自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
接し方、恋の仕方、デートの誘い方
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遥が樺地を探していた頃と同時刻、鳳も同じく休憩の時間の合間に麻美に謝罪をしようと彼女を探していた。
(あれ……? 赤宮さん全然見かけないんだけど、どっか行っちゃったのかな……)
あちこち探してはみたものの、どこにも麻美の姿がない。
近くの部員達に麻美を見かけたのか尋ねてみても部活中なら見たけど休憩中は特に見ていないという返答ばかり。
それならテニス部の敷地にはいないのかもしれない。お手洗いに行った可能性もあるため、鳳は彼女が帰ってくるのを待つことにした。
しかしあちこち走り回ったこともあり、喉の渇きを覚えた彼は近くに置いてあるスポーツジャグからドリンクを飲もうと向かう。
「……?」
自分の専用コップを持って、給水エリアとなるスポーツジャグの設置場所に辿り着くも、そこには何も置いていなかった。
おそらく中身のスポーツ飲料水が空になり、新しくドリンクを作っている最中のためこの場にないのかもしれない。そう考えた鳳は大人しくスポーツジャグが戻ってくるのを待った。
待っている間、鳳はもしかしてと、あることに気付く。
「ドリンク作りはマネージャーの仕事だから……」
つまり今そのドリンクを作っているマネージャーは━━。
「邪魔だ」
「!」
大容量のスポーツジャグを手に持つ麻美が鳳の前に立っていた。しかも、ふたつだ。おそらくどちらも補充したばかりのジャグと思われる。
女子がひとつ持つだけでも大変だというのに麻美はふたつ持っていたため、鳳はしばらく固まるがすぐにハッと我に返った。
自分が邪魔だと言われていたことに気付いた彼は急いでその場を相手に譲ると、麻美はジャグをひとつ元の場所に戻す。
そして残ったもうひとつを持ったまま別の場所へ移動しようとした彼女に鳳は慌てて声をかけた。
「あ、あの、赤宮さんっ」
「なんだ」
「その、今朝はすみませんでしたっ!」
バッと勢いよく頭を下げて謝罪をする鳳に麻美は面食らった。鳳は麻美の返答を待つ前に言葉を続ける。
「俺、そんなつもりはなかったんですけど、赤宮さんにとっては嫌な思いをする言葉を使ってしまって本当に酷いことをしたなって思ってます。もちろん、先輩のことを馬鹿になんてしてません!」
女性には優しくするのが当たり前だと思っていた鳳にとって、まさかその対応が嫌悪されるとは今まで考えもしなかった。
鳳にその気がなくとも麻美に不愉快な思いをさせてしまった罪悪感がずっと心の中で残っている。
そして彼は感じた。己の当たり前と人の当たり前は違うため、皆に同じ接し方をしても麻美のように嫌な思いをする人もいるのだと。
だから価値観を押し付けてはいけないと鳳は反省する。そうしてしまうと彼の思い描く世界平和とは程遠くなる気がして。
「顔を上げろ、長太郎」
しばらくして麻美から顔を上げる許可が出たので鳳はおずおずと相手の顔色を窺いながら頭を上げる。それでもまだ完全に顔を上げきっておらず低姿勢のまま。
麻美は特に機嫌が悪いといった表情ではないので怒っていないのかなと少しだけホッとした……と思いきや、いきなり頭をわしわしと荒く撫でられた。
「わ、わっ!」
「いちいち真面目に受け取るな」
「?」
「そんなのいちいち気にしてたらキリないだろ。気にすんな」
「い、いえ、そういうわけには! 俺はちゃんと赤宮さんに謝りたいんです!」
「じゃあ、許す。だからもうそんな情けない面すんな」
ふはっと軽く吹き出すように笑いながら鳳の謝罪を受け入れた麻美には今朝のような怒りの感情はなかった。
気に入らないことを気に入らないと言っただけなのに今までそのことを気にしながら謝る機会を窺っていたのかと思うとその健気さに麻美は可愛い奴だと思わずにはいられない。
対する鳳は麻美の数少ない不意をつかれたような笑みを目の当たりにして、思わず見とれてしまい、そのことに気付くとボッと顔を赤くしてしまった。
「あ、あああの、本当にすみませんでした!」
再び頭を大きく下げると恥ずかしさのあまり鳳は麻美の前から逃げるように走り去っていく。
残された麻美はそんな彼の背中を見つめ「忙しい奴だな」と呟き、もうひとつのジャグを戻しに向かった。
(お、俺は情けない表情をしていた上に赤宮先輩に見とれていて何やってるんだっ)
麻美から離れるも顔の熱は引かない鳳だったが、先ほどの彼女の表情を思い出してしまい、さらに体温が上昇するのを感じた。
元々麻美が笑う表情を見るのはあまり多くない。大体は険しい表情だったり、無表情だったりが多く、笑うにしても小さく鼻で笑うようものだ。
今回のような顔全体を使って笑ったのはほぼ初めてかもしれない。
可愛いというより、綺麗という表現が正しく、絵画だったらいつまでも眺めてしまいたくなるような惹き込まれるような何かがある。
(綺麗な人、とは思っていたけど……)
外見的な印象は確かにそうだった。少しずつ麻美と接していくうちに、いつの間にか彼女の内面も外見と同じような印象を持ち始めていた。
(あんなふうに笑うともっと綺麗になるだなんて知らなかった……)
いつもああして笑ったらもっと素敵なのにおそらくほとんどの人は知らないのかもしれない。それはそれで勿体ないと思うと同時に自分は知ることが出来て良かったかもしれないと鳳は少しだけ喜びを感じた。
(あれ……? 赤宮さん全然見かけないんだけど、どっか行っちゃったのかな……)
あちこち探してはみたものの、どこにも麻美の姿がない。
近くの部員達に麻美を見かけたのか尋ねてみても部活中なら見たけど休憩中は特に見ていないという返答ばかり。
それならテニス部の敷地にはいないのかもしれない。お手洗いに行った可能性もあるため、鳳は彼女が帰ってくるのを待つことにした。
しかしあちこち走り回ったこともあり、喉の渇きを覚えた彼は近くに置いてあるスポーツジャグからドリンクを飲もうと向かう。
「……?」
自分の専用コップを持って、給水エリアとなるスポーツジャグの設置場所に辿り着くも、そこには何も置いていなかった。
おそらく中身のスポーツ飲料水が空になり、新しくドリンクを作っている最中のためこの場にないのかもしれない。そう考えた鳳は大人しくスポーツジャグが戻ってくるのを待った。
待っている間、鳳はもしかしてと、あることに気付く。
「ドリンク作りはマネージャーの仕事だから……」
つまり今そのドリンクを作っているマネージャーは━━。
「邪魔だ」
「!」
大容量のスポーツジャグを手に持つ麻美が鳳の前に立っていた。しかも、ふたつだ。おそらくどちらも補充したばかりのジャグと思われる。
女子がひとつ持つだけでも大変だというのに麻美はふたつ持っていたため、鳳はしばらく固まるがすぐにハッと我に返った。
自分が邪魔だと言われていたことに気付いた彼は急いでその場を相手に譲ると、麻美はジャグをひとつ元の場所に戻す。
そして残ったもうひとつを持ったまま別の場所へ移動しようとした彼女に鳳は慌てて声をかけた。
「あ、あの、赤宮さんっ」
「なんだ」
「その、今朝はすみませんでしたっ!」
バッと勢いよく頭を下げて謝罪をする鳳に麻美は面食らった。鳳は麻美の返答を待つ前に言葉を続ける。
「俺、そんなつもりはなかったんですけど、赤宮さんにとっては嫌な思いをする言葉を使ってしまって本当に酷いことをしたなって思ってます。もちろん、先輩のことを馬鹿になんてしてません!」
女性には優しくするのが当たり前だと思っていた鳳にとって、まさかその対応が嫌悪されるとは今まで考えもしなかった。
鳳にその気がなくとも麻美に不愉快な思いをさせてしまった罪悪感がずっと心の中で残っている。
そして彼は感じた。己の当たり前と人の当たり前は違うため、皆に同じ接し方をしても麻美のように嫌な思いをする人もいるのだと。
だから価値観を押し付けてはいけないと鳳は反省する。そうしてしまうと彼の思い描く世界平和とは程遠くなる気がして。
「顔を上げろ、長太郎」
しばらくして麻美から顔を上げる許可が出たので鳳はおずおずと相手の顔色を窺いながら頭を上げる。それでもまだ完全に顔を上げきっておらず低姿勢のまま。
麻美は特に機嫌が悪いといった表情ではないので怒っていないのかなと少しだけホッとした……と思いきや、いきなり頭をわしわしと荒く撫でられた。
「わ、わっ!」
「いちいち真面目に受け取るな」
「?」
「そんなのいちいち気にしてたらキリないだろ。気にすんな」
「い、いえ、そういうわけには! 俺はちゃんと赤宮さんに謝りたいんです!」
「じゃあ、許す。だからもうそんな情けない面すんな」
ふはっと軽く吹き出すように笑いながら鳳の謝罪を受け入れた麻美には今朝のような怒りの感情はなかった。
気に入らないことを気に入らないと言っただけなのに今までそのことを気にしながら謝る機会を窺っていたのかと思うとその健気さに麻美は可愛い奴だと思わずにはいられない。
対する鳳は麻美の数少ない不意をつかれたような笑みを目の当たりにして、思わず見とれてしまい、そのことに気付くとボッと顔を赤くしてしまった。
「あ、あああの、本当にすみませんでした!」
再び頭を大きく下げると恥ずかしさのあまり鳳は麻美の前から逃げるように走り去っていく。
残された麻美はそんな彼の背中を見つめ「忙しい奴だな」と呟き、もうひとつのジャグを戻しに向かった。
(お、俺は情けない表情をしていた上に赤宮先輩に見とれていて何やってるんだっ)
麻美から離れるも顔の熱は引かない鳳だったが、先ほどの彼女の表情を思い出してしまい、さらに体温が上昇するのを感じた。
元々麻美が笑う表情を見るのはあまり多くない。大体は険しい表情だったり、無表情だったりが多く、笑うにしても小さく鼻で笑うようものだ。
今回のような顔全体を使って笑ったのはほぼ初めてかもしれない。
可愛いというより、綺麗という表現が正しく、絵画だったらいつまでも眺めてしまいたくなるような惹き込まれるような何かがある。
(綺麗な人、とは思っていたけど……)
外見的な印象は確かにそうだった。少しずつ麻美と接していくうちに、いつの間にか彼女の内面も外見と同じような印象を持ち始めていた。
(あんなふうに笑うともっと綺麗になるだなんて知らなかった……)
いつもああして笑ったらもっと素敵なのにおそらくほとんどの人は知らないのかもしれない。それはそれで勿体ないと思うと同時に自分は知ることが出来て良かったかもしれないと鳳は少しだけ喜びを感じた。