自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
悪意ある噂
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「西成さん」
昼休みに購買でパンを買いに行こうとクラスを飛び出した遥は突然呼び止められ、足を止めた。
「ん?」
波打つ長い茶髪のその女子生徒はスラッと手足も長くモデルのような美少女だった。
どこかで見たことあるような……と思いつつ、おそらく美人さんだからどっかで見たのだろうと一人で納得した。
「なぁに?」
「実はお願いがあって少しお話したいの」
にっこりとこれまた愛らしい表情で笑うので、あたしも大概可愛いけど美人さんに頼まれたら断れないなぁと考えながら「いいよっ」と返事をする。
「じゃあ、こっちへ」
(あ、ここじゃないんだ)
どうやら場所を変えるらしく、廊下で話すと思っていた遥は戸惑いつつも彼女のあとに続いた。
連れられた場所は以前忍足が前の彼女に復縁を求められた階段の踊り場だった。
その現場をたまたま遭遇してしまったことを思い出しながら遥は空腹の音を鳴らす。
「あの~……話って?」
「私、侑士くんと付き合っていたの」
(んん?)
なぜ忍足の話を? きょとんとしながらも遥はそのまま彼女の話に耳を傾ける。
「私と彼は喧嘩なんて一度もしたことなかったの。お互いに不満もなかったはず。でもなぜか別れを切り出されて……。それに私と別れてから侑士くんは誰とも付き合っていなかったの。他に付き合う相手がいないならと思ってここで復縁を願ったのよ」
ここでようやく遥はこの間見た復縁現場の女子が彼女だということに気づく。
同時にこれはもしかしてヤバいやつでは? と嫌な予感が身体中に駆け巡った。
「でも断られた。好きな人がいるって言ってたの」
(あたしじゃありませんように、あたしじゃありませんように!)
自分の名前を出していないか冷や冷やした。いや、元カノが遥を呼び出している時点でもう色々とバレバレなのかもしれない。
とはいえ、遥自身はその相手が自分だとは認めたくはなかった。
「侑士くん、あなたに興味があるみたいだけど勘違いしないでね。侑士くんの悪い癖だから」
それは知ってますが。と口を挟もうとしたが、相手はまだ話を続ける。
「だから西成さんからきっぱり言ってくれないかな? 『これ以上関わらないで』って」
「言い寄って来ないで、ならすでに言ってるんだけどなぁ」
映画に行ったあの日に確かに直接言った。まだ最近のことなので記憶にも新しい。
正直に言ったにも関わらず、相手の表情が少し歪んだ。
「……じゃあ、なんで侑士くんはまだあんたなんか見てるの?」
にこにこ笑っていたはずの美少女が蔑むような視線を遥に向ける。
あんたなんか、という言葉までいただき、遥はやっぱりこういう展開になるのかーと思わずにはいられなかった。
ぶっちゃけあの日以来忍足とは話をしていない。麻美と秋がこってり絞ってくれたのか大人しいし、遥は伸び伸びとした日常を送っていた。
なのに、見てると言われるとそれはそれで別の恐怖を感じて遥は身震いをする。
「や、やめてよ……あたしはもうあいつとは関わってないし、向こうだって見てるはずが━━」
「見てるわよ! 私がずっと侑士くんを見てるんだから気づかないわけないわ! 侑士くんは私じゃなくずっとずっとあんたみたいな奴を見てるのよ! なんでこんな能天気な空っぽ頭な奴が侑士くんに気に入られるの!?」
「ちょっとあたしに対する物言い酷くない!?」
いや、麻美のおかげでボロクソに言われ慣れてるから、むしろこの子の言う悪口ならまだ可愛いくらいじゃないかなっ!? こんな耐性つきたくないけど!
そんな化けの皮が剥がれるような忍足の元カノによる言動に驚きつつも、相手はさらにヒートしていった。
「あんたなんかっ、あんたなんかいるから侑士くんは私を見なくなったのよ! マネージャーにもなって彼に近づいてるのも信じられないわ!」
「そんなこと言われても困るのだが!」
とんだ八つ当たりだよ! そう言い返そうとしたが、相手が襟元を掴みかかってきた。
お? なんだなんだ暴力か! こっちは麻美に鍛えられてるから打たれ強いぞ! と、謎の自信を持つ遥だが、手を上げられる様子はなく思い切り後ろへと押そうとする力を感じた。
遥の後ろには下り階段。これはひょっとしなくてもまずいのでは? そう思いながら背中に冷や汗を流して突き飛ばされないように両足でしっかり踏ん張った。
その時だった。
「何やっとんねんっ」
少し慌てたような低い関西弁の声に相手の動きが止まる。
ちらりと後ろを見てみれば階下には忍足の姿が見えた。
幸か不幸かまるで都合のいい漫画のような展開だが、こうなった原因の人物でもある。
そんな忍足の登場により階段に突き落とされるような心配はひとまずなくなったと思い一安心したが、彼女は驚くべき行動を取った。
「きゃあっ!」
「えっ」
遥を掴みかかっていたはずの女子生徒がその手を離し、階段側へとその身を投げ出した。
「っ!」
このままでは怪我をする。そう思った瞬間、忍足が急いで駆け出し、階段から飛ぶ彼女へと腕を伸ばして抱きとめた。
しかし、飛んできた人間を一歩も動かずに受け止めることなんて出来るはずもなく、なだれ込むようなその衝撃に巻き込まれた忍足は尻もちを着いた。
「だっ、大丈夫っ!?」
遥は慌てて階段を駆け下りる。なんで元カノが階段から落ちたのかは分からないが、足でも滑ったのだろうかと推測して二人の元へと近づいた。
「侑士くん助けて! 西成さんに突き落とされたの!」
「……はい?」
元カノは忍足に抱きつきながら縋り始めた。
遥は顔を顰めながら何を言ってるのかと言わんばかりの表情を見せる。
まるで嵌めようとしてるこの状況……そういえば漫画でよくある展開だなとぼんやり考えた。
「……すまんな、遥。この子連れて行くわ」
「はあ……」
忍足は彼女を立ち上がらせてその肩を抱いていた。やはり元カノなので怪我をしていないか心配してるのかもしれないと考えるが、先程の突き落とされたという話も信じたのか気になった。
元カノは遥を見て怯える素振り見せながら忍足にくっつき、忍足はそれを許した状態でその場から連れ去っていくのを遥は黙って見送った。
昼休みに購買でパンを買いに行こうとクラスを飛び出した遥は突然呼び止められ、足を止めた。
「ん?」
波打つ長い茶髪のその女子生徒はスラッと手足も長くモデルのような美少女だった。
どこかで見たことあるような……と思いつつ、おそらく美人さんだからどっかで見たのだろうと一人で納得した。
「なぁに?」
「実はお願いがあって少しお話したいの」
にっこりとこれまた愛らしい表情で笑うので、あたしも大概可愛いけど美人さんに頼まれたら断れないなぁと考えながら「いいよっ」と返事をする。
「じゃあ、こっちへ」
(あ、ここじゃないんだ)
どうやら場所を変えるらしく、廊下で話すと思っていた遥は戸惑いつつも彼女のあとに続いた。
連れられた場所は以前忍足が前の彼女に復縁を求められた階段の踊り場だった。
その現場をたまたま遭遇してしまったことを思い出しながら遥は空腹の音を鳴らす。
「あの~……話って?」
「私、侑士くんと付き合っていたの」
(んん?)
なぜ忍足の話を? きょとんとしながらも遥はそのまま彼女の話に耳を傾ける。
「私と彼は喧嘩なんて一度もしたことなかったの。お互いに不満もなかったはず。でもなぜか別れを切り出されて……。それに私と別れてから侑士くんは誰とも付き合っていなかったの。他に付き合う相手がいないならと思ってここで復縁を願ったのよ」
ここでようやく遥はこの間見た復縁現場の女子が彼女だということに気づく。
同時にこれはもしかしてヤバいやつでは? と嫌な予感が身体中に駆け巡った。
「でも断られた。好きな人がいるって言ってたの」
(あたしじゃありませんように、あたしじゃありませんように!)
自分の名前を出していないか冷や冷やした。いや、元カノが遥を呼び出している時点でもう色々とバレバレなのかもしれない。
とはいえ、遥自身はその相手が自分だとは認めたくはなかった。
「侑士くん、あなたに興味があるみたいだけど勘違いしないでね。侑士くんの悪い癖だから」
それは知ってますが。と口を挟もうとしたが、相手はまだ話を続ける。
「だから西成さんからきっぱり言ってくれないかな? 『これ以上関わらないで』って」
「言い寄って来ないで、ならすでに言ってるんだけどなぁ」
映画に行ったあの日に確かに直接言った。まだ最近のことなので記憶にも新しい。
正直に言ったにも関わらず、相手の表情が少し歪んだ。
「……じゃあ、なんで侑士くんはまだあんたなんか見てるの?」
にこにこ笑っていたはずの美少女が蔑むような視線を遥に向ける。
あんたなんか、という言葉までいただき、遥はやっぱりこういう展開になるのかーと思わずにはいられなかった。
ぶっちゃけあの日以来忍足とは話をしていない。麻美と秋がこってり絞ってくれたのか大人しいし、遥は伸び伸びとした日常を送っていた。
なのに、見てると言われるとそれはそれで別の恐怖を感じて遥は身震いをする。
「や、やめてよ……あたしはもうあいつとは関わってないし、向こうだって見てるはずが━━」
「見てるわよ! 私がずっと侑士くんを見てるんだから気づかないわけないわ! 侑士くんは私じゃなくずっとずっとあんたみたいな奴を見てるのよ! なんでこんな能天気な空っぽ頭な奴が侑士くんに気に入られるの!?」
「ちょっとあたしに対する物言い酷くない!?」
いや、麻美のおかげでボロクソに言われ慣れてるから、むしろこの子の言う悪口ならまだ可愛いくらいじゃないかなっ!? こんな耐性つきたくないけど!
そんな化けの皮が剥がれるような忍足の元カノによる言動に驚きつつも、相手はさらにヒートしていった。
「あんたなんかっ、あんたなんかいるから侑士くんは私を見なくなったのよ! マネージャーにもなって彼に近づいてるのも信じられないわ!」
「そんなこと言われても困るのだが!」
とんだ八つ当たりだよ! そう言い返そうとしたが、相手が襟元を掴みかかってきた。
お? なんだなんだ暴力か! こっちは麻美に鍛えられてるから打たれ強いぞ! と、謎の自信を持つ遥だが、手を上げられる様子はなく思い切り後ろへと押そうとする力を感じた。
遥の後ろには下り階段。これはひょっとしなくてもまずいのでは? そう思いながら背中に冷や汗を流して突き飛ばされないように両足でしっかり踏ん張った。
その時だった。
「何やっとんねんっ」
少し慌てたような低い関西弁の声に相手の動きが止まる。
ちらりと後ろを見てみれば階下には忍足の姿が見えた。
幸か不幸かまるで都合のいい漫画のような展開だが、こうなった原因の人物でもある。
そんな忍足の登場により階段に突き落とされるような心配はひとまずなくなったと思い一安心したが、彼女は驚くべき行動を取った。
「きゃあっ!」
「えっ」
遥を掴みかかっていたはずの女子生徒がその手を離し、階段側へとその身を投げ出した。
「っ!」
このままでは怪我をする。そう思った瞬間、忍足が急いで駆け出し、階段から飛ぶ彼女へと腕を伸ばして抱きとめた。
しかし、飛んできた人間を一歩も動かずに受け止めることなんて出来るはずもなく、なだれ込むようなその衝撃に巻き込まれた忍足は尻もちを着いた。
「だっ、大丈夫っ!?」
遥は慌てて階段を駆け下りる。なんで元カノが階段から落ちたのかは分からないが、足でも滑ったのだろうかと推測して二人の元へと近づいた。
「侑士くん助けて! 西成さんに突き落とされたの!」
「……はい?」
元カノは忍足に抱きつきながら縋り始めた。
遥は顔を顰めながら何を言ってるのかと言わんばかりの表情を見せる。
まるで嵌めようとしてるこの状況……そういえば漫画でよくある展開だなとぼんやり考えた。
「……すまんな、遥。この子連れて行くわ」
「はあ……」
忍足は彼女を立ち上がらせてその肩を抱いていた。やはり元カノなので怪我をしていないか心配してるのかもしれないと考えるが、先程の突き落とされたという話も信じたのか気になった。
元カノは遥を見て怯える素振り見せながら忍足にくっつき、忍足はそれを許した状態でその場から連れ去っていくのを遥は黙って見送った。