自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
接し方、恋の仕方、デートの誘い方
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部員の走り込みをタイマーで計り、一人一人の記録を記入する秋は全員分の測定を終えると、休憩の時間を使って200人超える部員の前回の記録を見比べてその時間差を計算していた。
結果が良かった者もいれば調子の悪い者もいる。良くも悪くも大きな変化が見つかれば秋はその部員に何かしら言葉をかけることにしていた。
タイムが上がればやる気に繋がり、また一歩強くなるし、前回より結果が悪い者は体調を崩す前兆の可能性もあるので注意を促したり、または原因を考えたりして次の課題にする。
最初こそは歓迎されていないこともあり、鬱陶しがられていたが、目に見える結果が出始めると部員達も少しずつ秋の言葉に耳を傾けるようになった。それは秋にとっても嬉しいことである。
「休憩やのに休憩せんのやな」
ベンチに座るわけでもなく、立ったまま作業をする秋の元に忍足が声をかけた。
秋が自分に向けられた言葉だと気付くとすぐに顔を上げて、相手の存在を確認する。
「ちゃんと休憩してるよ。休憩の時間を使って好きなことをしてるだけだから」
「へぇ、それは真面目さんやなぁ。さすが九条さんや。マネージャー業も完璧やな」
「ふふっ、ありがとう。そんなに褒めるってことは何か情報が欲しいのかな? 遥に関することとか」
「あー……お見通しなんやな。そないにあからさまやったかな」
どうやら図星を突かれた忍足は狼狽えることなく素直に己の目論見を認めた。
「遥じゃなかったら用もないのに話しかけないでしょ?」
「そんなふうに見えるん? さすがに雑談くらいはするで、俺でも」
「でも、今回は遥について話しかけたんだよね」
「まぁ、そうやけどな……。煽てて情報を提供してもらおうと思ったんやけど、やっぱ九条さんは理性的やな」
「詳しい個人情報は教えられないけどちょっとしたことなら大丈夫だと思うよ」
「どこまでやったら教えてくれるん?」
「それよりも忍足は何が知りたいのかな?」
質問に質問で返されるとは思っていなかった忍足は一瞬言葉に詰まる。秋から余計な情報は渡さないという意志を感じてしまい、思ったよりもガードが固いと判断した。
「その調子やと遥の学校以外の予定とか休日の予定とか教えてくれそうになさそうな」
「そうだね、それは本人に直接聞く方がいいかな。私から教えるのは遥にも悪いし。それに今の所は特にどこかに行く予定とかは聞いてないかな」
「そうなんか……偶然を装って会いに行くつもりやってんけどな」
「遥との蟠りは少しは解消したんじゃないの?」
「そうと言えばそうやねんけど、それでも距離はあるんよなぁ。遥を前にすると俺もつい色々とやりすぎてまうからあかんねんけど……」
どないすればえぇんやろ。とぼやく忍足の姿は女子生徒が見たら哀愁を帯びて素敵と口にしてもおかしくない絵になる様子だった。
中学生らしからぬ色気が漂っているのは秋にも理解出来る。しかし、女子に接している時の彼は手練たようにも見えるのに初めての本命である遥にはいつも空回りしているため、さすがの秋も少し可哀想に思えてしまった。
「忍足の気持ちが本物なのはよく分かるから私は悪くないと思うんだけどね。やっぱり過去の行いが結果的に忍足の首を絞めてるみたいだから焦らずに長い目で見るしかないんじゃないかな。信用をなくすのは一瞬だけど取り戻すにはかなり時間が必要だと思うし」
「……耳に痛い言葉やな」
もっともな言葉に耳を塞ぎたくなるが、副生徒会長である秋のありがたいアドバイスに忍足は素直に受け止めることにした。
「それにしても九条さんは恋愛相談も乗ってくれるねんな?」
「どうかな。私は大したことは言えないよ。そもそも私自身恋愛に関しては疎いというか経験は浅いし」
「へぇ、それは初耳やわ。九条さんは好きな人おらんのん?」
好きな人と尋ねられ一瞬だけ、本当に一瞬だけ向日の姿を思い浮かんだが、彼に対しては憧憬しているため恋愛感情と同一してはいけないと首を軽く振った。
「う、うん。まだそう思える人に出会えてないみたいでね」
「ほぉ、そうなんか。……なぁ、九条さん。一番厄介な恋の仕方知っとる?」
「厄介な……?」
「誰かに恋愛感情を持つ切っ掛けって人それぞれやん。一目惚れもあれば、ふとしたことで恋になることもあるし、すでに恋に落ちていた。色々あると思うけどな、そん中でも厄介なんはすでに恋に落ちていた時や」
「? それはどうして?」
「好きやと気付くのに時間がかかるからや。大体は早くに気付くかもしれんけど、それやったらまだえぇねん。問題なんはいつまでも気付かん方が大変っちゅーことや」
少し、興味のある話題だった。秋にとっての恋愛事はドラマや小説などの中での出来事、または同年代の生きる糧という印象だが、彼女の中ではまだどこか遠い感情でもあった。
「気付くんが遅ければ遅いほど、すでに出来上がった関係性を変えてまでの恋愛は苦しいやろうし、下手すればチャンスさえ逃してしもうて誰かに取られてまう可能性もあるんやで」
「経験談込みだよね、それ?」
「……否定せんけどな。まぁ、つまり俺が言いたいことはな、恋愛感情を鼻から捨てん方がえぇっちゅーこっちゃ。ほんま……急に気付いた時はめっちゃ焦るで。感情を整理するだけでもほんま時間かかるねんから」
「凄い説得力を感じるよ……うん、肝に銘じるね」
実際に体験したであろう本人の言葉は強い本音を感じるため秋も忍足の言葉を聞き流すことなく、うんと頷いて胸に刻んだ。
自分も彼のように好きな相手に悩むような恋をしたりするのだろうかと考えながら。
結果が良かった者もいれば調子の悪い者もいる。良くも悪くも大きな変化が見つかれば秋はその部員に何かしら言葉をかけることにしていた。
タイムが上がればやる気に繋がり、また一歩強くなるし、前回より結果が悪い者は体調を崩す前兆の可能性もあるので注意を促したり、または原因を考えたりして次の課題にする。
最初こそは歓迎されていないこともあり、鬱陶しがられていたが、目に見える結果が出始めると部員達も少しずつ秋の言葉に耳を傾けるようになった。それは秋にとっても嬉しいことである。
「休憩やのに休憩せんのやな」
ベンチに座るわけでもなく、立ったまま作業をする秋の元に忍足が声をかけた。
秋が自分に向けられた言葉だと気付くとすぐに顔を上げて、相手の存在を確認する。
「ちゃんと休憩してるよ。休憩の時間を使って好きなことをしてるだけだから」
「へぇ、それは真面目さんやなぁ。さすが九条さんや。マネージャー業も完璧やな」
「ふふっ、ありがとう。そんなに褒めるってことは何か情報が欲しいのかな? 遥に関することとか」
「あー……お見通しなんやな。そないにあからさまやったかな」
どうやら図星を突かれた忍足は狼狽えることなく素直に己の目論見を認めた。
「遥じゃなかったら用もないのに話しかけないでしょ?」
「そんなふうに見えるん? さすがに雑談くらいはするで、俺でも」
「でも、今回は遥について話しかけたんだよね」
「まぁ、そうやけどな……。煽てて情報を提供してもらおうと思ったんやけど、やっぱ九条さんは理性的やな」
「詳しい個人情報は教えられないけどちょっとしたことなら大丈夫だと思うよ」
「どこまでやったら教えてくれるん?」
「それよりも忍足は何が知りたいのかな?」
質問に質問で返されるとは思っていなかった忍足は一瞬言葉に詰まる。秋から余計な情報は渡さないという意志を感じてしまい、思ったよりもガードが固いと判断した。
「その調子やと遥の学校以外の予定とか休日の予定とか教えてくれそうになさそうな」
「そうだね、それは本人に直接聞く方がいいかな。私から教えるのは遥にも悪いし。それに今の所は特にどこかに行く予定とかは聞いてないかな」
「そうなんか……偶然を装って会いに行くつもりやってんけどな」
「遥との蟠りは少しは解消したんじゃないの?」
「そうと言えばそうやねんけど、それでも距離はあるんよなぁ。遥を前にすると俺もつい色々とやりすぎてまうからあかんねんけど……」
どないすればえぇんやろ。とぼやく忍足の姿は女子生徒が見たら哀愁を帯びて素敵と口にしてもおかしくない絵になる様子だった。
中学生らしからぬ色気が漂っているのは秋にも理解出来る。しかし、女子に接している時の彼は手練たようにも見えるのに初めての本命である遥にはいつも空回りしているため、さすがの秋も少し可哀想に思えてしまった。
「忍足の気持ちが本物なのはよく分かるから私は悪くないと思うんだけどね。やっぱり過去の行いが結果的に忍足の首を絞めてるみたいだから焦らずに長い目で見るしかないんじゃないかな。信用をなくすのは一瞬だけど取り戻すにはかなり時間が必要だと思うし」
「……耳に痛い言葉やな」
もっともな言葉に耳を塞ぎたくなるが、副生徒会長である秋のありがたいアドバイスに忍足は素直に受け止めることにした。
「それにしても九条さんは恋愛相談も乗ってくれるねんな?」
「どうかな。私は大したことは言えないよ。そもそも私自身恋愛に関しては疎いというか経験は浅いし」
「へぇ、それは初耳やわ。九条さんは好きな人おらんのん?」
好きな人と尋ねられ一瞬だけ、本当に一瞬だけ向日の姿を思い浮かんだが、彼に対しては憧憬しているため恋愛感情と同一してはいけないと首を軽く振った。
「う、うん。まだそう思える人に出会えてないみたいでね」
「ほぉ、そうなんか。……なぁ、九条さん。一番厄介な恋の仕方知っとる?」
「厄介な……?」
「誰かに恋愛感情を持つ切っ掛けって人それぞれやん。一目惚れもあれば、ふとしたことで恋になることもあるし、すでに恋に落ちていた。色々あると思うけどな、そん中でも厄介なんはすでに恋に落ちていた時や」
「? それはどうして?」
「好きやと気付くのに時間がかかるからや。大体は早くに気付くかもしれんけど、それやったらまだえぇねん。問題なんはいつまでも気付かん方が大変っちゅーことや」
少し、興味のある話題だった。秋にとっての恋愛事はドラマや小説などの中での出来事、または同年代の生きる糧という印象だが、彼女の中ではまだどこか遠い感情でもあった。
「気付くんが遅ければ遅いほど、すでに出来上がった関係性を変えてまでの恋愛は苦しいやろうし、下手すればチャンスさえ逃してしもうて誰かに取られてまう可能性もあるんやで」
「経験談込みだよね、それ?」
「……否定せんけどな。まぁ、つまり俺が言いたいことはな、恋愛感情を鼻から捨てん方がえぇっちゅーこっちゃ。ほんま……急に気付いた時はめっちゃ焦るで。感情を整理するだけでもほんま時間かかるねんから」
「凄い説得力を感じるよ……うん、肝に銘じるね」
実際に体験したであろう本人の言葉は強い本音を感じるため秋も忍足の言葉を聞き流すことなく、うんと頷いて胸に刻んだ。
自分も彼のように好きな相手に悩むような恋をしたりするのだろうかと考えながら。