんません、型抜き一回お願いします」
いつものやつ、と言われて忍足は駄菓子のお婆さん小銭を渡して型抜きを一枚手渡された。これが向日の言ういつものやつ、である。
忍足は店の隅に置いてある年期の入った木の長椅子をテーブル代わりにして難しいタイプの型抜きに挑戦することになった。
(ジローの奴、九条さんにほの字なんやろな。そんでその九条さんがどうにも岳人に気があるように見えるしなぁ……)
ぼんやりとその手の勘に鋭い忍足は十中八九そうなんだろうと確信する。
まさかの三角関係かいな、と思いつつ隣をチラ見すれば秋のことをそういう対象に見てないであろう向日が型抜きをする忍足の手をジッと見つめていた。
(何も知らんとは罪な奴やな……)