自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
誘われる休日と注意喚起と変わらない面子
主人公名前変換
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(いよいよ明日か……)
部活中、ストップウォッチを手にしながら部員のダッシュを記録する麻美はぼんやりと明日のことを考えた。
明日が秋と遥達が映画に行くという日だ。遥と忍足については気がかりではあるが、そこはもう遊びに行くことを了承した遥の判断なので今さらとやかく言うつもりはない。
そして恨み言を呟いていた女子生徒についても気になるが、鳳もあれからその女子を見かけたという情報もないので探しようもなく、麻美は一人で盛大な溜め息を吐き出した。
「珍しいじゃねーか」
そこへタイミングがいいのか悪いのか。跡部が麻美の前に現れた。
人気者ゆえに注目が集まるから麻美にとっては一番関わりたくない人物。
「何がだ」
「気苦労を思わせる溜め息だったから何か悩み事かと思ってな」
「溜め息だけでなんで分かんだよ」
「俺様のインサイトで見抜けねぇものはねぇな」
あまりにも自信満々な態度に麻美は眉をひそめて疑いの目を向ける。
いや、あるだろ。普通に。そう返すのも面倒だと思い、それ以上口にはしなかった。
悩み事、というのもあながち間違いでもないし、そのインサイトとやらで見抜いたかどうかの真偽は不明ではあるが。
「私にも考えることのひとつやふたつくらいはある」
「そりゃそうだ。悩みのねぇ人間なんざいねぇ。問題はどう解決するかだ」
「いいからあんたは何が言いたいわけ?」
「相談くらいは乗ってやるって言ってんだ」
は? 相談? なんで?
怪訝な顔で跡部を見る。そもそも跡部とは昨年同じクラスというだけの関係。顔見知りであるが相談を乗るような仲でもない。
「私がなんであんたに相談しなきゃいけないんだよ。そもそもそっちがそこまでする必要あるのか?」
「大いにある。周りに相談せずに暴力沙汰に発展される方が困るからな」
「っち、指導員みたいなこと言いやがって……」
ここは刑務所かっつーのと呟きながら面倒臭そうな表情に変わる。
跡部は跡部なりに麻美の学校態度を良くするための監視を買って出ているだけだが、麻美からしてみたらいい迷惑だった。
「人様のプライベートにズカズカと入ってくんな。あんたに話すようなことはない」
「そうか。なら仕方ねぇが、なんでもテメェで解決しようとすんなよ。ちったぁ周りを頼りやがれ。お前は全部一人で背負い込むからな」
「分かったふうな口をきくな」
「分かったふうな、じゃなく分かってんだよ。多少なりともお前のことはな」
その台詞は彼に好意を抱く者ならばときめいただろう。しかし、残念ながら相手は全く跡部に惹かれない赤宮麻美。
不愉快そうに眉間に皺を寄せて自分のことを分かった気でいる跡部に睨みをきかせた。
「くく、睨むな睨むな。元よりお前は俺を信用してねぇことくらい分かってるっての。まぁ、それを承知でお前に気分転換させようと思ってるがな」
「気分転換?」
「相談出来ねぇなら気分を変えさせるくらいはしてやろうとな」
「ふーん? 天下の跡部がどうやって私の気分を変えさせるってんだ?」
少しばかり気になったので話を聞いてみることにした。相手は氷帝学園のトップ跡部景吾。どんなぶっ飛んだ金持ち提案をするか興味本位で尋ねてみる。
「メットガラに連れてってやるよ」
「ふざけんな、やめろ」
即答だった。
ニューヨークで毎年五月に行われるファッションの祭典。さも簡単に誘うが、最大級とも言える資金集めのイベントでもあるのでそのチケットも安くはない。
チケットで何百万、テーブル席で何千万、庶民ならば絶対に参加出来ないもの。
跡部が冗談で言っているとは思わないからこその拒絶である。
あの物言いは本気で麻美をニューヨークへ連れて行き、メットガラへ招待させるつもりだろう。跡部だから出来る誘いだ。
「安心しろ、二人だけじゃねぇ。萩之介も一緒だ」
「そういうことじゃねぇ」
むしろ滝も行くのかよ、金持ちボンボン共め。
心の中で悪態つきながらも、麻美は自身が想像していた以上にとんでもない提案を出されたことに若干引いていた。
彼女もさすがにニューヨークに飛んでセレブに囲まれるのは息が詰まると考え、きっぱりとはっきりと跡部レベルの気分転換の誘いを断ることにする。
「興味がない。っつーか、そんな誘いを受けるほどの仲でもないし」
「気分を晴らしてやろうっていう俺の優しさだってのに連れねぇ奴だ」
「いらん。規模がでかいんだよ」
「そうかよ。なら次はもう少し考えて誘うようにする」
じゃあ俺は行くぜと告げて麻美の前を去っていく跡部の後ろ姿を見て麻美はぽつりと呟いた。
「いや、次なんて必要ないんだけど」
相変わらず何を考えているかよく分からん男だ。そう思いながら麻美も業務へ戻ることにした。
部活中、ストップウォッチを手にしながら部員のダッシュを記録する麻美はぼんやりと明日のことを考えた。
明日が秋と遥達が映画に行くという日だ。遥と忍足については気がかりではあるが、そこはもう遊びに行くことを了承した遥の判断なので今さらとやかく言うつもりはない。
そして恨み言を呟いていた女子生徒についても気になるが、鳳もあれからその女子を見かけたという情報もないので探しようもなく、麻美は一人で盛大な溜め息を吐き出した。
「珍しいじゃねーか」
そこへタイミングがいいのか悪いのか。跡部が麻美の前に現れた。
人気者ゆえに注目が集まるから麻美にとっては一番関わりたくない人物。
「何がだ」
「気苦労を思わせる溜め息だったから何か悩み事かと思ってな」
「溜め息だけでなんで分かんだよ」
「俺様のインサイトで見抜けねぇものはねぇな」
あまりにも自信満々な態度に麻美は眉をひそめて疑いの目を向ける。
いや、あるだろ。普通に。そう返すのも面倒だと思い、それ以上口にはしなかった。
悩み事、というのもあながち間違いでもないし、そのインサイトとやらで見抜いたかどうかの真偽は不明ではあるが。
「私にも考えることのひとつやふたつくらいはある」
「そりゃそうだ。悩みのねぇ人間なんざいねぇ。問題はどう解決するかだ」
「いいからあんたは何が言いたいわけ?」
「相談くらいは乗ってやるって言ってんだ」
は? 相談? なんで?
怪訝な顔で跡部を見る。そもそも跡部とは昨年同じクラスというだけの関係。顔見知りであるが相談を乗るような仲でもない。
「私がなんであんたに相談しなきゃいけないんだよ。そもそもそっちがそこまでする必要あるのか?」
「大いにある。周りに相談せずに暴力沙汰に発展される方が困るからな」
「っち、指導員みたいなこと言いやがって……」
ここは刑務所かっつーのと呟きながら面倒臭そうな表情に変わる。
跡部は跡部なりに麻美の学校態度を良くするための監視を買って出ているだけだが、麻美からしてみたらいい迷惑だった。
「人様のプライベートにズカズカと入ってくんな。あんたに話すようなことはない」
「そうか。なら仕方ねぇが、なんでもテメェで解決しようとすんなよ。ちったぁ周りを頼りやがれ。お前は全部一人で背負い込むからな」
「分かったふうな口をきくな」
「分かったふうな、じゃなく分かってんだよ。多少なりともお前のことはな」
その台詞は彼に好意を抱く者ならばときめいただろう。しかし、残念ながら相手は全く跡部に惹かれない赤宮麻美。
不愉快そうに眉間に皺を寄せて自分のことを分かった気でいる跡部に睨みをきかせた。
「くく、睨むな睨むな。元よりお前は俺を信用してねぇことくらい分かってるっての。まぁ、それを承知でお前に気分転換させようと思ってるがな」
「気分転換?」
「相談出来ねぇなら気分を変えさせるくらいはしてやろうとな」
「ふーん? 天下の跡部がどうやって私の気分を変えさせるってんだ?」
少しばかり気になったので話を聞いてみることにした。相手は氷帝学園のトップ跡部景吾。どんなぶっ飛んだ金持ち提案をするか興味本位で尋ねてみる。
「メットガラに連れてってやるよ」
「ふざけんな、やめろ」
即答だった。
ニューヨークで毎年五月に行われるファッションの祭典。さも簡単に誘うが、最大級とも言える資金集めのイベントでもあるのでそのチケットも安くはない。
チケットで何百万、テーブル席で何千万、庶民ならば絶対に参加出来ないもの。
跡部が冗談で言っているとは思わないからこその拒絶である。
あの物言いは本気で麻美をニューヨークへ連れて行き、メットガラへ招待させるつもりだろう。跡部だから出来る誘いだ。
「安心しろ、二人だけじゃねぇ。萩之介も一緒だ」
「そういうことじゃねぇ」
むしろ滝も行くのかよ、金持ちボンボン共め。
心の中で悪態つきながらも、麻美は自身が想像していた以上にとんでもない提案を出されたことに若干引いていた。
彼女もさすがにニューヨークに飛んでセレブに囲まれるのは息が詰まると考え、きっぱりとはっきりと跡部レベルの気分転換の誘いを断ることにする。
「興味がない。っつーか、そんな誘いを受けるほどの仲でもないし」
「気分を晴らしてやろうっていう俺の優しさだってのに連れねぇ奴だ」
「いらん。規模がでかいんだよ」
「そうかよ。なら次はもう少し考えて誘うようにする」
じゃあ俺は行くぜと告げて麻美の前を去っていく跡部の後ろ姿を見て麻美はぽつりと呟いた。
「いや、次なんて必要ないんだけど」
相変わらず何を考えているかよく分からん男だ。そう思いながら麻美も業務へ戻ることにした。