自己中心の主人公1、優柔不断の主人公2、おバカキャラの主人公3の名前設定となります。
誘われる休日と注意喚起と変わらない面子
主人公名前変換
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「よっ。おはよ、九条」
「あ、向日。おはよう」
朝練の登校中。後ろから走ってくる音が聞こえたと思ったら隣に並んで歩く人の気配に気づく。秋がそちらに目を向けると、そこには向日がいたため少し驚きつつも挨拶を交わした。
「いつもこんくらいの時間なのか?」
「そうだね、少し早めに行くよう心がけてるかな。……遥が遅刻しても部活に支障をきたさないようにするためにも」
「あぁ……」
秋の言葉に向日はすぐに納得した。たまに遥が朝練に遅刻するのは周知の事実であるため。
元々朝練は自由参加ではあるが、それは部員の話。マネージャーは余程の理由がなければ参加義務がある。
部員が参加している限り、マネージャーも必要とされるから。
「そういや、あいつ月曜日はかなりの確率で寝坊してるよな」
「多分、日曜日に夜遅くまでゲームとかしてるみたいだからその影響だと思うよ」
「あーなるほど。俺はぜってー月曜は寝坊したくねーな」
「月曜日?」
「ジャンプの発売だから朝イチに買うんだよ」
「あ、少年漫画雑誌の……」
「そうそうそれ」
実際に見たことはなかった秋だが、よく教室の話題になっているので存在は知っていた。
「朝イチってことはコンビニで買うの?」
「そうだな。早く見てーし、学校近くのコンビニでゲットすんだよ……って、もしかして登下校中のコンビニは禁止とか言わねぇよなっ?」
「え? 言わないよ。だって昼食用にパンを買う生徒もいれば、筆記用具を買う生徒もいるし」
それを聞いて向日はホッと安心した。特に校則で禁止していないとはいえ、頭の固い人間ならば目くじらを立てるからだ。
「私も麻美と遥と一緒によく行くし」
「九条でもコンビニとか行くんだな。買い食いとか否定してそうなのに」
「そんなことないけど……私、そう見えるのかな……?」
「んー。なんかイメージ的に真面目そうだって思ってるからな」
自分がそこまで堅物だと思われていたなんて。真面目すぎてつまらないなんて思われたらどうしよう……。
そう思う秋は自分の印象をもう少し柔らかくしたいと考えながらどうすればイメージアップが出来るのか今後の課題へ加えることに決める。
「まぁ、互いにまだよく知らねぇこと多いけど、これからもよろしくな」
「あ、うん。よろしくねっ」
少なくともつまらないとは思っていない態度の向日を見て秋は胸を撫で下ろした。
すると向日は視線を逸らしながらどこか言いづらそうに「あー……」と呟く。
「━━で、だ。唐突なんだけどよ。今度の休みに映画行かね? 侑士と遥も行くみたいだから九条もどうだって思ってよ」
頬を掻きながら目を泳がせる向日が秋を映画に誘う。
知り合い以上友人未満とも言える関係なので普通の女友達を遊びに誘うより難しいし、どんな態度で誘えばいいか悩みながらではあった。
困り顔で「それはちょっと……」なんて返事をされたら「だよな~!」と返すつもりだ。
ちらり、と秋の反応を見ようと視線を向ければ、驚きに目を丸くさせたのち、ゆっくりと咲き誇る花のように破顔させていたため向日も目を大きくさせた。
「私も行っていいの?」
「お、おう。嫌じゃなければ……なんだけどよ」
「全然っ! 誘ってくれて嬉しいよ。ありがとうっ」
「あ、いや、こっちこそサンキューな。そんなに喜んでもらえるとは思ってなかったし……」
そんなに遥と一緒なのが嬉しいのかと思う向日だったが、一応忍足に頼まれたことは成功したので追加の報酬も頂こうかと企み始める。
「だって私にとって向日は憧れの人だから」
「……え?」
はにかむように笑う秋の思いもよらぬ言葉を聞いた向日はどういうことだと言わんばかりの顔を向ける。
「私ね、向日のアクロバットを見るのが好きなの。格好良くて鳥や天使みたいで。本当に羽根が生えてるような身軽さが見ていて高揚するの」
少し照れながらも秋は向日に思っていたことを正直に伝える。何も知らない人から見ればまるで秘めていた想いを吐露するかのような一世一代の告白にも見えた。
向日も同じく告白されたのかと思って一瞬固まるが、すぐに自分の特技についての言葉だと気づきハッとする。
確かに自分のアクロバティックを賞賛する人は多かったが、こんなにむず痒くなる褒められ方はあまりない。特に天使は言い過ぎだと考えながら向日も恥ずかしそうに口を開いた。
「サ、サンキュ。っつーか、そんな大層に褒められるとは思わなかったけど……あー、つまりあれか。俺のファンってことか」
ファンと聞いて秋が真っ先に浮かぶのは跡部ファンクラブに所属している女子達。
あそこまでの熱狂的な行動はないものの、気持ちならば確かに同じようなものかもと考えた彼女はくすりと笑った。
「確かにそうかもしれないね。ジローもアイドルに向ける気持ちだって言われたし」
「俺は跡部みたいなアイドル的な枠のつもりねーけどな」
「あ、それじゃあ、ファンは迷惑かな……?」
しゅんとする秋に向日は慌てて「ち、ちげーって!」と声を上げる。
「そうじゃなくて、ファンよりもダチの方が対等な関係でいいじゃんってこと!」
「それって……向日と友達になってもいいってこと?」
「当たり前だろ? 逆にダチじゃなかったらこうやって気軽に話す関係はなんて言うんだよ」
「同級生とか部活仲間?」
「そこはマジレスすんなよ……まぁ、とにかく俺と九条は友達だからいつでも俺の華麗な技を見せてやるぜ」
「本当っ? 頼んだら見せてくれるの?」
「おう!」
少し興奮気味に喜ぶ秋の目は子どものように輝いていた。向日のファンと言うのもあながち間違いではないことがよく分かる。
こうして、偶然とはいえ初めて向日とばったり会うなんて思わなかった秋は憧憬する彼と共に登校出来て幸せな一日の始まりを感じた。
「あ、向日。おはよう」
朝練の登校中。後ろから走ってくる音が聞こえたと思ったら隣に並んで歩く人の気配に気づく。秋がそちらに目を向けると、そこには向日がいたため少し驚きつつも挨拶を交わした。
「いつもこんくらいの時間なのか?」
「そうだね、少し早めに行くよう心がけてるかな。……遥が遅刻しても部活に支障をきたさないようにするためにも」
「あぁ……」
秋の言葉に向日はすぐに納得した。たまに遥が朝練に遅刻するのは周知の事実であるため。
元々朝練は自由参加ではあるが、それは部員の話。マネージャーは余程の理由がなければ参加義務がある。
部員が参加している限り、マネージャーも必要とされるから。
「そういや、あいつ月曜日はかなりの確率で寝坊してるよな」
「多分、日曜日に夜遅くまでゲームとかしてるみたいだからその影響だと思うよ」
「あーなるほど。俺はぜってー月曜は寝坊したくねーな」
「月曜日?」
「ジャンプの発売だから朝イチに買うんだよ」
「あ、少年漫画雑誌の……」
「そうそうそれ」
実際に見たことはなかった秋だが、よく教室の話題になっているので存在は知っていた。
「朝イチってことはコンビニで買うの?」
「そうだな。早く見てーし、学校近くのコンビニでゲットすんだよ……って、もしかして登下校中のコンビニは禁止とか言わねぇよなっ?」
「え? 言わないよ。だって昼食用にパンを買う生徒もいれば、筆記用具を買う生徒もいるし」
それを聞いて向日はホッと安心した。特に校則で禁止していないとはいえ、頭の固い人間ならば目くじらを立てるからだ。
「私も麻美と遥と一緒によく行くし」
「九条でもコンビニとか行くんだな。買い食いとか否定してそうなのに」
「そんなことないけど……私、そう見えるのかな……?」
「んー。なんかイメージ的に真面目そうだって思ってるからな」
自分がそこまで堅物だと思われていたなんて。真面目すぎてつまらないなんて思われたらどうしよう……。
そう思う秋は自分の印象をもう少し柔らかくしたいと考えながらどうすればイメージアップが出来るのか今後の課題へ加えることに決める。
「まぁ、互いにまだよく知らねぇこと多いけど、これからもよろしくな」
「あ、うん。よろしくねっ」
少なくともつまらないとは思っていない態度の向日を見て秋は胸を撫で下ろした。
すると向日は視線を逸らしながらどこか言いづらそうに「あー……」と呟く。
「━━で、だ。唐突なんだけどよ。今度の休みに映画行かね? 侑士と遥も行くみたいだから九条もどうだって思ってよ」
頬を掻きながら目を泳がせる向日が秋を映画に誘う。
知り合い以上友人未満とも言える関係なので普通の女友達を遊びに誘うより難しいし、どんな態度で誘えばいいか悩みながらではあった。
困り顔で「それはちょっと……」なんて返事をされたら「だよな~!」と返すつもりだ。
ちらり、と秋の反応を見ようと視線を向ければ、驚きに目を丸くさせたのち、ゆっくりと咲き誇る花のように破顔させていたため向日も目を大きくさせた。
「私も行っていいの?」
「お、おう。嫌じゃなければ……なんだけどよ」
「全然っ! 誘ってくれて嬉しいよ。ありがとうっ」
「あ、いや、こっちこそサンキューな。そんなに喜んでもらえるとは思ってなかったし……」
そんなに遥と一緒なのが嬉しいのかと思う向日だったが、一応忍足に頼まれたことは成功したので追加の報酬も頂こうかと企み始める。
「だって私にとって向日は憧れの人だから」
「……え?」
はにかむように笑う秋の思いもよらぬ言葉を聞いた向日はどういうことだと言わんばかりの顔を向ける。
「私ね、向日のアクロバットを見るのが好きなの。格好良くて鳥や天使みたいで。本当に羽根が生えてるような身軽さが見ていて高揚するの」
少し照れながらも秋は向日に思っていたことを正直に伝える。何も知らない人から見ればまるで秘めていた想いを吐露するかのような一世一代の告白にも見えた。
向日も同じく告白されたのかと思って一瞬固まるが、すぐに自分の特技についての言葉だと気づきハッとする。
確かに自分のアクロバティックを賞賛する人は多かったが、こんなにむず痒くなる褒められ方はあまりない。特に天使は言い過ぎだと考えながら向日も恥ずかしそうに口を開いた。
「サ、サンキュ。っつーか、そんな大層に褒められるとは思わなかったけど……あー、つまりあれか。俺のファンってことか」
ファンと聞いて秋が真っ先に浮かぶのは跡部ファンクラブに所属している女子達。
あそこまでの熱狂的な行動はないものの、気持ちならば確かに同じようなものかもと考えた彼女はくすりと笑った。
「確かにそうかもしれないね。ジローもアイドルに向ける気持ちだって言われたし」
「俺は跡部みたいなアイドル的な枠のつもりねーけどな」
「あ、それじゃあ、ファンは迷惑かな……?」
しゅんとする秋に向日は慌てて「ち、ちげーって!」と声を上げる。
「そうじゃなくて、ファンよりもダチの方が対等な関係でいいじゃんってこと!」
「それって……向日と友達になってもいいってこと?」
「当たり前だろ? 逆にダチじゃなかったらこうやって気軽に話す関係はなんて言うんだよ」
「同級生とか部活仲間?」
「そこはマジレスすんなよ……まぁ、とにかく俺と九条は友達だからいつでも俺の華麗な技を見せてやるぜ」
「本当っ? 頼んだら見せてくれるの?」
「おう!」
少し興奮気味に喜ぶ秋の目は子どものように輝いていた。向日のファンと言うのもあながち間違いではないことがよく分かる。
こうして、偶然とはいえ初めて向日とばったり会うなんて思わなかった秋は憧憬する彼と共に登校出来て幸せな一日の始まりを感じた。