自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
悪意ある噂
主人公名前変換
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「ふんふふんふ~ん」
その日の遥は機嫌良く鼻歌混じりでボール拾いに没頭していた。
なぜならば彼女は200名を超える男子テニス部員の名前を全員覚えたことで跡部と樺地に褒められたからだ。
最初に部員全員を覚えたのは秋だったが、もちろん跡部にとっては当然の範囲内。
麻美に至っては本人が覚える気がないので跡部も最初から諦めていた。
そして遥は当初名前の呼び間違いが多かったため期待すらしていなかったのだが、いつの間にか全員の名前を覚えていたのだ。
いい意味で予想を裏切ったため、跡部は素直に遥に向けて「やるじゃねーの」と褒めた。
それに浮かれた遥は跡部の傍に控えていた樺地に「凄いっ? 凄いっ?」と訴えると彼はこくりと頷いて「凄い……です」と答えたため、遥はさらに浮かれた。
元々、遥は誰とでも友達になれるタイプなので部活中に部員達と話をし、交流していくうちに自然と覚えていっただけなのであまり苦労はしなかった。そのため気付けば部員達と仲良くなっていたのである。
それでも褒められたら嬉しいもので、得意なボール拾いにも精が出るというものだ。
そんな遥の元にある部員が声をかけた。
「西成さん」
日吉が話しかけるとは珍しい。いつも遥が話しかけると関わりたくなさそうな嫌な顔をするので。しかし、そんなことを気にせずガンガン話しかけるのが遥である。
元々彼はマネージャー入部に反対派の人間で、未だに部員の中でもマネージャー制度の撤廃を望む者もいる。
きっと日吉もその一人だろうとずっと思っていたのだが、部室荒らしの事件が終わってからは結構大人しい印象ではあった。いや、麻美と顔を合わせると互いに悪態をつくのでやはり大人しくはないかも。
「お? 日吉と杉浦ではないか。なになに? どしたの?」
そんな日吉に呼ばれてボール籠を抱えたまま駆け寄ると、彼の隣には一年の杉浦が眉を下げた表情で立っていた。
「下級生の間で変な噂が流れていて、こいつから本人に伝えたいと相談を受けましたので、連れて来たんですよ」
「噂?」
「杉浦。教えてやれ」
「あ、えっと……ちょっと言い難いというか、もしかしたら西成先輩が嫌な思いをするかもしれないですけど、でも一応耳に入れた方がいいと思って……」
まごまごする下級生の様子に首を傾げる。何かを伝えたいということは確かなので遥はうんと頷いた。
「あたしくらいのレベルになると嫌な思いのひとつやふたつやみっつ、よくあることだよ! 気にせずに話してみたまえっ」
「は、はい。……あの、テニス部のマネージャーである西成先輩は……その、男好きでいつも男漁りをしてるって。運良くマネージャーになったのをいいことに誰彼構わず手を出してると……」
「……。……はい?」
耳を疑うような話である。オドオドする後輩の口から出たとは思えないような内容だ。
「……どゆこと?」
「そのままの意味ですよ。この噂が最近は一年の間でもちきりだそうです」
「いやいやいや! あたしかばっち一筋なのだが!?」
「で、ですよね。西成先輩はそんなことする人じゃないってことは僕達部員もよく知っていますし、そんな風には見えないので……では、ちゃんと事実を伝えておきますね」
「う、うん。お願いするよ……」
ぺこりと頭を下げて日吉と遥の前から去る杉浦。
遥は腕を組みながらうーんと唸った。
「不名誉な噂だなぁ……」
「……実は二年でも少しそんな噂が上がってきてますよ」
ボソッと口にする日吉に遥は「えぇっ!?」と声を上げる。
「に、二年まで!? じゃ、じゃあ、かばっちもその噂を聞いてるの!?」
「そこまでは知りませんけど、今朝耳にしたのでこれからじゃないですかね」
「うおおぉぉっ! 困る! それは困る! そんな噂をマイスイートダーリンかばっちに聞かれたらあたしのイメージがく下がりじゃん!」
「まともなテニス部員なら信じないと思いますけどね」
「ひ、ヒヨ……あたしのこと信じてるの?」
思いもよらぬ言葉を聞いた遥は日吉の印象が180度変わった。
いつもどこか小馬鹿にしていた態度をとっていたので、こやつあたしのこと嫌いだな? と思っていたが噂を信じない様子も見るとそうでもなさそうなので遥は輝かせた目を日吉に向けた。
「あなたがそんな器用なこと出来るわけないでしょう? 要領悪いんですから」
「先輩には優しく!!」
嬉しくない信用のされ方に逆に悔しくなってしまった。
「とはいえ、テニス部にとっても迷惑な噂ですから早くなんとかしてくださいよ。じゃないと先輩だけ退部も有り得なくはないですからね」
「不吉なことばかりっ!」
さらに追い打ちをかける後輩に遥は顔面を両手で覆い天を見上げた。
その日の遥は機嫌良く鼻歌混じりでボール拾いに没頭していた。
なぜならば彼女は200名を超える男子テニス部員の名前を全員覚えたことで跡部と樺地に褒められたからだ。
最初に部員全員を覚えたのは秋だったが、もちろん跡部にとっては当然の範囲内。
麻美に至っては本人が覚える気がないので跡部も最初から諦めていた。
そして遥は当初名前の呼び間違いが多かったため期待すらしていなかったのだが、いつの間にか全員の名前を覚えていたのだ。
いい意味で予想を裏切ったため、跡部は素直に遥に向けて「やるじゃねーの」と褒めた。
それに浮かれた遥は跡部の傍に控えていた樺地に「凄いっ? 凄いっ?」と訴えると彼はこくりと頷いて「凄い……です」と答えたため、遥はさらに浮かれた。
元々、遥は誰とでも友達になれるタイプなので部活中に部員達と話をし、交流していくうちに自然と覚えていっただけなのであまり苦労はしなかった。そのため気付けば部員達と仲良くなっていたのである。
それでも褒められたら嬉しいもので、得意なボール拾いにも精が出るというものだ。
そんな遥の元にある部員が声をかけた。
「西成さん」
日吉が話しかけるとは珍しい。いつも遥が話しかけると関わりたくなさそうな嫌な顔をするので。しかし、そんなことを気にせずガンガン話しかけるのが遥である。
元々彼はマネージャー入部に反対派の人間で、未だに部員の中でもマネージャー制度の撤廃を望む者もいる。
きっと日吉もその一人だろうとずっと思っていたのだが、部室荒らしの事件が終わってからは結構大人しい印象ではあった。いや、麻美と顔を合わせると互いに悪態をつくのでやはり大人しくはないかも。
「お? 日吉と杉浦ではないか。なになに? どしたの?」
そんな日吉に呼ばれてボール籠を抱えたまま駆け寄ると、彼の隣には一年の杉浦が眉を下げた表情で立っていた。
「下級生の間で変な噂が流れていて、こいつから本人に伝えたいと相談を受けましたので、連れて来たんですよ」
「噂?」
「杉浦。教えてやれ」
「あ、えっと……ちょっと言い難いというか、もしかしたら西成先輩が嫌な思いをするかもしれないですけど、でも一応耳に入れた方がいいと思って……」
まごまごする下級生の様子に首を傾げる。何かを伝えたいということは確かなので遥はうんと頷いた。
「あたしくらいのレベルになると嫌な思いのひとつやふたつやみっつ、よくあることだよ! 気にせずに話してみたまえっ」
「は、はい。……あの、テニス部のマネージャーである西成先輩は……その、男好きでいつも男漁りをしてるって。運良くマネージャーになったのをいいことに誰彼構わず手を出してると……」
「……。……はい?」
耳を疑うような話である。オドオドする後輩の口から出たとは思えないような内容だ。
「……どゆこと?」
「そのままの意味ですよ。この噂が最近は一年の間でもちきりだそうです」
「いやいやいや! あたしかばっち一筋なのだが!?」
「で、ですよね。西成先輩はそんなことする人じゃないってことは僕達部員もよく知っていますし、そんな風には見えないので……では、ちゃんと事実を伝えておきますね」
「う、うん。お願いするよ……」
ぺこりと頭を下げて日吉と遥の前から去る杉浦。
遥は腕を組みながらうーんと唸った。
「不名誉な噂だなぁ……」
「……実は二年でも少しそんな噂が上がってきてますよ」
ボソッと口にする日吉に遥は「えぇっ!?」と声を上げる。
「に、二年まで!? じゃ、じゃあ、かばっちもその噂を聞いてるの!?」
「そこまでは知りませんけど、今朝耳にしたのでこれからじゃないですかね」
「うおおぉぉっ! 困る! それは困る! そんな噂をマイスイートダーリンかばっちに聞かれたらあたしのイメージがく下がりじゃん!」
「まともなテニス部員なら信じないと思いますけどね」
「ひ、ヒヨ……あたしのこと信じてるの?」
思いもよらぬ言葉を聞いた遥は日吉の印象が180度変わった。
いつもどこか小馬鹿にしていた態度をとっていたので、こやつあたしのこと嫌いだな? と思っていたが噂を信じない様子も見るとそうでもなさそうなので遥は輝かせた目を日吉に向けた。
「あなたがそんな器用なこと出来るわけないでしょう? 要領悪いんですから」
「先輩には優しく!!」
嬉しくない信用のされ方に逆に悔しくなってしまった。
「とはいえ、テニス部にとっても迷惑な噂ですから早くなんとかしてくださいよ。じゃないと先輩だけ退部も有り得なくはないですからね」
「不吉なことばかりっ!」
さらに追い打ちをかける後輩に遥は顔面を両手で覆い天を見上げた。