自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
それぞれのゴールデンウィーク
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外はあまりにもいい天気だった。太陽は雲にかかることなく眩しくて日差しは少々強めだが、空気はまだ少しだけひんやりとしていた。
外に出る予定はなかったがせっかくの休日。おまけに天気がいい。散歩がてら少し歩くか。そう思った麻美はあてもなく町に出た。
最近はマネージャー業という仕事が増えたため久しぶりにゆっくりとした時間を過ごす麻美は散歩の途中、怪しい集団を目にした。
男数人が何かを囲んでいるようで、少し近づいてみると男達の足の隙間から人が倒れているのが見えた。倒れているというより身体を縮こませて眠っているようにも見えなくない。
「……こいつ、寝てるよな?」
「寝息立ててるから死んではいねーだろ」
(外で寝る物好きがいるのかよ……いや、いるか)
普通はいないだろうが、麻美の記憶の中ではたった一人外で寝そうな人物の顔が浮かんだ。
とにもかくにも事件性はないし、ただの野次馬だろうと思ってそのまま通り過ぎようとしたそのとき。男達の信じられない会話が耳に入る。
「金持ってねぇか探すか」
「こんなガキの手持ちなんて大したことねーんじゃね?」
「ないよりかはマシだろ」
「確かに」
ギャハハと下卑た笑いに麻美は不愉快そうに顔を顰めた。馬鹿はどこにでもいるんだなと溜め息をつき、まぁ私には関係ないけどと思いながら無視するのだが、ちらりともう一度眠っている人物に目を向ける。
顔は見えないが金色のふんわりとした髪が僅かながら視界に入った。見覚えのあるその髪に彼女はまさかと思わずにいられなくて足を止めた。
「ポケット調べようぜ」
「千円でもありゃあいいけど」
男達はしゃがみ込んで眠っている人間のポケットをまさぐろうとしていた。
そんな男達の非常識な言動とそのターゲットが麻美の知っている人物かもしれないと考えたこともあり、関わるつもりはなかったが首を突っ込むことに決めた。
「おい。あんたら見苦しいぞ」
「は?」
「何? もしかして俺らに言ってるわけ?」
「私の視線がお前ら以外のどこに向けてると思ってんだよ。目悪すぎだろ」
しゃがみ込んでいた男達が立ち上がり、麻美の前へと詰め寄る。相手は麻美よりも年上の男三人だった。
「見たとこ中高生のガキんちょかよ」
「でもキレーな顔してるよな。読モじゃね?」
「ていうか君さ、もしかしておにーさん達に注意しようとしてる? 正義厨も大概にした方がいいよ。俺達は君より年上の大学生だから大人なわけ。大人には経緯を払うべきでしょ。……ね?」
リーダー格と思われる男が麻美に顔を寄せて悪意ある視線で睨みを利かせる。そんな彼の蛇のような睨みに麻美は何一つ動じることもなければ顔色も変わらない。
「そんなのでガンつけてるつもりか? ガンをつけるってのはこうするんだよっ!」
そう言うと麻美は男の襟を両手で強く掴み、ぐいっと引き寄せれば目と鼻の先の距離で鋭く睨み返した。
「っ……」
その視線に男はぞわりと悪寒が走った。彼を蛇に例えるなら彼女は鬼。まるで鬼に首を掴まれた蛇の如く圧倒的な力差を感じた。
「てめっ、その手を放せっての!」
「女だからって調子に乗んなよな!」
仲間の二人が麻美に手を掴みかかろうとしたが、襟を掴んだままリーダー格の男を左右に強く振って他の二人を薙ぎ払ったのち、仲間目掛けて掴んでいた男を荒々しく投げ飛ばした。
「ってぇ!」
「ガキだの女だのうるさい連中だな。下に見る相手間違うなよ、三下どもが」
拳を鳴らしながら三人の元へ近寄る麻美の表情はうっすらと笑みを浮かべていた。加虐を楽しむ魔王の如く。
そんな彼女の様子に思わず男達も地に座り込みながら後退りをする。
「久々に暴れるんだから楽しませろよ」
「ちっ、こんなイカレ女に構ってられっか!」
リーダー格の男がそう叫ぶと、三人はすぐに逃げ出した。捨て台詞のような言葉を残しながら。
「……は?」
残された麻美は眉を寄せながら不服そうな顔をする。
喧嘩する気満々で挑発したのにその獲物に逃げられるとは思わなかったようだ。
「男三人もいて情けない奴らめ……」
最近拳を振るう機会がめっきり減ってしまい、暴れたい衝動に駆られる日々の麻美は残念だと言いたげに溜め息を吐き捨てた。
そして男達に狙われ、尚も外で寝入っている人間へと目を向けると追加の嘆息を吐く。
「おい、ジロー。外で寝るな」
麻美の予想通り、そこにいたのは一年の頃のクラスメイトだった芥川慈郎。
軽く足で小突くように蹴って起こしてみようとするが、反応はない。
(思い切り踏んでやろうか?)
僅かにイラッとした麻美がとんでもないことを考える。
元々彼が簡単に起きるような人間ではないことを知っていた麻美は面倒臭げにしゃがみ込んで今度は頭を強く叩いた。
「起きろっつってんだろ!」
「うぅ~……」
べシッと頭を叩かれたことで芥川は呻きながら眉を寄せる。ようやく見せた反応に麻美はさらに叩き続けた。
「起きろ! 起きろ! 起きろ!」
「いてっ! いででっ! な、なんだ!?」
さすがに連続して攻撃を受けたおかげか頭を押さえながら勢いよく起き上がる芥川に麻美はゆっくり立ち上がる。
そんな彼女と目が合った芥川は頭をボリボリ掻きながら辺りを見回してから再び麻美へと視線を戻す。
「……麻美? なんで?」
「あんたがこんな所で寝てたからクソ共に金目の物がないか探られたんだよ。たまたまいた私が追い払ってやったんだから敬え」
「えっ!? マジマジ!? すっげー! 麻美の戦うとこ見たかったなー!」
目を輝かせながら、まるでヒーローに向けるような視線を受けた麻美は「見世物じゃないんだよ」と溜め息混じりで呟く。
「っつーか、なんでここで寝てんだよ」
「あー……うちの店のクーポンを配る途中でついうとうとしちゃって~」
よく見れば芥川クリーニングと書かれたエプロンを身につけている。
それに彼の言う通り確かに昼寝にぴったりの陽気ではあるが、こんな公道で地に這って寝るような神経を麻美には持ち合わせていなかった。
「寝るなら家で寝ろ。金取られたらどうすんだ」
「だいじょーぶだいじょーぶ! 俺、今持ってねぇから!」
「……無視すれば良かったか」
顔馴染みだから助けてやったのに、そう口にしながら舌打ちをする。
そんな不服そうな麻美の態度を前にしても怯むことも気にすることもない芥川は「あ、そうだ」と言ってエプロンのポケットに手を突っ込んだ。
「これ! 助けてくれたお礼!」
「……」
受け取ったのは少ししわくちゃになった『芥川クリーニング割引券』であった。
怪訝な顔をしながらも使用するかどうかは別として、麻美は貰える物ならとそのまま受け取ることにした。
外に出る予定はなかったがせっかくの休日。おまけに天気がいい。散歩がてら少し歩くか。そう思った麻美はあてもなく町に出た。
最近はマネージャー業という仕事が増えたため久しぶりにゆっくりとした時間を過ごす麻美は散歩の途中、怪しい集団を目にした。
男数人が何かを囲んでいるようで、少し近づいてみると男達の足の隙間から人が倒れているのが見えた。倒れているというより身体を縮こませて眠っているようにも見えなくない。
「……こいつ、寝てるよな?」
「寝息立ててるから死んではいねーだろ」
(外で寝る物好きがいるのかよ……いや、いるか)
普通はいないだろうが、麻美の記憶の中ではたった一人外で寝そうな人物の顔が浮かんだ。
とにもかくにも事件性はないし、ただの野次馬だろうと思ってそのまま通り過ぎようとしたそのとき。男達の信じられない会話が耳に入る。
「金持ってねぇか探すか」
「こんなガキの手持ちなんて大したことねーんじゃね?」
「ないよりかはマシだろ」
「確かに」
ギャハハと下卑た笑いに麻美は不愉快そうに顔を顰めた。馬鹿はどこにでもいるんだなと溜め息をつき、まぁ私には関係ないけどと思いながら無視するのだが、ちらりともう一度眠っている人物に目を向ける。
顔は見えないが金色のふんわりとした髪が僅かながら視界に入った。見覚えのあるその髪に彼女はまさかと思わずにいられなくて足を止めた。
「ポケット調べようぜ」
「千円でもありゃあいいけど」
男達はしゃがみ込んで眠っている人間のポケットをまさぐろうとしていた。
そんな男達の非常識な言動とそのターゲットが麻美の知っている人物かもしれないと考えたこともあり、関わるつもりはなかったが首を突っ込むことに決めた。
「おい。あんたら見苦しいぞ」
「は?」
「何? もしかして俺らに言ってるわけ?」
「私の視線がお前ら以外のどこに向けてると思ってんだよ。目悪すぎだろ」
しゃがみ込んでいた男達が立ち上がり、麻美の前へと詰め寄る。相手は麻美よりも年上の男三人だった。
「見たとこ中高生のガキんちょかよ」
「でもキレーな顔してるよな。読モじゃね?」
「ていうか君さ、もしかしておにーさん達に注意しようとしてる? 正義厨も大概にした方がいいよ。俺達は君より年上の大学生だから大人なわけ。大人には経緯を払うべきでしょ。……ね?」
リーダー格と思われる男が麻美に顔を寄せて悪意ある視線で睨みを利かせる。そんな彼の蛇のような睨みに麻美は何一つ動じることもなければ顔色も変わらない。
「そんなのでガンつけてるつもりか? ガンをつけるってのはこうするんだよっ!」
そう言うと麻美は男の襟を両手で強く掴み、ぐいっと引き寄せれば目と鼻の先の距離で鋭く睨み返した。
「っ……」
その視線に男はぞわりと悪寒が走った。彼を蛇に例えるなら彼女は鬼。まるで鬼に首を掴まれた蛇の如く圧倒的な力差を感じた。
「てめっ、その手を放せっての!」
「女だからって調子に乗んなよな!」
仲間の二人が麻美に手を掴みかかろうとしたが、襟を掴んだままリーダー格の男を左右に強く振って他の二人を薙ぎ払ったのち、仲間目掛けて掴んでいた男を荒々しく投げ飛ばした。
「ってぇ!」
「ガキだの女だのうるさい連中だな。下に見る相手間違うなよ、三下どもが」
拳を鳴らしながら三人の元へ近寄る麻美の表情はうっすらと笑みを浮かべていた。加虐を楽しむ魔王の如く。
そんな彼女の様子に思わず男達も地に座り込みながら後退りをする。
「久々に暴れるんだから楽しませろよ」
「ちっ、こんなイカレ女に構ってられっか!」
リーダー格の男がそう叫ぶと、三人はすぐに逃げ出した。捨て台詞のような言葉を残しながら。
「……は?」
残された麻美は眉を寄せながら不服そうな顔をする。
喧嘩する気満々で挑発したのにその獲物に逃げられるとは思わなかったようだ。
「男三人もいて情けない奴らめ……」
最近拳を振るう機会がめっきり減ってしまい、暴れたい衝動に駆られる日々の麻美は残念だと言いたげに溜め息を吐き捨てた。
そして男達に狙われ、尚も外で寝入っている人間へと目を向けると追加の嘆息を吐く。
「おい、ジロー。外で寝るな」
麻美の予想通り、そこにいたのは一年の頃のクラスメイトだった芥川慈郎。
軽く足で小突くように蹴って起こしてみようとするが、反応はない。
(思い切り踏んでやろうか?)
僅かにイラッとした麻美がとんでもないことを考える。
元々彼が簡単に起きるような人間ではないことを知っていた麻美は面倒臭げにしゃがみ込んで今度は頭を強く叩いた。
「起きろっつってんだろ!」
「うぅ~……」
べシッと頭を叩かれたことで芥川は呻きながら眉を寄せる。ようやく見せた反応に麻美はさらに叩き続けた。
「起きろ! 起きろ! 起きろ!」
「いてっ! いででっ! な、なんだ!?」
さすがに連続して攻撃を受けたおかげか頭を押さえながら勢いよく起き上がる芥川に麻美はゆっくり立ち上がる。
そんな彼女と目が合った芥川は頭をボリボリ掻きながら辺りを見回してから再び麻美へと視線を戻す。
「……麻美? なんで?」
「あんたがこんな所で寝てたからクソ共に金目の物がないか探られたんだよ。たまたまいた私が追い払ってやったんだから敬え」
「えっ!? マジマジ!? すっげー! 麻美の戦うとこ見たかったなー!」
目を輝かせながら、まるでヒーローに向けるような視線を受けた麻美は「見世物じゃないんだよ」と溜め息混じりで呟く。
「っつーか、なんでここで寝てんだよ」
「あー……うちの店のクーポンを配る途中でついうとうとしちゃって~」
よく見れば芥川クリーニングと書かれたエプロンを身につけている。
それに彼の言う通り確かに昼寝にぴったりの陽気ではあるが、こんな公道で地に這って寝るような神経を麻美には持ち合わせていなかった。
「寝るなら家で寝ろ。金取られたらどうすんだ」
「だいじょーぶだいじょーぶ! 俺、今持ってねぇから!」
「……無視すれば良かったか」
顔馴染みだから助けてやったのに、そう口にしながら舌打ちをする。
そんな不服そうな麻美の態度を前にしても怯むことも気にすることもない芥川は「あ、そうだ」と言ってエプロンのポケットに手を突っ込んだ。
「これ! 助けてくれたお礼!」
「……」
受け取ったのは少ししわくちゃになった『芥川クリーニング割引券』であった。
怪訝な顔をしながらも使用するかどうかは別として、麻美は貰える物ならとそのまま受け取ることにした。