自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
始まりはマネージャー勧誘
主人公名前変換
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『お話がありますので昼休みに美術室に来てください』
朝、登校した西成遥は自身の机の中に入っていた手紙の存在に気がついた。
ご丁寧に宛先には彼女の名前まで書かれていたが、肝心な差出人の名前がない。
不思議に思いつつも、遥はその手紙に従い、昼休みに美術室へと向かった。
廊下には人気がなくてしんと静まり返っている。午後一番に始まる授業に美術はないのだろうと思われた。
美術室の扉前に辿り着いた遥は手紙の差出人のことを考える。
おそらく人に聞かれたくない話だろうかと予想するも一体どんな話かまではわからない。
(人気ない所への呼び出しだなんてもしかして定番の告白イベントなのでは!? それは困っちゃうなー! あたしにはすでに想い人がいるからモテる女は辛いなー!)
にへらと一人でにやけながら呼び出された理由を考えたが、ふともうひとつ思い当たることがあるのか、むむっと眉を寄せて顔つきが変わる。
(いやいや、もしかして跡部と一緒のクラスだからファンクラブの子達に因縁つけられるとか? あ、有り得そうで怖いな……)
そもそも差出人の名前がないことがすでに怪しいし、やっぱり帰ろうかなと思ったそのときだった。
後ろから伸びた手が遥の横顔を通り、扉の前へとそっと突いた。
その手とは反対と思われる手が彼女の肩へと置かれ、耳元には唇が寄せられる。
「そのままや。俺が誰か当ててみ?」
ぞわり、鳥肌が立つ。特徴的な低い関西弁なんて遥が知る限りこの学園に一人しかいない。
というより、扉の窓ガラスが反射して顔が見えているのでバレバレではある。
「お、忍足……」
「正解や」
「~~っ!!」
吐息混じりの声が耳を擽る。言葉にならない声を上げて勢いよく後ろを振り向けば、そこには間違いなく忍足の姿があり、ドアに背中をぴったりとくっ付けた。
「な、なんで忍足が! まさか、この手紙の差出人は……!」
「お察しの通りこの俺が昨日の部活後にそっと入れて置いたんや」
「ど、うしてこんなことを!」
「そりゃあ、俺の名前を出したとこで遥は来ないやろなぁって思ってん。つれへんよなぁ、俺ら付き合った仲やのに」
度の入ってない眼鏡をかけた顔が遥へ近づく。
中学生とは思えない溢れ出る色気に恐怖を覚えつつ、ひぇ、と息を詰まらせながら遥は逃げるように勢いよく目線を逸らした。
「そっ、そそそのことはもう忘れてほしいんだけど!」
忍足の言葉通り、忍足と遥は二年の頃に二ヶ月ほどではあるが内密に付き合っていたことがある。
しかし、互いに恋愛感情は抱いていない交際だと思っていた遥がその関係に終止符を打ったのに彼は何かと彼女に迫ってくるので、それに逃げる日々を送っていた。
「そんなん忘れるわけないやん。大事な思い出やねんから」
「あたしにとっては黒歴史なんですがっ!」
「黒歴史やなんて酷いなぁ。まぁ、今はその話は置いといて、遥に大事な話があるんや」
(ひぇっ……! フェロモンに殺される……!)
たじたじになりながらもなんとかこの場から逃げ出したい遥だったが、目の前の忍足の壁により逃げられずにいた。
何より距離が近い。逃げてもすぐに捕まりそうな状況だ。
「ねぇ。何してるのかな?」
そこへ第三者の声が聞こえてきた。二人がその声の主へと目を向けると、そこには不機嫌そうな滝が腕を組みながら立っていた。
「滝……」
「萩!」
親しげに滝の名を呼ぶ遥はどこか安心した表情をする。対する忍足は少し不服そうな声を漏らした。
それもそのはず、遥と滝は家が隣同士の幼馴染みであり、常に遥の面倒を見てフォローする人間である。つまり彼女の味方に立つ男の登場だ。
「ひとまず、忍足は遥から離れてくれる? かなり近いから怖がってるよ」
「怖いのはそっちの顔やけどなぁ。……ま、怖がらせるつもりはないから嫌われる前にそうさせてもらうわ」
言われた通り遥から離れると、彼女はホッと胸を撫で下ろした。
「ところで忍足。もしかして君が言っていた例の相手……遥じゃないよね?」
「そうやって言ったらどないするん?」
「?」
二人がなんの話をしているか分からない遥は疑問符を浮かべ、そのまま話に耳を傾けた。
「俺は反対するね。遥に対する忍足の接し方に不満があるし、何を企んでるか分かったもんじゃない」
「それ、決めるのは自分やないやろ? あまり保護者面するのもどうかと思うで」
不機嫌そうな滝とにっこり笑みを浮かべる忍足の間に火花が散る。
いまだにどういう話をしているのか分からない遥だったが、自分が関わることだということはなんとなく理解していた。
「ね、ねぇ、一体なんの話をしてるんだい? この遥さんにも分かるように話をしてくれたまえ!」
「あぁ、せやったな。実は遥にうちの部のマネージャーになってほしいねん」
「マネージャー? 男テニの?」
「そうや」
「駄目だよ、遥。マネージャーって言っても大変な仕事だし、何より忍足がいるんだから」
「俺が問題あるみたいな言い方やめてほしいんやけど……」
「……」
男子テニス部のマネージャー。その勧誘を受けて遥は悩んだ。
なぜならば彼女の想い人がそこにいるからだ。
「跡部は麻美をマネージャーにする言うてたし、ジローからも聞いたけど、あの生徒副会長の九条さんって子もマネージャーに誘ったらしいで」
遥が迷っているのを見て、彼女の交友関係を知っている忍足はここぞとばかり判断の材料となる情報を提供する。
その瞬間、滝はしまったという表情をし、よく知った名前を聞いた遥は目を大きく見開かせた。
「麻美と秋もっ!?」
「その二人も一緒やったら大変なマネージャー業も楽しいんちゃう?」
「そっか、うん! あたし、マネージャーやるよ!」
「遥っ……!」
「麻美と秋がマネージャーをするのにあたしだけ仲間外れは嫌だもん!」
滝が考え直すように忠告するつもりだったが、すでに幼馴染みの彼女は決心してやる気に満ちた目をしていたため、彼はそれ以上何も言えずにただ勝ち誇った顔をする忍足を睨みつけた。
朝、登校した西成遥は自身の机の中に入っていた手紙の存在に気がついた。
ご丁寧に宛先には彼女の名前まで書かれていたが、肝心な差出人の名前がない。
不思議に思いつつも、遥はその手紙に従い、昼休みに美術室へと向かった。
廊下には人気がなくてしんと静まり返っている。午後一番に始まる授業に美術はないのだろうと思われた。
美術室の扉前に辿り着いた遥は手紙の差出人のことを考える。
おそらく人に聞かれたくない話だろうかと予想するも一体どんな話かまではわからない。
(人気ない所への呼び出しだなんてもしかして定番の告白イベントなのでは!? それは困っちゃうなー! あたしにはすでに想い人がいるからモテる女は辛いなー!)
にへらと一人でにやけながら呼び出された理由を考えたが、ふともうひとつ思い当たることがあるのか、むむっと眉を寄せて顔つきが変わる。
(いやいや、もしかして跡部と一緒のクラスだからファンクラブの子達に因縁つけられるとか? あ、有り得そうで怖いな……)
そもそも差出人の名前がないことがすでに怪しいし、やっぱり帰ろうかなと思ったそのときだった。
後ろから伸びた手が遥の横顔を通り、扉の前へとそっと突いた。
その手とは反対と思われる手が彼女の肩へと置かれ、耳元には唇が寄せられる。
「そのままや。俺が誰か当ててみ?」
ぞわり、鳥肌が立つ。特徴的な低い関西弁なんて遥が知る限りこの学園に一人しかいない。
というより、扉の窓ガラスが反射して顔が見えているのでバレバレではある。
「お、忍足……」
「正解や」
「~~っ!!」
吐息混じりの声が耳を擽る。言葉にならない声を上げて勢いよく後ろを振り向けば、そこには間違いなく忍足の姿があり、ドアに背中をぴったりとくっ付けた。
「な、なんで忍足が! まさか、この手紙の差出人は……!」
「お察しの通りこの俺が昨日の部活後にそっと入れて置いたんや」
「ど、うしてこんなことを!」
「そりゃあ、俺の名前を出したとこで遥は来ないやろなぁって思ってん。つれへんよなぁ、俺ら付き合った仲やのに」
度の入ってない眼鏡をかけた顔が遥へ近づく。
中学生とは思えない溢れ出る色気に恐怖を覚えつつ、ひぇ、と息を詰まらせながら遥は逃げるように勢いよく目線を逸らした。
「そっ、そそそのことはもう忘れてほしいんだけど!」
忍足の言葉通り、忍足と遥は二年の頃に二ヶ月ほどではあるが内密に付き合っていたことがある。
しかし、互いに恋愛感情は抱いていない交際だと思っていた遥がその関係に終止符を打ったのに彼は何かと彼女に迫ってくるので、それに逃げる日々を送っていた。
「そんなん忘れるわけないやん。大事な思い出やねんから」
「あたしにとっては黒歴史なんですがっ!」
「黒歴史やなんて酷いなぁ。まぁ、今はその話は置いといて、遥に大事な話があるんや」
(ひぇっ……! フェロモンに殺される……!)
たじたじになりながらもなんとかこの場から逃げ出したい遥だったが、目の前の忍足の壁により逃げられずにいた。
何より距離が近い。逃げてもすぐに捕まりそうな状況だ。
「ねぇ。何してるのかな?」
そこへ第三者の声が聞こえてきた。二人がその声の主へと目を向けると、そこには不機嫌そうな滝が腕を組みながら立っていた。
「滝……」
「萩!」
親しげに滝の名を呼ぶ遥はどこか安心した表情をする。対する忍足は少し不服そうな声を漏らした。
それもそのはず、遥と滝は家が隣同士の幼馴染みであり、常に遥の面倒を見てフォローする人間である。つまり彼女の味方に立つ男の登場だ。
「ひとまず、忍足は遥から離れてくれる? かなり近いから怖がってるよ」
「怖いのはそっちの顔やけどなぁ。……ま、怖がらせるつもりはないから嫌われる前にそうさせてもらうわ」
言われた通り遥から離れると、彼女はホッと胸を撫で下ろした。
「ところで忍足。もしかして君が言っていた例の相手……遥じゃないよね?」
「そうやって言ったらどないするん?」
「?」
二人がなんの話をしているか分からない遥は疑問符を浮かべ、そのまま話に耳を傾けた。
「俺は反対するね。遥に対する忍足の接し方に不満があるし、何を企んでるか分かったもんじゃない」
「それ、決めるのは自分やないやろ? あまり保護者面するのもどうかと思うで」
不機嫌そうな滝とにっこり笑みを浮かべる忍足の間に火花が散る。
いまだにどういう話をしているのか分からない遥だったが、自分が関わることだということはなんとなく理解していた。
「ね、ねぇ、一体なんの話をしてるんだい? この遥さんにも分かるように話をしてくれたまえ!」
「あぁ、せやったな。実は遥にうちの部のマネージャーになってほしいねん」
「マネージャー? 男テニの?」
「そうや」
「駄目だよ、遥。マネージャーって言っても大変な仕事だし、何より忍足がいるんだから」
「俺が問題あるみたいな言い方やめてほしいんやけど……」
「……」
男子テニス部のマネージャー。その勧誘を受けて遥は悩んだ。
なぜならば彼女の想い人がそこにいるからだ。
「跡部は麻美をマネージャーにする言うてたし、ジローからも聞いたけど、あの生徒副会長の九条さんって子もマネージャーに誘ったらしいで」
遥が迷っているのを見て、彼女の交友関係を知っている忍足はここぞとばかり判断の材料となる情報を提供する。
その瞬間、滝はしまったという表情をし、よく知った名前を聞いた遥は目を大きく見開かせた。
「麻美と秋もっ!?」
「その二人も一緒やったら大変なマネージャー業も楽しいんちゃう?」
「そっか、うん! あたし、マネージャーやるよ!」
「遥っ……!」
「麻美と秋がマネージャーをするのにあたしだけ仲間外れは嫌だもん!」
滝が考え直すように忠告するつもりだったが、すでに幼馴染みの彼女は決心してやる気に満ちた目をしていたため、彼はそれ以上何も言えずにただ勝ち誇った顔をする忍足を睨みつけた。