自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
新たな事件を知る者、知らない者
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「忍足、話があるからお前は残れ」
部活終了後、レギュラー専用の部室のロッカールームで着替えている最中、我らがテニス部部長の跡部からお達しがきた。
レギュラーの視線が一気に忍足へと向けられ、断るような雰囲気ではない。いや、断る理由は持ち合わせていないので「分かったわ」と返事をした。
しかし、わざわざ人が出払ったあとに話とは誰かに聞かれたくない内容だろう。跡部の話なのか忍足の話なのか。
いや、十中八九は忍足自身の話だと察した彼は心当たりがなくもないような気がして若干気が進まなかった。
「話って何なん? 長いこと部室に居ったらマネージャー達が掃除出来んって騒ぐんちゃう?」
「今日は掃除はしなくていいって予め伝えてるから問題はねぇよ」
「準備がえぇなぁ」
長話になるかもしれないという考えなのか、それとも人を寄せ付けないためなのか、よっぽど大事な話なのかは理解した。
「赤宮から苦情が来た。心当たりはもちろんあるだろうな? あーん?」
「……心当たりしかないなぁ」
予想は的中した。しかも麻美が跡部に文句を言いに来たというのなら絶対遥に関する話だろう。
映画終わりの一件で麻美はかなりご立腹だった。秋は様子見といった感じではあったが、さすがに自分に抱く印象は悪いだろう。
「俺は人のプライベートまでとやかく言うつもりはねぇ」
「そらおおきに」
「ただし、マネージャーもうちの部の一員だ。要望があれば問題がない限り耳を貸す」
「つまり?」
「西成から距離を取れ」
「いやいや、なんやねんそれ。プライベートをとやかく言うとるやん……」
何かしら言われる覚悟はしていた。ただの厳重注意くらいで終わるかと思えば接近禁止とも取れる命令だったため、さすがにその内容は忍足も頷けなかった。
「元々、西成をマネージャーにしてからテメェは何かとあいつの周りをうろついていやがるからな。部活中は控えろっつってんだ」
「真面目に部活はしとるやろ? 心のオアシスを求めて何が悪いんや」
「そのせいで西成に危害が被ると聞いてもか?」
「……どういうことやそれ?」
意味深な発言に忍足の声の調子が下がる。
すると、跡部はこれを見ろと言わんばかりの紙切れを忍足に差し出した。
そこにはでかでかと書かれた中傷書きが何枚もある。
「なんやのこれ?」
「今朝、西成の家の前に貼られてたんだとよ」
「なっ、んやて?」
「うちのものに筆跡鑑定をさせてさらに全生徒の筆跡を調べさせてもらった」
「……早すぎやん」
「俺様を誰だと思ってる?」
あぁ、はい。せやな。うん。そう答えるしかなかった。
「それで、だ。筆跡の結果、テメェが過去に付き合ってた奴と一致した」
「誰や?」
「言ってどうする? そもそも西成が発見する前に萩之介が見つけたもんだから本人はまだ存在すら知らねぇ。それに証拠としても物足りねぇから言及しても躱されるのがオチだ」
「……」
「分かるか? お前の過去のやらかしが巡り巡ってテメェの心のオアシスとやらの迷惑になる。ちゃんと清算しきれてねぇ証拠だ。ただでさえ西成との関係も良くないんだからこれ以上テメェがまとわりつくと状況が悪化するぜ」
忍足は目を閉じて深い溜め息を吐き出した。
恥ずべき過去の行いや、好きな子を巻き込んでしまった申し訳なさや、実行犯による腹立たしさなど色々な感情がせめぎ合う。
「忍足よ、今のお前は過去のお粗末な戯れよりかはマシになったが、本命が出来た途端一気に恋愛下手になったな。滑稽なくらいだ」
「せやな……」
「お前が近付けば近付くほどから回ってんだから多少大人しくするくらいがちょうどいいんだよ」
「……ちょっと言い過ぎやないか?」
これでも傷心に浸っとるんやけど? 分かっとって追い討ちかけるんか?
と、思いながら色んな意味で胸が痛い忍足は恨めしそうな目を跡部に向ける。
「アドバイスだ」
対する跡部は感謝されることはあっても恨まれることはないと自信満々に答えた。
「ありがたく頂戴するわ……」
「俺も鬼じゃねぇから一日中そうしろとは言わねぇ。ただ周りの目を気にしろってことだ。せめてこの件が落ち着くまではな」
「分かった。俺も十分に気をつけることにするわ」
「それでいい。話は以上だ」
パチンと指を鳴らし、話を終える跡部に預かっていた紙切れを彼に返すと忍足は静かに部室を出た。部長の言いつけを胸に刻みながら。
部活終了後、レギュラー専用の部室のロッカールームで着替えている最中、我らがテニス部部長の跡部からお達しがきた。
レギュラーの視線が一気に忍足へと向けられ、断るような雰囲気ではない。いや、断る理由は持ち合わせていないので「分かったわ」と返事をした。
しかし、わざわざ人が出払ったあとに話とは誰かに聞かれたくない内容だろう。跡部の話なのか忍足の話なのか。
いや、十中八九は忍足自身の話だと察した彼は心当たりがなくもないような気がして若干気が進まなかった。
「話って何なん? 長いこと部室に居ったらマネージャー達が掃除出来んって騒ぐんちゃう?」
「今日は掃除はしなくていいって予め伝えてるから問題はねぇよ」
「準備がえぇなぁ」
長話になるかもしれないという考えなのか、それとも人を寄せ付けないためなのか、よっぽど大事な話なのかは理解した。
「赤宮から苦情が来た。心当たりはもちろんあるだろうな? あーん?」
「……心当たりしかないなぁ」
予想は的中した。しかも麻美が跡部に文句を言いに来たというのなら絶対遥に関する話だろう。
映画終わりの一件で麻美はかなりご立腹だった。秋は様子見といった感じではあったが、さすがに自分に抱く印象は悪いだろう。
「俺は人のプライベートまでとやかく言うつもりはねぇ」
「そらおおきに」
「ただし、マネージャーもうちの部の一員だ。要望があれば問題がない限り耳を貸す」
「つまり?」
「西成から距離を取れ」
「いやいや、なんやねんそれ。プライベートをとやかく言うとるやん……」
何かしら言われる覚悟はしていた。ただの厳重注意くらいで終わるかと思えば接近禁止とも取れる命令だったため、さすがにその内容は忍足も頷けなかった。
「元々、西成をマネージャーにしてからテメェは何かとあいつの周りをうろついていやがるからな。部活中は控えろっつってんだ」
「真面目に部活はしとるやろ? 心のオアシスを求めて何が悪いんや」
「そのせいで西成に危害が被ると聞いてもか?」
「……どういうことやそれ?」
意味深な発言に忍足の声の調子が下がる。
すると、跡部はこれを見ろと言わんばかりの紙切れを忍足に差し出した。
そこにはでかでかと書かれた中傷書きが何枚もある。
「なんやのこれ?」
「今朝、西成の家の前に貼られてたんだとよ」
「なっ、んやて?」
「うちのものに筆跡鑑定をさせてさらに全生徒の筆跡を調べさせてもらった」
「……早すぎやん」
「俺様を誰だと思ってる?」
あぁ、はい。せやな。うん。そう答えるしかなかった。
「それで、だ。筆跡の結果、テメェが過去に付き合ってた奴と一致した」
「誰や?」
「言ってどうする? そもそも西成が発見する前に萩之介が見つけたもんだから本人はまだ存在すら知らねぇ。それに証拠としても物足りねぇから言及しても躱されるのがオチだ」
「……」
「分かるか? お前の過去のやらかしが巡り巡ってテメェの心のオアシスとやらの迷惑になる。ちゃんと清算しきれてねぇ証拠だ。ただでさえ西成との関係も良くないんだからこれ以上テメェがまとわりつくと状況が悪化するぜ」
忍足は目を閉じて深い溜め息を吐き出した。
恥ずべき過去の行いや、好きな子を巻き込んでしまった申し訳なさや、実行犯による腹立たしさなど色々な感情がせめぎ合う。
「忍足よ、今のお前は過去のお粗末な戯れよりかはマシになったが、本命が出来た途端一気に恋愛下手になったな。滑稽なくらいだ」
「せやな……」
「お前が近付けば近付くほどから回ってんだから多少大人しくするくらいがちょうどいいんだよ」
「……ちょっと言い過ぎやないか?」
これでも傷心に浸っとるんやけど? 分かっとって追い討ちかけるんか?
と、思いながら色んな意味で胸が痛い忍足は恨めしそうな目を跡部に向ける。
「アドバイスだ」
対する跡部は感謝されることはあっても恨まれることはないと自信満々に答えた。
「ありがたく頂戴するわ……」
「俺も鬼じゃねぇから一日中そうしろとは言わねぇ。ただ周りの目を気にしろってことだ。せめてこの件が落ち着くまではな」
「分かった。俺も十分に気をつけることにするわ」
「それでいい。話は以上だ」
パチンと指を鳴らし、話を終える跡部に預かっていた紙切れを彼に返すと忍足は静かに部室を出た。部長の言いつけを胸に刻みながら。