自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
マネージャー初日の自己紹介
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「今日からうちの部のマネージャーとして務めることになった三人だ。これで我が部員達も少しは練習時間を設けることが出来るだろう」
翌日、授業後の部活時間にいよいよ三人はジャージを纏い、マネージャーデビューを果たした。
テニスコートに集まる200名を超える部員達がざわつき、さらに人気あるテニス部員を拝めるためにフェンス越しにて見学する女子達の悲鳴にも似た落胆する声が響き渡る。
「こいつらは俺達レギュラーが選んだ面子だ。文句がある奴は俺様に言え」
氷帝のキングこと跡部がそう告げるとざわつく声は一気に静まり返った。
そんな中、一人の部員が手を挙げる。
「なんだ、日吉?」
「必要性を感じないと思いますが。雑用は新入部員の仕事のはずです」
不満げに口を出したのは二年生準レギュラーの一人、日吉若。
神経質故に今更新しくマネージャーが入ることには納得していない様子だった。
「粗暴な方もいらっしゃるようですし、テニス部の品位が下がります」
その目線の先には麻美がいた。日吉が自分に向けて言葉を発してると気づいた彼女は目を光らせ、ガンを飛ばす。
「あ?」
「お、落ち着いて、麻美。反対する人もいるって跡部も言ってたんだから」
今にも掴みかかりそうな勢いの麻美を抑えるように腕を掴んで説得する秋だったが……。
「まぁ、麻美ってば暴れん坊将軍だもんね!」
と、遥が余計な一言を口にしたおかげというべきなのか、麻美の標的は遥へと変わり、勢いよくその頭を掴むとミシミシと五指に力を入れて始める。
「下僕風情がなんだって?」
「あいだだだだっ!! すみませんでしたすみませんでしたー! 麻美様ーー!! ミシミシ鳴ってるぅぅぅぅ!!」
「二人とも、部活中だから……」
これがいつもの三人娘の絡みではあるが、知らない者達が見てみれば恐ろしい光景である。
「……お前の言い分は分からなくもないが、何事もやってみてから判断しねぇとな。部員達の負担が減ることはあっても邪魔になることはないはずだ。確かめもせずに反対するなんてナンセンスだぜ、日吉よ」
跡部の背後で繰り広げるマネージャー達の戯れに目を逸らしながらも日吉の意見を却下するが、それでも後輩は納得出来なかった。
「そうですか。つまり、邪魔だったり足手まといと判断したらすぐに辞めさせていただけるんですね?」
「そうだな、そのときはお前の言う通りにしてやるよ」
「……約束ですよ」
そんなやり取りに不安を覚えたのは唯一まともに話を聞いていた秋だけだった。
(本当に大丈夫かな……)
そして昼休みに跡部と話をしていたことを彼女は思い出す。
「えっ? 麻美と遥の面倒をしっかり見とけ? ……いきなりどうしたの?」
生徒会長の跡部と副会長の秋は何かと話をする機会が多い。
度々、会議などで生徒会のメンバーが生徒会室に呼び出されることが多く、その日も生徒会室に呼び出された秋は生徒会の仕事なのだと思っていたのだが、教室に入るとそこには他の生徒はどこにもいなくて、会長である跡部だけしかいなかった。
そして秋は跡部からあることを頼まれた。それが、残り二人のマネージャーの管理である。
「お前達三人の入部届けが受理され、正式にマネージャーとしての入部が許された。だが、今までマネージャーを入れなかったこともあり、外部の奴らもそうだが部員の中でも不満に思う奴がいるだろう」
「確かに有り得るね。新しいやり方は時には反発されるものだから」
「赤宮をマネージャーとして置きたいのは先生方の意見だ。内申のためと、もう少し他人を思いやる心を育むためだが、マネージャーを辞めるようなことになれば意味がない。しかし、あいつの性格上挑発することもあればされることもあるだろう。多少の小競り合いならまだしも、それこそ乱闘になる騒ぎだけは避けたい」
「そうなると跡部でも庇いきれない、ってことだね」
「そういうことだ」
麻美は喧嘩を売られたら買うし、手を出してきた相手には倍以上に返すため、まるで狂犬のような存在である。
彼女を引き受けると決めたからには跡部としても最後までしっかりマネージャー業を果たしてもらいたいと考えていた。
「元々、あいつが唯一話を聞いてくれるであろうお前にこのことを頼むつもりで俺様が直々に勧誘する予定だったんだぜ」
「そうなんだ?」
「まぁ、ジローが誘いたいっつーんで奴に任せたんだがな。断られたら俺が事情を説明すりゃいいわけだし」
「私は最初から跡部の駒だったんだね」
「駒じゃねぇ。頼りにしてるだけだ、副会長さんよ」
軽い自嘲のつもりで呟いたが、すぐにそれを否定された秋は学園の王様に頼りにされていると聞くとなんだか悪い気分にはならず、くすりと笑った。
「煽てるのが上手いね。私も麻美の友人として、あの子のためになることは精一杯手伝うよ。それにあまり危ないことはしてほしくないし」
「お前ならそう言ってくれると信じてたぜ」
「でも、遥の面倒もっていうのはどうして? あの子は別に麻美のように喧嘩を吹っかけることはないよ」
「一人でも部活に支障をきたしたら『やっぱりマネージャーなんて必要ない』って言って連帯責任で全員辞めさせられる可能性もある」
「……」
ここまで聞いて秋も察したのだろう。冷や汗を流し始める。
「あいつはムードメーカーでもあるが、同時にトラブルメーカーでもある。ある意味一番何をやらかすか分からねぇパンドラの箱のような奴だ」
「つまり、部員達の足を引っ張る可能性が高いってことなんだ……」
「あぁ……正直、忍足が奴を推薦したときは拒否するか迷ったが、麻美を入部させるための餌として使わせてもらった」
(その言い方はどうかと思うけど……)
「大変だとは思うが、俺としても出来る限りのフォローはする」
「うん、わかった」
あのときは麻美のためだと思い、自信を持って麻美と遥の面倒を見ると決めた秋だったが、早くも衝突しそうな展開にストッパー役を担うことになった彼女の苦労はこの先多そうだと感じた。
「よし。マネージャー。自己紹介しておけ」
そう告げると第一印象が大事だと思い、秋が先に口を開いた。
「三年C組、九条秋です。初めてのマネージャー業なので不慣れな所はありますが、精一杯頑張って部員みんなの力になりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて挨拶をする。
二年生や三年生のほとんどの部員達は副生徒会長である秋のことをよく知っているため「副会長だ……」と、ざわつき始める。
驚きの動揺の方が強いが生徒役員の肩書きがあるため、彼女に対して訝しむ者は多くないし、部長である跡部が彼女を選んだとしても納得する者もいた。
そんな様子を見て秋は心の中でホッと一安心する。
「それじゃあ、次はあたしね! 三年A組、西成遥! テニスのルールは分かんないけど、好きな人のために頑張りまーす!」
続く遥の自己紹介に秋のときよりも周りのざわつきが大きくなった。
それを聞いた秋も「なぜマイナスになることばかり言うの……?」と思わずにはいられない。
正直者というべきなのか、それについては悪いことではないが、あまりにも今言うべきことではなかった。
テニスのルールを知らないのは仕方ない。誰だって最初はそうだろうし、ゆっくり覚えていけばいいのにわざわざ公言する必要はないだろう。
そのせいで部員達は「ルールも知らずに入ったのかよ……」と口にする者もいる。
そして何より『好きな人のため』という言葉もある意味ここでは禁句だろう。
フェンスの外にいる女子達が「絶対レギュラー狙いじゃないの! あんなのマネージャーとして認めないわ!」とブーイングを出している。
ちょっとの自己紹介だけでここまでイメージダウンをする遥に秋だけじゃなく跡部も頭が痛くなった。
「……」
「……麻美。自己紹介しよう。ね?」
最後に残ったのは麻美だが、何も喋らないため秋がこそっと囁き、自己紹介を促した。
面倒臭そうな顔をし、わざとらしい溜め息を吐き捨てると麻美はたった一言呟いた。
「赤宮麻美」
自己紹介というより名前を名乗っただけ。それ以上ない言葉に周りはしんと戸惑いの空気になるが、麻美が不機嫌そうなオーラを纏わせると一気に静かになった。
その後、溜め息混じりの跡部の号令により、部員達はそれぞれの練習に向かった。
翌日、授業後の部活時間にいよいよ三人はジャージを纏い、マネージャーデビューを果たした。
テニスコートに集まる200名を超える部員達がざわつき、さらに人気あるテニス部員を拝めるためにフェンス越しにて見学する女子達の悲鳴にも似た落胆する声が響き渡る。
「こいつらは俺達レギュラーが選んだ面子だ。文句がある奴は俺様に言え」
氷帝のキングこと跡部がそう告げるとざわつく声は一気に静まり返った。
そんな中、一人の部員が手を挙げる。
「なんだ、日吉?」
「必要性を感じないと思いますが。雑用は新入部員の仕事のはずです」
不満げに口を出したのは二年生準レギュラーの一人、日吉若。
神経質故に今更新しくマネージャーが入ることには納得していない様子だった。
「粗暴な方もいらっしゃるようですし、テニス部の品位が下がります」
その目線の先には麻美がいた。日吉が自分に向けて言葉を発してると気づいた彼女は目を光らせ、ガンを飛ばす。
「あ?」
「お、落ち着いて、麻美。反対する人もいるって跡部も言ってたんだから」
今にも掴みかかりそうな勢いの麻美を抑えるように腕を掴んで説得する秋だったが……。
「まぁ、麻美ってば暴れん坊将軍だもんね!」
と、遥が余計な一言を口にしたおかげというべきなのか、麻美の標的は遥へと変わり、勢いよくその頭を掴むとミシミシと五指に力を入れて始める。
「下僕風情がなんだって?」
「あいだだだだっ!! すみませんでしたすみませんでしたー! 麻美様ーー!! ミシミシ鳴ってるぅぅぅぅ!!」
「二人とも、部活中だから……」
これがいつもの三人娘の絡みではあるが、知らない者達が見てみれば恐ろしい光景である。
「……お前の言い分は分からなくもないが、何事もやってみてから判断しねぇとな。部員達の負担が減ることはあっても邪魔になることはないはずだ。確かめもせずに反対するなんてナンセンスだぜ、日吉よ」
跡部の背後で繰り広げるマネージャー達の戯れに目を逸らしながらも日吉の意見を却下するが、それでも後輩は納得出来なかった。
「そうですか。つまり、邪魔だったり足手まといと判断したらすぐに辞めさせていただけるんですね?」
「そうだな、そのときはお前の言う通りにしてやるよ」
「……約束ですよ」
そんなやり取りに不安を覚えたのは唯一まともに話を聞いていた秋だけだった。
(本当に大丈夫かな……)
そして昼休みに跡部と話をしていたことを彼女は思い出す。
「えっ? 麻美と遥の面倒をしっかり見とけ? ……いきなりどうしたの?」
生徒会長の跡部と副会長の秋は何かと話をする機会が多い。
度々、会議などで生徒会のメンバーが生徒会室に呼び出されることが多く、その日も生徒会室に呼び出された秋は生徒会の仕事なのだと思っていたのだが、教室に入るとそこには他の生徒はどこにもいなくて、会長である跡部だけしかいなかった。
そして秋は跡部からあることを頼まれた。それが、残り二人のマネージャーの管理である。
「お前達三人の入部届けが受理され、正式にマネージャーとしての入部が許された。だが、今までマネージャーを入れなかったこともあり、外部の奴らもそうだが部員の中でも不満に思う奴がいるだろう」
「確かに有り得るね。新しいやり方は時には反発されるものだから」
「赤宮をマネージャーとして置きたいのは先生方の意見だ。内申のためと、もう少し他人を思いやる心を育むためだが、マネージャーを辞めるようなことになれば意味がない。しかし、あいつの性格上挑発することもあればされることもあるだろう。多少の小競り合いならまだしも、それこそ乱闘になる騒ぎだけは避けたい」
「そうなると跡部でも庇いきれない、ってことだね」
「そういうことだ」
麻美は喧嘩を売られたら買うし、手を出してきた相手には倍以上に返すため、まるで狂犬のような存在である。
彼女を引き受けると決めたからには跡部としても最後までしっかりマネージャー業を果たしてもらいたいと考えていた。
「元々、あいつが唯一話を聞いてくれるであろうお前にこのことを頼むつもりで俺様が直々に勧誘する予定だったんだぜ」
「そうなんだ?」
「まぁ、ジローが誘いたいっつーんで奴に任せたんだがな。断られたら俺が事情を説明すりゃいいわけだし」
「私は最初から跡部の駒だったんだね」
「駒じゃねぇ。頼りにしてるだけだ、副会長さんよ」
軽い自嘲のつもりで呟いたが、すぐにそれを否定された秋は学園の王様に頼りにされていると聞くとなんだか悪い気分にはならず、くすりと笑った。
「煽てるのが上手いね。私も麻美の友人として、あの子のためになることは精一杯手伝うよ。それにあまり危ないことはしてほしくないし」
「お前ならそう言ってくれると信じてたぜ」
「でも、遥の面倒もっていうのはどうして? あの子は別に麻美のように喧嘩を吹っかけることはないよ」
「一人でも部活に支障をきたしたら『やっぱりマネージャーなんて必要ない』って言って連帯責任で全員辞めさせられる可能性もある」
「……」
ここまで聞いて秋も察したのだろう。冷や汗を流し始める。
「あいつはムードメーカーでもあるが、同時にトラブルメーカーでもある。ある意味一番何をやらかすか分からねぇパンドラの箱のような奴だ」
「つまり、部員達の足を引っ張る可能性が高いってことなんだ……」
「あぁ……正直、忍足が奴を推薦したときは拒否するか迷ったが、麻美を入部させるための餌として使わせてもらった」
(その言い方はどうかと思うけど……)
「大変だとは思うが、俺としても出来る限りのフォローはする」
「うん、わかった」
あのときは麻美のためだと思い、自信を持って麻美と遥の面倒を見ると決めた秋だったが、早くも衝突しそうな展開にストッパー役を担うことになった彼女の苦労はこの先多そうだと感じた。
「よし。マネージャー。自己紹介しておけ」
そう告げると第一印象が大事だと思い、秋が先に口を開いた。
「三年C組、九条秋です。初めてのマネージャー業なので不慣れな所はありますが、精一杯頑張って部員みんなの力になりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします」
ぺこりと頭を下げて挨拶をする。
二年生や三年生のほとんどの部員達は副生徒会長である秋のことをよく知っているため「副会長だ……」と、ざわつき始める。
驚きの動揺の方が強いが生徒役員の肩書きがあるため、彼女に対して訝しむ者は多くないし、部長である跡部が彼女を選んだとしても納得する者もいた。
そんな様子を見て秋は心の中でホッと一安心する。
「それじゃあ、次はあたしね! 三年A組、西成遥! テニスのルールは分かんないけど、好きな人のために頑張りまーす!」
続く遥の自己紹介に秋のときよりも周りのざわつきが大きくなった。
それを聞いた秋も「なぜマイナスになることばかり言うの……?」と思わずにはいられない。
正直者というべきなのか、それについては悪いことではないが、あまりにも今言うべきことではなかった。
テニスのルールを知らないのは仕方ない。誰だって最初はそうだろうし、ゆっくり覚えていけばいいのにわざわざ公言する必要はないだろう。
そのせいで部員達は「ルールも知らずに入ったのかよ……」と口にする者もいる。
そして何より『好きな人のため』という言葉もある意味ここでは禁句だろう。
フェンスの外にいる女子達が「絶対レギュラー狙いじゃないの! あんなのマネージャーとして認めないわ!」とブーイングを出している。
ちょっとの自己紹介だけでここまでイメージダウンをする遥に秋だけじゃなく跡部も頭が痛くなった。
「……」
「……麻美。自己紹介しよう。ね?」
最後に残ったのは麻美だが、何も喋らないため秋がこそっと囁き、自己紹介を促した。
面倒臭そうな顔をし、わざとらしい溜め息を吐き捨てると麻美はたった一言呟いた。
「赤宮麻美」
自己紹介というより名前を名乗っただけ。それ以上ない言葉に周りはしんと戸惑いの空気になるが、麻美が不機嫌そうなオーラを纏わせると一気に静かになった。
その後、溜め息混じりの跡部の号令により、部員達はそれぞれの練習に向かった。