自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
最後はバラバラに帰る休日
主人公名前変換
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「遥っ」
席を立って走り出す遥を引き止めようと忍足も慌てて立ち上がり、追いかけようとしたその瞬間。
「そこの兄さん。今暇?」
急に腕を掴まれた。まさかの逆ナンかいな、と思いながらも今はそれどころではない忍足は相手の顔を確認しないまま、店を出て遥の姿が見えなくなった出入口へと目を向ける。
「すまんけど、今忙しいんや」
手を振り払おうとした。しかし、相手の力が強いのか振り解けない。
なんや、こいつと思って相手の女を確認すると忍足は固まってしまった。
「この私が声かけてやってんのに断るとは何様のつもりだ?」
今にも血管が切れるのではないかというほど怒りに狂った麻美が忍足の腕を離さなかった。それどころか力いっぱい腕を掴んでミシミシと音を鳴らしているようにも思える。
「麻美……いだだだっ! あかんあかん! それあかんって!」
「座れ」
麻美が腕を引っ張り、先程座っていた忍足の席へと再び座らせるように突き飛ばした。そして麻美は遥が座っていた席に腰を下ろす。
遥を追いかけることも出来なければ麻美から逃げることも出来ない忍足は諦めた表情で彼女と対話することに決める。
「……麻美もいたんやな」
「私のことはいい。私が聞きたいのはなぜ秋と向日がこの場にいないのか、だ」
「今日の俺らの予定も把握済みなんやな……」
「答えろ。駄眼鏡」
「……昼飯を食うための店探しの途中ではぐれてもうたんや。そんで先に店に入れたからここで岳人達と合流する予定っちゅーこっちゃ」
「秋達はいつ来るんだ?」
「いつ、って言われてもな……」
「連絡はしたのか?」
「……いや」
「早くしろ。今すぐに」
思い切り凄んでくる麻美に逆らうことが出来ないので忍足は自身の携帯電話を取り出し、向日へと電話をかけた。麻美の監視付きで。
その様子を遠巻きで見ていた宍戸と鳳は自分達が頼んだ料理を食べながら「俺達はあれに首を突っ込まないようにするぞ」「え? あ、はい……」と関わらないことに徹した。
「麻美……? あれ? 遥は?」
「侑士、どういうことだよ、これは」
「あぁ……まぁ、色々あって……」
忍足が連絡してすぐに秋と向日は店に訪れた。
いるはずの遥がいない代わりになぜか麻美が席に座っているので秋は混乱しながらも彼女の隣に座り、向日も忍足の隣に着席した。
「忍足、てめぇ全部仕込んだな?」
「仕込む、ってなんのことやろか?」
「遥と二人きりになる機会を得ることだ」
「……お見通しなんやな」
はぁ、と溜め息をつきながら忍足は観念したと言わんばかりに両手を上げた。
「でも勘違いせんといてや? やましいことをしようと思ったわけちゃう。ただ二人でしっかり話をしたかっただけや」
「話って何を? 私達がいたら出来ないことなのか?」
「せやな。遥の立場としては聞かれたくないことやろうし。俺の目的は誤解を解くことと真剣に交際を申し込むことや」
「誤解……? ねぇ、遥と忍足の間に何があったの?」
何度も知りたかった忍足と遥のこと。秋としては遥から話してくれるのを待つつもりだったけど、遥の姿はない今、二人の間にまた何かあったことは明白だった。
こうなったらもう忍足本人に聞くしかない、そう思った秋は真剣な表情で忍足に尋ねた。
「……最初に言うとくけど、今の俺はちゃんと反省しとるからな?」
「前置きはいらん。言え」
(赤宮マジでこえー……)
自分が空気になる気がするが逃げるのもさすがに不自然なので、向日は遥が注文していたコーラフロートとカルボナーラを代わりに食べながら忍足達の話に耳を傾けることにした。
忍足は麻美達に遥との関係を全て話した。
当時の気持ちから今の気持ち、反省した所、避けられても他に想い人がいたとしても諦めるつもりはないことなど全てを吐露する。
「真面目に付き合いたいって思ったんは後にも先にも遥だけやねんけど、正直初めてすぎてから回ってばっかで上手くいかんねん。今回もそうなんやけど……」
(このヘタレ……)
ずっと黙ったままで聞いていた向日は隣の相方の言葉を聞いて口にはしないが情けないなと思う。
そんな向日と向かい合わせで座る麻美と秋はそれぞれ違う表情をしていた。
麻美は腕を組みながら、誰が見ていても分かるほどの苛立ちオーラと厳しい顔をしている。少しでも触れたら怒り爆発しそうなくらいに。
対する秋はずっと真剣な顔をしていた。怒りや悲しみの色は見えず、ただただ真面目な表情で講義を聞くような面持ちだった。
「つまり、あんたの自分勝手な行動で下僕を弄んでるわけだな?」
「そう取られても否定はせぇへん。けど、自分らにどれだけ言われようと俺は遥を諦めるつもりはないねん」
「ハッ。何を偉そうに。下僕の気持ちも分かるな。女道楽にふけこんでいた男の薄っぺらい言葉の何を信じろってんだ」
「せやなぁ……それは俺自身もそう思うわ」
「……」
「秋。あんたは何も言うことがないのか?」
「私は……遥からの話を聞かないとなんとも……。片方の話だけを聞いて忍足のことをどう思うかを決めつけるのは良くないと思うから」
「公平な判断ってか? 聞くまでもないだろ」
「もちろん、遥の気持ちによっては私も忍足のことは軽蔑するよ。でも今はちゃんと反省してるなら考慮はするかな」
「は? あんたみたいな奴が一番許したら駄目だろうが。こんな信用出来ない奴はぶっ飛ばして簀巻きにするべきだ」
(発想がおっかねぇよ……)
コーラフロートを飲みながら麻美による忍足の私刑案を聞き身震いをする向日はこの空気はいつまで続くのかと思いながら早く帰りたいと願うのだった。
「麻美。これはあくまで忍足と遥の問題だから私達が制裁を加えるのは違うよ」
「そんなくそ真面目なことを聞いてるわけじゃないんだよ、こっちは。あんた自身の考えを聞いてんだ」
「私は……」
ルールブックのような答えではなく、秋自身の答えを求める麻美に秋は言葉を紡げなかった。
遥のことを思うのなら遥を守るため忍足は近づけさせたくないと言うのが正しいのかもしれない。
しかし、麻美のように忍足を糾弾するかと問われるとそれも違うとも言える。忍足は忍足なりに自分の行動を省みて心を入れ替えているのは間違いなさそうだった。
そして何より忍足は向日の友人でもある。向日は真面目に遥のことを考えてるから少しは信じてほしいと言っていた。それを思い出した秋はゆっくり口を開く。
「私は……今の忍足のことは信じてもいいんじゃないかなって思うよ。向日もそう言っていたし」
まさかそこで自分の名前が呼ばれるとは思っていなかった向日がぴくりと反応をする。
「……向日もそう言っていた、か。結局あんたの考えじゃないんだな。誰にでもいい顔するのは勝手だが、こんな男にも情けをかけるのはどうなんだ? 下僕かこいつか、どっちの肩を持つんだよ?」
「それは……」
「即断出来ないのが優柔不断のあんたの悪い所だ」
「……」
いつの間にか麻美に責められる形になってしまった秋は申し訳なさげに顔を下へと向けた。
もちろん、麻美の言いたいことは分かる。それだけ遥のことを大事にしてる証拠だから秋は何も言い返すことはなかった。麻美の言葉に間違いはないから。
「赤宮。苛立つのは分かるけど、九条にぶつけるんじゃなくてこの元凶にしろよ」
そこへ今までずっと黙って話を聞いていた向日が初めて会話に加わった。
「向日……」
「他人に言われるのも癪だが、一理あるな」
「……岳人、容赦ないな自分」
「事実だろ。俺も巻き込んでるんだからマジで一回は麻美に殴られとけよ」
「あんたの相方の許可は簡単に下りたな。とりあえず殴っとくか。立て、眼鏡」
拳を鳴らしながら席を立つ麻美が忍足にも起立を求める。
忍足はまるで罪を受け入れるかのように静かに立ち上がった。
本当に麻美は忍足に手を上げる雰囲気だったため、秋は慌てて彼女の服の裾を掴んだ。
「だ、ダメだよ麻美っ。お店の中で暴力行為は……」
「互いに了承してるなら問題ないだろ」
「それでもだよっ。周りに迷惑かけるし、何にしても遥より先に制裁っていうのは……ね? せめて遥に殴らせてからにしよう」
「……下僕が先、か。道理っちゃ道理か」
納得するものの、それでも気持ちが晴れない麻美は舌打ちをしながらドカッと席に座った。
ひとまず店内での暴力沙汰を未然に防ぐことが出来たようで秋も胸を撫で下ろす。
「結局殴られるんやな、俺……」
「自業自得だろ」
席を立って走り出す遥を引き止めようと忍足も慌てて立ち上がり、追いかけようとしたその瞬間。
「そこの兄さん。今暇?」
急に腕を掴まれた。まさかの逆ナンかいな、と思いながらも今はそれどころではない忍足は相手の顔を確認しないまま、店を出て遥の姿が見えなくなった出入口へと目を向ける。
「すまんけど、今忙しいんや」
手を振り払おうとした。しかし、相手の力が強いのか振り解けない。
なんや、こいつと思って相手の女を確認すると忍足は固まってしまった。
「この私が声かけてやってんのに断るとは何様のつもりだ?」
今にも血管が切れるのではないかというほど怒りに狂った麻美が忍足の腕を離さなかった。それどころか力いっぱい腕を掴んでミシミシと音を鳴らしているようにも思える。
「麻美……いだだだっ! あかんあかん! それあかんって!」
「座れ」
麻美が腕を引っ張り、先程座っていた忍足の席へと再び座らせるように突き飛ばした。そして麻美は遥が座っていた席に腰を下ろす。
遥を追いかけることも出来なければ麻美から逃げることも出来ない忍足は諦めた表情で彼女と対話することに決める。
「……麻美もいたんやな」
「私のことはいい。私が聞きたいのはなぜ秋と向日がこの場にいないのか、だ」
「今日の俺らの予定も把握済みなんやな……」
「答えろ。駄眼鏡」
「……昼飯を食うための店探しの途中ではぐれてもうたんや。そんで先に店に入れたからここで岳人達と合流する予定っちゅーこっちゃ」
「秋達はいつ来るんだ?」
「いつ、って言われてもな……」
「連絡はしたのか?」
「……いや」
「早くしろ。今すぐに」
思い切り凄んでくる麻美に逆らうことが出来ないので忍足は自身の携帯電話を取り出し、向日へと電話をかけた。麻美の監視付きで。
その様子を遠巻きで見ていた宍戸と鳳は自分達が頼んだ料理を食べながら「俺達はあれに首を突っ込まないようにするぞ」「え? あ、はい……」と関わらないことに徹した。
「麻美……? あれ? 遥は?」
「侑士、どういうことだよ、これは」
「あぁ……まぁ、色々あって……」
忍足が連絡してすぐに秋と向日は店に訪れた。
いるはずの遥がいない代わりになぜか麻美が席に座っているので秋は混乱しながらも彼女の隣に座り、向日も忍足の隣に着席した。
「忍足、てめぇ全部仕込んだな?」
「仕込む、ってなんのことやろか?」
「遥と二人きりになる機会を得ることだ」
「……お見通しなんやな」
はぁ、と溜め息をつきながら忍足は観念したと言わんばかりに両手を上げた。
「でも勘違いせんといてや? やましいことをしようと思ったわけちゃう。ただ二人でしっかり話をしたかっただけや」
「話って何を? 私達がいたら出来ないことなのか?」
「せやな。遥の立場としては聞かれたくないことやろうし。俺の目的は誤解を解くことと真剣に交際を申し込むことや」
「誤解……? ねぇ、遥と忍足の間に何があったの?」
何度も知りたかった忍足と遥のこと。秋としては遥から話してくれるのを待つつもりだったけど、遥の姿はない今、二人の間にまた何かあったことは明白だった。
こうなったらもう忍足本人に聞くしかない、そう思った秋は真剣な表情で忍足に尋ねた。
「……最初に言うとくけど、今の俺はちゃんと反省しとるからな?」
「前置きはいらん。言え」
(赤宮マジでこえー……)
自分が空気になる気がするが逃げるのもさすがに不自然なので、向日は遥が注文していたコーラフロートとカルボナーラを代わりに食べながら忍足達の話に耳を傾けることにした。
忍足は麻美達に遥との関係を全て話した。
当時の気持ちから今の気持ち、反省した所、避けられても他に想い人がいたとしても諦めるつもりはないことなど全てを吐露する。
「真面目に付き合いたいって思ったんは後にも先にも遥だけやねんけど、正直初めてすぎてから回ってばっかで上手くいかんねん。今回もそうなんやけど……」
(このヘタレ……)
ずっと黙ったままで聞いていた向日は隣の相方の言葉を聞いて口にはしないが情けないなと思う。
そんな向日と向かい合わせで座る麻美と秋はそれぞれ違う表情をしていた。
麻美は腕を組みながら、誰が見ていても分かるほどの苛立ちオーラと厳しい顔をしている。少しでも触れたら怒り爆発しそうなくらいに。
対する秋はずっと真剣な顔をしていた。怒りや悲しみの色は見えず、ただただ真面目な表情で講義を聞くような面持ちだった。
「つまり、あんたの自分勝手な行動で下僕を弄んでるわけだな?」
「そう取られても否定はせぇへん。けど、自分らにどれだけ言われようと俺は遥を諦めるつもりはないねん」
「ハッ。何を偉そうに。下僕の気持ちも分かるな。女道楽にふけこんでいた男の薄っぺらい言葉の何を信じろってんだ」
「せやなぁ……それは俺自身もそう思うわ」
「……」
「秋。あんたは何も言うことがないのか?」
「私は……遥からの話を聞かないとなんとも……。片方の話だけを聞いて忍足のことをどう思うかを決めつけるのは良くないと思うから」
「公平な判断ってか? 聞くまでもないだろ」
「もちろん、遥の気持ちによっては私も忍足のことは軽蔑するよ。でも今はちゃんと反省してるなら考慮はするかな」
「は? あんたみたいな奴が一番許したら駄目だろうが。こんな信用出来ない奴はぶっ飛ばして簀巻きにするべきだ」
(発想がおっかねぇよ……)
コーラフロートを飲みながら麻美による忍足の私刑案を聞き身震いをする向日はこの空気はいつまで続くのかと思いながら早く帰りたいと願うのだった。
「麻美。これはあくまで忍足と遥の問題だから私達が制裁を加えるのは違うよ」
「そんなくそ真面目なことを聞いてるわけじゃないんだよ、こっちは。あんた自身の考えを聞いてんだ」
「私は……」
ルールブックのような答えではなく、秋自身の答えを求める麻美に秋は言葉を紡げなかった。
遥のことを思うのなら遥を守るため忍足は近づけさせたくないと言うのが正しいのかもしれない。
しかし、麻美のように忍足を糾弾するかと問われるとそれも違うとも言える。忍足は忍足なりに自分の行動を省みて心を入れ替えているのは間違いなさそうだった。
そして何より忍足は向日の友人でもある。向日は真面目に遥のことを考えてるから少しは信じてほしいと言っていた。それを思い出した秋はゆっくり口を開く。
「私は……今の忍足のことは信じてもいいんじゃないかなって思うよ。向日もそう言っていたし」
まさかそこで自分の名前が呼ばれるとは思っていなかった向日がぴくりと反応をする。
「……向日もそう言っていた、か。結局あんたの考えじゃないんだな。誰にでもいい顔するのは勝手だが、こんな男にも情けをかけるのはどうなんだ? 下僕かこいつか、どっちの肩を持つんだよ?」
「それは……」
「即断出来ないのが優柔不断のあんたの悪い所だ」
「……」
いつの間にか麻美に責められる形になってしまった秋は申し訳なさげに顔を下へと向けた。
もちろん、麻美の言いたいことは分かる。それだけ遥のことを大事にしてる証拠だから秋は何も言い返すことはなかった。麻美の言葉に間違いはないから。
「赤宮。苛立つのは分かるけど、九条にぶつけるんじゃなくてこの元凶にしろよ」
そこへ今までずっと黙って話を聞いていた向日が初めて会話に加わった。
「向日……」
「他人に言われるのも癪だが、一理あるな」
「……岳人、容赦ないな自分」
「事実だろ。俺も巻き込んでるんだからマジで一回は麻美に殴られとけよ」
「あんたの相方の許可は簡単に下りたな。とりあえず殴っとくか。立て、眼鏡」
拳を鳴らしながら席を立つ麻美が忍足にも起立を求める。
忍足はまるで罪を受け入れるかのように静かに立ち上がった。
本当に麻美は忍足に手を上げる雰囲気だったため、秋は慌てて彼女の服の裾を掴んだ。
「だ、ダメだよ麻美っ。お店の中で暴力行為は……」
「互いに了承してるなら問題ないだろ」
「それでもだよっ。周りに迷惑かけるし、何にしても遥より先に制裁っていうのは……ね? せめて遥に殴らせてからにしよう」
「……下僕が先、か。道理っちゃ道理か」
納得するものの、それでも気持ちが晴れない麻美は舌打ちをしながらドカッと席に座った。
ひとまず店内での暴力沙汰を未然に防ぐことが出来たようで秋も胸を撫で下ろす。
「結局殴られるんやな、俺……」
「自業自得だろ」