自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
例えるならそれは断罪イベント
主人公名前変換
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「な、なるほど……あたしってばあの元カノに突き飛ばされたんだ……」
「本当にごめんね……」
「いやいや、みんながあたしのために考えたことなら問題ないよ! むしろなんだか色々巻き込んでごめんね!」
自分と秋が間違えられていることも今初めて知った遥は申し訳なさそうに手を合わせたその時、麻美が取り押さえていた獅堂が金切り声を上げる。
「だから勝手なこと言わないで! 私は何もしていないのよ!?」
「まだんなこと言ってんのかテメェ。殴んぞ」
「落ち着け、赤宮。どうせそいつは何も言い逃れ出来ないんだからよ」
「どういうことよ! ねぇ、侑士くんも見てないで何か言ってよ! こんな言いがかり酷いわ!」
よくこの状況で忍足に助けを求めるよな。そう心の中である意味感心さえ覚えた麻美はわざとらしく嘆声を漏らす。
獅堂が縋った忍足に至っては無の表情で彼女を見下げた。
「ほんま自分にはガッカリや。一部始終見とったんやで、こっちは」
「見たって何をよ……そんなのは見間違いよっ!」
「獅堂さん。これを見てもまだそんなこと言うつもりなの?」
真剣な表情ではあるがその声は怒りも含んでいた秋が獅堂の前にも自身のスマートフォンを見せた。
そこには動画撮影していたのか、獅堂が遥の背中を押した瞬間が流されている。
「っ! そんなのは作り物じゃない!」
「あーん? 作り物かどうか確かめたらすぐ分かることだぜ。テメーの首を絞めたきゃ勝手にしな」
「……なぁ、遥の家の前に悪戯したんも自分なんか?」
忍足がしゃがみ込んで本人に直接確認すると、獅堂は悲痛な顔で首を横に振った。
「知らない! 私は何もしてないもの! 私は張り紙なんて貼ってない! 全部あの子の自作自演なんでしょ! 侑士くん、私を信じて!」
うっすらと涙まで滲ませている相手に忍足は呆れるような溜め息を吐き捨てた。
「……張り紙って何のこと?」
そこで初めて自分の家に悪戯をされていた事実を知った遥が困惑しながら瞬きを繰り返していた。
「この通り、本人は気づいてへんかったで。張り紙は幼馴染みくんが丁寧に全部剥がしたんやからな。……ところで、なんで悪戯された内容が張り紙やなんて知っとるん?」
「!!」
あまりにも間抜けな自供であった。思わず麻美もぶはっと吹き出してしまうほど。
「こいつは傑作だな。あんた結構馬鹿だろ? 感情のままに動くから計画がずさん過ぎんだよ」
「麻美に言われるとは……」
君も結構そっちよりだよ。と言いたげな表情をしていたらその本人に睨まれ、遥は冷や汗を流しながら目を逸らした。
「……っ、なんで私が悪者にされるの!? 元はあいつが侑士くんの関心を得ただけで彼女面するのが悪いんでしょ!」
「してないのだが!」
その勘違いだけは遥の中でもっとも許せなくて否定の声を上げる。しかし、獅堂はその言葉すら聞く耳を持たない。
「あんたがいなくなれば! いなくなれば良かったのよ!!」
「獅堂。ええ加減にしぃや。俺言うたよな? また遥になんかしたらほんまに許さへんでって。それに俺は関心を得たんやなくて遥に想いを寄せとるだけや。片想いやけど」
「そんなの、そんなの侑士くんじゃない! 私以外に誰かを想うなんて許せない!」
耳を塞ぎたいくらい聞きたくない言葉だったのだろう。首を振りながら取り押さえる麻美の手から抜け出そうと暴れるも、彼女の力には勝てなかった。
「御託はいいからとっとと来い。お前には家族引っ括めてこれからのことを話し合わなきゃなんねーからな。樺地!」
「ウス」
いつの間に手配していたのか、跡部は後ろにある家の車を親指で指しながら樺地を呼び、麻美と共に暴れる獅堂を車に押し込めた。
「何するのよ! やめてよ、誘拐じゃない!」
バタン! と車の扉を閉めた跡部がひとつ溜め息をこぼす。車の窓を叩く音がするものの、問題ないのか視線を向けることはなかった。
「お前ら、ご苦労だった。あとはこっちで処理しておく」
「しょ、処理って日本海に沈めるとか……?」
「バーカ。んなわけねぇだろ。こいつは色々と引っ掻き回して暴れたからそれなりの処遇を与えんだよ」
なぜ跡部にそんな権限があるのだろうかと疑問に思う者もいるが、まぁ跡部だからかとすぐに納得する。
「しっかり制裁しろよ。直接拝めないのは残念だけど」
「もうお前が心配するようなことはねぇよ」
「跡部。さっきの動画送っといたからね」
「あぁ、サンキュ。よし、行くぞ樺地」
「ウス」
「か、かばっち行っちゃうの!?」
「ウス。気をつけて……帰ってください」
「かばっち……!」
キュンとする遥に樺地がぺこりと頭を下げると、彼は跡部と共に車に乗り込んで彼女達の前から去っていった。
「これで一件落着か」
「良かったね、遥。もう大丈夫だよ」
「なんかあたしの知らない事実が色々あって置いてけぼりを食らった気がするけど……ありがと!」
跡部達が暗躍していたことに感動する遥はもうあの子に絡まれることはないだろうとホッと一安心した。
「遥、怪我してへんか?」
そんな彼女の前に忍足が近づくが、麻美がすぐさま二人の間に入り、忍足を睨みつける。
「……なぁ、麻美。さすがに警戒しすぎちゃうん?」
「元凶だからな」
「それについては否定せん。すまんかったな。遥だけやなく自分らにも色々と迷惑かけたわ」
「分かってるじゃねぇか」
「九条さんもとばっちりまで受けてたんやろ? ほんま堪忍な」
「獅堂さんがああする切っ掛けが忍足だとしても、全てが忍足のせいじゃないから気にしないで。むしろ遥を守ろうとしてくれてありがとう」
麻美とは対照的に少しばかり忍足を見直したのか、秋は優しく笑みを浮かべて忍足にお礼を告げる。
「遥」
そして忍足は遥へと視線を向ける。近づこうとするものなら麻美が阻むため、一歩しか歩み寄れなかったが、何とも言えない表情をした遥の方から近づいた。
「麻美。もう大丈夫だよ、ありがとう」
「あんたがそれでいいなら勝手にしろ」
意外にもあっさりと遥の言う通りにして壁になっていたその身を引いた。
「忍足。あたしは君のしたことは許さないけど、あたしを助けてくれたことは感謝してるよ。ありがとう」
「遥……」
にへ、と笑う遥。忍足にとっては久方振りに自分へと向けられた笑みだったので、彼の中での激しい気持ちが渦巻きながら遥の手を取り、その甲を自身の額に当てた。少しでも彼女の温もりを感じたいがために。
「……自分が無事で良かったわ」
「……」
いつもなら手を振り払っていたところだが、こんな縋るような姿と消え入りそうな声を聞いてしまうとそんなことは出来なかった。
ちょっとの間だけ接触を許してあげよう。あたしは寛大な心の持ち主なのだ。そう思いながら忍足が手を離すのを待った。
待ったのだが……。
「……」
「……」
一向に離す気配が見られない。いつまでこうするつもりなんだと痺れを切らした遥が手を引っこ抜こうとしたが、相手はしっかりと手を握って離してくれない。
「ちょっ、離してくれたまえっ!」
「なんでなん? もう大丈夫なんやろ? 遥も俺を受け入れたみたいやし」
「何の話!?」
ぐぐっ、と引っ張っても離してくれない。これだから運動部の握力は! と焦るが段々と相手側へと引っ張られる。
「た、助けて麻美っ!」
「もう大丈夫なんだろ。私は帰る」
「びえん!」
「仲直り出来て良かったね」
「違っ! そうじゃないんだ秋っ!」
いつもの調子の遥を見て安心したのだろう。麻美はもう関わりを持つ必要がないと判断し、秋は微笑ましげに遥と忍足を見守ってから二人で先に帰宅した。
「ひぃん……本当に帰るなんて……」
「気ぃ利かせてくれた二人に感謝せなあかんな?」
「あたしには迷惑だ!」
手を離さない忍足と手を離したい遥の攻防はしばらく続いた。
麻美と秋が共に帰る最中、遠くの方で遥の呻き声が僅かに響く。
「……本当に大丈夫だったかな?」
「あの調子なら放っておいていいだろ」
秋が後ろを振り返りながら遥を気にかけるが、麻美がばっさりと言い切る。彼女らしいなと思いながら秋はくすりと笑った。
おそらく麻美と跡部が協力してくれたおかげで今回の件は早く解決出来たかもしれない。秋はそう考える。
秋や遥以外の人間とはあまり関わりを持たない麻美が跡部と手を組んだことは喜ばしいことだ。
少しずつではあるが今の環境は麻美に変化を与えているのだろう。そう思うと秋は麻美にもう少しだけ人付き合いが出来るようになればいいなと小さく願った。
「本当にごめんね……」
「いやいや、みんながあたしのために考えたことなら問題ないよ! むしろなんだか色々巻き込んでごめんね!」
自分と秋が間違えられていることも今初めて知った遥は申し訳なさそうに手を合わせたその時、麻美が取り押さえていた獅堂が金切り声を上げる。
「だから勝手なこと言わないで! 私は何もしていないのよ!?」
「まだんなこと言ってんのかテメェ。殴んぞ」
「落ち着け、赤宮。どうせそいつは何も言い逃れ出来ないんだからよ」
「どういうことよ! ねぇ、侑士くんも見てないで何か言ってよ! こんな言いがかり酷いわ!」
よくこの状況で忍足に助けを求めるよな。そう心の中である意味感心さえ覚えた麻美はわざとらしく嘆声を漏らす。
獅堂が縋った忍足に至っては無の表情で彼女を見下げた。
「ほんま自分にはガッカリや。一部始終見とったんやで、こっちは」
「見たって何をよ……そんなのは見間違いよっ!」
「獅堂さん。これを見てもまだそんなこと言うつもりなの?」
真剣な表情ではあるがその声は怒りも含んでいた秋が獅堂の前にも自身のスマートフォンを見せた。
そこには動画撮影していたのか、獅堂が遥の背中を押した瞬間が流されている。
「っ! そんなのは作り物じゃない!」
「あーん? 作り物かどうか確かめたらすぐ分かることだぜ。テメーの首を絞めたきゃ勝手にしな」
「……なぁ、遥の家の前に悪戯したんも自分なんか?」
忍足がしゃがみ込んで本人に直接確認すると、獅堂は悲痛な顔で首を横に振った。
「知らない! 私は何もしてないもの! 私は張り紙なんて貼ってない! 全部あの子の自作自演なんでしょ! 侑士くん、私を信じて!」
うっすらと涙まで滲ませている相手に忍足は呆れるような溜め息を吐き捨てた。
「……張り紙って何のこと?」
そこで初めて自分の家に悪戯をされていた事実を知った遥が困惑しながら瞬きを繰り返していた。
「この通り、本人は気づいてへんかったで。張り紙は幼馴染みくんが丁寧に全部剥がしたんやからな。……ところで、なんで悪戯された内容が張り紙やなんて知っとるん?」
「!!」
あまりにも間抜けな自供であった。思わず麻美もぶはっと吹き出してしまうほど。
「こいつは傑作だな。あんた結構馬鹿だろ? 感情のままに動くから計画がずさん過ぎんだよ」
「麻美に言われるとは……」
君も結構そっちよりだよ。と言いたげな表情をしていたらその本人に睨まれ、遥は冷や汗を流しながら目を逸らした。
「……っ、なんで私が悪者にされるの!? 元はあいつが侑士くんの関心を得ただけで彼女面するのが悪いんでしょ!」
「してないのだが!」
その勘違いだけは遥の中でもっとも許せなくて否定の声を上げる。しかし、獅堂はその言葉すら聞く耳を持たない。
「あんたがいなくなれば! いなくなれば良かったのよ!!」
「獅堂。ええ加減にしぃや。俺言うたよな? また遥になんかしたらほんまに許さへんでって。それに俺は関心を得たんやなくて遥に想いを寄せとるだけや。片想いやけど」
「そんなの、そんなの侑士くんじゃない! 私以外に誰かを想うなんて許せない!」
耳を塞ぎたいくらい聞きたくない言葉だったのだろう。首を振りながら取り押さえる麻美の手から抜け出そうと暴れるも、彼女の力には勝てなかった。
「御託はいいからとっとと来い。お前には家族引っ括めてこれからのことを話し合わなきゃなんねーからな。樺地!」
「ウス」
いつの間に手配していたのか、跡部は後ろにある家の車を親指で指しながら樺地を呼び、麻美と共に暴れる獅堂を車に押し込めた。
「何するのよ! やめてよ、誘拐じゃない!」
バタン! と車の扉を閉めた跡部がひとつ溜め息をこぼす。車の窓を叩く音がするものの、問題ないのか視線を向けることはなかった。
「お前ら、ご苦労だった。あとはこっちで処理しておく」
「しょ、処理って日本海に沈めるとか……?」
「バーカ。んなわけねぇだろ。こいつは色々と引っ掻き回して暴れたからそれなりの処遇を与えんだよ」
なぜ跡部にそんな権限があるのだろうかと疑問に思う者もいるが、まぁ跡部だからかとすぐに納得する。
「しっかり制裁しろよ。直接拝めないのは残念だけど」
「もうお前が心配するようなことはねぇよ」
「跡部。さっきの動画送っといたからね」
「あぁ、サンキュ。よし、行くぞ樺地」
「ウス」
「か、かばっち行っちゃうの!?」
「ウス。気をつけて……帰ってください」
「かばっち……!」
キュンとする遥に樺地がぺこりと頭を下げると、彼は跡部と共に車に乗り込んで彼女達の前から去っていった。
「これで一件落着か」
「良かったね、遥。もう大丈夫だよ」
「なんかあたしの知らない事実が色々あって置いてけぼりを食らった気がするけど……ありがと!」
跡部達が暗躍していたことに感動する遥はもうあの子に絡まれることはないだろうとホッと一安心した。
「遥、怪我してへんか?」
そんな彼女の前に忍足が近づくが、麻美がすぐさま二人の間に入り、忍足を睨みつける。
「……なぁ、麻美。さすがに警戒しすぎちゃうん?」
「元凶だからな」
「それについては否定せん。すまんかったな。遥だけやなく自分らにも色々と迷惑かけたわ」
「分かってるじゃねぇか」
「九条さんもとばっちりまで受けてたんやろ? ほんま堪忍な」
「獅堂さんがああする切っ掛けが忍足だとしても、全てが忍足のせいじゃないから気にしないで。むしろ遥を守ろうとしてくれてありがとう」
麻美とは対照的に少しばかり忍足を見直したのか、秋は優しく笑みを浮かべて忍足にお礼を告げる。
「遥」
そして忍足は遥へと視線を向ける。近づこうとするものなら麻美が阻むため、一歩しか歩み寄れなかったが、何とも言えない表情をした遥の方から近づいた。
「麻美。もう大丈夫だよ、ありがとう」
「あんたがそれでいいなら勝手にしろ」
意外にもあっさりと遥の言う通りにして壁になっていたその身を引いた。
「忍足。あたしは君のしたことは許さないけど、あたしを助けてくれたことは感謝してるよ。ありがとう」
「遥……」
にへ、と笑う遥。忍足にとっては久方振りに自分へと向けられた笑みだったので、彼の中での激しい気持ちが渦巻きながら遥の手を取り、その甲を自身の額に当てた。少しでも彼女の温もりを感じたいがために。
「……自分が無事で良かったわ」
「……」
いつもなら手を振り払っていたところだが、こんな縋るような姿と消え入りそうな声を聞いてしまうとそんなことは出来なかった。
ちょっとの間だけ接触を許してあげよう。あたしは寛大な心の持ち主なのだ。そう思いながら忍足が手を離すのを待った。
待ったのだが……。
「……」
「……」
一向に離す気配が見られない。いつまでこうするつもりなんだと痺れを切らした遥が手を引っこ抜こうとしたが、相手はしっかりと手を握って離してくれない。
「ちょっ、離してくれたまえっ!」
「なんでなん? もう大丈夫なんやろ? 遥も俺を受け入れたみたいやし」
「何の話!?」
ぐぐっ、と引っ張っても離してくれない。これだから運動部の握力は! と焦るが段々と相手側へと引っ張られる。
「た、助けて麻美っ!」
「もう大丈夫なんだろ。私は帰る」
「びえん!」
「仲直り出来て良かったね」
「違っ! そうじゃないんだ秋っ!」
いつもの調子の遥を見て安心したのだろう。麻美はもう関わりを持つ必要がないと判断し、秋は微笑ましげに遥と忍足を見守ってから二人で先に帰宅した。
「ひぃん……本当に帰るなんて……」
「気ぃ利かせてくれた二人に感謝せなあかんな?」
「あたしには迷惑だ!」
手を離さない忍足と手を離したい遥の攻防はしばらく続いた。
麻美と秋が共に帰る最中、遠くの方で遥の呻き声が僅かに響く。
「……本当に大丈夫だったかな?」
「あの調子なら放っておいていいだろ」
秋が後ろを振り返りながら遥を気にかけるが、麻美がばっさりと言い切る。彼女らしいなと思いながら秋はくすりと笑った。
おそらく麻美と跡部が協力してくれたおかげで今回の件は早く解決出来たかもしれない。秋はそう考える。
秋や遥以外の人間とはあまり関わりを持たない麻美が跡部と手を組んだことは喜ばしいことだ。
少しずつではあるが今の環境は麻美に変化を与えているのだろう。そう思うと秋は麻美にもう少しだけ人付き合いが出来るようになればいいなと小さく願った。