自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
悪意ある噂
主人公名前変換
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「赤宮さん……あの、お話が」
部活終了後、後片付けに追われていたマネージャーの一人である麻美の元に鳳が元気なさげな表情で彼女を呼び止めた。
(また何かあったのか?)
鳳は良くも悪くも感情が顔に出やすい。さらにメンタルにも響くのでテニスにも影響する。
以前、球出しでそんな彼を見た麻美はまた何か気にかかることでもあったのかと考えた。
しかし、先程球出しした時は普通だったし、特に動きも悪いわけではなかったので球出し以降に何かあったのかもしれない。
「話って何?」
「さっき、日吉と杉浦と西成さんが話しているのをたまたま聞こえちゃったんです」
「……杉浦?」
日吉の名は知っている。よくいがみ合っている準レギュラーだから覚えてしまった。不本意ながら。
しかし、杉浦という名は聞き覚えがなく鳳に聞き返した。
「杉浦は今年入部した新入生です」
「ふーん。で、何の話が聞こえたって?」
「えっと……一年の間で西成さんは男漁りが趣味だと噂になっているらしくて……それを西成さんに伝えている所をたまたま聞いてしまったんです。盗み聞きしたようで申し訳ない気持ちなんですけど……」
ばつ悪そうな顔で話を聞いてしまったことを悔いる様子の鳳だが、麻美は不愉快だと言わんばかりのオーラを漂わせる。
「なんだその嘘だと丸分かりの噂は?」
「お、俺も信じてないんですけど、西成さんのことを知らない人は真偽の判断が出来ないかと……」
「っち。なんで一年にそんな噂が流れるかは分からないが、明らかにうちの下僕を失脚させるつもりなのは確かだな。私の許可なしにふざけやがって……」
別に麻美の許可はいらないのだが、あまりにも本気で言うため『赤宮さんの許可がいるんだ……』と鳳は信用してしまいそうになる。
「っつーか、あのキノコもその話を聞いたのなら下僕にいちゃもんつけてたんじゃないのか?」
あいつなら有り得る。絶対にここぞとばかりに責め立てて退部しろだの言いかねない。そう思いながら麻美は拳をボキボキと鳴らし始めた。
「あ、それなら大丈夫ですよ。日吉は信じてない様子でしたので」
「それはそれで裏がありそうだな」
(何がなんでも日吉のこと信じないんだなぁ……)
「とにかく、まずはその訳の分からん噂をどうにかするか。噂の出処を探れば犯人に辿り着けるだろ」
「あ。俺、跡部さんにも報告しようと思うんです」
「あぁ……あまりあいつの力を借りたくはないがその方が手っ取り早く解決しそうではあるな。報告は任せていいか? ……えーと……長太郎」
名字が何だったのか思い出せず、みんなから「長太郎」と名前で呼ばれていることは覚えていたのでそのまま名前呼びにすると、鳳はパッと明るくなり嬉しげに「はいっ」と返事をした。
名前で呼んでくれたことに加え、頼られたことがよほど嬉しかった様子。
「それにしても、私に知らせるのが先だったんだな」
真っ先に跡部に知らせていたと思ったけど、と、そう続けて言うと、鳳は当然のようににっこりと語った。
「赤宮さんが何か気付いたら教えてと仰ってましたので」
確かにそんなことを言った覚えがあるなと麻美はぼんやりと思い出した。
それにしてもわざわざ一番に知らせるとはよく出来た後輩である。
そう思った麻美は鳳に面を貸せと言わんばかりに人差し指でくいくいっと動かした。
「?」
「顔を貸せって言ってんだ」
指での合図だけでは伝わらなかったようで麻美が口で説明すると、鳳は慌てながら少し屈むような体勢で麻美と顔を突き合わせる。
その瞬間、麻美は鳳の頭をわしわしと撫でながらフッと笑みを浮かべた。
「偉いな、長太郎」
「! あ、えっと、ありがとうございますっ」
目に見て分かるくらいに顔を真っ赤にさせて慌てふためく後輩の様子が面白く、くくっと笑いながら撫でていた手を離した。
「じゃあ、頼むな」
「は、はい!」
そのまま軽く手を振りながら片付けを再開させる麻美の後ろ姿を見送ると、鳳はあまりされることのない頭を撫でられるという行為に驚きながらも嬉しい気持ちが芽生えていた。
(……しかし、跡部に任せるにしてもこっちも黙ったままってのは性にあわない)
自分のことではないとはいえ、友人が誰かに陥れられるのを知って何もしないわけにはいかなかった。
先に噂の出処を突き止めるべきか、それとも怪しい奴を片っ端から脅していくか……が、正直な所どちらも時間がかかりそうだ。特に後者なんて怪しい奴なんざそこらにいるから途方もないな。
どうしようか悩みながら麻美は後片付けを続けるのだった。
部活終了後、後片付けに追われていたマネージャーの一人である麻美の元に鳳が元気なさげな表情で彼女を呼び止めた。
(また何かあったのか?)
鳳は良くも悪くも感情が顔に出やすい。さらにメンタルにも響くのでテニスにも影響する。
以前、球出しでそんな彼を見た麻美はまた何か気にかかることでもあったのかと考えた。
しかし、先程球出しした時は普通だったし、特に動きも悪いわけではなかったので球出し以降に何かあったのかもしれない。
「話って何?」
「さっき、日吉と杉浦と西成さんが話しているのをたまたま聞こえちゃったんです」
「……杉浦?」
日吉の名は知っている。よくいがみ合っている準レギュラーだから覚えてしまった。不本意ながら。
しかし、杉浦という名は聞き覚えがなく鳳に聞き返した。
「杉浦は今年入部した新入生です」
「ふーん。で、何の話が聞こえたって?」
「えっと……一年の間で西成さんは男漁りが趣味だと噂になっているらしくて……それを西成さんに伝えている所をたまたま聞いてしまったんです。盗み聞きしたようで申し訳ない気持ちなんですけど……」
ばつ悪そうな顔で話を聞いてしまったことを悔いる様子の鳳だが、麻美は不愉快だと言わんばかりのオーラを漂わせる。
「なんだその嘘だと丸分かりの噂は?」
「お、俺も信じてないんですけど、西成さんのことを知らない人は真偽の判断が出来ないかと……」
「っち。なんで一年にそんな噂が流れるかは分からないが、明らかにうちの下僕を失脚させるつもりなのは確かだな。私の許可なしにふざけやがって……」
別に麻美の許可はいらないのだが、あまりにも本気で言うため『赤宮さんの許可がいるんだ……』と鳳は信用してしまいそうになる。
「っつーか、あのキノコもその話を聞いたのなら下僕にいちゃもんつけてたんじゃないのか?」
あいつなら有り得る。絶対にここぞとばかりに責め立てて退部しろだの言いかねない。そう思いながら麻美は拳をボキボキと鳴らし始めた。
「あ、それなら大丈夫ですよ。日吉は信じてない様子でしたので」
「それはそれで裏がありそうだな」
(何がなんでも日吉のこと信じないんだなぁ……)
「とにかく、まずはその訳の分からん噂をどうにかするか。噂の出処を探れば犯人に辿り着けるだろ」
「あ。俺、跡部さんにも報告しようと思うんです」
「あぁ……あまりあいつの力を借りたくはないがその方が手っ取り早く解決しそうではあるな。報告は任せていいか? ……えーと……長太郎」
名字が何だったのか思い出せず、みんなから「長太郎」と名前で呼ばれていることは覚えていたのでそのまま名前呼びにすると、鳳はパッと明るくなり嬉しげに「はいっ」と返事をした。
名前で呼んでくれたことに加え、頼られたことがよほど嬉しかった様子。
「それにしても、私に知らせるのが先だったんだな」
真っ先に跡部に知らせていたと思ったけど、と、そう続けて言うと、鳳は当然のようににっこりと語った。
「赤宮さんが何か気付いたら教えてと仰ってましたので」
確かにそんなことを言った覚えがあるなと麻美はぼんやりと思い出した。
それにしてもわざわざ一番に知らせるとはよく出来た後輩である。
そう思った麻美は鳳に面を貸せと言わんばかりに人差し指でくいくいっと動かした。
「?」
「顔を貸せって言ってんだ」
指での合図だけでは伝わらなかったようで麻美が口で説明すると、鳳は慌てながら少し屈むような体勢で麻美と顔を突き合わせる。
その瞬間、麻美は鳳の頭をわしわしと撫でながらフッと笑みを浮かべた。
「偉いな、長太郎」
「! あ、えっと、ありがとうございますっ」
目に見て分かるくらいに顔を真っ赤にさせて慌てふためく後輩の様子が面白く、くくっと笑いながら撫でていた手を離した。
「じゃあ、頼むな」
「は、はい!」
そのまま軽く手を振りながら片付けを再開させる麻美の後ろ姿を見送ると、鳳はあまりされることのない頭を撫でられるという行為に驚きながらも嬉しい気持ちが芽生えていた。
(……しかし、跡部に任せるにしてもこっちも黙ったままってのは性にあわない)
自分のことではないとはいえ、友人が誰かに陥れられるのを知って何もしないわけにはいかなかった。
先に噂の出処を突き止めるべきか、それとも怪しい奴を片っ端から脅していくか……が、正直な所どちらも時間がかかりそうだ。特に後者なんて怪しい奴なんざそこらにいるから途方もないな。
どうしようか悩みながら麻美は後片付けを続けるのだった。